ブルーアーカイブ -灰の翼-   作:空素

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あらすじ

また美食研か
ヒナからの依頼


EP-12 美食研究会捕縛作戦

ゴールドマグロをアクアリウムから強奪した美食研究会一行は、ゲヘナ学園の給食部の車両に乗って、トリニティ自治区内を絶賛逃走中だった。

 

運転席にはアカリ、助手席にはハルナ、そしてその後ろの荷台には巨大な金色のマグロが横たわり、ビチビチと暴れ回っているが、それをイズミが上から覆い被さって押さえており、その様子をジュンコが投げ飛ばされないように車の縁を掴みながら、注視している。

 

「うわっ!?マグロがまだビチビチ跳ねてる!?ヒレでビンタされてる!?」

 

「イズミ!ちゃんと捕まえてて!それすっごい高いんだから!」

 

「ふふっ、首尾よく確保できましたね、ゴールドマグロ★」

 

「あの伝説のマグロをただ観賞用として扱うだなんて…そんなこと、美食に対する礼儀がなっていないというものですわ。そうは思いませんか?フウカさん?」

 

ハルナは助手席から荷台の手前の方を覗き込む。

そこには、猿轡を嵌められ、簀巻きにされたゲヘナ給食部、《愛清(あいきよ)フウカ》が転がっていた。

 

「んんっ!?んーーーーーっ!んんんんんっ!?」

 

「猿轡のせいで何を言ってるのかサッパリですね★」

 

「でもこれからどうするの!?トリニティのド真ん中じゃん!」

 

「ところでこれいつ食べられるの〜?マグロにはビンタされるし、黒いセーラー服の子たちに追いかけられてるし、そろそろお腹空いたんだけど!」

 

マグロを押さえ付けているイズミには、車を追いかけてきている正義実現委員会の姿が見えていた。

 

「黒いセーラー服…って正義実現委員会じゃん!こっちの風紀委員会くらいの連中だったと思うけど…まぁ、でも?普段から風紀委員会に加えて、反則みたいなレイヴンに追っかけられてる私たちからすればなんて事ないんじゃない?レイヴンは居ないだろうし!」

 

正義実現委員会は、包囲網によって美食研究会を包囲しようとしながら、左右後方から迫るが、アカリの優れた運転技術によってそれらを振り払っていく。

 

「いつも捕まってますけどね★」

 

「ふふっ、そうですわね。レイヴンさんの追跡に比べれば、追ってきている正義実現委員会はヒナさんのいない風紀委員会のようなもの。《剣先ツルギ》さんもいらっしゃらないようですし、なんてことありませんわ。アカリさん、振り切っちゃいましょう!」

 

「かしこまりました★──って、あら?」

 

アクセルを踏み込んだアカリは、それと同時に車の進路上にある一つの影に気が付いた。

 

「どうかしましたか?」

 

周辺は混乱状態である為、殆んどの通行人は路上から退いている。

それなのにも関わらず、その人影は、まるで美食研究会の前に立ちはだかるように立っていた。

 

「前に人が…」

 

このままでは轢いてしまうが、ハルナはその人影から嫌な予感を感じた。

 

「えっ!?何!?正義実現委員会!?剣先ツルギ!?」

 

マグロを押さえているイズミ以外の視線が進路上へと向く。

周囲の灯りによって影が強調されたシルエットに、月の光がスポットライトのように降り注ぎ、その容姿を露わにする。

 

「!!アカリさん!アクセル全開ですわ!!」

 

その人物の正体に気付いたハルナは、すぐさま指示を飛ばす。

 

「はい!」

 

アカリも即座に指示に従い、前に人がいるにも関わらず、アクセルを全開にして突っ込む。

 

「ええっ!?このままだと轢いちゃうわよ!?」

 

まだ正体に気付いていないジュンコが困惑する。

ジュンコは荷台におり、車体の振動と小柄なのもあって、気付くことが出来なかった。

 

()()()()()()()()!そうしなければ、私達の終わりですわ!」

 

ハルナの切羽詰まった表情を見たジュンコは、その直後、最悪の結論に辿り着き、ハッと息を呑む。

 

「──嘘でしょ!?まさか…いるの!?アイツが!?レイヴンが──」

 

その言葉と同時に、美食研究会の乗った車は、人影へと差し掛かる。

 

その人物は、むざむざと轢かれることはなく、空中へと舞い上がり、美食研究会が乗っている給食部の車両の荷台と運転席の間の仕切りの上に着地する。

 

「──トリニティでも問題を起こすとは…相変わらずだな。美食研究会」

 

白の長髪を激しく靡かせ、その人物──レイヴンは、夜空に浮かぶ月を背に、ハルナを見下ろした。

 

*****************************

 

トリニティの街中を駆け巡る美食研究会を見付けるのは、そう難しくはなかった。

 

やはりと言うべきか、トリニティ内でも美食研究会の襲撃と逃走は騒動になっており、正義実現委員会のメンバーが大勢、駆り出されているらしく、それを追い、進行方向を探ることで見付けることができた。

あとは、建物の上という地の利を活かして先回りし、路上に立ちはだかる。

 

向こうも私に気付いたようで、ただでは捕まらないと言うようにアクセル全開で突っ込んできた。

私じゃなかったら危ない。

 

私は逆にそれを利用し、連中が乗っている車の上に乗ってやった。

 

「トリニティでも問題を起こすとは…相変わらずだな、美食研究会」

 

どこかで聞いたようなフレーズだが、それはさておき。

 

「…ごきげんよう、レイヴンさん。まさか、こんなところでお会いすることになるとは思いませんでしたわ」

 

助手席の黒舘ハルナは、緊張した面持ちで私を見上げる。

他の面々も、私を警戒し、動きを止めている。

鰐淵アカリの運転も、スピードは出ているが真っ直ぐに走行している。

 

「それはこっちのセリフだ、黒舘ハルナ。今日は完全にオフだったってのに、お前たちが騒ぎを起こしてくれたお蔭でおじゃんだ」

 

とは言っても、それほど恨んではいない。

確かに珍しい休日ではあるが、やはり私は動いている方が性に合っている。

 

「そういうことであれば、今からでも(わたくし)共を見逃してどうぞお休みくださいな」

 

「そういう訳にもいかない。ヒナ直々に依頼されたものでね」

 

「そうですか…ヒナさんが。仲がよろしいことで…」

 

「…一応、聞いておくが、大人しく投降すれば、手荒な真似はしない。従う気はないか?」

 

「あら…我々も見くびられたものですわね…それは貴女が一番よく知っているのではなくって?」

 

「…そうか…ここがゲヘナならそれでも良かったんだがな…トリニティではあまり暴れたくはなかったが仕方ない。そういうことであれば──乗ってやろう」

 

「それは光栄ですわ──アカリさん!!」

 

私の顔を見据えたまま、黒舘ハルナは鋭く叫んだ。

 

「お任せください!」

 

運転席の鰐淵アカリが急ハンドルを切る。

 

「…チッ!」

 

足場が不安定なこともあり、私はその慣性に揺さぶられる。

このままでは体勢を崩して投げ出される。

その前に──。

 

「愛清!悪い!」

 

一言謝り、私は足元に転がっている愛清の首根っこを掴んで車から飛び降りる。

その直前に、手榴弾のおまけ付きで。

 

愛清を掴んで着地と同時に、美食研究会の乗っていた車が爆発し、炎上する。

あの車はゲヘナ給食部のもの。

つまりは今、首根っこを掴んでいる愛清のものだ。

だからこそ、爆発する前に一言謝っておいた。

 

爆発に飲まれ、制御を失った燃え上がる車が蛇行するように暴れ回り、やがて建物にぶつかって漸く止まる。

 

しかし、連中がこの程度で終わるとは到底、思えない。

 

背後から、追ってきたであろう正義実現委員会のメンバーが現れる。

 

「この子をお願いします。人質だった子です」

 

その内の一人に愛清の身柄を預ける。

 

「えっ?あっはい…え?あなたは…?」

 

その正実メンバーは困惑しながらも受け取ってくれた。

 

「シャーレ直属特務戦闘員レイヴンです。微力ながら、助力に参りました」

 

「シャーレの!?わ、分かりました!よろしくお願いします!」

 

愛清を預け、ひと段落したところで。

 

「──ひどいことをしますわね」

 

立ち込める黒煙の中、無数の人影が浮かび上がる。

 

美食研究会の四人だ。

誰もが煤に薄く汚れているが、どうやら爆発からは免れたらしい。

各々の銃器を手に、私を見ている。

 

ある者は笑顔で、ある者は憎々しげに、ある者は頬を膨らませて。

声の主である黒舘ハルナは、悲しそうな憂いを帯びた表情をしていた。

 

「あの車はフウカさんのでしたのに…あそこまでする必要はありましたかしら?それに折角のゴールドマグロもアレでは丸焼きを越えて丸焦げですわ」

 

愛清の車については本当に申し訳なく思う。

後で謝罪と相応の対価を払うつもりだ。

 

マグロについて語る際にのみ、ハルナは鋭く目を細める。

それはまるで、マグロを食べられなくした私を許さないとでも示すかのように。

 

「そうか。それなら、お前たちの目的は果たせそうにないな。大人しく捕まってくれるか?」

 

端から許してもらう気はない。

寧ろ望むところとばかりに私は煽り返す。

 

「…わたくし、食べ物を粗末にする方は何より許せませんの。一人の美食家として、美食研究会の会長として。レイヴンさん、貴女にはその報いを受けていただきますわ!」

 

黒舘ハルナの口上に合わせて、他の三人が動き出す。

 

「レイヴンさん、今日はいつもの武器が無いようですね★」

 

鰐淵アカリが妖しく眼を光らせ、私を狙って銃撃を放つ。

銃弾の軌道、その予測が無数の線となって私の目に映る。

 

「逃しませんよ★グレネード、大盛りで!」

 

銃撃を避けたところに、更にグレネードが放たれ、広範囲を爆撃する。

事前に危機を察知していた私は大回りの回避でその範囲から逃れる。

 

「つまり、今日は攻め時ってことね!マグロちょっとだけ楽しみだったのに!許さないわよ、レイヴン!!」

 

そこへ赤司ジュンコのAR二丁の掃射が重なる。

地面を穿ちながら、這うように二筋の銃撃が迫り、無数の銃弾が駆け抜ける。

 

──厄介だな。

普段はふざけているが、こいつらは普通に便利屋と同等の実力を秘めている。

てっきり、いつものように逃げるものとばかり踏んでいたが、どうやらやる時にはやる連中だったようだ。

伊達にゲヘナ1のテロリスト集団という訳ではないということか。

 

「うぅー!よくもマグロをー!マグロの仇ー!!」

 

獅子堂イズミのマシンガンが私の逃げ場を狭める。

そこで、咄嗟に首を傾けた私の頬を銃弾が掠める。

黒舘ハルナの狙撃だ。

 

「レイヴンさん、普段はこちらが狩られる側ですが、今日はわたくし達が狩る番ですわ!」

 

黒舘ハルナが狙いを定める。

その間に、鰐淵アカリと赤司ジュンコが私を攻撃し、獅子堂イズミが牽制する。

そうして追い詰めたところへ、狙撃が差し込まれる。

 

以前よりも、連携が良くなっている。

どうやら、ただ私や風紀委員会にやられ続けていた訳ではないらしい。

その攻防の中で、美食研もまた、成長し続けていたということだ。

 

──面白い。

なんだかんだ、こいつらは不利と見ると毎回逃げてばかり。

こうして牙を剥いて歯向かってくることは中々なかった。

 

「…私も、鬼ごっこばかりでつまらないと思っていたんだ。本気は出せないが…楽しませてもらおうか」

 

武装が不足しているが、むしろ好都合。

逆にこんな時でなければ、連中も私とは戦ってくれないだろう。

 

ここ数日、ずっと安静を強要され続けて、身体が動かせず物足りないと思っていたところだ。

病み上がり、ならぬ傷み上がりにはちょうど良い。

 

戦いへの悦びに口元が歪む。

 

──?

違和感を感じる。

戦いの最中、こんなに私は笑いやすかっただろうか?

 

疑問を浮かべていると、“耳”が鰐淵の爆撃を察知する。

 

取り敢えず、今は目の前の美食研に集中することにしよう。

 

鰐淵の爆撃を回避したところへ、獅子堂の銃撃が飛んでくる。

それは思いの外、的確に私の行動範囲を狭め、そこへ赤司の掃射が差し込まれる。

 

赤司の銃撃を飛び越え、地面を蹴り、駆け出す。

目標は、厄介な爆撃をしてくる鰐淵。

 

だが、それを妨害するように、黒舘の狙撃が飛んでくる。

 

銃弾の軌道、その予測が私の眼に一筋の線となって映り、その真下を潜り抜け、速度を維持したまま駆ける。

 

「狙いは私ですねっ!?」

 

自分が狙われていることに気付いた鰐淵は、より警戒を強めて銃口を私へと向ける。

 

「そうはさせないよっ!よーーい、BANG(バン)!!」

 

合間に獅子堂の一撃が飛んでくる。

その軌道を見切り、身を翻して掻い潜る。

鰐淵の目の前まで差し掛かるが、その表情はまるで罠に嵌まった獲物を見下ろすかのような獰猛で、残忍で、妖艶な雰囲気を漂わせていた。

 

「ふふっ、貴女はどんな“味”がするのでしょうね★レイヴンさん♪」

 

鰐淵の銃の狙いは私──ではなく、地面に向いていた。

 

直後、弾き金が引かれ、地面が爆ぜ、爆炎が迸り、鰐淵諸共、私を巻き込んだ。

 

──ように向こうには見えただろう。

だが、私は直前に地面を蹴り、背面跳びの要領で空中へと逃れていた。

 

しかし、空中では回避は不可能。

この状況を見越していたかのように、黒舘は私を見据えていた。

黒舘のSRの銃口が空中の私へと狙いを定める。

 

だが、私はこの時を待っていた。

空中であれば、黒舘への射線が通る。

この状況であれば、黒舘へ攻撃が可能だ。

 

私もまた、左手に握っていたHGを黒舘へと向ける。

 

互いの銃口が火を噴いたのは、ほぼ同時だった。

発射された銃弾は真っ直ぐ相手へと飛び、空中で交差する。

 

黒舘の銃弾が右肩を打つ。

狙撃銃の弾丸というだけあって、かなりの威力だった。

血が滲むのを感じる。

 

だが、同様に私の銃弾も黒舘に届いている。

黒舘は右の脇腹を押さえている。

 

互いに満身創痍。

だが、向こうにはまだ赤司と獅子堂がいる。

鰐淵は…どうだろうか。

黒煙に包まれ、様子が窺えない。

 

受け身を取ってどうにか着地するが、そこへ赤司と獅子堂の銃撃が飛んでくる。

 

「アカリ!ハルナ!あんた達の犠牲は無駄にはしない!行くわよイズミ!二人の敵討ちよ!!」

 

「うん!私たちでレイヴンをやっつければ、きっと二人も浮かばれるよねっ!草葉の陰で見守っててね!二人とも!」

 

畳み掛けられた銃撃を辛くも躱す。

 

「あの〜、私たち生きてますよ〜?ゲホッ、ゴホッ」

 

「勝手に殺さないでくださるかしら?」

 

煤まみれで咳き込みながらも、鰐淵が黒煙の中から姿を現す。

黒舘もまた、ダメージで顔を青ざめさせているが、どうにか意識を保って立っていた。

 

一方で私は負傷した上で単独。

多勢に無勢。

周りには正実のメンバーが集まりつつあるが、周囲を包囲しつつあるが、戦いには入って来れないようだ。

機会を窺っているのだろうが、私としては中途半端に加勢されても足枷になって邪魔になるだけだ。

このまま、連中の逃げ場さえ塞いでくれればそれでいい。

 

とは言え、このまま放っておいてもどの道、美食研は正実メンバーに追い込まれていくだろう。

数とその練度も然ることながら、正実には《戦術兵器》の異名を冠する《剣先ツルギ》なる人物がいると聞いている。

どれほどの人物かは分からないが、下手をすればヒナやホシノに並ぶ力を持っている可能性がある。

その前には美食研であっても厳しいものがあるだろう。

 

そして、それは向こうがよく分かっているはずだ。

 

「皆さん!レイヴンさえ仕留めれば後は烏合の衆ですわ!包囲を突破して今日のところは退却──」

 

だが残念。

どうやら、時間切れのようだ。

 

「──この先です!」

 

背後から、複数の足音と声が届く。

チラリと肩越しに振り返れば、そこには正実ではない複数の人物がこちらへと向かって来ていた。

 

白銀の長髪と腰から羽が生えた少女。

桃色の長髪の少女。

正実の制服を着た大人びた長躯の黒髪の少女と側頭部から黒い羽が生えた小柄な少女。

そして、見覚えのある二人。

阿慈谷ヒフミと先生。

 

[“えっ、イヴ!?”]

 

「あれっ、イヴさん!?」

 

私の姿に気付いた二人が、揃って声を上げる。

 

「来ると思ったよ、先生。それと、久しぶりだな、ヒフミ」

 

他の面々は私とは初対面の為か、困惑している様子だが、今は説明している場合ではない。

 

「ヒフミ、知り合いか?」

 

白銀の長髪の少女がヒフミに訊ねる。

他の桃色の髪の二人も興味深そうにヒフミに目を向けている。

 

「あ、皆さん、こちら先生と同じシャーレ所属の渡鳥イヴさんです。レイヴンという名前、何処かで聞いたことありませんか?それにしても、どうしてイヴさんがここに…?」

 

色々と紆余曲折を経ているのだが、今はそれを説明している暇はない。

こうして先生が合流したからには、どうやら今回の戦いは引き分けのようだ。

いや、大勢を見ればその通りだが、私個人としては敗北だろう。

何せ、私一人の手で連中を仕留め切れなかったのだから。

 

「…まあ、色々あってな…」

 

私は真っ直ぐ美食研の面々を見る。

武器が足りなかった、などという要因は言い訳にもならない。

そういう意味では、連中は運を味方に付けた勝利と言える。

運も実力の内だ。

 

「見事だ、美食研究会。私の手で狩れなかった獲物は、例外を除いて、貴女たちが二組目だ」

 

だからこそ、私は称賛を贈る。

一方的に蹂躙するだけの獲物ではなく、こちらの爪牙を防ぎ、弾き、反撃する好敵手として。

因みに、狩れなかった獲物の例外は便利屋で、一組目は対策委員会だ。

 

「それは…光栄だと思ってよろしいのかしら?」

 

私としては好敵手に贈る中で最高最大の賛辞のつもりだったのだが。

黒舘は表情を引きつらせ、困惑した様子だ。

 

「もちろん。ただし…今回だけだ。次の機会があれば、その時は必ず狩ってやる。覚えておいて、貴女たちは私の獲物だから」

 

「素直に喜べないんだけど!?それって次のタイミングで完膚なきまでに叩きのめされるヤツじゃないの!?」

 

当たらずとも遠からず。

次の機会があれば、私は決して手を抜かない。

確実に狩るために準備を怠らないだろう。

 

「私たちレイヴンに食べられちゃうの!?嫌だよー!?」

 

「ふふっ、でも、あのレイヴンに認められて悪い気はしませんね★」

 

「だから…あとは頑張れ」

 

私のその言葉で美食研究会の面々は現実に引き戻される。

 

目の前には先生と、その生徒たち。

周囲には正義実現委員会の包囲網。

 

現実を目の当たりにし、鰐淵は笑顔だが冷や汗を浮かべ、赤司と獅子堂は涙目になっていた。

そんな中、黒舘だけは穏やかな笑みを浮かべていた。

 

「さぁ、包囲網を破って退却です!レイヴンさんを打ち破った今の私たちであればきっとできます!!」

 

「結局、こういうことですね★」

 

「うわぁん、もう!適当に戦って逃げるよ!」

 

「せっかくレイヴンに勝ったのにー!?」

 

美食研究会は脱兎の如く、蜘蛛の子を散らすように逃走し始める。

その後を先生たちと正義実現委員会が追う。

 

ゲヘナとトリニティの政治的観点から、ゲヘナに雇われている私よりシャーレの顧問である先生が主体となった方が色々と良いだろう。

 

絶対絶命の絶望的状況だが、美食研究会の幸運を私は密かに祈った。

 

しかし数分後、その祈りも空しく、美食研の全員を捕縛した旨の連絡が無慈悲にも届くのだった。




美食研とも戦いを通じて理解を深めたレイヴン

普通に仲良くなるのも良いですが、こういう形での理解の関係性も良いと思います

美食研も地味に活躍が多いですからね!
仲良く(?)なって損はありません
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