ブルーアーカイブ -灰の翼-   作:空素

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あらすじ

マリー(聖女)
ハナコ(スクール水着)

ポストモーテムはプロローグ兼本編って雰囲気です


ポストモーテムⅡ

「は、ハナコさん?どうしてここに…というか、その格好は…?」

 

いつの間にか横から声をかけて来た水着姿のハナコに、マリーは困惑している。

 

「おはようございます、マリーちゃん、イヴさん」

 

「おはようございます、浦和さん。その格好は何ですか?」

 

それなりに暖かい季節ではあるが、朝から着るような格好ではない。

ましてや、今はひと気が無いとは言え、こんな場所で。

 

私は思わず他人行儀に敬語になってしまう。

 

「ふふ、朝の日課です♡」

 

だが、ハナコは意にも介さず、むしろ生き生きとしている。

 

「水着徘徊が?」

 

ここにコハルがいたら顔を真っ赤にして喚き散らしそうだ。

そして、それによってハナコは更に活力を得る。

 

「水着徘徊だなんてそんな…水着散歩と言ってくださいな♡」

 

ハナコはわざとらしく恥じらうような動きをする。

今更過ぎるものだ。

 

「どっちも同じじゃありません?」

 

徘徊と散歩では確かに意味が異なるが、その前に水着が付くことで意味が同じになるように思える。

 

「違いますよ。徘徊って言ったら、何だか不審者みたいじゃないですか♡」

 

早朝に水着で街中をうろつく人間が不審者じゃないとでも?

 

「水着の時点で不審者ですよ?」

 

だが、何を言ったところで掻い潜られる。

コハルのように攻め立てても、じっくりと問い正しても無意味…。

無敵か?

 

「お二人も如何ですか?気持ちいいですよ?」

 

挙げ句の果てには巻き込んで仲間を増やそうとしてくる。

始末に負えない…。

 

「わ、私はちょっと…遠慮させていただこうかと…」

 

マリーも苦笑いでやんわりと断る。

 

今はこんな感じだが、これでもハナコは思いやりのある人だ。

それは、これまでの短い期間に何度か出会い、言葉を交わし、他者とのやり取りを眺めていく中で知ることができた一面だ。

 

事がひと段落して、今ははっちゃけているのだろう。

・・・それもほどほどにして欲しいが…。

 

「私も結構です。どうぞお一人でお楽しみください。ところで、先程のちょうど良い、とは?」

 

『あら〜、良い雰囲気ですね〜♪ちょうど良い感じです♡』

 

先程、ハナコはこんな言葉と共に声をかけてきた。

前半はどうでもいいとして、後半が引っかかっていた。

 

「そうですか…残念です…。あ、そのことでしたら、イヴさんもなってみてはどうかと」

 

露出徘徊仲間が出来ずに、残念がったハナコは、私の質問に笑顔で答える。

 

「なる、とは何に?」

 

「シスターに、です♡」

 

その提案は、私の意図していた斜め上を行き、思考を一時的に停止させるには十分だった。

 

「──え…?」

 

今までにないくらい、気の抜けた声が口から漏れる。

 

「安心してください!サクラコさんには、私から話をつけておきますから!」

 

ナギサ暗殺阻止の時くらいにやる気を見せるハナコ。

 

「いや、それはそれで不安なんだけど…!何で私がシスターになる必要があるの!?」

 

困惑のあまり、私にしては語気が強めになる。

別に嫌という訳ではないが、あまりにも脈絡がなさ過ぎる。

 

「ところでお二人とも、この後は時間ありますか?」

 

しかし、ハナコは華麗に私の質問をスルー。

 

「聞け!!」

 

自分の要求だけを一方的に押し付け、相手の言葉に聞く耳を貸さない。

口論が強い人間の常套手段だ。

 

「…あはは、えっと…私は大丈夫ですが…」

 

私とハナコのやり取りを前に、マリーはずっと困惑状態だ。

 

「一緒に先生のところに行きませんか?サクラコさんと話をされているそうなので」

 

この分だと、今、問い正したところでのらりくらりと躱され続けることが目に見える。

今はハナコに乗ってやるしかない、と私は一旦、シスターの件を保留にする。

 

「それって私たちが加わっても大丈夫なの?」

 

シャーレの顧問である先生と、シスターフッドのリーダーの対談となれば、それなりに重要そうな案件に思える。

マリーは兎も角、戦うしか能のない私が行っても意味があるのかどうか。

 

「ええ、お二人にも一応、関係している内容なので」

 

ハナコの意味深な発言に、私とマリーは揃って首を傾げる。

 

「それは一体…?」

 

「ふふっ、ポストモーテム、です♡」

 

****************************

 

ハナコに連れられ、私とマリーは大聖堂の一角にある一室に向かう。

 

目的地の部屋に辿り着くと、ハナコは何の遠慮もなく、扉を開く。

 

因みにハナコは道中で制服に着替え済みだ。

 

[“ハナコ!…と、イヴにマリー?”]

 

図書館のような一室の中で、先生はシスターフッドのリーダーである歌住サクラコと向かい合っていた。

 

「あまり面白くないサクラコさんに捕まって苦しんでいるのではないかと思い、みんなで先生を助けに来ちゃいました、ふふっ♡」

 

相変わらずのハナコに対し、歌住サクラコは落ち着いた様子で口を開く。

 

「…冗談を言うタイミングではありませんよ、ハナコさん。レイヴンさん、お久しぶりです。あの時以来ですね」

 

流石はティーパーティーとも並ぶ組織の長というだけあって、ハナコの雰囲気にもそう簡単には流されない。

 

「…はい、お久しぶりです。お邪魔します」

 

声をかけられた為、私はハナコの横に並ぶように一歩前に出て、挨拶する。

 

「サクラコさんは相変わらずですねぇ…今度一緒に、ちょっと過激な本でも読みませんか♡」

 

冷静に対応されても、ハナコは尚もブレずに自らの態度を貫き通す。

・・・今更だが、シスターフッドの長に対してもこの態度を取れるハナコは何なのか…。

 

「何となくですが、サクラコさんはそういった方面に免疫が無さそうですし…うふふ♡」

 

態度を改めないハナコを前に、歌住サクラコは無表情で暫しの沈黙を挟む。

 

「…ハナコさん。あの時の約束、忘れていませんよね?」

 

歌住サクラコの言葉に、ハナコはここに来て態度が落ち着いたものとなる。

 

「…もちろんですよ」

 

私は何のことかさっぱりだが、二人の間ではとても重要な内容なのだろう。

 

「──『登校時の服装には裸のみを認める』…そんな校則を作り、トリニティを『裸の楽園』へと変える計画に手を貸して欲しい…そういうことでしたよね?」

 

態度を改めたのかと思ったが、そうではなかったらしい。

 

「ええ、そうで──」

 

「…はい?」

 

歌住サクラコは首肯しかけ、寸前で違和感に気付き、立ち止まる。

違和感というか、もはや異変だが。

 

ハナコの暴走は続く。

 

「まさかシスターフッドがこんな陰謀を企んでいたなんて…さすがサクラコさん、謎に包まれた秘密主義集団の長ですね。それにあの例外に関する条項、『原則は全裸、ただし、シスターフッドのみ、登校時にヴェール着用を認める』…さすがの私も慄きましたよ。裸にヴェールだなんて、何という新しい世界…」

 

「はい…っ!?」

 

おそらく、ハナコは何の脈絡もないことを話しているのだろう。

 

歌住サクラコは顔を赤くして戸惑っている。

先生もマリーも置いてけぼりだ。

 

しかし、ハナコの暴走は止まらない。

いや、むしろ加速する。

 

「ですが、今の立場では協力せざるを得ません…そしてやるからには、必ずや成功させてみせます!」

 

“協力せざるを得ない”、じゃないだろ。

むしろ乗り気でやる気に満ちてるじゃないか。

 

「しかし、ヴェールの件はズルすぎます。ですので、私からの提案ですが、『原則は全裸。ただし全生徒、靴下だけは着用可能とする』というのは如何でしょうか!」

 

「これを飲んでくださるなら、その計画に協力しましょう!」

 

ハナコはいつにも増して真剣な表情を歌住サクラコへと注ぐ。

 

「さ、さささサクラコ様!?そ、そんな計画を…!?」

 

マリーの動揺する姿を見て、私は万が一の可能性を思い浮かべ、チラリと歌住サクラコへと視線を向ける。

 

「違いますよ!?レイヴンさんも!」

 

どうやら私の考えすぎだったらしい。

 

「ごめんなさい」

 

私は一応、一言謝っておいた。

 

「そんな…」

 

まるでハナコは話が違うとでも言うようなリアクションだ。

 

「『そんな…』ではありません!いきなり何を言っているのですかあなたは!──『私たちがハナコさんの頼みを聞く代わりに、ハナコさんも私たちからの頼みを一つ聞く』、そういう約束だったでしょう!?」

 

歌住サクラコの鬼気迫る迫力に押されてか、ハナコは焦った表情を浮かべる。

 

「…ああ、そんなお話もありましたねぇ」

 

「はあ…」

 

歌住サクラコは疲れたかのように深く溜め息を吐く。

 

「本当なら、あなたがシスターフッドに入ってくれればそれが一番良いのですが…それはあなたをただ虐めて、追い詰めるようなものでしょうから」

 

なるほど。

おおよその流れは読めた。

聖園ミカとの戦いの最中、シスターフッドが介入して来たことがあったが、あれはハナコが歌住サクラコと約束を交わしたことによるものだったのだろう。

ハナコの頼みは聞いた、だから次はこちらの番、という至極シンプルな話だった訳だ。

 

・・・途中でハナコがふざけ倒してしっちゃかめっちゃかになったが。

 

「…今回の事件を契機として、私たちのこれまでの“無干渉主義”も変わっていきます。政治的なことにも徐々に、足を踏み入れることになるでしょう」

 

「その過程できっと、色々とあるはずです。その時、ハナコさんのような方から助けてもらえるというのは大きなキーになります。あくまでそういうお話ですよ」

 

「まあ、その程度なら構わないのですが…はぁ…」

 

言葉と態度から嫌々、渋々の了承であることが窺える。

ふざけ倒していたのも、話題を逸らす為のものだったのだろう。

 

「どうしてそう残念そうな表情をするのですか……いえ、もう話をそちらに戻さないで欲しいのですが…」

 

・・・いや、あれは単に裸登校の下りが無かったことにされて残念がっているだけなのか…。

 

[“…ハナコは、本当に嫌じゃない?”]

 

「先生…はい、私は大丈夫です。だって──イヴちゃんも一緒に手伝ってくれますから♡」

 

「おい待てハナコその話はまだ私は了承していないだろう…!」

 

驚いた。

心の底からびっくりした。

何を言ってくれているんだこの女は。

 

[“え?そうなの?”]

 

「違う!この話はまだ途中で…ちょっとハナコ!どう言う事!?」

 

「ですがイヴちゃん、これはチャンスですよ?イヴちゃんはレイヴン名義でゲヘナで風紀委員会のお手伝いをしていますよね?ですが、今のところトリニティの中で深い関わりがあるのは私たち補習授業部くらいです。何かしら、大きな組織と関係を持っていた方がいいのではありませんか?」

 

この女…中々、痛いところを突いてくる。

 

「トリニティの中で、有力な組織と言えば、現在は生徒会であるティーパーティーに、治安維持組織の正義実現委員会、そして、シスターフッドです。ティーパーティーはかなり内部がドロドロしていて厳しいですし、正義実現委員会は“ツルギ委員長”をはじめとして戦力が大きいですから、そこに暴りょ…武力のイヴが加わっては均衡が崩れてしまいます」

 

私のこと暴力って言いかけたなこいつ…。

・・・正直、否定できないが…。

 

「なるほど。確かに、レイヴンさんの戦力が有事の時だけとは言え、加わって下さるのは非常にありがたいですね」

 

そこに便乗して来たのは歌住サクラコ。

 

「そうですよね?シスターフッドであれば、三つの組織の均衡は、保たれたままです。まあ、これに関しては、こちらの事情なので置いておくとして…どうですか、イヴちゃん?そちらにとっても、悪い話ではないと思いますが♡」

 

・・・確かに、言い方が腹立つということを除けば、仕事が増えるというのは悪い話ではない。

ゲヘナの方では、エデン条約締結後は風紀委員会の仕事も少なくなり、私への依頼も少なくなるだろうことが予想される。

他の学校からの依頼を加味しても、安定して依頼が届くというのはとても助かる。

 

「…ご安心ください。ハナコさんにしろ、レイヴンさんにしろ、無理矢理に、という手段は取りません。形式的には、『手伝っていただく』というものですし、無茶なことを要求するつもりもありませんから」

 

「…そういうことなら、まあ…」

 

ハナコのとばっちりを受けて、巻き込まれる形ではあるが、結果的にお得意様が出来たと考えれば悪くはないか。

 

「…ありがとうございます、サクラコ様。イヴさんも、どうかよろしくお願いします」

 

・・・それに、マリーともせっかく縁を結んだのだから、シスターフッドと関係を持つのも悪くはない、か。

 

「話が逸れましたね…本題に戻りましょうか、えっと…」

 

「“全裸登校”についてのお話ですね♡」

 

まだ諦めていなかったのか…。

 

「はい、その話──ではありません!話を戻さないでと言ったでしょう…!」

 

ハナコに弄ばれるサクラコに親近感を覚える。

 

ハナコは不承不承といった様子で溜め息を吐く。

 

「ふう、仕方ありませんねぇ…セイアちゃんの襲撃事件、その話に戻りましょうか。実行犯はご存じの通り、アズサちゃんだったようです」

 

セイア襲撃の実行犯はアズサ…。

それは、私は状況が落ち着いてからの先生との情報共有の際に知った。

先生も補習授業部も、アリウス襲撃時の聖園ミカとの対峙の最中に知ったのだそうだ。

 

「…セイアちゃんの部屋が爆破されたのは深夜の3時です。しかし、その部屋に侵入したのは夜中の2時。ここには、約1時間の空白があります。侵入者…つまりはアズサちゃんはセイアちゃんと一緒に1時間、そのお部屋にいたんです」

 

「その60分の間、お二人の間にはいったいどんなお話があったのか…」

 

「アズサちゃんは、あまり詳しくお話ししてくれませんでしたが…」

 

そこからハナコが語ったのは、尋問の場でのアズサの証言。

 

セイアの部屋に襲撃しに来たアズサはセイアに以下のことを言われたという。

『エデン条約が実現すれば、アリウスの問題も解決できる。だが、一方でアリウスが企んでいるティーパーティーのヘイロー破壊が現実になれば、キヴォトスは戦場になる』、それを止めたいか、と。

 

だが、それと同時にセイアは5番目の古則、『楽園の証明』が不可能であることと絡め、その提案を肯定はしなかった。

それでも尚、足掻くというアズサの選択に、セイアは知恵を貸した結果、セイアの部屋は爆破された。

その時に、セイアも負傷したのだろう。

 

続けてアズサは、『アリウス・スクワッドを欺く為には、そうする他なかったと言い、事件の真相を隠蔽する助っ人として《救護騎士団》の団長をセイアは指名し、それに従ってアズサは団長にセイアを託した』のだという。

 

その後の結果から言えば、アズサの足掻きは成功した。

スクワッドはトリニティでの騒動や情報を統合し、任務が成功したのだと思い込んだ、というのが事の顛末だと。

 

その後のセイアについては、アズサ本人も知らなかったそうだ。

ハナコが言うには、外傷は完治しているが、別の要因で意識が戻らないのだという。

 

そして、アズサにセイア襲撃の命令を下したのは、アリウス・スクワッドのリーダーであり、スクワッドの指揮を執っているサオリという生徒だという。

 

以上が、アズサの尋問で判明した内容だ。

 

「…そうですね」

 

それを踏まえて、サクラコは考え込んでいる。

 

「とにかく、白洲アズサさん…彼女がトリニティに転向してきて、そして実際にナギサさんを守り抜いた、そのことは明白です。その過程で様々なことがあったとは言え、特別学力試験にも合格。補習授業部は彼女を含めて全員、明確な結果を残しています」

 

そう前置きして、サクラコは柔らかい微笑みと共に頷いた。

 

「文句も付けようなど無いでしょう…彼女の書類は、私が正式なものにしておきます」

 

アズサの転校手続きに関係する書類は、聖園ミカが偽装したものだった。

だが、シスターフッドのリーダーであるサクラコがお墨付きとしたことで、それは正式なものに変わった。

 

アズサは晴れて、正式なトリニティの生徒となった。

 

「シスターフッドが保証しましょう。誰にも、異議申し立てなどさせません」

 

[“本当にありがとう”]

 

「ありがとうございます」

 

私も、シャーレに関わる者として、何より補習授業部とアズサの友人として、サクラコにお礼を告げる。

 

「…これで、白洲アズサさんは、正式にトリニティの生徒となりました。まだ問題は山積みですし、特にアリウス分校のことは何も解決できていませんが…」

 

「取り急ぎ、目の前の問題だけは落ち着いたと言えるかもしれませんね。お疲れ様でした、ハナコさん。そして先生、イヴさん」

 

サクラコは私たち三人の顔を順に見ながら、労いの言葉をかける。

 

「ふふっ♡」

 

ハナコは安堵と喜びからか、笑い声を溢す。

 

「では、私は他に用事があるのでお先に失礼します。イヴさん、詳しい内容は後日、こちらからお知らせいたします。それまではお待ちください。マリー、行きましょう」

 

サクラコが立ち上がり、一礼して出口へと向かう。

マリーもその後に続いて立ち上がり、ハナコや先生へと向き直った。

 

「は、はい。あの、ハナコさん。先生も…状況が落ち着きましたら、後でぜひゆっくりお話を…」

 

「ふふっ、そうですね。楽しみにしていますよ、マリーちゃん」

 

「イヴさんも、次お会いする時は、どうかよろしくお願いします」

 

「うん、こちらこそ」

 

私たちへの挨拶を済ませたマリーは、一礼するとサクラコの後を追いかけて出口へと向かった。

 

部屋の中には、私たち三人だけが残った。

 

「ふぅ…アズサちゃんの書類も、これで何とかなりましたね」

 

[“お疲れ様、ハナコ。イヴも最後までお疲れ様”]

 

「私は話を聞くだけだから気楽なもんだったよ」

 

実際は色々と取り乱した瞬間もあったりしたが…言葉の綾というものだ。

 

「ふふっ、お二人ともお疲れ様でした。イヴちゃんにも、どうか立ち会って欲しかったんです。見かけたのは偶然でしたけど」

 

本来は、聖堂にいたマリーに用があったのだろう。

偶然、そこに私が居合わせたことで、巻き込まれる形にはなったが…悪くない話だった。

 

「そっか。それならまぁ、感謝しておこう。私もアズサのことは気になっていたし、それに知らない情報も色々と聞けたしね」

 

「あ、イヴちゃん、お時間は大丈夫ですか?もう少しお話が続くんですが…」

 

「まだ問題ないよ」

 

今日の依頼は相変わらずゲヘナの風紀委員会からのものだが、午後からの交代制だ。

早く出て来たのもあって、時間はあり余っている。

 

「そうですか、それなら良かったです…ですが、まだ色々と残っていますね……ナギサさんのことも、ミカさんのことも…」

 

ハナコは不安げに俯く。

事件の騒ぎそのものは終息して来ている。

だが、人々の心に刻まれた爪痕は、そう容易く消えるものではない。

それが当事者であれば尚更だ。

ハナコは、それを憂いているのだろう。

 

「あ、そういえばこの前、ナギサさんがヒフミちゃんと会ったそうです」

 

[“ナギサ…!”]

 

ナギサと言えば、以前に会った時は何やら様子がおかしかった。

いや、正確には話の途中でおかしくなった、と言うべきか。

具合も悪そうだったし、改善していれば良いのだが…。

 

「私もヒフミちゃんから聞いただけですが…」

 

ハナコが語るヒフミの話によれば、出会った時、ヒフミは痩せた印象をナギサに抱いたという。

ヒフミはそんなナギサを目にして不安になったようだが、それを押し切ってナギサはヒフミに謝罪した。

 

ヒフミには、ナギサが罪悪感に囚われたからか、とても自罰的になっていたように見えたらしい。

 

だが、ヒフミは大変な目に遭わされながらも、ナギサを憎んだりはしていなかった。

必要以上に謝る必要はない。

ヒフミはナギサにそう告げた。

 

その後、ナギサは唐突に紅茶を吹き出し、取り乱し始めた。

 

ヒフミが声をかけるが、ナギサは気にしなくていいとの一点張りだったらしい。

 

[“……”]

 

「うーん、誤解はもう解いたのですが…少しやり過ぎてしまったみたいですね…」

 

聞いたところ、ハナコはナギサを保護する直前に、ちょっとした()()()()をしたらしい。

その効力が思いの外、尾を引いているらしかった。

 

「それにナギサさんは、どうやら他の方にも──」

 

ナギサは今回の補習授業部にまつわる件の中で、疑っていた者たちの元に自ら赴き、謝罪して回ったようだ。

 

「私も謝られました。酷いことをしてしまったと…」

 

「…私も謝罪されたよ。巻き込んでしまって申し訳なかった、って」

 

「イヴちゃんにも…」

 

そう呟くハナコは、どこか不安げな表情を浮かべている。

私は、その気持ちが分かるような気がした。

 

「疑心暗鬼の闇からは、抜け出せつつあると思います。しかしその代わりではありませんが、ナギサさんは…」

 

今度は罪悪感に囚われ、押し潰されそうになっている。

それは、ハナコが語ったヒフミへのナギサの対応からも窺える。

 

[“…何か、私に出来ることをしないと”]

 

そんなナギサを先生は、特に放っておけないだろう。

ナギサはただ、間違ってしまっただけだ。

そして、間違いを認めて、受け入れ、謝罪した。

ならば彼女もまた、救われるべきだ。

先生はきっと、こんなことを考えていることだろう。

 

「……」

 

そんな先生をハナコが見つめる。

 

[“それに、もちろんミカも…”]

 

聖園ミカ。

彼女が起こした事件は、ナギサよりも重大であり、深刻だ。

未遂に終わったとは言え、二人の生徒の生命を脅かした。

そんな聖園ミカを先生は果たして、どう思っているのか…。

 

まあ、考えるまでもない。

先生にとって、彼女もまた、間違ってしまった、救うべき生徒の一人なのだろう。

 

目を見れば一目瞭然だ。

 

「ミカさん……先生は、ミカさんの動機について、どう思いますか?イヴちゃんも良かったら一緒に考えていただければ…」

 

「うん、わかった」

 

『…うん、そうだよ。私は、ティーパーティーのホストになって、そして、大嫌いなゲヘナをキヴォトスから消し去りたい。ただ、それだけ…理解してくれる必要なんてないし、理解して欲しいとも思わない』

 

聖園ミカと補習授業部が戦闘に入る直前、彼女はこのように言い放ったという。

 

「ナギサさんとミカさん。親しさというのは、外から判断できるものではありませんが…お二人は長い時間を過ごした幼馴染です」

 

「真面目過ぎるほど真面目で、慎重に慎重を重ねるタイプのナギサさんと、活動的でアクティブなミカさん…性格もほとんど真逆で、傍から見ても“仲良し”とは安易に断定できないお二人でしたが…」

 

「ですがそれでも、私にはまだ『ゲヘナが嫌いだ』という理由だけで、あの事件を起こしたとは到底…」

 

「…この前、シスターフッドの手を借りて、ミカさんに会いに行ったんです。そこには先客の方もいて──」

 

そうしてハナコが語ったのは、聖園ミカに会いに行き、彼女が監禁されている部屋に訪れた先客と本人の会話の内容だった。

 




ゲヘナでは風紀委員会に、トリニティではシスターフッドに協力することになったレイヴン

イメージはダクソ3の誓約的なものですかね

アビドスは対策委員会そのもの、あとちょっと異例ですが便利屋もその枠に一応、入りますかね?

ミレニアムは今のところ戦闘関連の協力関係はありませんね
C&Cはちょっとレイヴンには合いそうにはないですから残念ながら除外となります
メイド姿のイヴちゃん、イヴ(メイド)は見たいですけど!とっても見たいですけど!!
そうなった場合、スカートはどうするべきか、非常に迷いますね
個人的に最初に思い浮かんだのはロングでした
でも、動きにくそうなので戦闘となればミニスカの方が良さそう…
その場合、素足か、それともソックスを履くか!
ソックスを履く場合の長さは?色は?
非常に悩ましいです…
更に言えば、普段はポニーテールにしてる髪型を変えるべきか否か!
可能性は無限大です!!
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