ブルーアーカイブ -灰の翼-   作:空素

134 / 165
あらすじ

聖徒会のミメシス現る
なおイヴには無関係な模様


EP-25 燃える街

爆撃された調印式会場。

 

そこは、青白い光を纏う黒衣の集団に埋め尽くされていた。

 

正義実現委員会のハスミとツルギに協力して貰いながら、ヒナタと共にアリウスを退ける一歩手前まで追い込んだのも束の間、唐突に顕現した複製(ミメシス)の集団によって、一転して形勢は不利な状況へと追い込まれた。

 

「…尋常ではない数です。周りに数十…いえ、数百人規模の…!」

 

いにしえのトリニティに存在していたという聖徒会の姿を取るミメシスを前に、ヒナタは気圧されている。

 

「っ!」

 

ハスミもまた、周辺一帯を埋め尽くすミメシスを前に、焦燥を滲ませる。

 

「…間に合った。聖徒会の複製(ミメシス)を確認」

 

ミメシスの軍勢の中から、アリウス部隊の指揮者──ミサキが姿を現す。

 

()()()調()()()()()()()……それに、人形との取引も上手くいったみたいだね、アツコ」

 

****************************

 

そこは、古聖堂の地下。

 

人工か天然か、広大な洞窟を利用して築かれた地下墓──その遺跡。

共同墓地(カタコンベ)の内部で、複製の影が向かい合っていた。

 

その内の一つ──頭一つ抜けて背の高い影が、木が擦れるような軋む音を立てる。

 

「ひぃっ…!?」

 

「き、木の人形…!?」

 

それに対し、二人の少女──アリウス生徒が悲鳴を上げる。

そんなアリウスの生徒に、木の人形──マエストロは嘆息する。

 

「…無作法だな。私を呼ぶのであれば、芸術への敬意も込めて“マエストロ”と呼んで欲しいものだ」

 

不愉快そうに機嫌を悪くするマエストロを一人の生徒──アツコは相変わらずマスクを付けたまま見つめている。

 

「……」

 

その様子からは、他の生徒のようにマエストロに恐怖を抱く素振りは見受けられない。

 

「そなたらにはまだ、芸術の何たるかは尚早だろうか…同じ生徒でも、“彼女”とは違うか…ならば済まないが、そなたらとは愉しい対話は成り立ちそうにない」

 

マエストロの脳裏には、黒衣を纏う白髪の生徒の姿が浮かんでいた。

 

「知性、品格、経験…それらを携えて来るが良い。キヴォトスの生徒たちよ、どうか私を落胆させてくれるな」

 

“彼女”が何処から現れたのかは、依然として不明なままだ。

だが、“彼女”には他の生徒とは違う、“経験”と、それに裏打ちされた“知性”と“品格”を感じられた。

それは彼──先生にも比肩するほどのものだ。

どれだけの濃密な経験を積めば、あのような境地に至れるのか…。

マエストロを含め、ゲマトリアの興味は尽きない。

“彼女”は、生徒でありながら生徒ではない、正しく例外(イレギュラー)と呼べる存在と言えるだろう。

 

「…されど、あの守護者たちの“威厳”を複製(ミメシス)できるというその一点には興味を惹かれた。それに免じて、今回はそなたらを助けよう」

 

そういう意味では目の前の生徒──アツコもまた、“彼女”程ではないにせよ、特殊にして特別…唯一無二な存在と言える。

 

「戒律を守護せし者の血統…その“ロイヤルブラッド”の《戒命》が動作する様を見届けられたのは、幸甚(こうじん)であった」

 

マエストロなりに、それはアツコを褒めていたのかもしれない。

 

「……」

 

だが、アツコは反応を示さず、ただマエストロの顔を見上げるだけ。

それでもマエストロは不快を示さない。

マエストロは彼女が話すことができないことを知っている。

その理由も含めて。

 

「おかげで私の実験は、更に《崇高》に近付くことができるだろう」

 

マエストロは、ルナシーとのミメシスへの変異コーラルの適用に立ち会っていた。

それは非常に興味深い実験ではあったが、その成果はルナシーにとってもマエストロにとっても目的の達成には程遠いものだった。

 

その際にできた成果──コーラルミメシスは、エアが在庫処分としてレイヴンに当てがっている。

 

「…ふむ、説明は退屈にして由無し事だろうか。では約束通り、この地下にある教義の下まで案内してもらうとしよう」

 

マエストロがそう言うと、アツコは背を向けて歩き出す。

 

「……」

 

無言のまま、案内するアツコを守るように、他のアリウス生徒がおっかなびっくり後を追う。

 

「さあ、往かん…」

 

マエストロは木が軋む音を鳴らしながら、その後に着いて行った。

 

****************************

 

次々と出現するコーラルミメシスの軍勢を真紅の火によって焼いていく。

 

オートマタ型のミメシスは最早雑兵であり、シールド持ちであっても、容易く蹴散らすことが可能だ。

それでも、コーラルミメシスの補充は止まらない。

戦車部隊や武装ヘリのコーラルミメシスが主体となって投入されていく。

 

戦車部隊や武装ヘリは、オートマタと違い、中々怯まない為、少々厄介だ。

 

戦車部隊が次々と砲撃を放ち、武装ヘリが機銃やミサイルを斉射する。

 

“歯車”を回したことによって高められた感覚でそれらの軌道を爆発範囲を含めて捉え、視界に可視化された危険地帯を縫うように駆け抜ける。

爆煙の中を突き抜け、背後で爆炎が上がるのを感じながら、私は足下で火を爆ぜさせ、空中に飛ぶ。

 

正面に武装ヘリを捉え、空中で再び(くう)を蹴るように突進する。

正面の武装ヘリが機銃による狙いを定めようとするが、それより早く、“歯車”の回転率を引き上げて、蹴り飛ばす。

爆発が付随した蹴りによって、武装ヘリは制御もままならず吹き飛び、二機程度の他のヘリを巻き込んで撃墜する。

 

万全な二機の武装ヘリが、吹っ飛ぶヘリの左右から私を狙って突っ込んでくる。

機銃やミサイルは躱されるからこその質量に任せた突進だ。

 

それに対して、私は足下で火を爆発させて後方に大きく宙返りをし、その最中に、頭が真下、足裏が上を向いたタイミングで再び足裏で爆発を起こし、地上へと急降下する。

地面に激突する前に余裕をもって体勢を戻し、足から着地する。

 

だが、そこへ地上の戦車部隊の砲撃が放たれる。

 

クイックステップでそれらを掻い潜り、地面を蹴って一気に距離を詰める。

右手のAR──STEEL FANG 621を薙ぎ払うように速射しながら掃射し、二、三台の戦車を真紅の火柱で吹き飛ばす。

 

しかし、今度は上空から武装ヘリがミサイルを連発する。

 

「ッ!…そんな急かさなくても、すぐに撃墜してやるよ!」

 

周囲で立ち昇る火柱の中を潜り抜け、地面を力強く蹴る。

背面跳びの要領で空中へと舞い上がった私の目の前には、武装ヘリの裏側が無防備に晒されている。

 

そこへ、左手のEyes of RavenをSG形態で撃ち込む。

真紅の火を帯びた散弾は渦巻く火炎の奔流となって武装ヘリを吹き飛ばす。

 

立て続けに残る武装ヘリが私へと機銃を掃射して来るが、私は足下で小刻みに火を爆ぜさせてステップを刻み、回避する。

とは言え、クイックステップ程の精度は出せず、躱し切れない銃弾が頬や手脚を掠める。

 

武装ヘリの攻撃が終わると、クイックチェンジで右手のARをSR──サイレント・エコーに切り替え、僅かなチャージの後に単発レーザーを放つ。

真紅の光線は武装ヘリを貫くが、完全には倒し切れておらず、自爆覚悟で突っ込んでくる。

私はクイックリロードで装填すると、迫り来る武装ヘリへとトドメの一撃を放つ。

次のレーザーはプロペラの基幹部を穿ち、制御を失った武装ヘリは私の足下を通過し、戦車部隊へと墜落し、爆発する。

 

それでもまだ残っている戦車を確認すると、私はその頭上へと飛び、その上でアサルトアーマーを発動した。

私のヘイローが激しく脈打ち、直後、ヘイローを中心に球状の真紅の爆炎と稲妻が炸裂する。

 

後には、コーラルは微塵も残されていなかった。

 

──エアのホログラムを除いて。

 

『さすがです、レイヴン。あれだけの軍隊を退けるとは。ベイラムのミシガン撃破依頼をやってのけただけはあります。あなたなら、()()も容易く乗り越えてしまうのでしょうね』

 

そんなエアの言葉と共に現れたのは──巡航戦車クルセイダーと人型重機パワーローダー。

どちらも赤黒く染まっており、ミメシスと変異コーラルの影響が窺える。

 

それが、()()()()()()()()

 

私を挟むように、交差点の前後から出現した。

 

「…当たり前だろ」

 

私は短く呟き、地面を蹴った。

 

内なる焦りを振り払うように。

 

****************************

 

「きええぇぇぇぇぇっ!」

 

奇声を発しながら、ツルギは両手の銃──SGを交互に発砲する。

 

その先にいた聖徒会のミメシスを3、4体ほど倒すが、その隙間を埋めるようにミメシスが押し寄せる。

 

「…キリがありませんね。この者たちは、一体…?」

 

ハスミもツルギを援護するが、焼け石に水のように効果がない。

 

元々、負傷していることもあって、このままではジリ貧でこちらが不利だ。

 

「ま、マズいですね…せめて、先生だけでも脱出を──」

 

その直後、先生とヒナタの行く手を阻んでいたミメシスの軍勢が、黒紫の奔流に消し飛ばされた。

 

「…っ!!」

 

その特徴的な破壊の光を目にして、追撃するミサキが警戒して立ち止まる。

 

「こっち!」

 

ミメシスを消し飛ばし、道を切り開いたのは、ヒナだった。

 

[“ヒナ…!”]

 

無事だった、という安堵感と同時に、その満身創痍の姿を見て、心苦しさを先生は覚えた。

 

「ゲヘナの風紀委員長…!?」

 

突然現れたヒナに驚くハスミ。

その一方で、アリウスの指揮官であるミサキもまた、動揺した様子だった。

 

「ヒヨリ、もしかしてヒナを止められなかった?」

 

ミサキはヒナを足止めする予定だったヒヨリへと通信を入れる。

 

『げほっ、けほっ…す、すみません、ダメでした…聖徒会が顕現するよりも前に、全員薙ぎ倒されて…』

 

通信の向こうからは、かなりの被害を被ったと思われるヒヨリの悲痛な声が届く。

 

「正義実現委員会、先生をこっちに!今は時間がない!」

 

先生を引き渡せ、ということなのだろう。

確かに、彼女が協力者であれば、この不利な状況においては渡りに船と言える。

 

「……」

 

「……」

 

ヒナとハスミの視線が交錯する。

 

「…分かりました」

 

ハスミは、ヒナを信用に値すると判断した。

それと同時に、彼女であれば任せられると。

 

「先生、私たちがここで敵を止めます。後はあの風紀委員長が何とかしますから、急いでください!」

 

それが、この場に於いて最良との判断をしたのだろう。

ヒナタやツルギからも反論や異論は上がらない。

 

[“ハスミたちは!?”]

 

「…私たちは、先生の退路を守ります」

 

アリウスとミメシスを見据えたまま、ツルギは淡々と告げる。

 

「はい、不快ではありますが…あの風紀委員長は、私たちがそうすると信じているのでしょう。確かに今は、それ以外に方法がありません」

 

[“でも…!”]

 

「先生、今トリニティの首脳陣はほぼ壊滅状態です。シスターフッドのティーパーティーもいない今、先生にまで何かあっては、本当に収拾がつかなくなってしまいます!」

 

[“……”]

 

先生は心底から苦しそうな、辛そうな表情を浮かべる。

生徒の為の先生として、自分が助かる為に生徒を置いていくようなことをしたくない、という思いの表れだ。

だが、それと同時に、ハスミの言っていることも理解できる。

先生は今、理想と現実の狭間で板挟みになっていた。

 

「…先生の無事を祈ります。その道は、私たちが守ってみせますから!」

 

「先生、急いで!」

 

「…先生!」

 

「お、お願いします!今は行ってください、先生…!イヴさんも、きっとどこかで…!ですから…!」

 

ハスミに諭され、ヒナとツルギに急かされ、ヒナタに懇願されたことで、先生は苦渋ながらも、ヒナの元へと向かう。

 

[“……”]

 

奥歯を噛み締め、拳を握りながら、走り出す。

 

「風紀委員長…!先生をよろしくお願いします!」

 

「…任せて」

 

先生と合流したヒナは、その場から離れていく。

 

その様子を見送り、ハスミはひと息吐く。

 

「…これで、ひとまずは大丈夫ですかね。それはそうと、ヒナタさん、レイヴンさんは行方不明なのですか?」

 

銃を構え、相手を見据えたまま、ハスミはヒナタに訊ねる。

 

「はい…爆発前は近くに居たんですが、その後は…」

 

ケースの中からグレネードランチャーを取り出しながら、ヒナタは不安げに溢す。

 

「…アイツなら大丈夫だ」

 

その言葉を発したのは、意外にもツルギだった。

 

「何か知ってるんですか、ツルギさん!?」

 

「…いや、悪いが何処にいる、とか具体的なことは知らない。だが、アイツを一目見て分かった。アイツは…私よりも強い。そう簡単にやられるタマじゃない」

 

爆発前──風紀委員と正義実現委員の騒動に駆け付けたツルギは、イヴを目にした。

そこでツルギは、イヴの力を感じ取った。

レイヴンとしての活躍はツルギ自身も聞いてはいた。

強者であることは知っていたツルギだったが、それだけではない、未知数の力を秘めていると感じたのだった。

イヴの潜在能力を感じ取ったツルギは、反射的に警戒心を露わにしてしまった。

それが、あの場でのイヴへの視線の正体だった。

 

「…ツルギがそう言うのであれば、きっと大丈夫だと思いますよ、ヒナタさん」

 

「そうですね…私も何だか少し安心しました」

 

「…では、目の前の敵に集中するとしましょうか…!」

 

「はい!」

 

「…あぁ」

 

****************************

 

アリウスと聖徒会のミメシスをハスミたちへと任せ、ヒナと共に駆ける先生。

 

だが、その行手を阻むように聖徒会のミメシスが次々と現れる。

 

「先生、今あの怪物たちをまともに相手取れる方法は無い」

 

ヒナは先生の先を行って、牽制しながら聖徒会のミメシスを退け、道を切り開いていく。

 

「今は包囲網を抜けて脱出することが──ッ…!!」

 

だが、ヒナはその身の重傷の影響で、唐突に膝を突く。

 

その隙を突くようにミメシスが迫るが、ヒナが携える物々しい銃から黒紫の奔流が放たれ、薙ぎ倒していく。

 

[“ヒナ、傷が…!”]

 

ミメシスがいなくなったところで先生がヒナの元に駆け寄る。

 

「これくらい大したことない…先生、私から離れないで」

 

大したことがない訳がない。

いくら生徒たちが頑丈だとは言え、ヒナの負傷はそれを踏まえても軽傷の域を超えている。

 

「退路は、私がこじ開ける」

 

だが、ヒナは痛みを堪えるように顔を顰めた鋭い双眸でミメシスを睨み付け、銃を構えた。

 

先生は、少しでもその負担を減らす為に、指揮を取ることしか出来なかった。

 

****************************

 

クルセイダーとパワーローダーのコーラルミメシス。

その攻撃は、これまでのオートマタや戦車部隊、武装ヘリの猛攻が霞むような勢いで私を攻め立ててくる。

 

コーラルに侵食されたものは、その侵食率によって脅威度が変動する。

オートマタや戦車部隊、武装ヘリはおおよその体感の強さは、侵食率40〜60%程度の《変異コーラル感染体》レベルであり、ミメシス故の暴走状態によって、その危険度は一段階上の《変異コーラル侵蝕体》相当にまで引き上げられていた。

 

だが、次に出現したクルセイダーとパワーローダーに関しては、ミメシスの暴走状態に加えて、以前のエアとのアビドスでの戦闘時のような変異コーラルによる狂化暴走を引き起こしている。

加えて、変異コーラル侵食率70〜100%の個体に見られるような特徴と、攻撃に付随したエネルギーの炸裂が見られ、《変異コーラル侵蝕体》であることが見受けられる。

 

それがクルセイダーとパワーローダーで二体ずつ。

私への脅威も然ることながら、周囲への汚染に関しても気にしなくてはならず、早急な撃破が求められる。

 

クルセイダーによる砲撃、パワーローダーによるガトリングとグレネード、更には連装ミサイルが私へと殺到する。

 

“歯車”の回転率を引き上げ、感覚を研ぎ澄ませる。

膨大な情報が“猟犬の耳”を通じて流れ込み、それを処理する為に思考が加速する。

それに応じて、相対的に私の意識に映る世界は、時が止まったかのように限りなく緩やかに時間が流れる。

 

だが、実際に時間が止まっている訳ではなく、余裕がある訳ではない。

静止した時の中のような意識の世界で、私は攻撃を掻い潜る経路を構築する。

 

モノクロの世界の中に、危険地帯が赤く光を放ち、向かうべき道が白銀に輝き、強調される。

 

その道に沿って、一歩踏み出すと同時に、私の眼に映る世界は加速する。

 

銃撃と砲撃、爆撃の弾幕の中を飛ぶ。

 

クイックステップ、足裏での火の爆発を惜しげ無く使って、殺到する炎の雨の中を潜り抜け、一体のパワーローダーへと翔ける。

 

呑気にちまちまと攻撃している場合ではない。

最大火力で一気に削り切る。

 

だが、私の行く手を阻むように、パワーローダーのそばのクルセイダーの砲口が光り出し、チャージを行う。

 

「…っ!」

 

刹那の逡巡──その末に、私は即座に、そのクルセイダーの排除を決める。

左手の変形銃を仕舞い、空いた状態にして、右手のSRをクルセイダーへと向ける。

SRの銃口に真紅の火が収束し、それと同時に向こうのチャージも終わる。

 

私のSRから放たれる真紅の火の塊がクルセイダーに迫り、クルセイダーの砲口から放たれた爆炎が周囲の地面を吹き飛ばして火柱を上げながら、私へと襲い掛かる。

 

SRによる攻撃の反動を受ける中、私は咄嗟に左手を前に翳した。

 

「──ッ!!」

 

真紅の火の塊──“残り火”を燃やしている状態限定の能力、《追憶》の“再現”によって放たれた、《大型武装機の擲弾》は、クルセイダーの砲身の内部へと撃ち込まれ、内側から爆発を起こし、吹き飛んだ。

 

その一方でクルセイダーのチャージ砲撃に曝された私は──左手を翳して《壁の大盾》を再現し、砲撃の爆発を防いだ。

 

「…先ずは、一つ…!」

 

《追憶》の“再現”は、同時併用は出来ない。

だが、左右で交互に、連続で使用することは可能だ。

 

これで、クルセイダーを一両、撃破した。

残るはパワーローダー二体とクルセイダー一両。

 

しかし、私は頭の中で、それらを撃破する流れは既に組み立てている。

私は先程、撃破したクルセイダーに邪魔されたパワーローダーへと駆ける。

 

背後から他の二機の攻撃が飛んで来て、私を妨害しようとするが、私はクイックステップと足裏での爆発による推力──《バーストアクセル》を用いた立体機動的ステップを駆使して躱して行き、パワーローダーへと迫る。

 

一方でパワーローダーは、連装ミサイルとガトリング、グレネードで私を近付けまいとする。

パワーローダーの攻撃は当然、全てがコーラルに汚染されており、爆発の規模は広くなり、同時に落雷を発生させる。

噴き上がる爆炎の間隙を縫い、降り注ぐ落雷の狭間を抜け、パワーローダーへと肉薄する。

 

そのタイミングで、パワーローダーは見計らっていたかのように飛び上がった。

 

両腕を振り上げ、私の何十倍もの質量で押し潰そうとしてくる。

私は更に加速してパワーローダーへと突っ込み、宙に浮くパワーローダーの股下を潜り抜け、そこから上空へと飛び上がった。

 

直後、空気に伝わる程の衝撃が大地を揺らし、爆炎を噴き上げる。

一見、単なる物理攻撃のようだが、追加で爆発が発生する二段仕様という訳だ。

 

上空へと逃れた私は、落下しながら真下のパワーローダー──では無く、クルセイダーとパワーローダーの二体へとSRの銃口を向ける。

その状態で私はチャージを行う。

SR──サイレント・エコーに真紅の稲妻が収束し、“赤”が濃縮され、それは黒く染まる。

 

フルチャージが完了したと同時に、私は引き金を離す。

銃口から(はし)るのは、真紅を超えた赤黒い光線──否、熱線。

 

熱線はパワーローダーを貫き、その横のクルセイダーを分断し、熔解させる。

同時に、その熱量によって周囲の物質は一瞬によって蒸発し、爆発を引き起こす。

 

「これで…三つ…!!」

 

熱線を吐き終え、オーバーヒートを起こすSRを仕舞いながら、私は着地した。

周辺の地面は、建物も含めて無惨な有り様だった。

これで暫くはSRの使用は不可能だが問題ない。

残るはパワーローダー一体。

 

「…残るはお前だけだ」

 

残るパワーローダーを始末するべく、私は地面を蹴った。

 

──あと少し。

もう少しだけ堪えてくれ、“猟犬”。




残り火状態のレイヴンはもはやゴジ◯ですね
怪獣しちゃってます

SRの素のフルチャージの火力+残り火バフでえらいことになってます
足し算じゃ無くて掛け算かもしれません
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。