ヒフミによるブルアカ宣言
ブルアカふぇすお疲れ様でした
いやはや驚きのゲーム内情報ばかりでしたね…
まさか彼女が実装されるとは……。
おめでとう!!
トリニティのティーパーティーのテラス──しかし、そこは全く同じ様相でありながら、決定的に異なる事実を有していた。
そこは、夢の中のテラスであり、本来ならば誰であっても辿り着くことが出来ない場所。
──そう、その夢を見る主以外は。
夢の中のテラスで、セイアは“現実”と相対していた。
ずっと眠り続け、目覚めを避けていた現実の世界──或いは、直視を躱し続けた
夢を通じて、現実の世界を把握できるセイアだからこそ可能な権能──そう言うには、あまりにも使い勝手が悪い、異能とも呼ぶべき特性。
それによって今、セイアは“現実”を目にしていた。
セイアが今、目の当たりにしているのは、彼女が目にするのを恐れていた、暗く陰鬱な、歪んで捩れた
「ETOとETOの衝突…楽園を信じ、祈る者たちと、否定する者たち…」
それまでの艱難辛苦──重く濁った暗雲を文字通りに晴らすような、そんな“奇跡”の一幕だった。
「…そうか」
それを目にして、セイアはようやく理解した。
先生と、イヴの告げた言葉の真意──その心延えを。
「『楽園に辿り着きし者の真実を証明することはできるのか』──“YES”か“NO”かを強いられる、この暴力的で不可能な要求証明…」
この問いに対し、先生もイヴも、それぞれ答えを導き出した。
それぞれの根底にある信念、或いは、経験から学びを得て。
「しかし、君たちの答えは、『それに答える必要はない』…と」
先生は“信じる”ということを、イヴは“祈る”ということをそれぞれ返した。
どちらも、“YES”か“NO”という、白黒をハッキリ付けるようなものではない。
「強引にどちらかを取るのではなく…信じ、或いは祈ることで証明される楽園…」
セイアが予想も、想像もつかない答えを二人は出した。
「…その発想は無かったよ」
それはどちらも、“強さ”が無ければ、そうそう出ないものだ。
それは精神的なものでもあり、肉体的なものでもある。
そして、“強さ”とは、確固たる自己と揺るがぬ自信に裏打ちされたものだ。
或いは、その答えを出せるからこそ、“
「いや、むしろ楽園というものは、そうやってずっと私たちのそばに存在していた…」
啓蒙──気付きを得た気分だった。
灯台下暗し、と言うように、本当に大切なものを見落としていた、とでも言うような。
「そう言っていたのかもしれないね?」
それを先生とイヴは示し、教えてくれた。
当たり前のことのようだが、その“当たり前のこと”を“当たり前のように”こなす事は、思っているよりも難しい。
「ひどい話だ…そのようなものは証明でも何でもない」
「しかし…ああ、私の負けだよ。イヴ、先生」
問いを思わぬ形で解かれ、負けたセイアだったが、しかしその心はとても晴れやかだった。
清々しいまでの完敗だった。
「たとえ証明など出来なくても、か…ああ、私が間違っていたとも。これは、そんなお話ではなかった」
「そもそも大人と勝負して勝とうだなんて、無謀な話だったかな…」
「そしてイヴ、君もまた、大人ではないが、子供と言う訳でもない、正しく“例外”。そんな君に仕掛けたのも、今思えば無茶だった」
「大人にしろ、例外にしろ、そうやって君たちは思いもよらない方法で勝ってしまうのだから」
****************************
風紀委員会、正義実現委員会、シスターフッド、対策委員会、そして、補習授業部の学園の垣根を超えた混成部隊により、アリウスが統制する聖徒会の
スクワッドを除くアリウス生徒も、そのほとんどが倒されており、残すはアリウススクワッドと不安定なミメシスのみ。
無限の軍隊の脅威は、減少傾向であり、もう少しで敵方の中枢であるスクワッドの元に辿り着くことができる。
その直前に、異変が生じる。
その異変は、異様な気配から始まった。
その気配を正確に感じることが出来たのは、イヴを筆頭に、ヒナ、ホシノ、ツルギといった各学園に於ける“特記戦力”たち。
その気配の出どころ──
“ソレ”は、ユスティナ聖徒会の“
辛うじて、人型であることは認識できる。
だが、その大きさは“人”の範疇を逸脱していた。
大きな人型と言えば、パワーローダーが分かりやすいだろう。
背丈で言えば、そのパワーローダーよりも頭二つ抜けて高い。
その代わり、横幅や重厚感で言えば、目の前の異形は劣っていると言える。
黒衣を纏った死神のように、下半身は存在せず、黒衣の裾が棚引くのみ。
黒衣からは不吉な黒い瘴気と不気味な青白い燐光を放ち、それが尋常のものではないということを助長させていた。
黒衣の胴体からは二本の腕が伸びているが、その先には鋭い鉤爪が備わり、背には光輪のようなものを背負っている。
そして、その顔面には、目鼻口といったパーツは存在せず、空虚な闇が底知れぬ深淵のように開いていた。
その存在が、これまでのユスティナ聖徒会のミメシスとは比べ物にならないものであることは、誰が見ても明らかだった。
異形の威容を目にし、スクワッドでさえも、顔を引き攣らせていた。
黒衣の異形は、大きく手を広げると声ならざる声を上げ、敵である者たちを威圧する。
****************************
“ソレ”が、戦いの最中に感じた不気味な気配の正体であると私は理解した。
ソレもまたミメシスの一種だろうが、これまでのミメシスとは一線を画す存在であることは、その様相と対峙する威圧感から感じられた。
ミメシスは一様に厄介なものではあったが、黒衣の異形とでも形容すべき目の前のミメシスは、これまでのミメシスとは次元が違う。
『次元が違う』というのは、“力”や“強さ”の指標であったり、比喩などではなく、文字通りの意味だ。
“格”とでも言うべきか、“存在”としての位置が、一つ上にいるような、そんな異質さを感じる。
放っておけば致命的な脅威になり得る存在になるだろう。
「先生!!」
私は即座に先生を呼んだ。
先生は補習授業部と共にいる。
私は先生に判断を求めた訳ではない。
「ここは“私たち”に任せてくれ!!」
先に進ませる為に、私は先生に声をかけた。
[“──分かった!!みんな、行こう!”]
先生が指揮する補習授業部が先へと進む。
しかし、その前に黒衣の異形が立ちはだかる。
しかし──。
「させない」
黒紫の奔流が黒衣の異形へと叩き込まれる。
更には──。
「悪いけど、付き合ってもらうよ」
至近距離に肉薄し、銃撃を浴びせる。
「テメェの相手は、私たちだぁぁぁぁああああああああっ!!!」
二度の散弾が、黒衣の異形に殺到する。
黒衣の異形の正面には大盾を携えたホシノ、挟み込むようにその左右にヒナとツルギが立つ。
黒衣の異形は私たちで抑え、その間に補習授業部と先生をスクワッドの元に進ませる。
「イヴ、私は──」
そこで、私の隣に立つシロコが声をかけてくる。
「シロコ、私と一緒に戦ってくれる?」
私がそう呼びかけると、シロコは嬉しそうに目を見開いた。
「──!ん、もちろん!」
力強く頷いたシロコは、私と共に並ぶ。
「一緒に戦おう、戦友!!」
「うん、頼りにしてるよ、戦友。遅れるなよ…!」
私は両手に銃を携え、シロコは愛用のドローンを追従させ、共にホシノとヒナとツルギが抑える、黒衣の異形へと向かった。
****************************
イヴ、シロコ、ホシノ、ヒナ、ツルギが黒衣の異形を抑えている間に、先生が指揮する補習授業部はその横を抜けてアリウススクワッドの元へと走る。
その先で目にしたのは、愕然と立ち惚けるサオリの姿だった。
「リーダー…」
「サオリさん…」
その後ろで、ミサキとヒヨリは悲しいような、苦しいような、そんな表情を浮かべていた。
その後ろに立っているアツコは相変わらず仮面によって表情が窺えない。
何を思い、何を考え、サオリを見つめているのか。
だが、手話によってある意味では誰よりも顕著に意思表示ができる彼女が何も行動を起こさないところを見ると、彼女もまた、ミサキやヒヨリと同じものを抱いているのかもしれない。
「もうユスティナ聖徒会はまともに動作してない。ETOが二つになった時点で、戒律は意味を無くしつつある…」
ミサキが淡々と、現実を告げる。
だが、その声音は明らかに落ち込んだものだった。
「残った聖徒会も、アンブロジウスも、もう…」
今にも泣き出しそうな震えた声で、ヒヨリは付け加える。
聖徒会も、アンブロジウス──黒衣の異形も、もう時間稼ぎでしかなく、いずれは尽き果てるだろう。
「手札が無いね…私たちの負けだ」
補習授業部だけが相手であれば──否、先生がついている時点で、それすらも怪しい。
アリウススクワッドは、万策尽き果てている。
「サオリ…もう諦めて」
その事実を突き付けるように、アズサはサオリに告げる。
だが、サオリは勢いよく顔を上げ、憤怒と憎悪に溢れた形相をアズサに向け、叫ぶ。
「ふざけるなっ!!」
「どうして、どうしてお前だけ…!!」
「私たちは一緒に苦しんだ!絶望した!この灰色の世界に!」
「全てが虚しいこの世界で、お前だけが“意味”を持つのか!」
「お前だけがそんな、青空の下に残るのか!」
「全て否定してやる!お前がトリニティで学んだこと、経験したこと、気付いたこと!全て、その全てを!」
「全ては虚しいのだから!」
全てを否定し、拒絶するように、サオリはまくし立てる。
それに返したのは、アズサではなく、共に苦難を乗り越え、抗った仲間たち──補習授業部だった。
「いえ、そんなことはできません」
ハナコがサオリの言葉を否定する。
彼女もまた、最初はトリニティに負の感情を抱く者だった。
それでも、彼女は変わった。
少なくとも、滅びる定めにあるトリニティを見過ごすことができない程度には。
補習授業部と、先生との様々な時間を経て、ハナコは変わることができた。
「私たちが合格したのも、そこまで頑張ったのも、無かったことにはならない!」
コハルが必死に叫ぶ。
初めの頃、自分は特別なのだと、補習授業部を見下していた彼女は、彼らと共に様々な経験を経て、本当の自信を身に付けた。
それは、見せかけでハリボテの、他者を見下して得られるような仮初のものではなく、蔑ろにされている誰かを守り、間違ったことに立ち向かえるような、そんな芯のある自信だった。
「たとえ虚しくても、私はそこからまた足掻いてみせる」
そして彼女──アズサもまた、気付きを得ていた。
彼女は全てを背負い、自分一人だけで戦おうとしていた。
自他を分け隔て、巻き込まないようにと、拒んでいた。
自分一人で、戦わなくてはいけないと、思い込んでいた。
けれど、それは間違いだった。
「サオリ…私は、もう負けない」
そうやって、何もかもを一人で背負い込む必要はなかった。
今はもう、相手がサオリであろうと負ける気はしない。
信頼できる仲間たちが、そばにいてくれるから。
****************************
黒衣の異形──アンブロジウスが片手を振り上げる。
鋭い鉤爪が並んだ手の中に、青黒いエネルギーが渦を巻いて収束して行き、それは一人の生徒へと向かう。
しかし、その生徒は身の丈程もある重厚な大盾を携えており、アンブロジウスのエネルギー塊を受け流すように弾いた。
「それだけ〜?おじさんガッカリだなぁ〜」
余裕綽々と言ってのける生徒──ホシノは、その勢いのままアンブロジウスへと距離を詰め、右手の銃による攻撃を浴びせる。
ホシノが気を引いている間に、左右からそれぞれ破壊の奔流と爆裂の衝撃がアンブロジウスへと襲いかかる。
「脇がガラ空きだぜデカブツぅぅぅぅううううううっ!!」
ヒナとツルギによる挟撃。
少なくとも、それはアンブロジウスを僅かに怯ませるに足る威力を秘めていた。
そこへ背後から畳み掛けるのはイヴ。
突進からの蹴りを叩き込み、至近距離からHGの連射を叩き込み、狼騎士の旋回で攻撃しつつ飛び退いて、距離を離す。
更に続けて、空を舞うドローンがアンブロジウスの頭上からミサイルを撃ち込む。
無数の弾頭がアンブロジウスへと殺到し、爆発がその巨体を飲み込む。
「ん、これはおまけ!」
更にそこにシロコは手榴弾を投擲すれば、爆発は完全にアンブロジウスの姿を掻き消す。
「うひゃあ〜、張り切ってるね〜、シロコちゃん」
爆発に巻き込まれないように、距離をとったホシノは、壮観と言わんばかりに爆煙を眺める。
「貴女も、もう少しは本気を出したらどうなの?」
そこに声をかけたのはヒナだった。
「…うへ〜、そんなこと言わないでよ委員長ちゃ〜ん。これでもいっぱいいっぱいなんだってぇ〜」
いつもの調子でホシノは手をひらひらと振りながら困ったように笑う。
「…そう。なら、前にイヴと戦っていたのは別人だったってことかしら?」
適当にはぐらかすホシノに、ヒナは冷めた視線を向けて詰め寄る。
「うぐっ…えーっと、あの時はそのぉ〜…」
「無駄話はそこまでだ」
会話を阻んだのはツルギだった。
その双眸は油断なく、アンブロジウスの影が浮かび上がる黒煙を見つめている。
「──来るぞ!」
直後、三人目掛けて、無数のエネルギー塊が放たれる。
素早くホシノが前に飛び出し、その青黒いエネルギーを大盾で受け流す。
ヒナとツルギは、そのホシノを飛び越え、アンブロジウスへと向かうが、当のアンブロジウスは二人どころか、ホシノをすら見ていなかった。
アンブロジウスは、体がホシノの方を向いていながら、頭部は背後──イヴとシロコがいる方を向いていた。
そして、その両手が空に向かって掲げられており、その両手の狭間では、これまでに無い青黒いエネルギーの奔流が荒れ狂い、渦を巻いている。
「チッ!」
その舌打ちが、ヒナのものなのか、ツルギのものなのかは分からなかった。
だが、それと同時に、二人は今出来うる限りの全力をアンブロジウスへと叩き込むことを決めた。
ヒナの銃からは黒紫の奔流が、ツルギの双銃からは赤黒い衝撃が、それぞれ放たれ、アンブロジウスを襲う。
だが、アンブロジウスはまるで固定砲台にでも化したかのように微動だにせず、掲げた両手の中の破壊の力を放つ。
アンブロジウスの狙いは、イヴの後に着くシロコへと向いていた。
まるでバスケットボールでも投げ付けるかのような動作で、アンブロジウスは二人へと青黒いエネルギーの球を放った。
少しでも範囲から逃れようと、イヴはシロコを抱いて飛び退こうとするが、その背後からアンブロジウスのエネルギー塊が迫る。
それは地面に触れると同時に、球状の大爆発を引き起こした。
──だが、その爆発は一瞬にして球の形を維持できず、弾かれたように崩れ、拡散した。
アンブロジウスのエネルギーの爆発は、イヴとシロコを襲うことはなかった。
二人に襲いかかるはずのエネルギーは、弾かれ、受け流され、左右に拡散していた。
「二人とも、無事!?」
爆発の中心部に立っていたのは、大盾を携えた無傷のホシノだった。
ホシノが割り込んだことで、大盾でアンブロジウスのエネルギーを防いでいたのだった。
「う、うん。ありがとう、ホシノ先輩。それと、イヴも」
「シロコが無事で良かった。ホシノも、ありがとう」
互いの無事を確認したところで、自ずと視線はアンブロジウスへと向かう。
「私が前に立つ。だからみんな!全力で畳み掛けて!!」
ホシノは堂々と言い放ち、大盾を手に、アンブロジウスへと向かう。
「了解!」
「ん、迷惑かけた分、挽回する!」
イヴはSRへと持ち替え、チャージを開始する。
その間、ホシノが気を引き、シロコはドローンによる爆撃と銃撃で牽制する。
背後からはヒナとツルギによる猛攻がアンブロジウスへと殺到する。
そうしてイヴのSRのチャージが完了する。
青白い雷光が眩い閃光と共に放たれ、その光線がアンブロジウスの顔面──その虚な闇へと撃ち込まれ──そして貫く。
光線がか細い稲妻になって消えれば、アンブロジウスの顔面には、青白い断面の奥に景色が広がっていた。
アンブロジウスは両手を痙攣させながら、穿たれた穴から崩れるように塵となっていく。
その様は間違いなく、ミメシスを倒した時と同じ反応だった。
倒した、と、この場の誰もがそう思った時、その“異変”は突如として現れた。
深紅の粒子が舞い散り始めた。
それを機に、アンブロジウスの崩壊が止まる。
崩れかけていたアンブロジウスを補うように深紅の粒子が収束し、再生し、再構成されていく。
「イヴ!これって…!」
シロコがイヴへと呼びかける。
「…アリウスに協力している割には、今回は何もして来ないと思っていたが…なるほど、こういう仕込みだったか…」
イヴは再構成されていくアンブロジウスを睨みながら、歯噛みしつつ呟く。
そうして再構成されたアンブロジウスは、一回り肥大化した上で、以前とは異なる容姿になっていた。
四本の腕を持ち、前後に顔が二つある頭部を持つ。
青黒かった全身は赤黒く染まり、背面に背負った光輪は深紅に煌めき、まるでヘイローのように、頭上に戴いている。
更なる異形と化したアンブロジウスは、憤怒を露わとするように、声ならざる甲高い声で咆哮する。
「とんだ置き土産だな、エア…!!」
アンブロジウスは本編だとあっさり流されましたけど、生み出された経緯が経緯なので、かなりの格があると思うんですよね…
中ボス以上、シナリオボス未満、的な
エルデンで言えば、神肌の使徒とかガーゴイルとかそのくらい
場所によって単なる中ボスの時もあれば、名前付きのトロフィーボス…みたいな
失敗作は失敗作なんで、強さはそれほどでもありませんが
こういう敵は、複数戦の時に厄介になるタイプですね
聞いてるか?英雄のガーゴイルと神肌のふたり!!