ブルーアーカイブ -灰の翼-   作:空素

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あらすじ

アリウス自治区へと辿り着いた先生とスクワッド。
休息を挟み、目的地の《アリウス・バシリカ》を目指すが、アリウスの現支配者にしてゲマトリアの一員、ベアトリーチェが立ち塞がる。
ベアトリーチェは先生を引き入れようとするが一蹴され、だが、取り乱すことなく、ベアトリーチェは先生の宣戦布告を受け容れる。
ベアトリーチェの指示でスクワッドへと襲いかかるアリウス部隊とユスティナ聖徒会のミメシス。
だが、それらを蹴散らして現れたミカとレイヴンが、再び、先生とスクワッドの前に立ちはだかるのだった。






EP-7 残されたもの

すぐさま動いたのは、レイヴン。

 

より正確には、先に動き出したスクワッドを上回って、迅速に攻撃に転じたと言うべきか。

 

携えた銃を瞬時に切り替え、狙撃する。

 

狙いは──。

 

「わっ、私ですかぁっ!?」

 

狙撃手であるヒヨリ。

 

[“ヒヨリ、伏せて!”]

 

「ひぃぃぃっ…!?」

 

言われるがままに頭を抱えて地面に伏せるヒヨリ。

その頭上の空間をレイヴンが放った電撃を纏う光線が貫く。

 

だが、レイヴンの攻撃はそれだけでは終わらない。

 

先程の狙撃は左手に握ったSRによるもの。

地面を蹴り、スクワッドへとレイヴンが突っ込み、右手のARを薙ぎ払うように掃射する。

 

次の狙いは、ミサキ。

 

「っ…!」

 

ミサキの武器は、後方から狙いを付けて広範囲を爆撃するRL。

近距離に詰められては、反撃することもままならない。

向かってくるレイヴンに対し、身構えることしか出来ない。

 

「させるかっ!!」

 

だが、その間にサオリが割り込み、レイヴンのARを蹴り上げて弾き、軌道を逸らす。

 

レイヴンの銃撃はミサキの頭上を掠めるように通過し、レイヴンは僅かに姿勢が揺らぐ。

 

そこへ、サオリがARの銃口を突き付け、引き金を弾く。

 

──よりも早く、レイヴンは身を翻して体勢を立て直し、突き付けられたサオリの銃身を踏み付け、押さえ付ける。

サオリは、握った銃を凄まじい脚力で押さえ付けられ、前のめりに倒れそうになった。

 

「くぅっ!?」

 

レイヴンの体勢を崩して追撃するつもりが、逆に体勢を崩されそうになる。

 

「ああっ!!」

 

気力を振り絞ってどうにか転倒を堪え、銃を押さえ付けるレイヴンの脚を振り払う。

 

拘束を振り解いたサオリ。

 

そこへ容赦なく、レイヴンが蹴りを見舞う。

 

「ぐぅっ!?」

 

[“サオリ!!”]

 

サオリは大きく後方へと吹き飛ばされる。

 

だが、幸いにも壁などに激突する事はなく、受け身をとって立て直すことに成功する。

 

「私は大丈夫だ!先生!それより──」

 

サオリはレイヴンの蹴りを受ける瞬間、咄嗟に銃を盾代わりにして防御することに成功していた。

それにより、ダメージは軽微に抑えられている。

 

それよりも問題なのは、サオリが前線から引き離されたことだろう。

 

今、前線に残されているのは、ミサキだけ。

 

一方で、相手はレイヴンに加えて──。

 

「レイヴン、ないすっ☆

──それじゃあ、これで先ずは一人だね」

 

ミカが、ミサキに向かって銃口を向ける。

銃口内部が七色の煌めきを放つ。

 

直撃すれば、消耗しているミサキは、容易に戦闘不能に陥るだろう。

 

 

 

 

 

[“させないっ!ヒヨリ!”]

 

「はいっ!!」

 

先程、レイヴンに狙撃され、地面に伏せた体勢のヒヨリは、いつの間にか射撃体勢に移行し、密かに狙いを定めていた。

 

そして、意を決したヒヨリが放つは、対物ライフルによる、五連射。

 

「っ!?」

 

ミカは攻撃を中断し、防御せざるを得ない。

 

ヒヨリの銃撃は、ミカを倒すに決定打とはならない。

しかし、その攻撃は確実にミカにダメージを与える。

 

[“更に畳み掛けるよっ!ミサキ!”]

 

「了解…!」

 

既に体勢を立て直し、攻撃体勢に移行していたミサキが、RLから弾頭が発射され、それは一定の高度に達した直後、無数の子爆弾へと分裂し、ミカへと殺到する。

 

まともに受ければ、ミカでもタダでは済まない。

 

だが、ミカを爆撃するはずだったミサキの弾頭は、直後、空中で爆発し、その爆風だけがミカを撫でる。

 

「…聖園ミカ、少し下がって立て直せ」

 

少し離れたところから、レイヴンが声をかける。

 

ミサキの爆撃を空中で爆発させたのは、レイヴンだった。

あの瞬間、レイヴンはまるで先読みしていたかのように懐から強化手榴弾、《BlackFlame》──黒火炎弾を放り投げ、その広範囲爆発によって、誘爆させたのだった。

 

「あ…うん、ごめん……」

 

ミカは、やけにしおらしく俯いた。

 

レイヴンは肩越しに一瞥した後、改めて前を向きながら返す。

 

「構わない。私は今、あんたを手伝う為にここにいるんだから」

 

レイヴンの視線の先では、引き離したサオリが合流しつつあった。

 

「すまない、よく耐えてくれた」

 

「いいよ。仕方ないよ、リーダーが相手取ったのは、あのレイヴンなんだから。この程度で済んだのは幸運だった」

 

「そうですね…でも…うぅ…本当に倒せるんでしょうか……」

 

険しい面持ちで、スクワッドは正面に立ちはだかるレイヴンと向かい合う。

 

思いの外、両者は拮抗し、膠着状態だった。

 

レイヴンとミカの側が圧倒的に有利だとサオリは踏んでいたが、どうにかなっている。

相変わらず、気を抜けば容易く傾く天秤であることに違いはないが。

 

その理由は恐らく──。

 

「…ごめんね……私はいつも、こんなだよね……」

 

ミカは俯いたまま、レイヴンの後ろで弱々しく言葉を洩らす。

 

「いつも…先生に迷惑かけて…こうして、レイヴンまで巻き込んで……」

 

レイヴンは、ただ正面のスクワッドの面々を見据えていた。

 

無表情のまま、静かな視線を注ぐ双眸。

それが、ほんの僅かに、細められた。

 

「私みたいな問題児はさ…先生に何度も心配をかける生徒は…先生のそばにいられないってことも、よく分かってる……」

 

「…でも、私……」

 

力無くミカの腕が垂れ下がり、その手から銃がこぼれ落ちる。

 

[“ミカ。”]

 

[“セイアはたぶん、無事だよ。”]

[“だからトリニティに戻って…お願い。”]

 

抑え込まれた今にも感情が今にも溢れ出しそうなミカへ、先生は宥めるように、優しく言い聞かせる。

 

「私…わたしには……」

 

ミカの手は、震えていた。

 

震えていたのは、手だけではなかった。

 

「もう、帰る場所がないの…トリニティにも…何処にも……」

 

ミカは嗚咽と共に、涙を拭いながら、先生に告白する。

 

自身の置かれた状況──もうトリニティに帰ることが出来ないことを。

 

「私はトリニティの裏切り者で、みんなの敵で……何度もセイアちゃんを傷付けてしまった魔女だから……」

 

「学園から追い出されたら、ナギちゃんにも、大切な人たちにも…二度と会えなくなる……」

 

「生徒じゃなくなったら…私みたいな問題児、先生だって、もう会ってくれないよ……」

 

「私に、これ以上、幸せな未来なんか訪れないってことも、よく分かってる……」

 

「わ、私は…悪党だから…人殺しだから……」

 

ミカの声は、震えていた。

 

自身が人殺しであることを認めたくないという思い、自身が人殺しだということを認めてしまうことへの恐怖。

 

「だから、私に残っているのは、()()()()()しか、ないの……」

 

ミカは、復讐に身を委ねるしか無かった。

それが唯一、ミカに残されたものだったから。

 

復讐の道を突き進むことだけが、ミカに残された選択だった。

 

 

 

「なのに、あなた達は…どうして?」

 

「私は大切なものを全部失ったのに!──ぜんぶ、奪われたのに!!」

 

「あなた達は…どうして?」

 

 

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにして泣きじゃくりながらも、訴えかけるミカ。

 

その言葉を受けたスクワッドは、ただ無言のまま黙り込んでいた。

 

ある者は、ただ面食らって言葉を失い、ある者は、自身の行いを振り返り、また、ある者は単に面倒くさいと考えていた。

 

 

 

 

「あなた達が何の代償も支払わないで、何も奪われないでいるなんてそんなの……」

 

「そんな事、許したら…私は……」

 

「私は…何者でもなくなってしまう……」

 

「私には、何の意味も残らない……」

 

「わたし……」

 

「わたしは、どうしたらいいの……」

 

ミカの問いは、空虚な沈黙へと消えていった。

 

その問いに答えられる者は、この場にはいなかった。

 

「……」

 

無言のまま涙を拭い、ミカは地面の銃を拾い上げる。

 

「スクワッドを…サオリを、そのままにしてなんておけない……」

 

「その女が、何の代償もなく先生の庇護受けるなんてダメ……」

 

「……」

 

サオリからの反論は、なかった。

 

むしろ、ミカの言葉を重く受け止めるように押し黙り、視線を下ろしていた。

 

「だから先生、私を止めないでね……」

 

一歩、また一歩とミカは先生たちから距離を取るように下がると、そのまま走り去ってしまった。

 

「聖園ミカ!」

 

レイヴンが呼びかけながら、その後を追い、駆け出す。

 

[“ミカ!イヴ!”]

 

先生が遅れて名前を呼ぶが、その頃には、ミカもレイヴンも、夜霧の中に姿を晦ませていた。

 

 

 

 

 

ミカの後を追うレイヴン。

 

しかし、アリウス自治区の入り組んだ地形と濃い霧によって、レイヴンはミカを見失っていた。

 

「クソッ!どこまで走って行ったんだアイツは…!」

 

勝手に退却した挙句、一人で突っ走って行方不明。

レイヴンの口から悪態が洩れるのも無理はなかった。

 

ここで行方を晦ませられるのは、レイヴンにとって、非常に困る出来事だった。

 

 

 

依頼が達成できない──ということではなく、()()()()()()()を果たせなくなる可能性があるから。

 

猟犬の耳によって周辺の気配を探ってみるが、ミカらしいものは捉えられない。

 

猟犬の耳は、センサーのように周囲に作用し、たとえ壁越しや障害があっても目標の存在を捕捉することが出来る。

それは、ACのスキャンのように。

 

捕捉できないという事は、知覚を妨害するフォグのようなものが空間内に散布されているか、単純に距離が離れているかのどちらかだ。

 

前者はそれらしい不自然なものは感じ取れないし、そんなことが出来るのは、このキヴォトスでは現状、エアくらいであり、それならばコーラルの気配を感知しているはず。

 

コーラルの気配は今のところ影も形もなく、エアが関与している可能性は極めて低い。

 

そうなれば自ずと、ミカの気配をレイヴンが捕捉できないのは、単にミカの逃げ足が速かったということになる。

 

「…全く、勘弁してくれ……」

 

レイヴンはアリウス自治区内では土地勘はなく、移動は案内役のミカに頼っていた。

アリウス自治区の地形を把握すること自体は、レイヴンには造作もないが、その分、把握の為に時間を割くことになり、()()()()()()()までの猶予が圧迫されてしまう。

 

 

 

それに加えて──。

 

 

 

 

 

レイヴンの《猟犬の耳》は、ミカとは異なる、何者かの気配を捉えていた。

 

その人物はゆっくりとレイヴンに歩くスピードで近付いて来ており、夜霧の中に、そのシルエットが浮かび上がった。

 

その奥から、その人物の声がレイヴンの耳に届く。

 

「よう。久しぶりだな、レイヴン…!」

 

そこに居たのは──。

 

「…またお前か」

 

これで三度目の邂逅になるだろう。

 

一度目は、トリニティでの桐藤ナギサ暗殺阻止の時。

トリニティ自治区内に侵入していたアリウス部隊と交戦し、その時は歯牙にもかけなかった。

 

二度目は、アリウススクワッドによるエデン条約を阻止し、それでも足掻いたスクワッドやアリウスと交戦した時。

乱戦の中で相対し、相手は一回目の敗退を根に持ち、復讐に挑んで来た。

 

そして、この三回目。

 

相手となる名も知らぬアリウス生徒は、再びレイヴンの前に姿を現した。

 

「…復讐に来たのか?悪いが、相手をしている暇は──」

 

右手にAR、《STEEL FANG 621》を握り、身構えるレイヴン。

 

対して、レイヴンに因縁を持つ生徒は、しかし、臨戦態勢に移ることはなかった。

 

「そうだな…確かに、前回は納得できない終わり方だった。横槍が入り、私が気が付いたら時には、全ては終わっていた……」

 

あくまでも落ち着いた(てい)で語るアリウス生徒。

しかし、その語気には確かな強い想いが籠っていた。

 

怒りや憎しみ、と形容できるようなものが。

 

アリウス生徒は、それを必死に堪えているように思えた。

 

まるで自身を抑え込むように、深く溜め息を吐く。

 

「復讐したい気持ちは確かにある…だが、今回お前の前に現れたのは、それとは別件だ」

 

改めて落ち着いた声音で、アリウス生徒はレイヴンに告げる。

 

「別件…?」

 

怪訝に繰り返すレイヴンに、アリウス生徒は続けた。

 

「お前と話をしたいという方がいる」

 

そう言うと、アリウス生徒は何やら通信機のようなものを取り出した。

 

「安心しろ。そう時間は取らせん。()()()()()()()()()()──」

 

アリウス生徒は無線機を口元に近付ける。

 

「…()()()、レイヴンに接触しました」

 

アリウス生徒が発した直後、その側に、背の高い人影の幻影──ホログラムが浮かび上がった。

 

『ご苦労様です。

──さて、そうして面と向かって話すのは初めてですね。

“シャーレの番犬”──いえ、今は違うのでしたね。傭兵、レイヴン。

はじめまして。

私はベアトリーチェ。ゲマトリアの一員であり、このアリウスを支配する者です』

 

赤い肌に白いドレスを身に纏う大人の女性。

しかし、その頭部は人とは全くかけ離れた、異形の姿だった。

 

辛うじて艶やかな黒髪が女性らしさを感じさせるが、無数の羽が重なりつつ、そこに無数の目玉が蠢く姿は、正しくゲマトリアの特徴である異形そのもの。

 

「…ゲマトリアが私に何の用だ?マエストロから聞いてないのか?私は──」

 

レイヴンは敵意をむき出しにし、ベアトリーチェを睨む。

 

対するベアトリーチェの態度は、飄々としたものであり、特に気にした様子もなかった。

 

ゲマトリアには、エア──ルナシーが属している。

レイヴンからしてみれば、敵対組織であり、決して相容れない相手だ。

 

『無論、存じていますよ。あなたが今のゲマトリアの一員であるルナシーと敵対関係にあり、あなたは常にルナシーを追い、滅ぼそうとしていることを。

──その上で、あなたに提案があります』

 

しかし、ベアトリーチェはレイヴンに対して敵意を向けない。

害意についても、今のところ、一見という注意点は挟まるが、特に感じられない。

 

以前、レイヴンが接触したマエストロもそうだった。

 

淡々と、一方的に専門用語を使用して語り、話を進め、勝手に納得して消える。

 

「提案…?」

 

だからこそ、レイヴンはベアトリーチェに対しても、不信感を抱き、怪訝な視線を向ける。

 

『ええ…単刀直入に申しましょう。シャーレを捨て、私と手を組みませんか?そして、私を()()()()とし、共にルナシーを打倒するのです』

 

ベアトリーチェの言葉に、レイヴンは少なからず驚愕せずにはいられなかった。

 

「…!?何を言っているんだ?ゲマトリアのことは詳しくは知らないが、一応は同志なんだろう?」

 

前半はまだ理解できる。

何なら、こうして話しかけて来た時点で、予想もついていた。

 

だが、その目的が、現在のゲマトリアの一員であるルナシーの打倒だとは、レイヴンでも想像がつかなかった。

 

「あなたが案ずるようなことはありませんが…そうですね。一応、説明しますと、彼女とは反りが合わず、また目障りで邪魔な存在なのです。だからこそ、私は()()()()()()()()()、彼女を疎ましく思い、排除したいと考えているのです」

 

レイヴンの頭頂の尖った犬耳が、ピクッと跳ねる。

 

「…なるほど。ゲマトリアも一枚岩じゃない、ということか……」

 

レイヴンは溜め息を挟み、落ち着いた様子で呟く。

 

組織が一丸となっておらず、所属する者たちの各々の狙いや目的、望みによって境界が区切られているのは、何となく理解できる。

そうした境界──“溝”がやがて亀裂となり、どうしようもなく壊れ、瓦解する。

 

掠れつつある、彼の星の記憶にも、それらしいものがある。

 

「そういうことです。

加えて、私であれば、シャーレには出来ない武力的な支援が可能です。キヴォトスの技術力を超える様々な銃火器や兵器など。私は、それらの支援を惜しみなく行使する用意があります」

 

レイヴンの脳裏を過ったのは、エデン条約の式典の折、《通功の古聖堂》に撃ち込まれた弾道ミサイルだった。

 

レイヴンは正しくミサイル爆撃の被害者ではあるが、確かにあのミサイルのような武器や兵器類の支援を受けられるというのは、一転して頼もしさすら感じる。

 

「加えて、あなたがゲマトリアに加われば、ルナシーは居場所を失い、必然的に孤立することになります。そうなれば、彼女はゲマトリアの研究成果の恩恵に与れなくなり、弱体化することでしょう」

 

レイヴンがゲマトリアに加われば、敵対するエアは、ゲマトリアから追放される。

実際には、ベアトリーチェが追放する目論見なのだろう。

 

前回のエアとの衝突では、レイヴンは《変異コーラル》と《ミメシス》の抱き合わせ強化個体によって削られ、更に強力な変異コーラル兵器、《スコーピオン》とコーラルによって蘇った《ルビコンの亡霊》によって追い詰められた。

 

恐ろしい程に強力無比な敵だったが、その基となっているのはゲマトリアが所有する兵器類。

 

如何に変異コーラルと言えど、無から有を生み出すことは不可能であり、エアの変異コーラルの軍隊は、変異コーラルと既存の兵器や機体を掛け合わせたものに過ぎない。

──ハズだ。

変異コーラルとミメシスの強化個体は後天的にミメシスに変異コーラルを付与したもの。

変異C兵器、《スコーピオン》は先天的…開発段階で変異コーラルを付与しつつ作り上げたもの。

ルビコンの亡霊は、変異コーラルによって増幅させた意識を機体にインストールしたものに過ぎない。

 

変異コーラルと掛け合わせるものが無くなれば、確かにエアが弱体化するのは道理だとレイヴンは納得する。

 

「如何ですか?これで、どれだけあなたに有益な交渉か、理解できたのではありませんか?」

 

更なる戦力が手に入る上に、敵は弱体化する。

 

「…そうだな。確かに、有用な提案だった」

 

レイヴンは深く頷く。

 

「理解いただけたようですね。では、私と共に、あの者(ルナシー)を亡き者にしましょう」

 

ベアトリーチェが、レイヴンへと手を差し伸べる。

 

 

 

その手を見つめ、レイヴンは──。

 

 

 

 

 

「──だが、断る」

 

鼻で笑い、一蹴した。




お疲れ様です。

いつも読んでくださりありがとうございます。

ノロマなカメ更新ではありますが、今後ともお付き合い頂ければ幸いです。

原作のブルーアーカイブ本編のメインストーリーにて、ついにデカグラマトン編完結ということで、嬉しい反面、悲しくも切なくもあり、複雑な心境です…。
内容も色々あったし…。

このページは元々、半分ほど書いてあったのですが、メインストーリーの悲しい現実から目を逸らして逃げるように筆を取ったら思ったより筆が乗りましたね…。

デカグラマトン編…この作品ではいつになるかはわかりませんが、それまでお付き合い頂ければ幸いです…。

大まかな流れは既に出来ているんですが、そこに辿り着くのが果たしていつになるのか、といった次第です、ハイ…。

言い訳する暇があったら書けというのもおっしゃる通りです…。

では、次は出来るだけ早く再会出来ることを願って、この辺で失礼します。

また次の更新でお会いしましょう!!
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