ブルーアーカイブ -灰の翼-   作:空素

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あらすじ

ブラックマーケット百鬼夜行、開催!!

さて、百の軍勢を前に、レイヴンたちはどうするのか、如何にして抗うのか…


EP-34 置いていかれた者たちの抵抗

インカム越しのアヤネから告げられた衝撃の報告に、私は一瞬、驚愕しながらも、すぐに頭を切り替え冷静に受け入れる。

 

「…アヤネ、そのマーケットガードの軍勢の具体的な構成は?」

 

『レイヴン!?まさか戦う気ですか!?』

 

「それを判断する為に、先ずは情報が必要だ。先ずは落ち着いてくれ」

 

『す、すみません。少しお待ちください』

『…先程のオートマタ三種とドローンが多数を締め、シールドの改造を加えられた戦車、武装ヘリ──アパッチで構成されています』

 

アヤネが言うオートマタ三種は、銃器持ち、ロケットランチャー(RL)持ち、シールド持ちの事だろう。

それに支援役のドローンとただでさえ装甲が厄介な戦車がシールドを取り付けたものに、空を飛ぶ武装ヘリ。

 

それらで構成された百を超える軍勢。

 

襲撃開始からこの短時間でこれだけの数、質の軍勢を用意できるものなのだろうか?

 

まるで、()()()()()()()()がされていたかのような手際の良さだ。

 

──今は、それらの出処はどうでも良い。

これからどうするかを考えなくてはならない。

 

「…先生、みんな、ちょっと良いかな」

 

私はインカムを弄り、全員に強制的に音声を届かせる設定に変更すると、現在の陥っている状況をアヤネと共に説明する。

 

『[“…うん。大ピンチだね。さて、どうしようか?”]』

 

先生は冷静に、この状況を切り抜ける為に、知恵を求める。

 

『あうぅ〜!どうしましょう〜!!』

 

ヒフミはさすがにこの絶望的状況に頭を抱えている様子だ。

 

『あはは…凄い数ですね』

 

『百の軍勢とか、あり得ないでしょ!?』

 

『いやぁ、大変な事になっちゃったねぇ〜』

 

『レイヴン、私たちもこっちが終わったらすぐに──』

 

対策委員会の面々も、諦める気は無さそうだ。

 

だが──。

 

「みんな、逃げてくれ」

 

シロコの言葉を区切り、端的に、簡潔に、要望を告げた。

 

****************************

 

銀行の外で、マーケットガードを迎撃する手筈となっている便利屋は、しかし、一向に敵が現れず、暇を持て余していた。

 

「全然敵来ないねーアルちゃーん」

 

暇を持て余し、ムツキなどはその辺の電柱でクルクルと回って遊んでいた。

 

「レイヴンだけで殆んど倒しちゃってるのかもね」

 

「彼女ならあり得なくはないわね。それでも、やけに静かだけど」

 

アルは銃を構えたまま、ただ静かに道路の奥へと視線を向けている。

 

するとそこへ、ハルカが合流する。

 

「あ、あの、アル様、言われた通り、爆弾を設置して来ました…!」

 

「ハルカ、ありがとう。ご苦労様」

 

「待つだけじゃつまんなーい!」

 

「ムツキ室長、待つのも迎撃作戦の大切な──」

 

すると、そこでアルに着信が届く。

 

予定では、あらゆる作戦上の連絡はカヨコに行くことになっている。

 

そんな中、アルに届くという事は、何か想定外の事態が発生したということになる。

 

『陸八魔、簡潔に状況を伝える。今、百を超えるマーケットガードの軍勢が迫って来ている。これは、私の想定外の事態。私の事前調査の甘さが招いた失態だ。報酬はなんとか工面する。連中も私がどうにか時間を稼ぐ。だから今は仲間を連れて逃げろ。以上だ』

 

「は!?えっ?百!?何言って…ちょっと待ちなさ──」

 

アルが口を挟むより早く、レイヴンは通話を切ってしまった。

 

「社長?どうしたの?今の電話、レイヴンからだよね?」

 

カヨコが聞くが、アルは通話が切れた携帯端末を握り締めたまま、わなわなと震える。

 

「──カヨコ課長、ムツキ室長、ハルカ…今、こっちに百を超えるマーケットガードの軍勢が向かって来ているそうよ」

 

アルは誰にも目を合わせず、ただ真っ直ぐ前を向いたまま、静かに告げる。

 

「ひゃ、100!?」

 

ムツキがその数の多さに、驚きの声をあげる。

 

「…それで、レイヴンは何て?」

 

カヨコはあくまでも冷静に、追加の情報を求める。

 

「…報酬は工面するし、時間稼ぎもするから逃げろ、だそうよ。この失態は、自分の事前調査が甘かったからだ、って…」

 

その言葉に、カヨコは額に手を当てる。

 

「それで、社長──アルはどうしたいの?」

 

「──そんなの、決まってるでしょ」

 

アルは、俯いていた顔を上げ、上着の裾を翻し、宣言する。

 

「百の軍勢だか何だか知らないけど、そんなもので我が身かわいさにオメオメと逃げ帰るような、そんな甘ったれた私たちじゃないって、舐め切ったレイヴンのヤツに知らしめるのよっ!!」

 

アルは、このブラックマーケットの何処かに居るだろうレイヴンに向かって、鋭い視線を向ける。

 

「私たちは便利屋68!ハードボイルドを信念とする、金さえ貰えれば何でもやるアウトロー!何もやらずに金だけ貰うなんて、そんなの私たちには出来ないわ!!行くわよ!ハルカ!ムツキ!カヨコ!」

 

レイヴンの元へと加勢するべく、アルを先頭に便利屋は歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんて啖呵切ったはいいけど、百に軍勢とかどうしたら良いのー!?)

 

((とか今頃思ってるんだろうなぁ…)くふふ♪)

 

カヨコとムツキは、それなりに長い付き合いである為、アルの内心を完全に見透かしていた。

 

「さすがです!アル様!カッコ良いです!!」

 

「ふふふ…当然でしょ…」

 

ハルカには、薄らとアルの頬を伝う冷や汗が見えていなかった。

 

****************************

 

一方、覆面水着団と先生もまた、便利屋68と同じ要求をレイヴンに受けていた。

 

「あぁッ!もう!何考えてんのよアイツは!!」

 

目の前のマーケットガードを怒りを込めてセリカは蹴り飛ばす。

 

「こればっかりは私も同意見だね。幾らレイヴンちゃんが強いとは言え、流石に百の軍勢を相手するのは、弾薬面でもスタミナ面でも厳しいよ〜」

 

口調は相変わらずだが、ホシノの動きは明らかにキレを増していた。

 

銃弾を受け止めるのではなく受け流し、胸元に潜り込むと、至近距離から散弾をぶっ放し、更に怯んだところへ蹴りを叩き込む。

 

「ん!早くここを制圧してレイヴンの加勢に向かう!!」

 

飛び交う銃弾を見切って躱し、一気に距離を詰めたシロコは、蹴りで銃を叩き落とし、更に追撃の蹴りで仰け反らせ、そこに銃弾を叩き込む。

 

『[“そうだね。先ずはこの銀行内部の制圧が優先だね。こっちが中途半端になると、加勢に行っても挟み撃ちに遭う可能性があるからね…!”]』

 

口ではそうは言いつつも、明らかに先生にはインカム越しでも焦りが窺え、それを必死に抑えているように思えた。

 

「そう言えば、外にはレイヴンさんとは別に、お手伝いの傭兵さんがいらっしゃるんですよね?その人たちはどうしたんでしょう…」

 

先生の身辺警護の為に一階に残ったヒフミとノノミは、あぶれた分のマーケットガードは全て、撃破し、周囲の警戒に当たっていた。

 

「そう言えば確かにそうですね。アカ──イエローちゃん、そのあたりどうなんでしょう?」

 

ノノミの質問に、アヤネはすぐには答えず、意を決したように間を置いて話し始めた。

 

『すみません、実は、皆さんに隠していたことがありまして…。作戦中の皆さんを混乱させてしまうかと思って言っていなかったのですがーー』

『実は、レイヴンが雇っていた人たちは、便利屋68だったんです』

 

先生とアヤネの状況確認時のやり取りは、先程のレイヴンがやったようなオープン回線ではなく、ボタンを押している間だけ、互いに音が聞こえる仕様での会話だった。

 

だから、ノノミもセリカもシロコもホシノも、外に便利屋が居ることは知らなかった。

 

「はぁッ!?」

 

驚きの声と共に、アヤネは蹴りをマーケットガードに叩き込む。

 

『[“ごめん、アヤネだけじゃなく、私も知っていて黙っていた。レイヴンに口止めされてたっていうのもあるけど、私も自分の意思で黙っていた”]』

『[“それと、これは私の勝手な我が儘なんだけど、どうかレイヴンを責めないであげて欲しい。彼女は彼女なりに、みんなに気を遣っての事だろうから”]』

 

便利屋68、彼女たちもまた、アビドス高校を襲撃した者たちだ。

その者たちが参加すると聞いたら、レイヴンは対策委員会が嫌な思いをするだろうと考え、教えなかったのではないか、と言うのが先生の見解だ。

 

『…でも、レイヴンちゃんらしいと言えば、レイヴンちゃんらしいですね』

 

ノノミが納得したように小さく溢す。

 

あるものは全て使う、利用できるものは、例え元敵だったとしても利用する。

実にレイヴンらしい。

 

「…ズルいわよ、先生。そんなこと言われたら、私たち何も言えないじゃない…!」

 

セリカは悔しさを堪えるように拳を握る。

 

「まあ、でも良いわ。アヤ──イエローちゃんも、先生も、許してあげる。でも!レイヴンのヤツは文句言って一回は殴らないと気が済まない!だからみんな!こんなところさっさと制圧して、イヴのところに行くわよ!!」

 

握り締めた拳をオートマタの顔面に叩き込み、叩き伏せる。

 

「うへぇ〜、セリ──レッドちゃんは元気だねぇ〜。若いやつには付いて行けんな〜」

 

「年の差ほぼ無いでしょ!!」

 

「レッドの言う通り。百の軍勢とか何とか知ったこっちゃない。真っ直ぐ行って、ぶっ飛ばすだけ」

 

『はい!レイヴンちゃんをみんなで助けましょう〜☆』

 

『あうぅ〜!もうどうにでもなれ!ですぅ〜!!』

 

「おっ、さすが我らがファウストちゃん、やる気満々だね〜」

 

「ん、ファウストも百の軍勢を潰す気満々」

 

『リーダーなだけはありますね!ファウストさん☆』

 

『[“いよっ!ファウスト!!”]』

 

『あぅう〜!?なんで皆さん一気に私を持ち上げるんですかぁ〜!?それにリーダーってなんですか!?初耳なんですけど!?』

 

「こら、みんな!ファウストが困ってるでしょうが!!」

 

『あははは…』




便利屋も覆面水着団もレイヴンの言葉に抵抗する意思を見せ、行動するようですね

そして、ファウストさんもリーダーに祭り上げられたところで、次回に続きます

そろそろレイヴンの蹂躙シーンも描きたいですね〜
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