レイヴンの目覚め
何やら騒がしい
そう言えば、エルデンDLCの発売が近付いてますね
作者も発売後はプレイしようと思うので、きっと更新が止まると思いますが、どうかご容赦ください
騒ぎを察知したのは、イヴとカヨコだけではなかった。
アビドス高校のホシノを抜いた対策委員会と先生もまた、騒ぎを検知していた。
その騒ぎは、イヴが入院していた病院だけの話ではなかった。
病院のあるアビドス市街地全体が、襲撃を受けていた。
その襲撃者とは、カイザーPMCのオートマタを筆頭とした兵器群。
それらが、平然とアビドス市街地の住人や建物へと攻撃していた。
混乱し、逃げ惑う人波を掻き分け、シロコとセリカが市街地を駆け抜ける。
「あぁっ!もう!今度は何してくれてんのよ!カイザーの連中はっ!!」
怒り狂いながら、セリカはその手のアサルトライフルを掃射する。
さほど、耐久は無いようで、オートマタ達はセリカの銃撃の前に続々と倒れて行く。
「セリカ、こいつらは任せて良い?私は、アレを落とす」
シロコが視線を向ける先には、戦車があった。
「うん!任せて!シロコ先輩!」
PMCオートマタの銃撃を遮蔽で防ぎながら、セリカは了承する。
シロコは頷き返して飛び出す。
そこへ、PMCオートマタの射撃が向くが、すぐに横からのセリカの銃弾により、沈黙する。
戦車の主砲がシロコに狙いを定め、砲撃するがシロコは軌道を見極めて砲弾の横をすり抜け、戦車へと距離を詰める。
戦車の下に手榴弾を転がし、シロコは戦車を足場に跳躍すると、空中で真下の戦車に狙いを定める。
直後、手榴弾の爆発で戦車が浮き上がり、同時に真上からの銃撃を見舞う。
爆発の衝撃が真下から内部へとダメージを与え、無数の弾丸が天板を穿ち、戦車は黒煙を上げて動きを止める。
戦車の上に着地したシロコに、周囲のPMCオートマタやドローンの銃口が向くが、シロコの背後からの銃撃がそれらを薙ぎ払う。
「シロコ先輩!大丈夫!?」
「シロコちゃん!お待たせしました!」
『シロコ先輩、セリカちゃん!遅くなりました!』
セリカの援護射撃に加え、合流したノノミの掃射によるものだった。
インカムからもアヤネの声が届く。
『こちらは先生と一緒に、位置に着いてます!何かあっても私が先生を守ります!』
『[“うん、だからこっちは気にせず、みんなは目の前の敵に集中して欲しい”]』
先生はアヤネと共に、援護と指揮を執る。
そういう手筈だ。
「敵、ね…全く、こんな大変な時に…!」
セリカは心底から忌々しそうに、目の前のPMC兵器群を睨み付ける。
よりによって、ホシノが居ない、こんな状況で──いや、こんな状況だからこそ?
「これは一体、どう言う事なんでしょう?カイザーがこんな、強硬策に出るなんて…」
ノノミは困惑しながらも、銃を構える。
セリカの怒りも、ノノミの困惑もシロコは理解できる。
だが、シロコはこの現状に違和感を覚えていた。
ホシノが居ないこの状況は、確かにカイザーからしてみれば、攻め入るチャンスかもしれない。
だが、今、カイザーは先のPMC理事の事件の影響で悪い意味で世間の興味を集めている。
そんな時に、こんな騒動を好んで引き起こすだろうか?
「何にせよ、あいつらの好きにはさせない…!全て倒す…!」
シロコが結論を出し、銃を構え、兵器軍団へと駆け出した。
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病院を飛び出した私とカヨコは、周囲の建物や人々を攻撃するカイザーPMCのオートマタ軍団を目にする。
「カイザー!?なんでこんなことを…!?」
カヨコも驚愕し、困惑している様子だ。
私たちは一先ず、目に付いたオートマタやドローンを撃墜して行く。
ヤケに脆い。
「…カヨコ、便利屋の連中は?」
襲撃の規模が街全体に及んでいる場合、私たちだけでは鎮圧は厳しい。
より正確には、鎮圧出来ても、時間がかかり過ぎてしまう。
人手が必要だ。
「さっき連絡した。すぐにこっちに来てくれるだろうけど、少し時間がかかると思う」
ハンドガンでドローンを撃ち落としながら、カヨコは私の質問に答える。
それまでは、街全域に広がったと思われるカイザーPMC兵器群をどうにか私たちで殲滅して行くしかないと言うことか。
私とカヨコは、病院前の兵器群を取り敢えず殲滅し終え、次の場所へと向かう。
その道中で一旦、私とカヨコは二手に分かれた。
・・・
つまり、何らかの裏の思惑があるにせよ、本来は本社の許可が無い限りは、武力の運用は出来ないようになっている。
そして、そのカイザー本社は、先のPMC理事の事件によって注目を集めており、下手な行動はできない。
だからこそ、何者も兵や兵器の取り扱いはもちろん、持ち運びすらも許されない状況になっている。
──なっている…
私は病室での着替えの後、携帯端末のメッセージやメールボックスを確認した。
その中に、一つ気になるモノがあった。
私──レイヴン宛の
届いたのはほんの数時間前。
『シャーレ直属特務戦闘員レイヴン、先のブラックマーケット闇銀行襲撃の遂行、見事なものでした。
こちらの手違いで不測の事態にも関わらず、貴女は依頼を達成した。
その腕を見込んで、緊急の依頼を受けて貰いたい。
先日、我が傘下のPMC理事が行方を眩まし、指名手配となった事件は記憶に新しいが、その後、カイザーPMCそのものは、本社の管理下に置かれ、然るべき責任者が決定するまでは運営を停止し、あらゆる運用を禁止されていた。それは当然、人員も、兵器類についても、です。
しかし、今朝、各地のPMC兵器廠から一晩で兵器群が姿を消した、との情報が入り、確認したところ、昨日までは一機の漏れなく、格納・管理されていた兵器群が、全て無くなっていたのです。
調査したところ、何者かが忍び込んで運び出した訳ではありませんでした。
当然です、今はカイザーに向けられる世間からの目は厳しい。
下手なことを行えば、カイザーの信用はガタ落ちですから、厳重な警備の元、管理していました。
ですが、事実とは奇しくも、時に現実的でないことを巻き起こすものです。
信じられないことと思いますが、どうか信じて頂きたい。
兵器廠の監視カメラに映っていたのは、自ずから動き出し、工廠から出て行く兵器群の姿でした。
貴女には、どうか事が起こる前に、兵器の行方を特定し、可能であれば、全て破壊して頂きたい』
どうやら、カイザー側にとっても、由々しき事態が起こっているようだ。
姿を消したカイザーPMCの兵器群、そして今、目の前でアビドスの街を破壊し尽くそうとしているPMCの兵器軍団。
間違いなく、無関係ではないだろう。
カイザー本社の努力空しく、既に事は起きてしまっているが、最終的にやる事は変わらない。
取り敢えず、此処がアビドス自治区である以上、対策委員会も黙ってはいないだろう。
ホシノが居なくなって大変な時だが、シロコ達に助けを求めよう。
次の兵器群が群れている場所へと向かう最中、私はアビドスの通話に混ざろうとコートのポケットから先生に貰ったインカムを取り出す。
その直後、私は背後に気配を感じた。
弾かれたように振り向いた先。
歩道橋の上に、見知った姿があった。
桃色の長髪を靡かせるその姿は間違いなく、小鳥遊ホシノ、本人だった。
私とホシノの目が合う。
「ぁ…あちゃあ…イヴちゃん起きちゃってたのかぁ…参ったなぁ…」
いつも肌身離さず持ち歩いていたシールドを持たず、髪も纏めてポニーテールにしているが、間違いない。
私は歩道橋の上のホシノを見詰める。
「あ、あはは〜…やぁ、イヴちゃん、もう体は大丈夫なのかな?取り敢えず元気そうで良かったよ〜」
ホシノはいつもと変わらない様子のまま、ヒラヒラと手を振る。
「ホシノ…あの手紙は本当なの…?」
私の言葉に、ホシノは顔に陰を落とす。
「…うん、本当だよ。私は、アビドスを辞めた。今はカイザーの雇われ兵士。あはは…ちょっとイヴちゃんに似てるかな?」
ホシノは落ち着いた声色で話す。
「…なんで、今ここに?」
何故ホシノは、カイザーの雇われでありながら、今この場所にいるのか。
「あれ、目を覚ました後、カイザーからの依頼、見てない?今のこの状況、どうやらカイザーからも緊急事態みたいでさ。散々、苦しめられた私からすればザマァみろって感じなんだけど、雇われだから言うこと聞くしかなくってね。この場の兵器の破壊に駆り出されたんだよ。イヴちゃん──レイヴンにも依頼を出したって聞いたけど」
どうやら、カイザーに雇われたホシノが言うからには、あの依頼の内容は本当の事らしい。
思わぬ形で裏が取れたが、あまり気分が良いものではない。
「…うん、その通りだよ」
私は、カイザーの依頼に目を通し、この場にいることを肯定する。
「そっか…じゃあ、
ホシノは歩道橋から飛び降り、私に近付く。
「この辺は任せたよ。私は、向こうの方を片付けて来るから」
ホシノが私の横を通り過ぎて去って行く。
「…ホシノ」
その背中に、私は背中を向けたままの状態で声を掛ける。
ホシノの足音が止まる。
「それが、ホシノの選択か?」
私の問いにホシノはすぐには答えず。
「…うん、そうだよ」
静かに、穏やかにホシノは答えた。
「…その結果、誰かが悲しむとしても?」
私はアビドスの面々の顔を思い浮かべる。
「…これが、きっと良い答えに繋がるから」
何処か、諦めたような、何かを堪えているような言葉。
私は、ホシノの手紙の内容を思い出す。
『やっほー、イヴちゃん。
この手紙を見てるってことは、元気になったのかな?
ごめんね、私たちの為に戦ってくれて。
傷付いて倒れても、守ってくれて、ありがとう。
少しでも早い復帰を祈ってるよ。
急な話ではあるんだけど、私は、アビドスを辞めることにしました。
こんな形での報告になっちゃってごめんね。
意外かもしれないけど、前々からカイザーからスカウトが来ててね、中々、踏ん切りが付かなかったんだけど、イヴちゃんを見てたら、私も頑張んなきゃって思って、決心したんだ。
もしかしたら、この先、何処かで一緒に戦うことがあるかもしれない。
味方か、或いは、敵として。
その時は、イヴちゃんなら心配いらないと思うけど、容赦はいらないからね。
全力で私と戦って欲しい。
それと、話は変わるけど、シロコちゃんをよろしくね。
先生にもお願いしたけど、先生には大人として、イヴちゃんには友達として、シロコちゃんと仲良くしてあげて欲しい。
シロコちゃんは、イヴちゃんのことになると本当に楽しそうなんだ。
あんなシロコちゃんは、私は初めて見たよ。
だから、気が向いたら、シロコちゃんといっぱい、話してあげて。
それから、ノノミちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃんとも仲良くしてあげてね。
みんな、きっとイヴちゃんと、もっと仲良くなりたいって思ってると思うから。
だから、イヴちゃん。
私がいなくなっても、アビドスをよろしくね。
長くなっちゃってごめんね。
きっとびっくりしたよね。
でも、私たちと一緒にアビドスの為に戦ってくれたイヴちゃんには、どうしても伝えておきたかったんだ。
そういう訳だから、イヴちゃん、また、何処かで。
それまで、さようなら。』
私は意を決して振り向き、言葉を投げかけた。
「ホシノには、“まだ”待っててくれる人たちがいる…!きっと、“まだ”やり直せる…!」
私の言葉を受けたホシノは、体半分だけ振り返ると、何処か困ったように、哀しそうに微笑みを浮かべた。
そして、それ以上の私との会話を拒むように走り出し、建物の屋上へと跳躍し、姿を消した。
私は呆然と、ホシノが消えていった建物を眺めていた。
「イヴ…!」
そこへ、二手に分かれていたカヨコが合流する。
「今のって、小鳥遊ホシノ、だよね…?」
どうやら先程の様子はカヨコの目に入っていたようだ。
カヨコの質問に、私は無言で頷く。
「…イヴ、便利屋のみんなは街の近くまで来てるみたい。あと十分もすれば到着すると思う」
きっと、カヨコの連絡で便利屋も急ぎで来てくれたのだろう。
ありがたいと同時に申し訳ない。
「…分かった。ありがとう。それなら、私はカヨコを便利屋の元に送り届けて、その後、アビドスに接触しようと思う」
何処に居るのかは現時点では不明ではあるが、きっと彼女たちも襲撃を聞き付けて兵器達に応戦している筈だ。
先程、連絡しようとしたが、今は一旦、やめておこう。
「…分かった。でも、くれぐれも無茶はしないように」
私は笑顔ではぐらかし、カヨコと共に、破壊されつつある市街を走り抜ける。
その進行方向上に、PMC兵器群の集団を見付ける。
今は急ぎではあるが、優先するべきは少しでも数を減らすこと。
「カヨコ、支援を頼む」
「了解」
私は先陣を切って、兵器軍団に突進する。
オートマタやドローンが気付き、私へと銃撃する。
私は“歯車”を回さないように気を付けながら、銃弾を見切り、躱して行く。
必要な時は、“歯車”も“残り火”も使うつもりではいるが、代償が明確になった以上、必要以上に使いはしない。
あれらは、あくまで切り札であり、最終手段。
だが、それらが無くとも、今の私の出力は、夢の世界での戦闘を経て、向上している。
クイックブーストの要領でステップし、銃撃を振り切りつつ、オートマタへと肉薄すると、左手のショットガンの散弾を叩き込む。
無事なオートマタやドローンが私に銃口を向けるが、そこに背後からカヨコの銃弾が撃ち込まれる。
周囲のオートマタやドローンが次々と撃破されて行く中、私はアサルトライフルを薙ぎ払いつつ飛び退き、着地と同時に再び薙ぎ払う。
軍団の大部分は壊滅し、後はあぶれた残党を処理していく。
そんな中、私は言いしれぬ不安を胸に抱いていた。
嫌な予感、胸騒ぎとでも言うべきか、やたらと兵器たちが脆いことが気になる。
だが、兵器は問題なく撃破されていっている。
どれも、動く様子はない。
ハッキリしない気持ち悪さと気味の悪さを感じながら、私はカヨコと共に便利屋との合流を目指し、進んで行く。
さて、もう当たり前のようになっている不測の事態オンパレードですが、今回はどうなっていくのでしょうね(他人事)
そして、イヴの感じている不安とは一体…
あ、そう言えば、私事ですがこの度、ゲームブルアカにて、神名文字でシロコをお迎えしたことをご報告します
出来ればガチャで出したかったけど…背に腹でした…