ブルーアーカイブ -灰の翼-   作:空素

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あらすじ

レイヴンの目覚め
何やら騒がしい

そう言えば、エルデンDLCの発売が近付いてますね
作者も発売後はプレイしようと思うので、きっと更新が止まると思いますが、どうかご容赦ください


EP-52 市街地を襲う騒乱

騒ぎを察知したのは、イヴとカヨコだけではなかった。

 

アビドス高校のホシノを抜いた対策委員会と先生もまた、騒ぎを検知していた。

 

その騒ぎは、イヴが入院していた病院だけの話ではなかった。

病院のあるアビドス市街地全体が、襲撃を受けていた。

 

その襲撃者とは、カイザーPMCのオートマタを筆頭とした兵器群。

それらが、平然とアビドス市街地の住人や建物へと攻撃していた。

 

混乱し、逃げ惑う人波を掻き分け、シロコとセリカが市街地を駆け抜ける。

 

「あぁっ!もう!今度は何してくれてんのよ!カイザーの連中はっ!!」

 

怒り狂いながら、セリカはその手のアサルトライフルを掃射する。

 

さほど、耐久は無いようで、オートマタ達はセリカの銃撃の前に続々と倒れて行く。

 

「セリカ、こいつらは任せて良い?私は、アレを落とす」

 

シロコが視線を向ける先には、戦車があった。

 

「うん!任せて!シロコ先輩!」

 

PMCオートマタの銃撃を遮蔽で防ぎながら、セリカは了承する。

 

シロコは頷き返して飛び出す。

 

そこへ、PMCオートマタの射撃が向くが、すぐに横からのセリカの銃弾により、沈黙する。

 

戦車の主砲がシロコに狙いを定め、砲撃するがシロコは軌道を見極めて砲弾の横をすり抜け、戦車へと距離を詰める。

 

戦車の下に手榴弾を転がし、シロコは戦車を足場に跳躍すると、空中で真下の戦車に狙いを定める。

 

直後、手榴弾の爆発で戦車が浮き上がり、同時に真上からの銃撃を見舞う。

 

爆発の衝撃が真下から内部へとダメージを与え、無数の弾丸が天板を穿ち、戦車は黒煙を上げて動きを止める。

 

戦車の上に着地したシロコに、周囲のPMCオートマタやドローンの銃口が向くが、シロコの背後からの銃撃がそれらを薙ぎ払う。

 

「シロコ先輩!大丈夫!?」

 

「シロコちゃん!お待たせしました!」

 

『シロコ先輩、セリカちゃん!遅くなりました!』

 

セリカの援護射撃に加え、合流したノノミの掃射によるものだった。

 

インカムからもアヤネの声が届く。

 

『こちらは先生と一緒に、位置に着いてます!何かあっても私が先生を守ります!』

 

『[“うん、だからこっちは気にせず、みんなは目の前の敵に集中して欲しい”]』

 

先生はアヤネと共に、援護と指揮を執る。

そういう手筈だ。

 

「敵、ね…全く、こんな大変な時に…!」

 

セリカは心底から忌々しそうに、目の前のPMC兵器群を睨み付ける。

 

よりによって、ホシノが居ない、こんな状況で──いや、こんな状況だからこそ?

 

「これは一体、どう言う事なんでしょう?カイザーがこんな、強硬策に出るなんて…」

 

ノノミは困惑しながらも、銃を構える。

 

セリカの怒りも、ノノミの困惑もシロコは理解できる。

 

だが、シロコはこの現状に違和感を覚えていた。

 

ホシノが居ないこの状況は、確かにカイザーからしてみれば、攻め入るチャンスかもしれない。

だが、今、カイザーは先のPMC理事の事件の影響で悪い意味で世間の興味を集めている。

 

そんな時に、こんな騒動を好んで引き起こすだろうか?

 

「何にせよ、あいつらの好きにはさせない…!全て倒す…!」

 

シロコが結論を出し、銃を構え、兵器軍団へと駆け出した。

 

****************************

 

病院を飛び出した私とカヨコは、周囲の建物や人々を攻撃するカイザーPMCのオートマタ軍団を目にする。

 

「カイザー!?なんでこんなことを…!?」

 

カヨコも驚愕し、困惑している様子だ。

 

私たちは一先ず、目に付いたオートマタやドローンを撃墜して行く。

 

ヤケに脆い。

 

「…カヨコ、便利屋の連中は?」

 

襲撃の規模が街全体に及んでいる場合、私たちだけでは鎮圧は厳しい。

 

より正確には、鎮圧出来ても、時間がかかり過ぎてしまう。

 

人手が必要だ。

 

「さっき連絡した。すぐにこっちに来てくれるだろうけど、少し時間がかかると思う」

 

ハンドガンでドローンを撃ち落としながら、カヨコは私の質問に答える。

 

それまでは、街全域に広がったと思われるカイザーPMC兵器群をどうにか私たちで殲滅して行くしかないと言うことか。

 

私とカヨコは、病院前の兵器群を取り敢えず殲滅し終え、次の場所へと向かう。

 

その道中で一旦、私とカヨコは二手に分かれた。

 

・・・()()()()()()()、カイザーPMCは、前理事が指名手配され、行方を眩ませたことで、一時的にその権利は本社の預かりとなり、次の責任者が決まるまでは、運営停止という扱いになっている。

 

つまり、何らかの裏の思惑があるにせよ、本来は本社の許可が無い限りは、武力の運用は出来ないようになっている。

 

そして、そのカイザー本社は、先のPMC理事の事件によって注目を集めており、下手な行動はできない。

 

だからこそ、何者も兵や兵器の取り扱いはもちろん、持ち運びすらも許されない状況になっている。

 

──なっている…()()()()()

 

私は病室での着替えの後、携帯端末のメッセージやメールボックスを確認した。

 

その中に、一つ気になるモノがあった。

 

私──レイヴン宛の()()()()()()からのメッセージ。

 

届いたのはほんの数時間前。

 

『シャーレ直属特務戦闘員レイヴン、先のブラックマーケット闇銀行襲撃の遂行、見事なものでした。

こちらの手違いで不測の事態にも関わらず、貴女は依頼を達成した。

 

その腕を見込んで、緊急の依頼を受けて貰いたい。

先日、我が傘下のPMC理事が行方を眩まし、指名手配となった事件は記憶に新しいが、その後、カイザーPMCそのものは、本社の管理下に置かれ、然るべき責任者が決定するまでは運営を停止し、あらゆる運用を禁止されていた。それは当然、人員も、兵器類についても、です。

 

しかし、今朝、各地のPMC兵器廠から一晩で兵器群が姿を消した、との情報が入り、確認したところ、昨日までは一機の漏れなく、格納・管理されていた兵器群が、全て無くなっていたのです。

 

調査したところ、何者かが忍び込んで運び出した訳ではありませんでした。

当然です、今はカイザーに向けられる世間からの目は厳しい。

下手なことを行えば、カイザーの信用はガタ落ちですから、厳重な警備の元、管理していました。

 

ですが、事実とは奇しくも、時に現実的でないことを巻き起こすものです。

 

信じられないことと思いますが、どうか信じて頂きたい。

 

兵器廠の監視カメラに映っていたのは、自ずから動き出し、工廠から出て行く兵器群の姿でした。

 

貴女には、どうか事が起こる前に、兵器の行方を特定し、可能であれば、全て破壊して頂きたい』

 

どうやら、カイザー側にとっても、由々しき事態が起こっているようだ。

 

姿を消したカイザーPMCの兵器群、そして今、目の前でアビドスの街を破壊し尽くそうとしているPMCの兵器軍団。

 

間違いなく、無関係ではないだろう。

 

カイザー本社の努力空しく、既に事は起きてしまっているが、最終的にやる事は変わらない。

 

取り敢えず、此処がアビドス自治区である以上、対策委員会も黙ってはいないだろう。

 

ホシノが居なくなって大変な時だが、シロコ達に助けを求めよう。

 

次の兵器群が群れている場所へと向かう最中、私はアビドスの通話に混ざろうとコートのポケットから先生に貰ったインカムを取り出す。

 

その直後、私は背後に気配を感じた。

 

弾かれたように振り向いた先。

 

歩道橋の上に、見知った姿があった。

 

桃色の長髪を靡かせるその姿は間違いなく、小鳥遊ホシノ、本人だった。

 

私とホシノの目が合う。

 

「ぁ…あちゃあ…イヴちゃん起きちゃってたのかぁ…参ったなぁ…」

 

いつも肌身離さず持ち歩いていたシールドを持たず、髪も纏めてポニーテールにしているが、間違いない。

 

私は歩道橋の上のホシノを見詰める。

 

「あ、あはは〜…やぁ、イヴちゃん、もう体は大丈夫なのかな?取り敢えず元気そうで良かったよ〜」

 

ホシノはいつもと変わらない様子のまま、ヒラヒラと手を振る。

 

「ホシノ…あの手紙は本当なの…?」

 

私の言葉に、ホシノは顔に陰を落とす。

 

「…うん、本当だよ。私は、アビドスを辞めた。今はカイザーの雇われ兵士。あはは…ちょっとイヴちゃんに似てるかな?」

 

ホシノは落ち着いた声色で話す。

 

「…なんで、今ここに?」

 

何故ホシノは、カイザーの雇われでありながら、今この場所にいるのか。

 

「あれ、目を覚ました後、カイザーからの依頼、見てない?今のこの状況、どうやらカイザーからも緊急事態みたいでさ。散々、苦しめられた私からすればザマァみろって感じなんだけど、雇われだから言うこと聞くしかなくってね。この場の兵器の破壊に駆り出されたんだよ。イヴちゃん──レイヴンにも依頼を出したって聞いたけど」

 

どうやら、カイザーに雇われたホシノが言うからには、あの依頼の内容は本当の事らしい。

 

思わぬ形で裏が取れたが、あまり気分が良いものではない。

 

「…うん、その通りだよ」

 

私は、カイザーの依頼に目を通し、この場にいることを肯定する。

 

「そっか…じゃあ、()()は、お仲間って事だね!それなら──」

 

ホシノは歩道橋から飛び降り、私に近付く。

 

「この辺は任せたよ。私は、向こうの方を片付けて来るから」

 

ホシノが私の横を通り過ぎて去って行く。

 

「…ホシノ」

 

その背中に、私は背中を向けたままの状態で声を掛ける。

 

ホシノの足音が止まる。

 

「それが、ホシノの選択か?」

 

私の問いにホシノはすぐには答えず。

 

「…うん、そうだよ」

 

静かに、穏やかにホシノは答えた。

 

「…その結果、誰かが悲しむとしても?」

 

私はアビドスの面々の顔を思い浮かべる。

 

「…これが、きっと良い答えに繋がるから」

 

何処か、諦めたような、何かを堪えているような言葉。

 

私は、ホシノの手紙の内容を思い出す。

 

『やっほー、イヴちゃん。

この手紙を見てるってことは、元気になったのかな?

ごめんね、私たちの為に戦ってくれて。

傷付いて倒れても、守ってくれて、ありがとう。

少しでも早い復帰を祈ってるよ。

急な話ではあるんだけど、私は、アビドスを辞めることにしました。

こんな形での報告になっちゃってごめんね。

意外かもしれないけど、前々からカイザーからスカウトが来ててね、中々、踏ん切りが付かなかったんだけど、イヴちゃんを見てたら、私も頑張んなきゃって思って、決心したんだ。

もしかしたら、この先、何処かで一緒に戦うことがあるかもしれない。

味方か、或いは、敵として。

その時は、イヴちゃんなら心配いらないと思うけど、容赦はいらないからね。

全力で私と戦って欲しい。

それと、話は変わるけど、シロコちゃんをよろしくね。

先生にもお願いしたけど、先生には大人として、イヴちゃんには友達として、シロコちゃんと仲良くしてあげて欲しい。

シロコちゃんは、イヴちゃんのことになると本当に楽しそうなんだ。

あんなシロコちゃんは、私は初めて見たよ。

だから、気が向いたら、シロコちゃんといっぱい、話してあげて。

それから、ノノミちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃんとも仲良くしてあげてね。

みんな、きっとイヴちゃんと、もっと仲良くなりたいって思ってると思うから。

だから、イヴちゃん。

私がいなくなっても、アビドスをよろしくね。

長くなっちゃってごめんね。

きっとびっくりしたよね。

でも、私たちと一緒にアビドスの為に戦ってくれたイヴちゃんには、どうしても伝えておきたかったんだ。

そういう訳だから、イヴちゃん、また、何処かで。

それまで、さようなら。』

 

私は意を決して振り向き、言葉を投げかけた。

 

「ホシノには、“まだ”待っててくれる人たちがいる…!きっと、“まだ”やり直せる…!」

 

私の言葉を受けたホシノは、体半分だけ振り返ると、何処か困ったように、哀しそうに微笑みを浮かべた。

 

そして、それ以上の私との会話を拒むように走り出し、建物の屋上へと跳躍し、姿を消した。

 

私は呆然と、ホシノが消えていった建物を眺めていた。

 

「イヴ…!」

 

そこへ、二手に分かれていたカヨコが合流する。

 

「今のって、小鳥遊ホシノ、だよね…?」

 

どうやら先程の様子はカヨコの目に入っていたようだ。

 

カヨコの質問に、私は無言で頷く。

 

「…イヴ、便利屋のみんなは街の近くまで来てるみたい。あと十分もすれば到着すると思う」

 

きっと、カヨコの連絡で便利屋も急ぎで来てくれたのだろう。

 

ありがたいと同時に申し訳ない。

 

「…分かった。ありがとう。それなら、私はカヨコを便利屋の元に送り届けて、その後、アビドスに接触しようと思う」

 

何処に居るのかは現時点では不明ではあるが、きっと彼女たちも襲撃を聞き付けて兵器達に応戦している筈だ。

 

先程、連絡しようとしたが、今は一旦、やめておこう。

 

「…分かった。でも、くれぐれも無茶はしないように」

 

私は笑顔ではぐらかし、カヨコと共に、破壊されつつある市街を走り抜ける。

 

その進行方向上に、PMC兵器群の集団を見付ける。

 

今は急ぎではあるが、優先するべきは少しでも数を減らすこと。

 

「カヨコ、支援を頼む」

 

「了解」

 

私は先陣を切って、兵器軍団に突進する。

 

オートマタやドローンが気付き、私へと銃撃する。

 

私は“歯車”を回さないように気を付けながら、銃弾を見切り、躱して行く。

 

必要な時は、“歯車”も“残り火”も使うつもりではいるが、代償が明確になった以上、必要以上に使いはしない。

 

あれらは、あくまで切り札であり、最終手段。

 

だが、それらが無くとも、今の私の出力は、夢の世界での戦闘を経て、向上している。

 

クイックブーストの要領でステップし、銃撃を振り切りつつ、オートマタへと肉薄すると、左手のショットガンの散弾を叩き込む。

 

無事なオートマタやドローンが私に銃口を向けるが、そこに背後からカヨコの銃弾が撃ち込まれる。

 

周囲のオートマタやドローンが次々と撃破されて行く中、私はアサルトライフルを薙ぎ払いつつ飛び退き、着地と同時に再び薙ぎ払う。

 

軍団の大部分は壊滅し、後はあぶれた残党を処理していく。

 

そんな中、私は言いしれぬ不安を胸に抱いていた。

 

嫌な予感、胸騒ぎとでも言うべきか、やたらと兵器たちが脆いことが気になる。

 

だが、兵器は問題なく撃破されていっている。

 

どれも、動く様子はない。

 

ハッキリしない気持ち悪さと気味の悪さを感じながら、私はカヨコと共に便利屋との合流を目指し、進んで行く。




さて、もう当たり前のようになっている不測の事態オンパレードですが、今回はどうなっていくのでしょうね(他人事)

そして、イヴの感じている不安とは一体…

あ、そう言えば、私事ですがこの度、ゲームブルアカにて、神名文字でシロコをお迎えしたことをご報告します

出来ればガチャで出したかったけど…背に腹でした…
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