ブルーアーカイブ -灰の翼-   作:空素

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あらすじ

アビドスに便利屋合流
エ駄死

ボス戦です


EP-56 コーラル侵食クルセイダー撃破

私の攻撃によって、クルセイダーは小爆発に包まれる。

 

クルセイダーは事前のアヤネからの情報通り、コーラルに侵食されている為か、私のヘイローの光で強化された銃の攻撃が特効効果を齎し、小爆発を起こすようだ。

 

「イヴ!それに便利屋68!」

 

私たちの合流に、セリカが安堵の表情を浮かべる。

 

「ナイスタイミングです!イヴちゃん!」

 

セリカ、ノノミ、シロコの状態は、あまり芳しくない。

 

どうやら、かなり切羽詰まった状態だったようだ。

 

コーラルの侵食を受けた兵器は、耐久性が上がると同時に、攻撃の威力も高まる。

 

周囲を見渡せば、無残に抉られた地面が見て取れる。

 

推定、クルセイダーの大技である広範囲砲撃の爪痕だろう。

 

三人はどうにか回避出来たようだが、今後は同じように行くか分からない。

 

便利屋の連中にもクルセイダー戦における注意事項をある程度、事前に説明はしてあるが、理解しているからと言って、全てが上手くいく訳ではない。

 

「簡潔に伝える。私の攻撃は奴に特効レベルでダメージを与えられる。アイツの正面で私が囮になる。みんなは側面や背後から叩いてくれ。便利屋には全部説明してある」

 

私は取り付けたインカムからアビドス組に説明する。

 

『良く分かんないけど了解!』

 

『はい!お任せしますね!イヴちゃん!』

 

この中では、恐らくこいつの行動を一番、把握しているのは私だ。

 

私がこいつの攻撃を捌きつつ、みんなの攻撃の隙を作る。

 

『分かった。よろしくね、“戦友”』

 

シロコがインカム越しに了承の意を伝えてくれる。

 

“戦友”、か。

 

ちょっとした気の迷いによる失言だったが、シロコはそれを信じ、そうあろうとしてくれる想いを感じる。

 

こちらに、歩み寄ろうとしてくれている。

 

ならば、私もその想いに応えるべきなのではないだろうか。

 

例え、全てを理解し合える事ができなくても、せめて、共に戦う中だけでも、友であろうとするべきではないか。

 

「…うん、任せてくれ、“戦友”」

 

思えば、ルビコンに於けるラスティも、そうやって距離を詰めて、私を理解しようとしてくれていたのではないだろうか。

 

ラスティは、初めて敵対した時、コーラルの集積地に至る前の暗い地の底で、私の背景が見えないと言っていた。

 

彼はきっと、私の背後にあるものを見ようとしていたのかもしれない。

 

最初は、打算があったかもしれない。

 

恐らく、企みもあったのかもしれない。

 

今となっては知る術は無いが、それでも彼は、やがて本心から、私のことを“戦友”と呼んでくれるようになっていたのではないだろうか。

 

きっと、そうなのだと、祈っても良いかな?

 

私の最初の戦友、ラスティ。

 

『ちょっとちょっとー!私たちは蚊帳の外!?』

 

そこに辛抱堪らんと割り込んできたのはセリカだった。

 

『そうです!私たちだって、イヴちゃんのことは大切なお友達だと思ってるんですからね!!』

 

まるで頬を膨らませている様子が想像できるように、ノノミも便乗して来る。

 

『私も居ますよ!イヴちゃん!皆さん含めて、しっかりサポートしますよ!』

 

アヤネも流れに乗り、自らを主張して来る。

 

その様子が、何だか可笑しくて、面白くて。

 

私は小さく噴き出した。

 

「ふふっ…うん、ごめん。ありがとう、セリカ、ノノミ、アヤネ。それから、先生も」

 

アビドスのみんなは、やはり温かい。

 

優しさに溢れている。

 

だからこそ、改めて思う。

 

ホシノの居場所は此処なのだと。

 

ホシノは、此処に居るべきなのだと。

 

『[“ありがとう、イヴ”]』

『[“私は先生だから、みんなとは違う立場だけど、ちゃんとイヴを見てるし、支えるよ”]』

 

『[“──だから、一人で抱え込まないでね”]』

 

まるで今の私の内心を見透かすような言葉。

 

ホシノの一件もあるのだろう。

 

先生は優しい声色で、だが、厳しく、釘を刺してくる。

 

「…うん」

 

何が何でも、私はホシノをこの場所に連れ戻す。

 

ホシノ自身が望んでいなくても関係ない。

 

カイザーが何を企んでいようと関係ない。

 

邪魔をするのなら、私は“全力”を出してでも、ホシノを奪い返す。

 

それが、私の“答え”だ。

 

その為に、まずは目の前の粗大ゴミの塊を片付ける。

 

コーラルも、残らず焼き尽くし、滅ぼす。

 

それが今、私が為すべき事だ。

 

挨拶代わりに蹴りと全武器での銃撃を一挙に浴びせたからか、それとも私のヘイローで強化された銃による攻撃の特効ダメージに危機感を覚えてか、コーラル汚染クルセイダーは私に向きを定める。

 

砲塔が私を向き、砲撃が放たれる前に駆け出した。

 

私の背後で地面が吹き飛ぶ。

 

ただでさえ強力なクルセイダーの砲撃が、コーラルによって強化されていることを考えれば、私では直撃したらただでは済まないだろう。

 

繰り返しになるが、従来のコーラルには、例え兵器を汚染したとしても、攻撃力や耐久力を上げるような効果は無い。

 

そんな効果があれば、ルビコンに於けるコーラル争奪戦に於いて、どの勢力もコーラルを己の武器に付与して使っていたことだろう。

 

C兵器の必要性も薄れる。

 

いや、あれは変態科学者集団の研究成果だから、どの道、生み出されてはいたと思うが。

 

それはさておくとして。

 

何故、このような効果を持つに至ったか、経緯は分からない。

 

しかし、実際にその効果を目にしている以上は、それに対応して動かなければならない。

 

それに、確かに攻撃力と耐久力の上昇は厄介ではあるが、同時にコーラル故の弱点も生じている。

 

私のヘイローの光による銃の強化──《共鳴の幻視》と名付けるとしよう。

 

《共鳴の幻視》は、元はただ、銃の持つ特性を強化するに過ぎない効果だった。

 

特定の銃が持つ、“爆発性”や“貫通性”の効果を引き上げる効果に過ぎなかったが、コーラルを前にして、その隠された効果が判明した。

 

それとも、元々は無かったが、コーラルに反応して効果が追加されたか。

 

何にせよ、コーラルに対して、より有効なダメージを与えることが出来るようになった。

 

《共鳴の幻視》によって強化された銃弾は、コーラルに侵食された対象に直撃すると同時に、かつてのC兵器の撃破時の爆発を小規模にしたような小爆発を起こす。

 

銃弾一つにつき小爆破一つである為、ショットガンやアサルトライフルの銃撃の場合、無数の小爆発が発生することになる。

 

これにより、攻撃力は兎も角、耐久性の面では、コーラル侵食兵器に対して、大ダメージどころか致命的ダメージを与える事ができ、優位を取れる。

 

先ずはこれが一つ。

 

二つ目が、私の共鳴の幻視のコーラル特効効果が無くても、ダメージを蓄積させる事で、ある種の許容限界により自爆させられること。

 

自爆と言っても、それで倒せる訳では無いが、有効的ダメージは与える事ができる。

 

何より、自爆はより内部的な部分からの爆発である為、手足の部位欠損や首や胴体の致命的欠損に繋がる。

 

コーラル侵食兵器は、どういう訳か、念入りに破壊しないと、五体満足状態では動き出してしまう。

 

恐らく、侵食したコーラルが根っこのようなものを張り、そこからエネルギーを供給して無理矢理、動かしているものと思われるが、そこを断たないと、まるで殺しても殺しても蘇る不死の怪物のように動き続ける。

 

その不死を断つのが、私の《共鳴の幻視》と、ダメージ蓄積による自爆だ。

 

砲撃が当たらない至近距離に潜り込み、SGを浴びせる。

 

真紅の光の尾を引く散弾が放たれ、クルセイダーに直撃すると同時に、弾丸の一つ一つが、コーラルに反応したかのように爆発し、火の花を咲かせる。

 

砲撃が止んだタイミングで、私は空かさずARの薙ぎ払い飛び退き回避によって攻撃しつつも距離を離す。

 

近距離に居ては、クルセイダーは恐らく私を振り払う為に突進しまくるようになってしまうだろう。

 

それでは、他のみんなが攻撃し辛くなってしまう。

 

だからこそ、クルセイダーには出来るだけ、私を狙い続ける固定砲台になってもらう。

 

薙ぎ払い飛び退き回避による銃撃は二段構え。

 

最初に薙ぎ払って飛び退き、着地と同時に、再び正面を薙ぎ払う。

 

そして、左手のSGをSRに切り替え、狙撃する。

 

さて、この後、クルセイダーが突進を選ぶか、砲撃を選ぶか、だが、キャタピラが高速回転し、私は突進を悟る。

 

『突進攻撃です!皆さん!レイヴン狙いの突進に巻き込まれないようにしてください!ドリフトにも警戒を!』

 

インカムを付けた者が全員、状況を把握出来るように、アヤネが叫ぶ。

 

直線の突進攻撃ではあるが、ドリフトして連続使用して来ることもある為、万が一、往復で轢かれかねない。

 

「便利屋!私狙いの突進に巻き込まれないように!」

 

インカムを持っていない便利屋には、私が叫んで伝える。

 

「オーケー!みんな!巻き込まれるんじゃないわよ!!」

 

アルが応答してくれて、他のメンバーにも、恐らく聴こえているだろうが、確認の意味も込めて、叫ぶ。

 

「オッケー!」

 

「了解…!」

 

「わ、分かりました…!」

 

ムツキ、カヨコ、ハルカが了承した直後、クルセイダーが疾走する。

 

真っ直ぐ、私目掛けて突っ込んで来る、その巨体を前方宙返りでクルセイダーの真上を通り過ぎるように回避する。

 

空中で体勢を整え、着地した私へと、虚無の空間を突っ切ったクルセイダーがドリフトして再び私に狙いを定める。

 

その隙に私は、SGを一旦、リロードしておく。

 

その直後、再び突っ込んで来たクルセイダーに対し、右斜め前に突っ込むようにステップしつつ、すれ違い様にSGを浴びせる。

 

再び無人の空間を無駄に通過したクルセイダーは、先程と同じようにドリフトしつつ、だが先程とは違い、方向転換と同時に砲撃し、扇状の広範囲に砲撃をばら撒く。

 

それは狙いも砲撃のタイミングも定まっていない、正しく無差別爆撃であり、軌道を読むのは難しい。

 

だが、私には猟犬が付いている。

 

猟犬が、砲撃と砲撃の隙間を嗅ぎ分け、安全地帯を教えてくれる。

 

私はその砲撃の空白地帯に位置取り、それぞれの銃をリロードする。

 

その間に、私へと砲撃するクルセイダーをアビドスと便利屋のメンバーが攻撃する。

 

シロコが手榴弾とARの連射。

 

セリカがARによる狙い撃ち。

 

ノノミがマシンガンによる掃射。

 

アルがSRによる狙撃と付帯する爆発。

 

ムツキが爆弾とMGによる連射。

 

カヨコがハンドガンによる狙撃。

 

ハルカがSGの連射、乱射。

 

必要な一定のダメージを与えたからか、二回程度の自爆による爆発が発生し、クルセイダーの装甲の一部が歪む。

 

しかし、相手はまだまだ元気そうだ。

 

私はクルセイダーの気を引き続けるべく、地を蹴り、ひび割れた地面の上を疾駆するのだった。




因みに、通称《コーラル侵食兵器》の許容限界による自爆に必要なダメージ量は体力(HP)依存でありまして、回数を重ねれば重ねる程、許容限界が低くなり、自爆しやすくなります

逆に言えば、最初の方は自爆しにくい仕様です

イメージとしては、自爆を繰り返して脆くなる程、自爆しやすくなるといった感じですね

自爆ダメージが無いと、イヴの共鳴の幻視以外はマトモにダメージを与えられない(レジスト祭り)ので、多分バランスは取れてると思います
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