ブルーアーカイブ -灰の翼-   作:空素

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あらすじ

黒服暗躍
愉快なお人好し便利屋

アビドス3章のショックに耐えられるか不安です


EP-60 救いの先と戦いの理由

カイザーPMC兵器襲撃の黒幕、元PMC理事が、兵器の出どころであるカイザーPMC前哨基地に潜んでいる可能性が提示されたあと。

 

[“みんな、ここに居るメンバーは非常に頼もしい。けれど、今回の襲撃のような不測の事態もある。だから、私は念には念を入れて、準備は徹底的にするべきだと思うんだ”]

[“そこで、みんなには少しだけ待っていて欲しいんだ。私が思い付いた考えを実行するまでに”]

 

どうやら、元PMC理事との決戦に向けて、先生が備えておきたい準備があるようだ。

 

相手が待ってくれるのか、という危惧もあるが、今回の襲撃でかなりの数の兵器を潰した。

 

元がどれほどの数なのかは不明だが、向こうの戦力にそれなりのダメージは与えたと思いたい。

 

そこから、戦力を揃えるまで、すぐに襲撃して来るようなことは無いだろうと考えられる。

 

「ですが、向こうが先に襲って来る可能性もあるし、ホシノ先輩が独断でカイザーの指示で戦わせる可能性もあるのでは?」

 

確かに、ノノミの言う事は尤もだ。

 

私が先程あげたような、“襲って来ないだろう”という考えは、主観的な楽観的思考だ。

 

また、ホシノがカイザーの駒である以上、その指示で先んじて元PMC理事の元に向かわせる可能性が無いとも言い切れない。

 

[“いや、恐らく、カイザーは私たちより先に、ホシノを元PMCの元には行かせない”]

 

だが、先生は高確率でカイザーはホシノに先行襲撃の依頼は出さないと言い切る。

 

「…なるほど、私たちを利用する可能性が高い、って事ね…」

 

アルが納得しながらも、不愉快そうに溢す。

 

[“うん。アルの言う通り、推定、元PMC理事はアビドスを狙っている。そこから、きっと私たちが反撃すると読んでいるはず。今回の襲撃でも、ホシノがほとんど表立って動かずに、裏方で地道に敵の数を削っていっていた事からもその可能性が高い”]

 

カイザーの本命は恐らく、依頼して来ていることからも私だと思われる。

 

だが、カイザーも今回の襲撃に際し、対策委員会と便利屋が関わっていることは掴んでいるだろう。

 

ならば、この状況を利用する為に、敢えて泳がせている可能性も十分に考えられる。

 

「だから、私たちに便乗してホシノ先輩を動かすってこと!?自分たちの兵器も管理できない連中がホント、舐め切ってるわね!」

 

だからこそ、その状況に腹を立てるセリカの怒りは正当なものであると言える。

 

「でも、だからこそ、カイザーは不用意に小鳥遊ホシノを動かさない。それはつまり、私達も準備する時間ができる、って事ね」

 

カヨコが纏めると、先生はそれを首肯する。

 

「でも、元理事の襲撃についてはどうするの?」

 

先程、ノノミも挙げた疑問をムツキが改めて問い掛ける。

 

[“もし、すぐにでも襲撃できるような戦力があれば、今すぐにでも襲って来れば良い話だと思うんだ。時間が経てば経つほど、私達は状況を立て直し、準備を進めるんだから”]

 

「なるほど。そこから、連中も襲撃したくても出来ない状況にあると読んだワケか」

 

私の言葉に、先生は頷いて肯定する。

 

[“うん、だから一旦、ここは準備期間にするべきだと思うんだ。どうかな?”]

 

そこからの異論は無かった。

 

その流れで、この場は解散となり、みんなが立ち去って行く。

 

去り際には、しっかり休むように、との文言を残して行くが今は真昼間だ。

 

寝たくても眠れない。

 

それに、私にも来たる決戦に向けて、準備しなくてはならないモノがある。

 

その為に動こうとしたところで、ふと、病室の扉が開く。

 

襲撃によって破壊されつつも、アビドス──と言うよりキヴォトスの住民は逞しいことに、即座に復旧の為に活動している。

 

病院もその例外ではなく、怪我人が運び込まれることもあり、スタッフはかなり忙しそうにしている。

 

私の病室はある意味で隔離病棟であり、シャーレ所属というところからの高待遇故のもので、他の怪我人もスタッフもあまり立ち寄る場所では無い。

 

それ故に、私の病室にはアビドスや便利屋のフルメンバーが居着いて会議をする事が出来ていた。

 

だからこそ、スタッフでもそうそう、立ち寄ることがない為、関係者以外が入室することは滅多にない。

 

そうして現れたのは、意外にも先生だった。

 

何か忘れ物でもしたのだろうか。

 

「先生?どうしたの、忘れ物?」

 

私が声を掛けると、先生はいつにもなく、思い詰めた表情だった。

 

[“忘れもの、と言ったら忘れもの、かな。ちょっと、イヴに話したい事があって”]

 

何やら、茶化せるような雰囲気ではない。

 

茶化す気も無いが。

 

私は無言で、先生に続く言葉を促す。

 

[“イヴ…君は──()()()()()()()()()だったりしないかい?”]

 

思いがけない、予想の斜め上の言葉に、私は言葉を失う。

 

先生は何を言っているのか。

 

私が、元PMC理事と組んでいるルナシーとやらと、どう言う観点から知り合いというものに行き着いたのか。

 

何かを吹き込まれたのか。

 

「……先生は、そのルナシーに何を言われたの?」

 

先生は、ふざけたり、冗談でこんなことを言う人間ではない。

 

その程度の信頼は持ち合わせている。

 

[“…ルナシーは、イヴのことを『かつての自分を知る者であり、今の私は知らない者』として、面識があるように言っていたんだ”]

 

私と面識がある者?

 

アビドスと便利屋以外で?

 

候補としては、カタカタヘルメット団?

 

いや、そもそもキヴォトスの住人ではないのでは?

 

カイザーのセキュリティを掻い潜って自ずから動き出した兵器群。

 

大企業の、兵器を管理しているような明らかに高いシステムと頑強なセキュリティに保護されている場所を易々とハッキングできる能力。

 

襲撃の最中、戦闘中に突如として湧き出したコーラル。

 

私の知っているコーラルとは、異なる点が幾つもある。

 

だが、それを踏まえた上で、導き出される答えは──。

 

「…先生、彼女は…ルナシーは他に何か言っていなかった?」

 

“これ”は、あくまでも推測に過ぎない。

 

先生の情報から、私が独自の解釈と主観的思考から導き出した、推察でしかない。

 

[“…イヴ、君をよろしく、と言われたよ”]

 

だが、その推測と推察をほぼ、確定付ける言葉を先生は告げるのだった。

 

・・・貴女も、このキヴォトスに居るのか?

 

数々の艱難辛苦を共に潜り抜け、その果てに、決定的な訣別を迎え、刃を…銃口を向け合い、私自身がこの手で討ち倒した。

 

討ち倒したと思っていた、かつての、私にとって(ただ)一人の友人。

 

エア──。

 

「…それで、先生は…私に何が聞きたいの…?」

 

私の言葉に、先生は。

 

険しかった顔を一変して、穏やかな表情を浮かべた。

 

[“イヴ、もし、何かを背負って、一人で抱えているなら、『独り』で戦わないで欲しい。私も、アビドスのみんなも、きっと、便利屋のみんなも、イヴの力になりたいって想っているはずだから”]

 

どうして。

 

[“イヴはもしかしたら、人一倍責任感が強くて、私たちを巻き込まないように考えてくれたんだと思う。でもね、そんな風にイヴが大事に想ってくれているのと同じくらい、私たちもイヴの事を想っているんだよ”]

 

どうして貴方は。

 

[“イヴは強いから、多分、無茶や無理をするのが当たり前になっているんだと思う。でもね、例え、どんなに力があっても、どんなに強くても、無敵な人なんて居ないんだ。イヴの心も体も、傷付くモノなんだよ。イヴは、『私達と同じ、人だから』”]

 

そうやって、いつも、私が欲しい言葉を的確に言ってくれるんだ。

 

[“だからね、イヴ。多分、きっと君は、これからも、無理と無茶をし続けるんだと思う。一人ででも、戦い続けるんだと思う。でもね、イヴの後ろには、いつでも私たちが付いてる。みんな、イヴの助けと力になりたいって思ってる。イヴは『独り』じゃない。辛い時や苦しい時は、私達を頼って良い。それを覚えておいて”]

 

私には、相応しくない言葉だ。

 

でも、充分過ぎる程に、その言葉で私は救われた。

 

私は戦える。

 

あなた達の為に、戦う“理由”ができた。

 

「…ありがとう、先生。その言葉だけで充分だよ」

 

私が向けられる言葉としては、過ぎたものだ。

 

[“イヴ、これは言葉だけじゃなく──”]

 

その言葉が向けられるべきは、私ではない。

 

「先生、早速で悪いけど、頼みたいことがあるんだ」

 

私よりも、もっと相応しい相手がいる。

 

「…ホシノを助けてあげて」

 

その言葉が向けられるべきは、ホシノだ。

 

今もきっと、ホシノは罪悪感と後悔に苛まれているだろう。

 

[“それはもちろん。でもどうしてそんなことを?”]

 

彼女を…その心を救えるのはきっと、先生やアビドスの面々だけだ。

 

「…私は、戦うことしか出来ない。誰かを助けたり、救うようなことには向いてない。それだけ」

 

[“そんなことは無いよ。今までだって、イヴはセリカを救出したり、みんなを守ったじゃないか”]

 

「…それは、結果的にそう見えるだけ。私はただ、いつも通り、戦い、奪い…壊しただけ。今はそれが、みんなの敵に向かっているだけ」

 

そう、いつも通り。

 

ルビコンで傭兵をやっていた時と同じように。

 

何も変わらない。

 

[“いいや!違う!イヴは、みんなを護ったんだよ!確かに、その過程は、戦いではあるかもしれない!でも、イヴは単なる傷付けるだけの暴力のようなものじゃない!誰かの為に戦って、誰かを護れる強さを持った戦士なんだ!”]

 

先生には悪いが、そこから変わる気はない。

 

だが、何も私は卑屈になっている訳ではない。

 

前向きに、今まで通りの自分を受け入れている。

 

人の本質は、そう簡単には変わらない。

 

その上で、私は自分の出来る事、為すべき事を為す。

 

そして、もう誰かに与えられる“選択”から一方の悲劇を選ぶのではなく、新しい“選択”から喜劇となる“答え”を導き出す。

 

私は、その為に戦う。

 

そして──。

 

「先生、生徒を救えるのは、先生だけだよ」

 

救うことは、先生に任せる。

 

要は、住み分けだ。

 

[“うん。うん…?う、うん…そう、だね?”]

 

適材適所。

 

私は戦闘担当、先生は救助担当、それだけのことだ。

 

「だから先生、戦闘は任せて」

 

私がそう言うと、先生はほんの少し惚けた後、力強く頷いた。

 

「それと先生、ちょっと聞きたい事があるんだけど」

 

[“あ、うん、何かな?”]

 

「《ミレニアムサイエンススクール》。ここに知り合い、居る?」




イヴの推察は果たして当たっているのかどうか…!

先生の優しさの台詞がイヴに決まった!

危ない危ない…フロム主人公じゃなかったら堕とされるところだった…

先生は言ってもないのに的確に苦しんでる生徒に救いの言葉を投げかけるEXスキルを持ってますからね…

顕著なのはエデン条約のミカのお姫様発言でしょうか

覚悟が無ければイチコロだった…
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