エンジニア部魔改造ドローン
お久しぶりの更新ですね
お待たせしてしまい申し訳ありません
喪に服していました(リアルではないのでご安心ください)
察してください
PMC前哨基地を見下ろすような形で、私たちは小高い砂丘の上に立っている。
車は既に止まっており、便利屋も近々、合流する予定だ。
私たちが見下ろすPMC前哨基地、その廃墟周辺には、当然のように、兵器が彷徨いている。
オートマタ、ドローン、戦車、それに加えて、武装ヘリ。
そして、そのどれもがコーラルの侵食を受け、赤みを帯び、粒子を漂わせている。
私が感知するコーラルの気配もとても多く、あまり意識し過ぎると耳鳴りがするレベルだ。
取り敢えずは、まだ私たちには気付いていないようだ。
それなら、先程の武装ヘリは一体…。
だが、今はそれよりも、先程の強化コーラル侵食ヘリについての共有が先だ。
「先生、ちょっと良い?」
私は、砂丘の上から緊張した面持ちで眼下の兵器群を見下ろす先生に声をかけた。
自ずと、周囲のアビドスの面々の注目も集まる。
私がみんなに共有したのは、表面に浮かび上がった血管のような模様、火器の威力及び装甲の耐久力の上昇だ。
この会話は勿論、便利屋にも通達されている。
[“なるほど。前回の襲撃の時よりも強化された個体か。厄介だね”]
推測にはなるが、侵食の度合いによって、前述の特徴が現れるのだと考えられる。
「武装ヘリはどうにかシロコのドローンで運良く撃破出来たが、次はそう上手く行くか分からない。各々、警戒してくれ」
私がそう言うと、みんなは異論無く頷いた。
そこへ、特にトラブル無く便利屋が合流し、私たちは事前の作戦通りに動き出す。
私は単独で真っ直ぐ正面から、PMC基地廃墟へと突っ込む。
当然、基地の周辺を哨戒する兵器群が私の存在に気付き、迎撃し始める。
ドローンと銃器持ちのオートマタが銃撃を、戦車とロケットランチャー持ちオートマタが砲撃を、武装ヘリがミサイルを放つ。
殺到する銃弾、砲弾、ミサイル。
しかし、その弾幕の僅かな隙間を猟犬が駆け抜ける。
私もそれに倣って弾幕の間隙を縫うようにすり抜ける。
銃弾などが僅かに掠めるが、なんと言うことはない。
私の背後で、砲弾やミサイルが地面に着弾し、爆発する。
変異コーラルで強化されているであろうそれらが巻き起こす激しい爆風が、背後から吹き
弾幕を潜り抜けた私は、地面を蹴って一気に加速し、銃持ちのオートマタ群へと肉薄する。
勢いを乗せた蹴りで三体程を吹き飛ばしつつ、吹き飛ばしたオートマタが別のオートマタを巻き込み、連鎖的に配置が崩れる。
やはりと言うべきか、この場の兵器はどれもが、表面の赤みが濃く、血管のような模様が浮き上がっていた。
ドローンの銃撃を躱しつつ、オートマタ群に手榴弾を投擲する。
五体近くのオートマタと、その上空のドローンが巻き込まれ、コーラルの自爆を引き起こす。
私にシールド持ちのオートマタが三体、三方向から突進する。
私は軽々と宙へと飛び上がり、シールド持ちの頭上を飛び越えつつ、同時に手榴弾を落とす。
三体を巻き込むように爆発が起きるが、他のオートマタに比べて大柄であるが故に、そう簡単には倒せない。
着地した私に、戦車の砲撃が襲い掛かるが、それをクイックブーストの要領で横に勢い良く跳ぶことで躱し、着地と同時に目に入った一台の戦車へと駆ける。
肉薄したところで、近距離からのショットガンを見舞い、戦車の上空を飛び越えるように舞いながらアサルトライフルの連射を浴びせ、最後に着地から銃を持ち替え、スナイパーライフルを撃ち込む。
その何もが共鳴の幻視でコーラル特効を有した攻撃であり、銃弾の一発一発が着弾と同時に真紅の爆発を起こし、コーラルを削る。
だが、それだけでは倒し切れない。
するとそこへ、黒紫の銃撃が降り注ぐ。
それにより、戦車はダメージの負荷が限界に達し、コーラル自爆を引き起こす。
今の銃撃は──。
頭上から私のそばに降り立ったのは、他でも無い、ゲヘナ風紀委員長、空崎ヒナだった。
「手助けは不要だった?」
視線だけで私を見る空崎に、私は首を横に振って応える。
「いや、そんなことは無い」
視線を前に戻せば、更にもう一人、銀髪ツインテールの少女が、機動力を活かして銃撃を躱しつつ、反撃を見舞っていた。
彼女が、シロコと匹敵する実力を持つと言う風紀委員会の斬り込み隊長、銀鏡イオリか。
彼女たちゲヘナ風紀委員会が協力してくれる事は、既に先生から共有されていた。
『はぁ、まさかあなた達と協力することになるとは…』
そんなことを言いながらホログラムの姿で現れたのは、天雨アコ。
「それを言うなら、なんで私まで此処にいるんだ!?」
銀鏡イオリがこちらに合流しつつ、不満を漏らす。
『あなたは斬り込み隊長でしょう?イオリ』
それに至極当然とでも言うように天雨アコは怪訝な表情を浮かべた。
「二人とも、私語はそのくらいにしなさい。それより、来るわよ」
上空の武装ヘリが、私たちへと機銃による斉射を見舞う。
私と空崎と銀鏡は、散開してそれを回避する。
「レイヴン、敵の情報は先生に聞いてる。あなたは奥に進みなさい」
私が明かした情報を風紀委員会にも共有したのだろう。
コーラルという存在と、その危険性について。
それと同時に、コーラル侵食兵器群の対処法についても。
「…わかった。それなら、任せる」
彼女たちの実力、武装の質であれば、この場を納めることは十分に容易いだろう。
特に、空崎ヒナ。
彼女の実力は未知数だ。
コーラルの侵食を受けた兵器と言えど、遅れを取ることは考えられない。
「その代わり」
背を向けた私へと、空崎は敵を見据えたまま、声をかけてくる。
「これが終わったら、せいぜい、
先のブラックマーケット襲撃の時に交わした契約。
天雨アコの独断とは言え、迎撃するだけではなく、私は襲撃して来たゲヘナ風紀委員の多くを戦闘不能状態にしてしまった。
それによって、通常業務すらも儘ならなくなってしまった風紀委員会の代わりに、ゲヘナの治安維持活動という名の暴徒鎮圧依頼を受けるという手筈になっていた。
だが、私はその日の内に昏倒し、その後、二日間も昏睡していた為に、風紀委員会からの依頼を受けることが出来なかった。
「…うん、勿論」
それだけを言い残し、私は基地の深部に向かって駆け出した。
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その一方で、アビドス対策委員会と便利屋68の混合部隊は、先生の案内の下、とある地点へと向かっていた。
しかし、その道中でも、元理事の保有する兵器群がその行手を阻む。
戦車四台、銃器持ちオートマタ六体、大盾持ちオートマタ三体、ロケットランチャー持ちオートマタ三体、ドローン八機。
更に、そのどれもがご丁寧にコーラル侵食を受けている。
以前、アビドス市街で戦った兵器よりも表面の赤みが濃く、明滅する血管のような模様が浮かび上がっている。
だが、それでも七人は臆する事なく、戦いを挑む。
「みんな、下がって。先ずは私が攻撃する」
そう言うとシロコが例の魔改造ドローンを先行させ、兵器群にミサイルを発射する。
左右六発ずつ、計十二発のミサイルが、最前線の大盾持ちオートマタに殺到する。
シロコの魔改造ドローンは、その威力は確かに大きく上方修正がされている上に、ミサイルの弾数も八発から増えているが、元のドローンと同じようにミサイルそのものの挙動は変わらない。
単体を狙った攻撃であり、八発のミサイルの全てが、一体の大盾持ちオートマタに収束する。
だが、その後の爆発に限っては、単体攻撃の限りではなく、オートマタの全身を飲み込むような爆発は周囲のオートマタをも巻き込み、最後の大爆発はドローンや戦車すらも爆炎に包む。
凄まじい破壊力と範囲だが、その分、コストは重く、そう簡単に扱えない。
「うーん…ちょっと使い勝手が悪いね…」
ミサイルを撃ち果たして戻って来たドローンを回収しながら、戸惑い加減に溢す。
「いやいや!こんな地獄絵図を作っておいてそれはないでしょ!?」
その様を白目を剥いて驚愕するアルが思わず突っ込む。
便利屋の他の面々も、最早驚愕と困惑を通り越して真顔だ。
セリカとノノミは、一度は目にしたからか、僅かな戸惑いだけで済んでいる。
だが、アルのツッコミに、シロコは不満げに横に首を振る。
「ううん、私がドローンに求めてるのはあくまでも火力支援。私が要らなくなるような兵器じゃない。確かに、ある程度の範囲攻撃が出来るようになっては欲しいけど」
一度、イヴに相談して、改造元に返品する必要がある。
また暫く、ドローンは使えなくなるだろう。
そんなことを考えていると、あれだけの爆撃を受けても尚、生き残った大盾持ちオートマタが黒煙を突っ切って飛び出して来た。
「わ、私が前に出ます!」
そう言うと、ハルカがオートマタの前に飛び出す。
オートマタは、シロコの爆撃の影響もあって、既に満身創痍だが、だからこそ、なりふり構わず突っ込んで来る。
更には、破壊を免れた戦車が後方から砲撃を放つ。
シロコの魔改造ドローンの爆撃の爆心地に近い程、兵器は壊滅しており、また、耐久が低い敵方のドローンも撃墜されてはいるものの、耐久が高い戦車や大盾持ちオートマタ二体、後方のRL持ちオートマタなどはちらほらと生き残っている。
「アレだけの爆発でも生き残るなんて、コーラルってのも大概、とんでもないね」
砲撃の範囲から逃れつつ、カヨコは冷静に、遠くのRL持ちオートマタにハンドガンの銃口で狙いを澄ます。
放たれた銃弾は、RLを構えていたオートマタの額を直撃し、続けて発生したコーラルの爆発によって頭部が吹き飛ぶ。
「ホントにね!しぶといったらありゃしないわ!」
セリカも続けて、遮蔽の陰からアサルトライフルで狙いを定め、もう一体のRL持ちオートマタを銃撃する。
胴体を狙った無数の銃弾が首、胸、肩、腹部を主に撃ち抜き、続けて発生した自爆によって、右腕がもげ、腹部が大きく抉れるように吹き飛ぶ。
だが、それだけのダメージを受けたのにも関わらず、オートマタは膝を突いて尚、セリカに顔を上げる。
「えぇっ!?ちょっ、それでも動くのぉ!?」
驚愕するセリカの視線の先で、オートマタがぎこちない動きで立ち上がろうとする。
深紅に染まった表面に浮かぶ血管のような網目模様が一際強く明滅し、ジワジワと広がっていく。
「ちまちまやってたらキリがないわ!一気に吹き飛ばすわよ!」
アルが戦車へと狙いを定め、狙撃する。
アルのスナイパーライフルから放たれた銃弾は、戦車を撃ち抜き、続く爆発が周囲の戦車と、セリカが仕留め損なったオートマタを巻き込み、吹き飛ばす。
戦車もオートマタも、コーラルの自爆爆発によって、致命的な部分が吹き飛ぶ。
残るは、ハルカが対峙する大盾持ちのオートマタ二体。
「ハルカさん!」
ノノミが叫び、ハルカはオートマタを攻撃を避けて飛び退く。
「は、はいっ!!」
そこに、ノノミがマシンガンによる連射を叩き込む。
自爆を誘発させつつ、オートマタの動きが止まったそこへ。
「これで終わりだよっ!」
ムツキが爆弾を投擲する。
爆炎が二体のオートマタを飲み込み、遅れてコーラル自爆の爆発が起こる。
炎が収まった頃には、黒煙と炎を上げて倒れるオートマタの姿があった。
その内の一体が手を伸ばす。
だが、そこにハルカがショットガンでトドメを刺し、今度こそ沈黙する。
これで終わり──そう思ったのも束の間。
『[“みんな!まだ終わりじゃない!”]』
先生の声の直後、基地の外壁を突き破り、何かが飛び出す。
それは、巡航戦車、クルセイダーだった。
それに加えて、クルセイダーが破った外壁の内部から、次々と他の兵器群が姿を現す。
それに加えて、騒ぎを聞き付けたのか、武装ヘリも追加される。
その何もが、コーラルの侵食を受けており、より赤の色みが濃く深い、表面に血管の網目模様が浮かび上がった、言わば“第二段階”の個体群だった。
ただでさえ、コーラル侵食第二段階の敵は強力だと言うのに、それがクルセイダーに齎され、取り巻きまで存在している。
そんな状況に、戦慄する七人。
どう戦うべきか、どうやって倒せば良いのか。
そんな多勢に無勢の状況に立たされ、絶望している最中。
『皆さん!お待たせしました!!』
そんな声がインカムから届いた直後、目の前のコーラル侵食兵器群に、無数の砲撃が降り注ぎ、爆炎が巻き起こる。
『!?あれは、トリニティの牽引式榴弾砲!?』
アヤネの驚いた声が続けて届く。
「それに今の声は──」
セリカが言い切る、その前に再びインカムから声が届く。
『私は──“ファウスト”です!!』
自信満々に言い切ったその声は、紛れも無い阿慈谷ヒフミのものだった。
レイヴンの元にはゲヘナ風紀委員会、アビドス対策委員会(+便利屋68)の元にはヒフミ(榴弾砲)が加勢
ヒフミON(IN?)クルセイダーは次回登場します
お楽しみに!