ブルーアーカイブ -灰の翼-   作:空素

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あらすじ
レイヴン、エアを追い詰める

完全に余談ですが、周年キャラって強いですよね

自分も何とか引けてボチボチ使ってるんですが、敵が溶けていく


EP-73 黎明

真紅の火のアサルトアーマー。

 

その真紅に耀く爆炎が収まると、背後から迫って来ていたコーラルの槍は全て消え、パワーローダーも火花を散らして膝を突いていた。

 

変異コーラルによって真っ赤に染まっていたパワーローダーの装甲は、コーラルを焼き尽くす真紅の火──災厄の火の残り火によって燃やされ、赤みを僅かに残すだけとなっていた。

 

“共鳴の幻視”同様に、この“残り火”にもコーラル特効があり、しかもその効果は共鳴の幻視よりも遥かに高いようだ。

 

周辺のコーラルに汚染されつつあった地面も、先程のアサルトアーマーによって焼き払われていた。

 

コーラルであれば問答無用で焼き払う、それがこの“災厄の残り火”の力のようだ。

 

パワーローダーはスタッガー状態で動けそうに無い。

 

それを操るエアも、多くのコーラルを焼き滅ぼされ、手痛いダメージを負っていることだろう。

 

実際、“眼”と“耳”が捉え続けるコーラルの気配は、徐々に少なく、薄くなりつつある。

 

今、此処で確実に全てを焼き尽くす。

 

コーラルも、エアも、絶対に(のが)さない。

 

膝を突くパワーローダーへとひと息に距離を詰める。

 

項垂れるパワーローダーへ、“追憶の力”を宿し、銃撃がミサイルの爆撃となっているショットガンを向ける。

 

──その直前。

 

『──流石です、レイヴン。やはり、貴方は一筋縄では行きませんね』

 

エアが言葉を発する。

 

だが、関係無い。

 

相手が何かするより先に手を打つ。

 

引き金を弾き、放たれた銃弾がパワーローダーを爆砕する。

 

『──…無駄です、よ…確かに私は…()()()負けましたが…これで終わりでは、ありません…』

 

ダメージによるものか、その言葉の節々はノイズのような雑音が混じり、途切れる。

 

いや、それより。

 

そんなことよりも、エアの言葉だ。

 

それを聞いた私の脳裏には、一つの最悪の想像が浮かんでいた。

 

()()、何処かで…お会い、しましょう…レイヴン。いえ──』

 

「待て、エア…!あなたは…!!」

 

『シャーレの番犬、渡鳥イヴ──』

 

それを最後に、エアの声は途切れ、それと同時に、間違いなく、この場のコーラルの気配は消滅した。

 

確かに、コーラルは全て焼き尽くし、滅ぼした。

 

だが、最後のエアの言葉、あれはまるで。

 

今も何処かで、エアも、コーラルも生き続け、存在していることを暗示しているように思えてならない。

 

──最初から、エアはこの場に居なかったのかもしれない。

 

私が出会い、会話し、戦ったのは、精巧に創り出されたダミーの可能性が高い。

 

或いは、ホログラムのような遠隔から姿を投影した幻像──ファントム。

 

何かしらの変異を遂げたコーラルであれば、そして、その支配者がエアであれば、そのくらいのことは出来てもおかしくない。

 

そう思えてならない。

 

漠然とした不安だったものが、徐々に明瞭な確信になりつつあった。

 

エアは…きっと、今も生きている。

 

このキヴォトスの何処かで。

 

だが、その場所は、現状では一切、思い当たらない。

 

コーラルは一刻も早く滅ぼしたい。

 

それでも、この広いキヴォトスの中からその隠れ場所を見つけ出すのは、闇雲に探したところで、実現するとは思えない。

 

砂漠の中から、ほんの一欠片のガラス片を見つけ出すような、途方も無い無謀だ。

 

今は、落ち着いて受け入れるしか無いだろう。

 

私では、エアを見つけ出す事は困難だ。

 

コーラルの気配を感知出来るとは言え、エアが無策でその辺を漂っているとは考えにくい。

 

今はまだ、動くべき時ではない。

 

もっと情報が必要だ。

 

きっと、いや、間違いなく、エアは再び私に接触、というより戦いを仕掛けて来る筈だ。

 

今は耐える時だ。

 

その時が来るまで──。

 

ひとまず、今は脅威を退けることが出来たことを噛み締める。

 

“残り火”と“歯車”を止める。

 

──やはり、力の反動が軽くなっている。

 

“歯車”の反動は、激しい頭痛と熱だが、それが殆んど感じられない。

 

“残り火”の反動の記憶の焼け落ちについても同様、以前と比べても、記憶に欠陥がない。

 

燃やした追憶の分は、流石に失われている。

 

惑星封鎖機構の大型武装ヘリとルビコン解放戦線のジャガーノート、その名前と姿だけは朧げに思い出せる。

 

だが、その戦いの記憶は一切が抜け落ちてしまっていた。

 

いずれは、名前と姿すらも記憶から消えてしまうことだろう。

 

それでも、例え記憶が失われてしまっても、その力は確かに私の身体に刻み込まれている。

 

この力だけは、“残り火”を燃やさなければいけないという制約はあるが、私が死ぬまで、決して失われることはない。

 

それに対し、“歯車”と“残り火”の反動は一切と言って良いほど感じられない。

 

──理由は分かっている。

 

ふと、足元の傍に寄り添う猟犬を見遣る。

 

──あなた達が、身代わりに…肩代わりしてくれているんだね。

私は、あなた達に助けられてばっかりだ。

ルビコンでも、此処でも。

 

機械仕掛けの猟犬は、私の顔を見上げる。

 

その顔に眼球と言ったような器官はなく、表情は読めない。

 

それでも、その視線に宿った想いは理解する事が出来た。

 

──分かってる。大丈夫。その代わり、私は私の役目を…為すべき宿命を果たすよ。

コーラルは残らず焼き尽くす。

それが、ウォルターから継いだ、私自身の誓約だから。

 

私が改めて想いを伝えると、猟犬は満足げに顔を戻した。

 

エアは撃退した。

 

これであとは、他のみんなと合流するだけだ。

 

このカイザーPMC基地の廃墟に訪れた時に感じていたコーラルの強烈な気配は既に全域に渡って消えている。

 

戦闘音も聞こえない。

 

他の場所でも、戦闘が終わったのだろう。

 

──それだと言うのに、私の“耳”は、臨戦体勢、警戒を継続していた。

 

まだ、この廃墟の何処かに敵が?

 

そんなことを思い浮かべた直後、私は背後から嫌な予感を感じ取り、振り返った。

 

──振り返った私の視界を横切ったのは、赤みを帯びた桃色の残光。

 

それと、薄桃色の長髪だった。

 

同時に目に入る、私に銃口を突き付ける人物は──。

 

「レイヴン、君を倒す」

 

小鳥遊ホシノ。

 

その人に相違なかった。

 

銃口が火を噴く直前に、私は飛び退き、咄嗟にSRを盾代わりに前面に翳す。

 

刹那に放たれたのは、SGの散弾でありながら、広範囲長射程の熾烈な銃撃。

 

それが三連射。

 

咄嗟の回避及び防御行動により、ダメージは抑えられた。

 

だが、防御に使用したSRは攻撃を受けた無惨に損壊し、銃撃には使用出来そうにない。

 

そして、私自身も手痛いダメージを負っていた。

 

元々、エア戦のダメージも癒えていないところに更なる負傷で正しく泣きっ面に蜂と言った感じだが、逆にこの程度で済んで良かったとも言える。

 

飛び退き、着地した私目掛け、ホシノは手を緩めずに追撃する。

 

ホシノは普段とは違って、SGとサブアームと思われるHGの二刀流と言ったスタイルだ。

 

その上、カイザーのものと思われる防弾ベストを身に付け、長い薄桃色の髪をひと纏めにしている。

 

ホシノの追撃のHGによる高速連射を躱しつつ、こちらも体勢を立て直す。

 

ホシノがどうして私を攻撃しているのか、その理由は分からない。

 

さしずめ、カイザーに何か吹き込まれたか。

 

用済みになった私の処分、或いは、ホシノ共々潰し合わせて…ということも考えられるが、そんなことは今はどうだって良い。

 

HGの高速射撃を躱されたホシノは、畳み掛けるべく距離を詰めて来る。

 

以前、戦った時とは明らかに別人のように圧力を増している。

 

『何かを選んだ…或いは、捨てなければ得られない圧力だ。背負ったようだな…戦友…!』

 

ふと、かつてのルビコンでの、ラスティとの決戦で耳にした言葉がよみがえる。

 

ホシノはもしかすると、選択したのかもしれない。

 

何かを選び、捨てる決断を。

 

ホシノが肉薄し、素早くSGの銃口を向ける。

 

私はその銃身を蹴り払う。

 

明後日の方向を向いた銃口。

 

だが、火を噴く事はなく、その下から本命のHGの連射が発射される。

 

私は身を捩って銃撃を躱し、最早お荷物となったSRをホシノへと薙ぎ払うように振るう。

 

ホシノはそれを敢えて受け、吹き飛ばされながら、空中で体勢を立て直し、SGの銃口をこちらに向ける。

 

「ホシノ!あなたがどうして私を倒そうとするのかは知らない!分からない!あなたのその選択と決断を責めるつもりも、否定する気もない!でも──」

 

間も無く、先程の広範囲制圧射撃では無いが、SGにしては高速の連射が私に向かって放たれる。

 

「私はただでやられるつもりはない!全力で抗わせて貰う!そして、私が勝ったら、私の言うことを聞いてもらう!」

 

今この瞬間は、力こそが全てだ。

 

力が無ければ、選択と決断を押し通すことは出来ない。

 

精密射撃の銃撃を紙一重で躱しながら、私はSRを背負い、SGだけを手に持つ。

 

ホシノは一切、言葉を返すことは無く、静かに着地し、再びHGの連射を行う。

 

ホシノの連続射撃は、決して一点を狙わず、必ず一発一発が違う場所を狙っており、回避を困難にしている。

 

私には猟犬の導きがあるお蔭で、回避を可能としているが、それでもかなり苦しい。

 

そして、その猟犬の導きが警戒を私へと伝える。

 

直後に繰り出されるのは、先程の広範囲制圧射撃。

 

それは正しく、銃撃の奔流。

 

先程よりも離れているというのに、それでも衰えない威力と速度。

 

その銃弾の隙間を縫うように逃れることは不可能。

 

故に、敢えて一発目を防御体勢で受けつつ、自分でも地面を蹴って後ろに吹っ飛び、射程圏外に逃れる。

 

私の狙い通り、残りの二発の射撃は、吹っ飛んだ私の元には届かない。

 

それでも、最小限とは言え追加でダメージを受けたのは事実。

 

それに対して、ホシノは万全と言った様子だ。

 

このままでは、ホシノに勝利することは不可能に近い。

 

そんな中で、私の“耳”は再び警鐘を感じ取る。

 

ホシノへと視線を向ければ、そこには白煙が漂っていた。

 

明らかに、不自然な煙を目にし、即座に煙幕であると看破した直後、その中から赤みを帯びた桃色の光が瞬く。

 

同時に、煙幕を貫き、無数の銃弾が飛んで来る。

 

それは、これまで目にしたホシノのSGの銃弾と比べて、明らかに形状が異なっていた。

 

そして、明らかに私の足下を狙ったものであり、これまでの攻撃以上の何らかの意図を感じた。

 

私は前方に跳躍してその銃弾を躱すが、更に煙幕の中から桃色の光が瞬き、飛び出した銃弾が空中の私を狙う。

 

先程の何かある銃弾とは異なり、普段通りの銃弾ではあるが、これまでと違うのは、赤みを帯びた桃色の光を帯びているエネルギー弾である事。

 

私の共鳴の幻視や空崎ヒナの黒紫の連射のような、ホシノ自身の特性によるものなのかもしれない。

 

そうであれば、かなりの威力を持っているだろう。

 

幸いにも、弾数は少なく、弾幕が出来ている訳ではない為、空中で身を捻ることで躱し切る。

 

回避し、着地と同時に、背後で爆発が起きる。

 

先程の私の足下を狙った銃弾は、どうやら時間差で爆発するような代物だったらしい。

 

その爆発の範囲も広く、生半可に射撃を避ける程度では爆炎に巻き込まれていただろう。

 

だが、この二段構えの攻撃を躱しても尚、警鐘は鳴り止まない。

 

いや、二段構えでは無い。

 

それに気付くと同時に、煙幕の中で桃色の閃光が瞬く。

 

煙幕を吹き飛ばし、稲妻を伴ったエネルギー弾が私目掛けて高速で飛来する。

 

回避する間も無く、それは直撃し、稲妻と共に、桃色の爆炎のドームを生み出した。




レイヴンVSエア、決着!!

勝者はレイヴンですが、エアもただでは負けませんでしたね

月並みですが、試合に勝って、勝負に負けたって感じですかね

一体いつから──レイヴンVSエアが最終決戦だと錯覚していた?

レイヴンVSホル…ホシノ!開幕!

周年限定キャラの力でレイヴンを圧倒したいと思います(勝てるとは言ってない)
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