要は、レイヴンのように何処かの世界から転移して来たとか、そんなものではなく、キヴォトス生まれ、キヴォトス育ちのパッチということになります
私とホシノは、例の情報屋──“鋼鉄”のパッチなる人物を探すべく、ブラックマーケットへと足を踏み入れた。
ブラックマーケットは以前、大規模な戦闘に巻き込まれ、相応に被害や損壊を受けたはずだが、逞しくも復興しつつあり、活気に満ちていた。
そこかしこに不良生徒やただならぬ雰囲気の動物型住民、ロボット住民が雑多に行き交っている。
その中を私とホシノは、人混みをすり抜けるように進み、ある程度歩き進んだところで、混雑から抜け出した。
「ホシノはその情報屋…《パッチ》の居場所を知ってるの?」
先導するホシノの横に並び、声を掛ける。
ホシノは以前、交戦した時のような髪を一纏めにして防弾ベストを身に付けたような武装ではなく、普段通りの姿だった。
横並びで歩ける程度には人が
だが、ひとまずは手を出して来ることは無さそうだ。
「いやぁ〜おじさんも最後に会ったのは一年以上前だからねぇ〜。さすがに詳しくは分からないよ〜。でも、心当たりと言うか、アイツが居そうな場所には目星は付いてるよ。今はそこに行くつもり」
「そっか。それじゃあ、引き続き、案内よろしく」
「うへ〜、まあ、あんまり期待しないでね」
再び私はホシノの後ろに着くように位置を戻す。
道は再び混雑し始め、私たち二人はぶつからないように素早く慎重にすり抜けて行く。
下手にぶつかって、どんな因縁を吹っかけられるか分からない。
ブラックマーケットでは出来る限り、トラブルは避けていきたい。
私は兎も角、ホシノは小柄なのもあって、流れるように進んで行く。
歩幅は小さいはずだが、それを感じさせない歩行速度だ。
置いていかれないように私も追随する。
暫く歩き、再び人混みが
「そう言えば、ホシノが抜けてアビドスは大丈夫?今は色々と忙しいんじゃない?」
「うへ〜、その辺も抜かりは無いよー。先生が私にイヴちゃんの協力を依頼するにあたって、便利屋の子たちに声を掛けてくれてたみたいでね〜。寧ろ、よく昼寝でサボりがちな私が居た時に比べて、逆に捗ってるんじゃないかなぁ〜」
それを聞いた私は思わず顔に手を当てる。
先生…まさかホシノだけじゃなく、便利屋まで巻き込んでるとは…。
こんな大事になるとは思わなかった…。
「ま、そういう事だから、アビドスの心配はいらないよ〜。気楽に行こー」
確かに、不安の種は解消されたが、ある意味では、また別の問題が露わになったと言わざるを得ない。
とは言え、ここまで来て引き返すワケにもいかず。
「……それは良かったよ…」
この状況を受け入れるしか、私に出来ることはなかった。
「あ、こっち〜」
ホシノが建物と建物の間の横道に入って行き、私もその後を追う。
しかし──。
「あん?なんだ?あんたら、何処のモンだ?」
運悪く、そこには不良たちが我が物顔で屯っていた。
ヘルメット団ではない、いわゆる、スケバンという連中だ。
「あー…うーん、これは…」
ホシノもこの状況に困惑している様子だった。
「……もしかしてアンタら、ここを通りたいのか?」
リーダー格と思われる生徒が、こちらの事情を読み取る。
「うん、通してくれる?」
「ああ、良いぜ。この場に金目の物を置いて行くんならな」
そう言うと不良生徒は周囲の取り巻きを含めて、マスク越しでも分かるような下卑た笑みを浮かべる。
「……なるほどね。嫌だと言ったら?」
ホシノは冷静ながらも、冷酷に告げる。
「無理矢理にでも身ぐるみ剥がして置いて行って貰おうか!」
不良生徒たちが武器を構え、こちらを脅すように見せ付ける。
相手は六人。
──だが。
「イヴちゃん、行ける?」
ホシノは愛用の銃を両手で持ちながら、声を掛けてくる。
私もエンジニア部から拝借中の銃を手に、その隣に並ぶ。
「ああ、いつでも行ける」
私たち二人の相手ではない。
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烏合のスケバン連中が相手になるはずもなく、易々と退けた私とホシノは、ブラックマーケットの路地裏の奥へと進んで行く。
ブラックマーケットの裏側は、表ほどの人通りや活気はなく、寂れた陰気な気配を漂わせている。
「そろそろだよ。イヴちゃん」
私達は横並びに歩き、隣のホシノが最低限の声量で警戒を促す。
と言うのも、ブラックマーケットの深部に至ってからというもの、そこかしこからずっと見られているような気配が続いていた。
不良生徒の値踏みするような視線とは異なる、観察に近しいような視線。
それは不気味であり、同時に不快極まるものだった。
「……中々、慣れないよね。この空気感」
ホシノが小さく溢す。
「まあ、いい気分ではないな」
私たちが今歩いているのは、廃工場の倉庫が立ち並ぶ区画。
それなりに広い一本道の大通りだが、私たちを除いて通行人はいない。
そんな中、向こう側から歩いて来る人影。
一人のロボットであり、真っ直ぐこちらに向かって歩いて来る。
「……ホシノ、目的地は?」
歩いて来る人物を見据えたまま、ホシノに訊ねる。
「三つ先の倉庫。だけど…」
ホシノもまた、相手を警戒している。
謎の人物との彼我の距離から逆算して、このまま歩き進めばちょうど相手と正面で相対する位置に、目的地はある。
「──イヴちゃん、走るよ!」
無言で頷き、私とホシノは同時に走り出した。
「──ッ!やっぱり来たか!」
だが、それと同時に、向こうもまた、合わせるように走り出した。
そして、それだけに留まらない。
「!?後ろからも…!!」
背後からもまた、何者かが迫って来る気配を感じる。
間違いなく、向こうから走って来る相手の仲間だろう。
目的地が近付き、しかし、それと同時に前後から敵と思われる者が迫り来る。
「仕方ない!応戦するよ!イヴちゃん!」
相手の実力は未知数。
それ故か、ホシノはシールドを展開し、左手に持ち、右手に銃を握る。
「了解!」
私もホシノと背中合わせになり、右手に風紀委員会から拝借中のアサルトライフル、左手にエンジニア部から拝借中のスナイパーライフルをそれぞれ握る。
ホシノは正面から向かって来る敵へ、私は背後から向かって来る敵へ注意を向ける。
相手もまた、こちらが武装を展開した事で、銃を手にしている。
走ったまま銃を構え、こちらに狙いを付ける。
私とホシノは、ほぼ同時に地面を蹴った。
ひと息に距離を詰め、相手が撃つより早く銃身を蹴り上げる。
「チィッ…!」
ロボットから怒りと焦燥の舌打ちが聞こえる。
相手は打ち上げられた銃を力任せに振り下ろす。
それを私は、ロボットの側面に回り込むように回避し、近距離で左手のSRの弾丸を見舞う。
「ぐあっ!?」
脇腹を狙った銃撃は狙い通りに命中し、ロボットを怯ませる。
更に畳み掛けるように、蹴りで体勢を崩させ、右手のARの斉射を叩き込む。
ロボットは堪らずその場に倒れ、伸びる。
銃をリロードしながらホシノの方へと視線を向ければ、向こうも問題無く鎮圧出来たようで、シールドを手に銃を担ぐホシノの足下ではロボットが気を失い、伸びていた。
「何だったんだ、こいつら…」
誰に言うでもなく、独り言ち、ホシノに合流しようとした。
──その直後。
「おやおやおやぁ〜?人様の縄張りに断りなく立ち入った挙句、手下に手を出すとは良い度胸してんなぁ?」
聞こえて来たのは、電子音が混じった男の声。
その声が聞こえて来たのは、正しく、私たちが先程、目指していた目的地の倉庫の方向からだった。
「何処の生徒だか知らねぇが、こんな舐められた真似してタダで帰れると思うなよ!」
振動と共に、倉庫のシャッターが開き始め、その奥から無数の人影が露わになる。
それは、オートマタ型のロボットの軍団であり、総勢二十名前後。
シールド持ちの大型のオートマタ型ロボットも紛れているが、それよりも目を引くのは、正面に立っていた人物だ。
背丈は先程、戦ったロボットと同じような、私よりも少し背が高い程度の身長。
白を基調に黒で構成された機体のオートマタであり、至る所にまるでサイコロの目のような黒い点の窪みがある。
「身の程知らずの出来の悪い子供には仕置きが必要だなぁ!有り金全部置いて行きな!!」
どうやら、このロボットこそがリーダーのようであるらしい。
左の手には大型オートマタが持ってるようなラージシールドを持ち、盾による防御を固めながら、銃口を向けて来た。
それを合図とするように、周りのロボット達が動き出す。
私とホシノの距離は離れているが、視線を交わし、互いに意思を確認する。
私が頷くとホシノも頷き、地面を蹴る。
「援護は頼んだよ!」
ホシノはシールドを構えた防御体勢でロボットの軍団の渦中に突っ込む。
ロボット達はホシノを無視する訳にもいかず、ホシノに向かって集中攻撃を見舞う。
私はコートの中から手榴弾を取り出し、軍団の中に放り投げる。
手榴弾はホシノの盾の向こう側に届いた後、炸裂する。
手榴弾の攻撃に、ロボット軍団は混乱に陥るが、立て直した者からホシノから私へと意識を移し、向かって来る。
だが、それこそが私たちの狙いだった。
直後、ホシノを中心に白光と白煙が空間を染める。
当然、ロボット軍団は再びの混乱に見舞われ、それに乗じて私とホシノが狩っていく。
先ずは頭数を減らすことを優先し、シールド持ちの大型以外を倒していく。
スモークが晴れる頃には、シールド持ちとリーダーを残し、軍団は壊滅状態だった。
「……マジかよ…」
リーダーのロボットは呆然と固まっていた。
「な、何なんだ、こいつらは…!?」
シールドを構えながらも、リーダーはたじろぐ。
逃走するか否か、そんな迷いが見えた。
私は地面を蹴り、一気に距離を詰める。
「チィッ!!」
私を近付けまいと、シールドの陰から牽制の銃撃を繰り出す。
狙いは悪くなかったが、数発の弾丸、それも正面からでは私にとっては回避は朝飯前だ。
容易く躱し、シールドに勢いを乗せた蹴りを叩き込む。
防御を揺らすものの、一発は耐えられる。
それどころか、すかさず反撃を繰り出して来た。
防御時の衝撃を利用したのか、盾の横から鋭く銃口を向け、カウンターの銃撃を放つ。
どうやら、目の前のロボットは只者ではないらしい。
素早く身を逸らすようにして反撃を躱し、側面に回り込む。
そのまま回し蹴りを叩き込み、体勢を崩させる。
相手は最後まで抗い、頭部狙いの蹴りに合わせて銃で防御しようとする。
銃を吹き飛ばし、これで為す術無し──かに思われたが、相手はシールドを両手で持ち、そのまま突進して来た。
単純な質量による攻撃。
だが、シンプル故にハマれば最も有効的だ。
特に、私のような軽装備には。
シールドの面が、質量を伴って迫る。
──私は、地面を蹴った。
相手の上を取るような、前方宙返り。
私の真下を突進の勢いのままに、相手が通り過ぎて行く。
私が着地した頃には、相手は無防備な背中を晒していた。
相手が振り向くより早く、滑空突進で肉薄し、蹴りを見舞って転倒させた。
「ぐへぇ!?」
ロボットは前のめりに倒れ、そこにすかさずARの銃口を向ける。
震え上がるロボットを見据えたまま、銃の引き金を弾く。
──その瞬間。
「ま、待ってくれ!降参、降参だ!!」
呆気なく、リーダー格のロボットは降参した。
無様にも、シールドを頭の上に覆い被せるような体勢でしゃがみ込む。
「もうやめてくれっ!参った!もうこれ以上抵抗しない!だから攻撃しないでくれっ!話を聞いてくれっ!!」
ロボットのセリフを聞き、私が思い出したのは、ルビコンで戦った企業の一つ、アーキバスの強化人間部隊、ヴェスパーの第七隊長、スウィンバーンだった。
ヤツも目の前のロボットと同じく、半殺しにしたところでこちらの攻撃の手を止めさせ、提案を持ち掛けて来た。
個人的な恨みは特に無かったが、依頼された討伐目標だった為、話を聞いた上で銃弾で返事を返し、再戦となってその末に撃破した。
さて、目の前のコイツはどうするか。
特に依頼でも無い為、見逃しても良いが…。
シールドを被って亀のように固まるロボットを見下ろし、思案していると、ホシノが近付いて来た。
どうやら、リーダーが降参したことで、残っていたロボットも武器を落として両手を上げたようだ。
「相変わらずだね。
ホシノの口から出たのは、思いがけない名前だった。
「ホシノ、まさかコイツが…?」
ホシノはロボット改め、鋼鉄のパッチを見下ろし、無言で首肯する。
「うげっ!?アンタはアビドスの…はぁ…通りで敵わない訳だぜ。ったく、ツいてねぇ…それならこっちは──ん?」
どうやら、事前にホシノが言っていたように、二人は互いに面識があるようだ。
そんなことを考えながら二人のやりとりを眺めていると、シールドを下ろし、尻を浮かせて座った体勢のパッチは、私に注目する。
「黒いコートに、白い鳥のエンブレム……な、なぁ、まさかとは思うがあんた、もしかして《レイヴン》か…?」
パッチは若干、声を震えさせながら、恐る恐る、訊ねてくる。
「…それなら何だ?」
私が否定するでもなく、やんわりと肯定すると、パッチは掠れた声を漏らす。
「や、やっぱりかよ!?な、なぁ!確かに今回、俺たちの方が逸ってトチっちまったがよ、こっちはほぼ全滅、アンタらは無傷なんだ。俺は許すから、ここはお互い、今回のことは綺麗さっぱり水に流そうぜ?なぁ?ノーカウントだろ?ノーカウント!」
ここに来て、保身の為にここまで理屈をこねくり回して自分を棚に上げるとは……コイツはスウィンバーン以上の小悪党かもしれない。
唖然としていると、ホシノが横に並んだ。
「こういう奴なんだよ。こいつは。それでどうする?もう少し痛め付ける?」
「おい!冗談だろ!?話の分からないヤツは嫌われるぜ!無抵抗の人間を痛め付けるのかよっ!」
「君はロボットでしょ」
「ロボットにも人権はある!」
そんなやりとりを眺めていると、自然と溜め息が出た。
呆れ果て、もうどうでも良くなった。
「ホシノ、私はもう良いよ。相手にするだけ無駄だろうし」
「そう?まあ、イヴちゃんが良いなら私は良いけど」
「お、おぉ…!ふぅ〜…分かってくれたか、ありがてぇ。最初から思ってたんだ。レイヴンは話が分かるってな。へへへへ…」
分かりやすいくらいに小物だ。
ここまで来ると一周回って大物かもしれない。
「調子の良いやつ…」
ホシノも呆れ果てている。
「ブラックマーケットのマーケットガードをほぼ、壊滅させたような相手に喧嘩を吹っかけるなんて、冗談じゃねぇからな。本当に助かったぜ」
やはりというべきか、先のブラックマーケットでの騒動は耳にしているようだ。
あれだけ派手に暴れ回ったのだ。
無理もない。
「そっちは知ってるようだが、改めて名乗らせて貰う。俺はパッチ。“鋼鉄”のパッチだ。このブラックマーケットで裏の情報屋として商売をさせてもらってる」
「あんたの噂はかねがね、聞き及んでるぜ、レイヴン。それで、こんな辺鄙なところまで何の用だい?」
「情報を売ってもらいたい」
「何が聞きたい?トリニティ自治区の離れ小島の隠し財宝か?それとも、ミレニアム自治区の廃墟の奥底に眠ると言われる伝説の聖剣か?それとも、姿も正体も一切が謎に包まれた神出鬼没の犯罪コンサルタントについて?それとも──」
色々と気になるものもあったが、私は当初の目的を果たすべく、最低限の説明をパッチに伝えた。
「──なるほど、武器商人か、技術者を探してると……ほうほう…一応、その理由を聞かせてもらっても?銃ならキヴォトス中の何処でも手に入るでしょう?そこまで裏の商人や技術者に拘る必要はないでしょう?」
これはパッチの言う通りだ。
コンビニや自販機では弾薬や手榴弾くらいしか購入出来ず、それでも銃そのものはシャーレ近くのスーパーやデパートのガンコーナー、マニアックなものだと改造も請け負うような専門のガンショップも存在している。
何なら、ミレニアムのエンジニア部とのコネクションもあるのだし、それを頼るという選択肢もある。
──だが、それはあくまでも、キヴォトスで普通に生活する場合に限る。
私には、このキヴォトスで為すべき目的、全うすべき誓約がある。
エア及び、コーラルの絶滅。
後々、襲撃して来るだろうエアに応戦する為にも、通常の銃火器では不足する可能性がある。
ましてや、借り物の銃では尚更だ。
それを解消する為に、私はより強力な、裏で出回っているような武器を手に入れる必要がある。
その為には、裏の武器商人か、技術者が必要だと踏んだのだ。
エンジニア部に変わる技術者を欲していたのも、借り物ではない、自分自身の武器を求めていたのも、嘘ではないが、本音の全てではなかった。
とは言え、それを今日であったばかりのパッチや、ホシノの前で言えるはずもなく。
「…パッチの言う通りだ。私が裏の武器商人や技術者を求めるのには、特別な理由がある。だが、悪いがそれを今、この場で口にすることは出来ない」
だからと言って、口からの出まかせ嘘八百を吹聴する訳にもいかない。
確かにパッチは小悪党だが、情報屋の端くれ。
今後も利用する可能性はゼロではない。
信用を失っては、情報を売ってもらえないならまだ良いが、適当な情報を渡される可能性もある。
だからこそ、私は出来る限りの誠意として、理由はあるが、語ることは出来ない、という判断に至った。
それを受けて、パッチは思案した後──。
「……オーケー、合格だ。レイヴン」
ニヤリと笑い、膝を叩いて立ち上がった。
「俺のことをよく知らない連中はよ、俺を小物だとして見下して、俺がそいつにとって聞かれたくないことを聞くと、適当な出まかせを言ったり、逆上して来たりするんだよ。誠意ってモンがねぇんだよ、そいつらにはな。情報屋なんて汚くて
愚痴を溢すように語りながら、パッチは上がったシャッターの下を潜って倉庫内に侵入し、何かしらの作業を行う。
「だが、アンタからは最低限の誠意は感じられた。例えそれが打算や損得勘定だとしても、な。寧ろ、情報屋との距離感としては一番、健全だ。だから俺は、あんたを顧客として認めるぜ、レイヴン」
その間も、パッチの声は響き、私の元に届いていた。
そうして現れたパッチの手には、一枚の用紙が丸められて握られていた。
「対象の居場所の地図と最低限の情報だ。必要以上の情報は書いてない。これ以上は別料金だぜ」
そういうとパッチは情報に対する請求書を渡して来た。
まあまあ、良い値段だ。
「言っておくが、値切りは受け付けないぜ?それが適正価格だからな。それが嫌なら他を当たってもらうことになるが…まあ、アンタならその心配は無さそうだな」
そう言ってくるだろうとは思っていた。
だが、元より値切るつもりなど毛頭ない。
あまりにも値段に見合わない情報だった場合には報復せざるを得ないが、パッチならその心配もいらないだろう。
アコギなやつではあるが、身の程は弁えている。
むざむざと危ない橋を渡るようなことはしないだろう。
代金を支払い、私はホシノと共に、その場を後にした。
「へへっ、毎度あり〜。またの利用をお待ちしてるぜ〜」
ヘラヘラとした上機嫌なパッチの声を背中に受けながら、私たちは次の場所へと向かうのだった。
パッチ、良いですよね…
小悪党ではあるんですけど、憎み切れないと言うか、愛嬌的な魅力があると言うか…
エルデンパッチも良いですが、やはり個人的にはダクソ3パッチ(ラップ)が一番熱かったですね…
今後もキヴォトスパッチを何処かで登場させたいです