話は変わりますが、アーマード・コアⅥが大賞を受賞したようで!
とても喜ばしい…素敵だ…心が躍ります…
アーマード・コアという作品に出会い、触れられたこと、AC6をプレイできたこと、とても光栄に思います
DLC、または続編も楽しみですね!
「……」
唖然とする私の目の前で、先生は頭を下げていた。
[“お願い!どうしてもイヴの力が必要なんだ!”]
今日は面倒ごとに出くわすことが多いな、と内心で愚痴る。
頭を下げる先生の後ろでは、二人のミレニアム生の瓜二つな少女がアワアワと困惑し、狼狽えている。
このような事態に陥った経緯を話そう。
エンジニア部に預けていた銃を回収した帰り道でのこと。
「これが約束の品だよ」
エンジニア部に赴き、現れたのはヒビキだった。
ウタハとコトリの姿が見えないが、二人はどうやらミレニアムの生徒会、《セミナー》と部費について手続きと相談をしに行っているらしい。
ヒビキから渡されたのは、新品同様の散弾銃。
一度はレモン汁発射装置へと成り下がった愛銃だったが、試し撃ちをしてみると、実弾が飛び出した。
「……確かに。代金は口座払いで良かった?」
試し撃ちの手応えに満足し、腰の専用ベルトに固定する。
これで、今朝にレンカから受け取った拳銃も含めて、借り物でない私自身の銃は二つ目となった。
残るは、風紀委員会から借りている銃だが、こちらの代用になる武器もまた、レンカに頼んである。
そちらはもう暫く時間が掛かるそうだ。
「うん。それと一応、今回のメンテナンスで着手した箇所のまとめね。注文通りに調整と改造をしてあるけど、念の為に確認しておいて」
そう言ってヒビキは用紙が挟まったクリアファイルを渡してくる。
これには後で目を通しておこう。
「これから仕事?」
立ち去ろうとしたところに、ヒビキが訊ねて来る。
「いや、今日は特に仕事は入ってないな」
ここに来る前に、新居でレンカにも答えた内容をヒビキにも告げる。
「そうなんだ。てっきり、先生が来てるからイヴもそのついでで来たのかと思った」
「先生が?あー…」
そう言えば、朝のモモトークの業務連絡で確かにミレニアムに用事があると言っていた記憶がある。
「…いや、無関係の偶然だよ。私はこのあと帰るし」
「そっか。気を付けてね。最近、色々と不穏だからさ」
ヒビキが言ってるのは、やはり“条約”周りのことだろうか。
どうやら影響は両校の自治区内に留まらず、周囲の学区にまで波及しているようだ。
「肝に命じるよ。あ、それとこれ、返しておく」
私は代用品として借りていた狙撃銃をヒビキに返す。
「あ、そういえばそうだったね。どうだった?使い心地は?」
神秘という珍しい特性の狙撃銃だったが、これと言って効果は実感できなかった。
「うーん…イマイチ、かな。軽装備の連中にはそれなり有効だったが、重装甲の相手だとゴリ押し気味に畳み掛けないと火力が出なかったな」
爆発には衝撃力、貫通には装甲持ちに特効効果があり、それらは使い分け出来るが、神秘特性はこれと言って効果を発揮出来る場面が少ない。
「そっか、貴重な意見ありがとう。やっぱり、ただ特性を変えるだけじゃ厳しいか…何か固有の効果かギミックで差別化していかないと…あ、そうだ。ねぇ、イヴ」
「
「うん、まあ、そんなところだね。どうかな?」
専属エンジニアが出来たとは言え、武器は多種多様であることに越したことはない。
神秘特性の銃もまた、いずれ活躍できる場面が来るかもしれない。
その時に備え、準備をしておくのも悪くないだろう。
私はヒビキの提案を受け入れ、頷いた。
「ありがとう、助かるよ。技師にとって、使い手の声は貴重だからね。まあ、それが反映されるかどうかは確約出来ないけど……」
ヒビキは誤魔化すように目を泳がせた。
まあ、エンジニア部の連中が素直に使い手の声を聞き入れるとは私自身も思っていない。
それは、レンカも同様だ。
「兎も角、また近々、顔を出してよ。それまでにまた改造しておくからさ。あ、何か要望とかあれば聞くだけ聞いておくよ?」
最早、
そして、
あまり期待せずに、少し考えを巡らせ、ふと思い付いた。
「それなら、EMP──電磁パルスとかレーザーとかのエネルギー弾にしてみてくれない?」
これまではずっと実弾の銃ばかりであり、何となくそれを受け入れていたが、パルスガンやレーザーガンが無いことに気付いた。
まあ、キヴォトスには殆んど普及していない様子を見るに、エネルギー系の銃器の開発はあまり進んでいないのかもしれない。
「あ!それは面白そうだね!一応、前例が無い訳でもないし、挑戦してみるよ」
「前例?何かエネルギー系の兵器でも作ったの?」
「まぁね。ちょっと、
何を作っているんだこの連中は……。
宇宙戦艦そのものではなく、主砲というあたりが狂人度が高い。
「実弾のレールガンではあるんだけど、そこで培ったノウハウを発展させれば出来るかもしれない!要は、エネルギーを纏う弾丸を射出出来れば良いんだよね!?」
ヒビキが嬉々として両眼を光り輝かせる。
レンカを思い出し、思わずたじろぐ。
「うん、まぁ…やり方は任せる…それじゃあ私はこれで…」
私が圧倒されたままおずおずと出口へ向かう。
「次来る時を楽しみにしてて!」
ヒビキは最後までやる気に満ち溢れた様子で私を見送ってくれた。
思いがけない出来事には遭遇したが、何はともあれ、用事を済ませた私は、そのまま帰路に着こうとミレニアムの正門に向かっている最中。
ミレニアムの正面広場で、二人の小柄な生徒を伴う先生の後ろ姿を見付けた。
最初はそのまま通り過ぎて真っ直ぐ帰ろうとした。
だが、何の気の迷いか──いや、多分、この時の私は気分が良かったのだろう。
ヒビキの件があったにしても、愛銃が手に戻り、新しい武器が手に入る可能性ができ、私は上機嫌だった。
だから、軽い気持ちで先生に挨拶し、いつも通りに言葉を交わし、そのまま直帰できると考えていた。
その軽い気持ちの代償が、目の前で頭を下げる先生に繋がった。
「……ミレニアムの生徒の依頼で、危険と思われる未知の区域に踏み入るから、その護衛をして欲しい、か…」
先生からの要求を噛み砕くとこのような内容になる。
[“万が一の不測の事態があった時のために、どうか協力してくれないかな?それ以外は私たちに着いてくるだけで良いから!お願い!”]
この後、特に用事の無い私には、別段、断る理由もない。
直帰しても、レンカの試作品の実験台にされるだけだっただろう。
引き受けても私としては問題ない。
「分かった。それじゃあ、先生から私への“依頼”として、その件は引き受けよう。報酬は先生の給料から差し引いといて」
だが、それはそれとして、貰うべきものはきっちりと貰わなければ。
[“えっ!?”]
先生の顔が青ざめ、表情が引きつる。
「いくら同じ組織に所属しているとは言え、まさか無償で協力してくれなんて、そんな虫の良い話はしないよね?先生」
私は“ニッコリ”と先生に微笑み、
[“うっ…!それは確かにそうだね…”]
追い詰められた様子の先生を見て、私は自然と笑みをこぼす。
「ふっ…安心して。別にふっかける気は無いし、歩合制で良い。何も無ければ、手数料としてラーメンの一杯でも奢ってくれればいい」
[“あっ…そ、そっか!それなら、うん、よろしく頼むよ!”]
先生との取引にもひと段落ついたところで、私は先生が伴っていた二人のミレニアム生に向き直る。
驚くほど瓜二つの容姿をした二人の少女だった。
いわゆる、双子というものだろう。
「──という訳で、同伴することになった、渡鳥イヴです。よろしくお願いします」
キヴォトスで過ごし、依頼をこなしていく中で、敬語も違和感なく話せるようになった。
最近では、初対面の相手には年齢や容姿関係なく、敬語で対応するようにしている。
私は自己紹介と同時に、努めて柔らかく、二人の少女に微笑みを向ける。
私の笑顔からの印象が功を奏してか、やや緊張気味だった二人の少女もまた、表情が柔らかくなった。
「あ、はい…丁寧な自己紹介ありがとうございます、イヴさん。よろしくお願いします…。私は《才羽ミドリ》です…。ほら!お姉ちゃんも!」
「わ、分かってるって!…えっと、よろしくね!イヴさん!私はこっちのミドリのお姉ちゃんの《モモイ》だよ!」
ミドリはかしこまった様子で頭を下げ、モモイは元気溌剌と朗らかに手を上げる。
「ちょっ…!お姉ちゃん!敬語!!」
ミドリがモモイを注意するが、その微笑ましい光景に私もつられる。
「ふふっ、構いませんよ。お気になさらず。二人が良ければ、私も敬語を外そうと思うのですが、如何でしょう?」
「もちろん!折角の冒険仲間なのだし、仲良く行こう!」
「もう、お姉ちゃん…!はぁ…私も問題ありません。よろしくお願いします」
天真爛漫な姉のモモイに、しっかり者の妹のミドリ。
モモイに対し、ミドリは相変わらずの敬語だが、そういう性分なのだろう。
「うん、よろしくね、モモイ、ミドリ」
[“自己紹介は終わったみたいだね”]
「うん!それじゃあ行こうか!《廃墟》へ!!」
意気揚々と先陣を切るモモイの後ろに、私たち三人は続くのだった。
*****************************
《廃墟》への道中、詳しい話をミドリに説明して貰った。
曰く、二人は《ゲーム開発部》に所属しているのだが、廃部の危機にあり、その状況を改善するべく、実績を残す必要がある。
その実績とは言わば、ゲームを生み出すことになるが、より良いゲームを開発する為に、これから向かう《廃墟》に《G.Bible》という先人の遺産を求めている。
ざっくりと説明すると、こう言った内容だった。
「…なるほど。それでその《廃墟》には何が待っているか分からないから、先生は私に依頼をした、と…」
[“そういうことだね”]
《廃墟》、か…。
先人の遺構と言うものには、私はあまり良い印象は抱いていない。
ルビコンの《技研都市》を思い出し、その場所で目にした様々な事象や関連するものが脳裏に浮かび上がり、辟易する。
全てが悪いもの、という訳ではないが。
例えば、廃墟都市の片隅に秘匿されるように遺されていた前時代の武器パーツだとか。
「ところで!イヴさんはゲームには興味ない!?私たちゲーム開発部は絶賛、部員募集中なんだけど!」
「ちょっとお姉ちゃん…!流石に外部の人を勧誘するのはダメだって…」
「あ、そっか。あれ、イヴさんて何処の所属なの?」
「お姉ちゃん!あんまり根掘り葉掘り聞かない!バカな姉がすいません…」
「なにおう!?」
「大丈夫だよ、ミドリ。一応、私は連邦生徒会──シャーレの所属になるかな。一応、肩書きとしては、シャーレ直属特務戦闘員としてやらせて貰ってるよ。まあ、シャーレ専属傭兵みたいな感じだね」
「連邦生徒会!?シャーレ!?」
私の説明に驚いたのはミドリ。
「と、特務戦闘員…!?専属傭兵…!?」
目を輝かせたのはモモイ。
「なるほど、それで先生と顔見知りだったんですね…」
[“そうだね。イヴにはいつも助けてもらっているよ”]
・・・それを言うのであれば、居場所と肩書き、働く場所を与えてくれて、先に助けてくれたのは先生なのだが。
「…私はただ、助けて貰ってる借りを返しているだけだよ」
傭兵は貰ったものは返す。
恩には恩で、仇には仇で。
ただ、それだけだ。
「すごいかっこいい!正しくエージェントって感じだね!ウチの《C&C》みたいだ!」
「エージェントなんて、そんな誉あるものとは違うよ」
ミレニアムのエージェント集団、《Cleaning&Clearing》。
通称、C&C。
噂には聞いている。
言ってしまえば、ミレニアムに於ける風紀委員会。
だが、ゲヘナの風紀委員会と違うのは、自治区の治安維持だけでなく、外部からの依頼も請け負う、正しく仕事人と呼べる者たち。
私のような傭兵とは、似て非なる存在だ。
メイド服という奇抜な姿とは裏腹に、その実力は折り紙付き。
どんな仕事も完璧にこなすという。
因みに、この情報の出どころはパッチのヤツだが、アイツも過去にメイド姿の見た目から侮って痛い目を見たらしい。
『あの時は俺も若かった…』などと本人は何処か清々しい様子だったが。
[“イヴ”]
ふと、先生が私に声をかけてきた。
振り向けば、その顔には穏やかな笑みを浮かべている。
[“イヴには、私だけじゃなく、色んな人が助けてもらってる。だから、あまり自分を卑下しないで”]
先生の言葉に、私は言葉に詰まる。
同時に、脳裏に浮かび上がる、これまでキヴォトスで出会って来た人々の顔。
「……今後は気を付けるよ」
何とか絞り出した言葉に、先生は満足に頷くのだった。
*****************************
「到着!」
[“ここが…”]
「《廃墟》、か…」
私たちの目の前には、風化して苔生した、いつの時代のものかも分からない建物の残骸が立ち並んでいた。
中には、上層が霞むほどの摩天楼もあり、朽ち果てたそれらの群れが虚しく聳え立っていた。
正しく、《廃墟》、そう形容する他ない場所だ。
建物だけでなく、アスファルトの地面もまた、ひび割れ、場所によっては剥がれ、土の層が露わになっていた。
場所によっては窪地だけでなく、隆起した場所もある。
戦闘となった場合には、足場にも気を付ける必要がありそうだ。
そして、それだけでなく、私たちの脅威は、正しく目の前に溢れていた。
「ガードロボ、ですかね…沢山居ますね…」
ミドリが緊張した面持ちで見詰める先には、数えるのも億劫になるような数の武装したロボットの軍団が彷徨っていた。
オートマタ型にドローン型、私は初めて見る小型の立方体のロボットまでいる。
数だけであれば、以前のブラックマーケットでのマーケットガード集団にも引けを取らない。
それ以上にも思える。
[“これはちょっと…イヴに頼らざるを得なさそうだね…”]
先生も出来れば、何事もなく終わらせたかったのだろう。
先生は項垂れるが、事前情報の段階で万が一に備えて私を頼った先生の判断は慧眼だったと言えよう。
「えっ!?イヴさん、アレ全部倒せるの!?」
モモイが小声の範囲で驚愕し、目を丸くする。
「倒せと言われれば、倒せないことも無いが、その必要はないんじゃないか?」
私は銃の最終点検をしながら先生に視線を向ける。
[“そうだね。行き先が分かっていれば、イヴに先陣を切って道を開いて貰って、最短距離で突っ切れると思う”]
頷いた先生は、モモイへと顔を向ける。
モモイが示す行き先次第で、相応しい経路を導き出す。
「あ、そっか!それなら…!」
モモイは壁の陰からガードロボの群れが徘徊する広場を眺める。
「多分、あっちの方向なんだけど…」
モモイが指し示したのは、比較的広い通りだった。
「向こうも敵がいっぱいだね…」
だが、変わらずその地面は荒廃が進んで凸凹であり、また、広いが故に敵の数も多い。
ミドリがその様子を目にして僅かに怯えている。
[“詳しい地点とか、建物とかは分かる?”]
先生の提案に、モモイは敵に見付からない程度に右往左往して眺めるが、暫くして首を横に振る。
「ダメ…。せめてもう少し近付いて周囲の地形が把握出来れば良いんだけど…」
[“そっか。でも、大まかな方角は分かってるし、ここからは電撃作戦で行こう。イヴ、お願いできるかな?ちょっと無茶なものになるけど”]
何を今更。
この程度、アビドスでの騒動に比べれば何ということはない。
「問題ない。いつも通りだ。戦いは任せろ。先生もいつも通り、生徒を導いてあげて」
[“──うん、よろしく!!”]
「うわぁ!スゴい!二人とも、長年連れ添った相棒みたい!!」
私と先生のやりとりに何か感性を刺激されたのか、モモイが嬉々とした声を上げる。
もちろん、小声の範囲でだが。
「お姉ちゃん!水を差さない!もう…!」
例の如く、歓喜するモモイをミドリがたしなめる。
「モモイ、ミドリ、私が出来るだけ敵を引き付けて道を開ける。だから、先生を頼める?」
私が二人に頼むと、モモイもミドリも、思いがけなかった言葉なのだろう。
一瞬だけ、キョトンとした気の抜けた表情になる。
だが、すぐに元通りの笑顔に戻ると、力強く頷いた。
「うん!任せてよ!これは四人みんなでの冒険だもんね!イヴさんだけに良いところを取らせる訳にはいかないよね!」
「はい、任せてください。パーティープレイですね。イヴさんの負担を少しでも減らせるように頑張ります」
二人がどれほど
勿論、全てを丸投げにするつもりは毛頭ないが。
[“大丈夫だよ、イヴ。二人の指揮は任せて”]
先生の指揮も加われば問題無いだろう。
「よし──それじゃあ、行くぞ」
思考を臨戦状態に切り替え、私は動き出した。
隠れていた壁の陰から飛び出し、ガードロボ達の前に姿を晒す。
当然、私の姿を捕捉したガードロボ達がこちらに向かって動き出す。
更には、気付いてなさそうな背を向けたオートマタにも右手に持ったハンドガンを撃ち、気付かせる。
十数体のガードロボが私に向かって迫り、また、射撃する。
私は射撃を躱しつつ、持ち替えた右手のアサルトライフルで迎え撃つ。
倒す必要はなく、あくまで牽制射撃だ。
一定の距離まで近付き、ガードロボの群れが収束したところで、私は銃撃を躱しながら、懐から手榴弾を取り出し、放り投げる。
それは、地面への接触と同時に炸裂し、爆炎を上げる。
爆炎は収束していたガードロボを吹き飛ばし、道を開く。
[“今だよ!モモイ!ミドリ!”]
間髪入れずに、待機していた三人が動き出す。
騒ぎを聞き付けて、ガードロボが集中しつつある。
先生が言った通り、ここからは電撃作戦だ。
進行方向から来るガードロボへと再び手榴弾を投擲し、爆発で吹き飛ばす。
三人を先に進ませつつ、左右から迫るガードロボへと、先程、エンジニア部から受け取って来たばかりのショットガンを向ける。
放射上の広範囲にばら撒かれた散弾は、“面”となってガードロボを打ち据え、動きを阻害する。
私が
先を行くモモイたち三人も前にも現れるが──。
「どいたどいたー!!」
独特な電子音の銃声を響かせ、モモイは散弾で広範囲の敵を、ミドリは着実に敵一体ずつを処理して行く。
「お姉ちゃん!目的地は!?」
二人のコンビネーションにより、ガードロボ達は近付くことが出来ない。
それでも、数の暴力とでも言うべきか、着実に範囲は狭まって行く。
「待って待って!この辺のハズなんだけど、うーん!!」
散弾を乱射しながら、モモイは辺りを見渡す。
[“──!!モモイ!あそこの工場は!?”]
先生が少し離れた場所にある建物を示す。
「あ!あそこかも!でも!」
その建物に行くには、その進行上に敵が集中していた。
「先生!私が道を切り開く!後ろは頼んだ!」
殿から一転、私は三人の上を飛び越え、前に躍り出る。
[“任せて!モモイ!ミドリ!後ろから来る敵を食い止めるよ!大丈夫!そんなに時間はかからないよ!]”
──言ってくれる。
だが、時間はかけられない。
最初からそのつもりだ。
私と工場と思しき建物の間の敵は数十体。
そして、周囲からも絶えず敵が集まって来ている。
このままでは数に押し潰される。
背後では、先生の指揮の元、モモイとミドリが奮闘してくれている。
暫くは背後を気にする必要はないだろう。
私は正面方向の敵にだけ注意すれば良い。
正面のガードロボから銃撃が私に飛ぶ。
私は素早く体勢を低くして躱し、同時に地面を蹴った。
瞬く間に距離を詰め、肉薄の直前に体勢を入れ替え、滑空突進の勢いを乗せた蹴りと共に突っ込む。
まともに蹴りを受けたガードロボは吹っ飛び、後ろの仲間を巻き込んで揉みくちゃになる。
着地と同時に、ショットガンによる三連射を左右正面にそれぞれ放つ。
エンジニア部に改良もとい改造を施された銃による射撃は、中〜遠距離であれば僅かに動きを止め、近距離であれば大ダメージを与える。
欠点は、障害物を貫通しない点だろうか。
一度でも遮蔽なり敵に直撃した場合、著しく減衰し、その後ろの敵には当たらない。
だからこそ、あまりこういった大勢の敵を相手にする場合には向かない。
前の仲間が倒れても、その残骸を超えて、控えていた敵が向かって来る。
だが、当然、それも折り込み済みだ。
私は連射の直後、素早く装填する。
装填と言っても一発だけ。
一回に付き、一発限りの高速装填──《クイックリロード》。
そして即座に再発射。
仲間の残骸を踏み越えたガードロボ達を散弾が襲う。
再び、クイックリロードからの発射。
ガードロボの群れを蹂躙して行く。
だが、それも無限に続く訳ではない。
クイックリロードには、事前に予備の弾薬を専用に準備しておかねばならない。
残るは一つ。
最後の一発、三回目のクイックリロードを行い、ガードロボの群れを制圧する。
それにより、ガードロボの群れに切れ間が生じる。
それが塞がらぬように、切れ間に身を投じる。
左右から敵が迫るが、アサルトライフルの掃射で薙ぎ払う。
先程のショットガン斉射の影響もあってか、周囲のガードロボが怯む。
[“今だ!走って!!”]
その直後、三人は食い止めていた敵に背を向けて走り出す。
その背中は私が守ろう。
再び私と三人は入れ替わる。
モモイたち三人は工場へ向かって疾走し、その道すがら左右から迫る敵を薙ぎ倒す。
私は再び殿となり、三人に銃口を向けている敵をハンドガンで怯ませ、更には手榴弾で追い討ちをかける。
三人が工場内に侵入したのを確認すると、私も隙を見て疾走し、敵の間を縫うようにすり抜ける。
工場に侵入する直前、置き土産に手榴弾を迫り来るガードロボの群れに向かって投擲した。
私は入口付近で待機していた三人に合流し、再び四人となった私たちは急いで入口から離れるのだった。
ついに本格的に始まりましたパヴァーヌ編!
ガッツリとゲーム開発部と関わらせることにしてみました
イヴがゲーム開発部との冒険で何を見出すのか…
話は変わりますが、パヴァーヌ二章ってエデンの後だったんですね
半年くらい前に読んだはずが、すっかり忘れてしまっていました
今回の章は短めで終わりそうですね!(楽観)