ゲーム開発部に新しい仲間が!?
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〜ある日のシャーレ〜
コンコンコン…
ガチャ
イヴ「先生、ただいま戻った。今日の仕事の内容を纏めた書類なんだが…」
[“あ、おかえりイヴ”]
ユウカ「ん?あなたは…」
「あなたは確かミレニアムの…」
「早瀬ユウカです。久しぶりですね、渡鳥イヴさん」
[“二人は知り合いだったんだね”]
「知り合いというか、前にちょっと野暮用でね」
「そう言えば、イヴさんはシャーレ所属でしたね」
「ああ…じゃなかった。はい、先生の手伝いをさせて頂いています」
「ふふっ、無理に敬語で話す必要はありませんよ。今更ですし」
「そういうことならお言葉に甘えて。ユウカも砕けて話してくれて良いよ」
「そう?それにしても、こんな遅くにまで仕事なんてイヴさんも大変ね。私は近くを通りがかったから顔を出したんだけど」
「そうでもない。先生に比べたら、な」
「それは確かにそうね」
[“あはは…”]
「ユウカが良ければ、ミレニアムの近くまで送ろうか?」
「えぇっ?そんな悪いわよ。イヴさんの家と真逆だったら大変だし…」
「私のことなら大丈夫。シャーレに住んでるから」
「え゙っ…」
「ん?」
[“あー…”]
「せ〜ん〜せ〜い〜?これはどういうことですか!?」
「この流れアビドスでも見たな…」
[“いや、これはその!事情があって!”]
「男女が同じ屋根の下で暮らすなんてそんな!不健全です!付き合ってる訳でもないのに!ましてや先生と生徒ですよ!?何か間違いがあったらどうするんですか!?」
[“いや!そんなことが起こらないように私も細心の注意を…”]
「注意でどうにかなるとでも!?」
「ユウカは何をそんなに怒ってるの?」
「イヴさん、先生に何かされなかった!?」
「えっ?何かって?」
「えっ…?それはその…ほら!男女の仲と言えば色々あるでしょ!?」
「???」
[“あはは…イヴにそういった知識を求めているのなら見当違いだよ”]
「先生…まさかイヴさんが純情無垢なことを良いことに…!」
[“してません!誓ってそんなことはしていません!大切な生徒に手を出すなんてそんなことは神様に誓ってしません!”]
「あ、そう言えば──」
「シャワー室の脱衣所で先生と鉢合わせたことはあったな」
(勢いよく先生の方を振り向き、睨み付けるユウカ)
[“いや!あの時はその…!私も疲れていて…!気付かなかったんだよ!わ、私は悪くねぇ!悪くねぇ!”]
「先生、私の身体、変じゃなかったか?」
(無言で先生にガンを飛ばすユウカ)
[“いやいや!大丈夫だから!大事なところはちゃんとタオルで隠れてたから!”]
「そういう問題じゃありません!イヴさん!私があなたの家を手配しますから!それまではシャーレに泊まるのは極力、控えるように!」
「えー…シャーレに泊まった方が楽なんだけど…」
「ひ!か!え!る!よ!う!にっ!!」
「わ、わかったよ…」
「それから今日はウチに泊まってもらうからね!服は貸すから!」
「え…そんな急に…」
「良いわね!?」
「はい…」
その後日、ブラックマーケットでの一件があり、レンカの要望を込めて、ユウカに物件の手配をお願いするイヴであった…。
ミレニアムの《廃墟》にモモイ、ミドリ、先生の四人で潜入し、黒髪の少女と共に帰還した翌日、私は再びミレニアムに訪れていた。
用件としては、エンジニア部の試作品の受け取りがまず一つ。
先日、ヒビキから試作品の改良の為に試し運用の依頼を受けた。
その試作品の銃を受け取ることが一つ。
もう一つが、今朝、先生直々にゲーム開発部の様子を午前中だけ見て欲しいというお願いがあり、言われた通りに見に来た訳だ。
エンジニア部とゲーム開発部、どちらを先に済ませるかを一瞬悩み、先にゲーム開発部の様子を見に行くことにした。
《廃墟》で出会ったあの黒髪の少女とモモイとミドリが一晩でどうなっているのか。
とは言っても、一晩程度では大して変化はないと思うが。
ひとまず、ゲーム開発部の部室に向かうべく、案内板を眺める。
「あれ、イヴさん?」
後ろから聞き覚えのある声をかけられ、私は反射的に振り向いた。
そこに立っていたのは、以前も出会い、エンジニア部へと案内してくれた早瀬ユウカだった。
「ユウカ、久しぶり…でもないか。一週間ぶり?」
訳あって、私は先週、シャーレでユウカと出会い、色々あってミレニアムのユウカの私室に泊まることになった。
「正しくは五日と二十三時間四十分三十二秒ぶりね。どう?新居の居心地は?」
そして、私の新居を手配してくれたのは、他でもないユウカだった。
「悪くないよ。同居人も気に入ってくれたみたいで、助かったよ。ありがとう、ユウカ」
当然、新居の条件はレンカの要望を反映した、かなり無茶なものだったが、それでもユウカは条件が合致した物件を紹介してくれた。
「それなら良かったわ。それで今日はどうしたの?またエンジニア部に用事でも?」
「エンジニア部にもだが、先ずはゲーム開発部に行きたいんだ」
私がゲーム開発部の単語を出すと、ユウカは戸惑いの表情を浮かべる。
「ゲーム開発部、…?こう言ってはなんだけど、あまりあの部活には関わらない方が良いわよ…?何の用なの?」
ユウカにこんなことを言われるなんて、普段いったい何をしているんだモモイとミドリは…。
「ああ、ちょっと先生の頼みで様子を見て欲しいと頼まれてね」
取り敢えず引き受けてくれたユウカと共に、ゲーム開発部の部室へと向かう。
「そう…。先生が頼むってことは、イヴさんも一応、ゲーム開発部と面識があるってことで良いのよね?大丈夫?あの子たち、何か迷惑かけてない?」
ユウカはゲーム開発部に対して、腫れ物のように扱っているのかと思ったが、それでも彼女なりに気に掛けてはいるのだろうか。
「いや、特には。寧ろ、よくしてもらっているよ」
先の《廃墟》潜入でも、初対面の私を快く受け入れてくれた。
私にはそれだけで十分過ぎる扱いだ。
「そう…それなら良いけど…。何かあったら、私に教えてね?あの子達、大人しそうに見えて、やる時はやる問題児だから」
はぁ、とユウカは溜め息を吐く。
その様子から、普段から心労をかけられているのだろうという事が窺える。
昨日、出会った時はそんな感じには──いや、ミドリは兎も角、モモイは結構、やんちゃな雰囲気があった気がしないでもない。
「ここを真っ直ぐ行けば、ゲーム開発部の部室よ」
「ありがとう、それじゃあ」
私はユウカに背を向け、歩き出す。
「えぇ…。──イヴさん」
「ん?」
背後から声をかけられた私は、立ち止まって振り向いた。
「あの子たちのこと、よろしくね」
ユウカは困ったように微笑んだ。
モモイ達が問題児なのは間違いないのだろう。
心労をかけさせられているのも事実なのだろう。
それでも、ユウカにとっては大事な生徒たちなのだろう。
「…うん」
私はユウカの想いを汲み取り、ゲーム開発部の部室へと向かった。
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ゲーム開発部の部室の前に辿り着く。
扉の左側には、銀色のシンプルなプレートに、デフォルメされた猫のドット絵のシンボルとGAME DEVELOPMENT DEPARTMENTの文字。
そして、右側には“廃部予定”の無慈悲な張り紙が貼られていた。
モモイの言葉を疑ってはいなかったが、廃部寸前というのは間違いないらしい。
そんなゲーム開発部の姉妹と新しい黒髪の少女の様子を訪ねるべく、私は部室の扉を叩いた。
──無反応。
もう一度叩いてみる。
もしかしたらヘッドホンを付けて作業中なのかもしれない。
だが、やはり部室から応答が返って来ることはなかった。
ドアノブに手をかける。
鍵は──掛かっていなかった。
不用心に思うが、この際はむしろ都合が良い。
私はゲーム開発部部室の扉を開いた。
部屋の中は照明が点いておらず、昼間だというのに暗闇に閉ざされていた。
やはり、モモイやミドリ、少女の姿は無い。
窓のカーテンが閉ざされ、それが日の光を遮っていた。
「……」
入ってすぐ近くには三人ほどが座れるソファーが置いてあり、その奥には棚が並んである。
そして、床の上はゲーム機と思われる機械や玩具の他、お菓子の殻が散らばり、足の踏み場が無くなっていた。
何ともモモイらしい部屋だなと感想を抱きつつも、しっかりしていそうなミドリがこの状態を放置とは、人は見かけによらないものだ。
そんな感想を抱きながら、私はそっと扉を閉める。
廊下からの光も無くなり、部屋の中は完全な暗闇に鎖される。
仄暗い部屋の中、私は一人佇む。
──否、私一人ではない。
出入口の左手側、その壁際には、ロッカーが並んでいる。
部員のものと思われるロッカー、その中から、私の頭頂にある犬の耳は、微かな、だが確かに何者かの息遣いを聞き取っていた。
部員のいない、照明が点いてない部屋の中、ロッカーの中に隠れた何者か。
コソ泥か、それともまた違う悪意で忍び込んだ何者か。
いずれにせよ、住人がいない時を狙って忍び込んだのだ。
碌な考えではないだろう。
些細な悪戯程度なら見逃しても良いが、万が一ということもある。
隠れ潜む人物を文字通り、日の下に晒し出す必要があるだろう。
私はゆっくりとロッカーに忍び寄る。
私が近付いて来ていることに気付いたのだろう。
ロッカーの中の息遣いが激しくなる。
まるで息を押し殺しているかのように、掠れている。
実際に押し殺しているのだろう。
自身が隠れていることを察知されないように。
実際には既に看破されているのだが。
気配の元となるロッカーの目の前に立ち、下から上へと見詰める。
ロッカーの中の息遣いは、これまでにないほど激しくなり、ロッカー越しだというのに、心臓の音すら私の耳は捉える。
それを理解しつつも、私は、まるで興味を失ったように、ロッカーから視線を外し、横に移動する。
ロッカーの中の息遣いが、安堵したことを示すように落ち着いた。
──その瞬間、私は一瞬にしてロッカーの前に移動し、勢いよくロッカーの扉を開いた。
「ひぃいぃぃぃぃぃぃっ!?」
隠れていた人物──生徒の悲鳴が上がる。
ロッカーの中では、一人の少女が頭を抱えて震えていた。
部屋の中は暗いが、私の“眼”は調整すれば暗闇の中でも問題なく視認することができる。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい──」
まさかここまで怯えられるとは思わなかった。
少し懲らしめて、後悔させる程度に驚かせるくらいのつもりだった。
その瞬間、私は嫌な予感を察知した。
それは、この少女がコソ泥などではなく、この部室の住人──ひいてはゲーム開発部の部員であり、訳あってこのロッカーに潜んでいたというものだ。
どうして部員がロッカーに隠れる必要があるのか、という疑問はあるが、この様子でコソ泥や悪戯をするような人物には見えない。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい──ハッ!」
どうしようかと悩んでいると、生徒の方が立ち直った。
そして、変わらず怯えながらも、私を涙で潤んだ両眼で上目遣いに睨み付ける。
「げ、ゲーム開発部に何の用、ですか…!わ、悪いことをしようとするのなら…ゆ、許しませんよ…!!」
それは余りにも弱々しく消え入りそうな声であり、少女自身、今にも泣き出してしまいそうな様子だった。
それでも、この場所を守ろうという気概は震えた声と表情から伝わって来た。
間違いない。
この子もまた、ゲーム開発部の部員に違いない。
ロッカーの中に潜んでいたのも、何かしら事情があってのことなのだろう。
「驚かせてしまってごめんなさい。てっきり、コソ泥か何かかと思ってしまって。私は渡鳥イヴ。シャーレの先生のお願いで、ゲーム開発部の様子を見に来たんです」
私は怯える少女を安心させる為に、視線を合わせ、出来る限り穏やかに、柔らかく言葉を紡ぎ、微笑んだ。
私の自己紹介に、少女はキョトンとした表情に変わったが、ひとまず恐怖を取り除くことには成功したらしい。
「──ぁ、えと、その…!こ、こちらこそごめんなさい!私もその…怪しい人かと思ってしまって…!」
シャーレ直属特務戦闘員としての制服とは言え、私はいつもの黒ずくめスタイルだ。
不審者と思ってしまうのも無理はない。
「シャーレの人だったんですね…。良かったぁ…」
少女は心底から安堵したように顔を綻ばせた。
額を見せるように前髪を左右に分けた長髪の少女だった。
「良かったら、あなたのことを教えていただけますか?」
「あ、はい!《花岡ユズ》、です。一応、ゲーム開発部の部長をやってます…」
部長か。
確かに、モモイもミドリも、自身を部員としか言っていなかった。
「ありがとうございます。それでユズさん、他の方はどちらに?」
「あ、えと、《アリス》ちゃん…あ、昨日入った子なんですけど、色々と訳アリで…今はその子の為に武器を取りに行ってるところです」
《アリス》、というのは、黒髪の少女のことだろう。
そして、武器を取りに行ったということはエンジニア部か。
どうやらタイミング悪く入れ違いになったようだ。
「そうでしたか。一応、彼女たちの様子も確認したいので、来るまで待たせていただいても構いませんか?外でも良いですが」
一応、私自身としては、モモイとミドリ、そしてアリスと名付けられた少女の様子を見るつもりだったので、それが確認できるまでは帰ることは出来ない。
「あ、いえ…!中で待っていただいて、大丈夫、です…!」
「そうですか。それではお言葉に甘えて。それと、もし良ければ敬語を外して話させてもらっても良いでしょうか?なにぶん、敬語は不慣れなものでして…」
今では随分と敬語にも慣れたが、やはり普通に話せるのであれば出来るだけ普通に話したい。
「え、あ、はい…大丈夫です…!」
「ありがとう、ユズ。それじゃあ、普通に話させてもらうね。ユズも話をしやすい口調で良いからね」
「わ、分かりました…。が、頑張ります…!」
その後、取り敢えず部屋の照明を点け、私とユズは、一人分のスペースを開けてソファーに座った。
このまま待っても良いが、果たしてどれだけ待つことになるのか。
気分を紛らわせる為に、ユズに話しかけようとした直前、それまで横でモジモジしていたユズが、意を決したようにこちらに振り向いた。
「あ、あの!も、もしよかったら、みんなが戻るまでゲームをして待ちませんか!?」
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そういうことで、私はモモイ達が戻って来るまで、ゲームをして待つことにした。
ユズは色々なゲームを勧めてくれたのだが、一つ、私の目に留まったタイトルがあり、それをプレイすることになった。
私がゲームを遊ぶ隣で、ユズが操作の説明などの基礎的なことを教えてくれつつ、見守ってくれる。
「す、凄いですよイヴさん…!ここまでノーデスで進めるなんて…!」
「な、何とかここまで来れたけど…回復アイテムは一個もないよ…?」
「でもでも!初見でここまで出来るなんて予想外でした!高難度…って程でもないですけど、もの凄く命が軽いゲームなのに…!」
「確かに、ここに来るまで五回は死にそうな場所があったね……ところで“灯火”は何処…?」
「大丈夫です!このゲーム、しっかり作り込まれているので!休憩地点もしっかり考えられて配置されてますよ!」
「……ねぇ、明らかに地面の色がおかしい場所に出たんだけど…?」
「これは“毒沼”です!歩くだけで毒の状態異常が蓄積して、体力が少しずつ減っていく毒状態になってしまうので気を付けて下さい!」
「…と、“灯火”はまだか…?帰りたい…」
「近くにあるはずです!頑張って探しましょう!」
時間を潰すだけのつもりが、すっかりゲームにのめり込んでしまっていると、ガチャリという音と共に部室の扉が開いた。
「たっだいまー!ってアレ!?イヴさん!?」
現れたのは、待っていたモモイとミドリ、そして黒髪の少女改め、アリスの三人だった。
「あ、ホントだ。イヴさんだ」
アリスは何やら無骨なものを背負っており、扉のところで突っかかっている。
見かねたミドリが助けてあげていた。
「なんでイヴさんがいるのー?てか、“ダクスピ4”やってんじゃん!あははー!その顔から見るにさてはイヴさん、死にまくってるね〜?」
振り返った私の顔がよほど憔悴していたのだろう。
モモイは私を指差して笑い転げた。
「いや、逆にモモイが半日かかった難所を初見突破したよ」
淡々と、ずっと隣で見ていたユズが告げる。
「うそぉ!?」
「嘘じゃないよ。ほら、もうこのエリア」
ユズはテレビ画面に映る鬱蒼とした森を示す。
「うわ、ホントだ。すごいですねイヴさん」
後ろに来たミドリが感嘆するように息をこぼした。
「灯火あったかい…」
私は何とか見つけた休憩地点でひとときの安らぎに浸っている。
「あっ、このゲーム、アリスはまだやってません!アリスもやりたいです!」
・・・随分と一晩で性格が変わった…というか、醸造されたとでもいうべきだろうか?
昨日の別れ際は口数が少なく、必要以上の応答はしない、正しくAI、ロボットといった様子の希薄な性格だったのだが、モモイはどんな手を使ったのか、すっかり表情豊かで自身の思いを吐き出せるようにまでなっている。
「はいはい、アリスは後でねー。でも、確かその先には──」
私はゲームへと意識を戻す。
「!?何か出て来たよ…!?」
「《竜》……《ドラゴン》です!」
「ドラゴン…?」
「ドラゴンっていうのは──」
「はい!アリス知ってます!竜やドラゴンというのは、おとぎ話や伝説、神話に出て来る空想上のモンスターです!」
「あー!私が説明したかったのにー!」
「ハイハイ、子供みたいなこと言わない」
「ドラゴンは、岩をも切り裂く鋭い爪を持ち、太い尻尾は大木すら薙ぎ倒し、大きな翼で大空を舞い、牙は鉄の鎧を噛み砕きますが、逆に生半可な武器ではその鱗には一切、歯が立たず、更には口から火の息を吐く、恐ろしいモンスターです!」
「…ッ!確かにこれは…!これまでの敵とは比べ物にならないくらいつよ…と言うか、地形の毒が厄介過ぎる!」
「序盤じゃ解毒アイテムは貴重だからね〜」
「お姉ちゃんもいっぱい毒で死んでたね」
「私のことは言わなくて良いの!」
「あと、少し…!ぁあー!外野!くぁー…やられた…!」
画面には【YOU DIED】の赤文字が真っ黒な画面に浮かんでいた。
「あー、雑魚の処理が甘かったね〜。このゲームは雑魚を舐めると死ぬからね」
モモイは何故か勝ち誇ったように胸を張っていた。
「お姉ちゃんも新作の度に雑魚を侮って死んでるからね。実体験が伴ってるから説得力がすごいね」
「私の情報はいらないのー!!」
再びわちゃわちゃと仲良く喧嘩する才羽姉妹。
「ノーデス記録、途切れちゃいましたね…でも、凄かったです!」
ユズは私を励ますように声を掛けてくれた。
敗北したのは悔しかったが、不思議と心地良い気分だった。
「こちらこそ、ありがとう。楽しかったよ、貴重な経験だった」
また機会があればリベンジしたい。
いや、必ずリベンジしよう。
「……そう言ってもらえて、良かったです…」
そう言って、ユズは嬉しそうに微笑んだ。
満足した私は、改めて、この場所に訪れた目的を果たすことにした。
「改めて…モモイ、ミドリ、昨日ぶりだね」
「今更!?」
「まーゲームしてたしね。イヴさん、昨日はありがとうございました。お姉ちゃんに変わってお礼を言います」
「変わんなくていいから!私もお礼くらい言えるから!イヴさん昨日はありがとね!」
相変わらずの仲の良い才羽姉妹の様子に笑みを溢しつつ、その隣で話題に混ざれず困惑しているアリスに向き直る。
「こうして挨拶するのは初めてだね。改めて、私は渡鳥イヴ。私もアリスって呼べばいいのかな?」
私が声をかけると、当初は困惑したようにオロオロするが、すぐに立ち直り、落ち着いた様子でゆっくりと口を開く。
「はい、私はアリスです。よろしくお願いします、イヴ!」
アリスは弾けるような満面の笑顔を浮かべた。
「あっ、そうだ!アリス!折角だからイヴさんで予行演習しておこっか!」
「予行演習って…お姉ちゃんアリスに何させるつもりなの?」
「午後のユウカの審査だよ!」
「うん、それは良いと思う…イヴさんが良ければ、だけど…」
「私で良ければ何でも手伝うよ」
「それじゃあ、アリスの自己紹介でおかしいところがあったら指摘して欲しいんだよ!良い?」
「それくらいならお安い御用だね」
「ありがとう!それじゃあアリス、準備はいい?」
「はい!アリス、いつでもいけます!」
「それじゃあ──スタート!!」
戦闘のないほのぼの回でしたね
やはりゲーム開発部は癒しです…
ユウカの優しさも沁み入ります…
次回はちょっとストーリーから外れます