フルパーティーでダンジョン(廃墟)攻略!!
そう言えば、先生から見たイヴについてですが、ゲーム的には、ストーリーなどで良くある、協力NPCみたいな感じです
操作はできませんが、一緒に戦ってくれる力強い味方ですね
しかも、スキルもしっかり使ってくれますからね
そういう感じなので、基本的にイヴ+αの戦闘は、敵が強化されていたり、増えてたりします
「──みんな、準備は良いね…!?」
倒壊した建物の壁の蔭に隠れたまま、モモイは他三人に声をかける。
ミドリ、ユズ、アリスは無言で頷く。
《廃墟》に到着した私たちは、ガードロボの様子を窺いながら、距離を少しずつ詰めた。
「でも何だか前より多いような気が……」
ミドリが壁から覗き込み、徘徊するガードロボの数を確認して小さくこぼす。
私も先程、ちらっと確認したが、以前より確実に敵の数が増えている。
[“以前の侵入があったから、更に警備が分厚くなったのかも…”]
あり得るな。
前回、奴らは散々、蹴散らされた挙句、みすみす施設内への侵入を許し、更には逃げられた。
同じような過ちは犯すまいと統率するAIか何かがガードロボを追加したのだろう。
「大丈夫!私たちなら突破出来るよ!」
モモイは以前と同じ──いや、その時よりも強い自信に満ちている。
「う、うん…!ちょっと怖いけど、でも!みんなとだったら…!」
ユズは意を決して、勇気を振り絞る。
「はい!大丈夫です!私たちは今まで一緒に、27回のダンジョン探索と、139回のレイドバトルを成功させてきました!」
アリスは変わらず、自身と、そして仲間を信じている。
「それはゲームの話だけどね…」
ミドリは呆れつつも、しかし、その表情に迷いは無い。
「それでも!私たちならきっと勝てるよ!でしょ!?先生!イヴさん!」
ゲーム開発部四人が一斉に私と先生に視線を向ける。
やる気は十二分、といった様子だ。
[“うん。私も、パーティーの一員として、みんなを信じて、私に出来ることを頑張るよ”]
ある意味、今回の探索では、ゲーム開発部を指揮する先生が要と言って差し支えない。
「先生のことは安心して。私が片手間に護衛しておくから」
ゲーム開発部を援護しつつ、先生も護衛する。
それが今回の私の仕事だ。
[“はは…イヴなら本当に片手間で出来そうだね…”]
とは言っても、先生の指揮は本物だ。
先生に危機が訪れるような状況は、壊滅でもしない限りあり得ない。
「──だから、後ろのことは気にせず、前だけ見て進め!ゲーム開発部!」
「「「「はい(うん)!!!!」」」」
ゲーム開発部の四人が一斉に飛び出す。
私と先生もまた、その後を追う。
四人に気付いたガードロボが身構え、戦闘体勢に入る。
「ユズ!やっちゃえ!」
モモイが叫び、こくりと頷いたユズは、自身の武器を構える。
ユズの武器はグレネードランチャー。
放たれた無数の砲弾が一体のガードロボに集中し、着弾後、発生した爆発が周囲の敵をも吹き飛ばす。
「次!行きます!」
続けて、ミドリの銃撃が的確に残っていた敵を撃ち抜いていく。
「よっし!G.Bibleがある場所は分かってる!そこに向かって一気に突っ切るよ!」
ユズとミドリの奮闘によって密集していた敵が撃破され、道が開けた。
モモイとアリスも、通常射撃で敵を牽制しつつ、周囲の敵を近付けさせない。
私と先生も四人のあとを追う。
再び、四人の進路をガードロボが塞ぐ。
「モンスターとエンカウントです!」
「アリス!行ける!?」
「はい!魔力充填率100%です!いつでも行けます」
「やっちゃえ…!アリス…!」
「はい!今日の私は光属性広範囲アタッカー──前方のモンスターの群れを殲滅します!──光よっ!!」
アリスが携える、銃というにはあまりにも大き過ぎる鉄の塊から放たれたのは、
それは直線上のガードロボを吹き飛ばし、敵の群れに風穴を開ける。
なるほど。
あれがエンジニア部の部室を吹き晒しにした原因か。
「グッジョブアリス!私も行くよー!もしGBibleが手に入らなかったら、あなた達のせいだよー!!」
更に畳み掛けるように、モモイの広範囲を薙ぎ倒す散弾が風穴を広げる。
「お姉ちゃんナイス!今のところ順調だね!」
「うん…!わたし達でも戦えてる…!」
ゲーム開発部の四人が敵の波間を駆け抜け、先へと進む。
私は先生と共にその後を追いつつ、追いかけて来ないように残った敵を処理する。
[“ヤケに順調だ…イヴもそうは思わない?”]
だが、私の横を走る先生の表情は険しい。
やはり、こう言う時の先生の勘の鋭さは本物だ。
・・・私も薄々、違和感を覚えていた。
ともすれば前回よりも流れは順調だ。
敵は多いが、それでも四人の瞬間的な殲滅力がそれを上回っている。
このまま行けば問題ない。
何も無ければ──。
モモイたちは敵の第三波に
シールド持ちの大柄なオートマタも多く、かなりの難所だ。
だが、ここを越えれば目的地の工場は目の前だ。
[“ここは私の出番かな”]
先生が端末を片手に、指揮の用意をする。
「はい!先生、指揮をお願いします!」
[“それじゃあアリスは敵の左手にさっきの光弾を!ユズは右手に範囲攻撃!ミドリはドローンを狙って撃ち落として欲しい!モモイはアリスとユズの攻撃後の残党に追撃を!”]
先生の的確な指示が飛ぶ。
アリスの光弾、ユズの爆撃、ミドリの狙撃が敵の数を着実に減らし、そこにモモイの広範囲連射が叩き込まれる。
正面を埋め尽くす程の敵の群れは、瞬く間に薙ぎ倒された。
「すごい…!あれだけいたのに一瞬で倒しちゃった…!」
「これが、先生の指揮の力…!」
「パンパカパーン!ゲーム開発部はレベルアップしました!」
それに一番、驚いていたのは、やはり他でもないゲーム開発部のメンバーだった。
個人個人の能力を把握し、それを最大限に有効的に活用できる采配はいつ見ても見事と言う他ない。
「さっすが先生!よーし!この調子で工場に──ってアレ!?」
敵の第三波を乗り越え、もう少しで工場内に潜入できる──その直前で私たちが目の当たりにしたのは、まるで工場を守るように陣取ったガードロボの群勢だった。
人一人通る隙間も無く、ガードロボが集中、密集している。
「ちょおっ!?あんなのアリ!?」
「私たちの目的が見透かされてるね…」
「あれじゃあ、アリスの光の剣でも、わたしの爆撃でも、焼け石に水だよ…」
「うわーん!モンスターがタワーディフェンスしてるのは聞いていません!反則です!GMコール案件です!即刻ナーフを要求します!」
[“なるほど…建物内に侵入されたら手出し出来ない…だから、そもそも侵入させなければ良い…そう言うことだね”]
先生の推測でおおよそ間違いないだろう。
あれらのガードロボを統括するAIは、こちらの目的を前回の行動から読み、分析し、この手法に至った。
計算や分析はAIにはお手のものだろう。
だが、それならば──。
私は前に踏み出す。
「…イヴさん?」
ミドリが首を傾げつつ、不安が浮かぶ視線で私を見詰める。
それを上回れば良い。
AIの計算も分析も、成り立たなくさせてしまえば良い。
歩き出した私は、ゲーム開発部の前に出る。
「私が道を切り開く。四人は私に着いて来い」
[“はぁ…結局、こうなるのか…”]
背後で先生の呆れ気味のため息混じりの呟きが届く。
悪いな先生。
生憎、私はこの手しか知らない。
そして、この手が一番、手っ取り早い。
更に言えば、これこそが私の本分だ。
「えぇっ!?イヴさんが強いのは知ってるけど、流石にあの数は無茶だって!?」
モモイが驚愕と共に抗議を上げる。
「そうですイヴ!それは俗に言う、死亡フラグです!アリス知っています!」
アリスも私のコートの袖を掴む。
他のミドリもユズも不安そうに見詰めている。
[“いや、案外そうでもないよ”]
意外にも私に助け舟を出してくれたのは先生だった。
[“イヴは一度、百の軍勢を相手に、大立ち回りをした事があるからね。それに比べれば少ない方だよ”]
だが、その表情は渋めだ。
本心では嫌々なのが透けて見える。
「ひゃっ、100ぅ!?」
モモイが素っ頓狂な声を上げる。
他の三人も目を丸くしている。
「とは言っても、私は道を切り開くだけだ。殲滅する訳じゃない。みんなにも仕事はしてもらう」
私がそう告げると、四人は我に返って顔を引き締める。
「先生も、みんなを導いてあげてくれ」
[“分かってるよ。イヴが戦って、私が導く。いつも通りに、でしょ”]
私は頷きで返す。
そして、両の手にそれぞれ銃を握る。
「さっきも言った通り、私は一瞬だけあの敵の海を割るだけだ。みんなは、自分の力で、その一瞬の空隙を縫って駆け抜けなきゃいけない。でも大丈夫だ。その為の力はちゃんとみんな持っているし、先生がしっかり導いてくれる」
「分かった!私、イヴさんを信じるよ!」
「はい!イヴさんとなら、やれる気がします!」
「ちょっとだけ怖いけど…わたしも頑張ります…!」
「はい!アリス達ならきっと乗り越えられます!」
四人全員が、各々の武器を手に、私の後ろに着く。
真ん中には先生。
「よし…全員、しっかり着いて来い。遅れるなよ…!!」
地面を蹴り、私は先んじて敵の群勢へと突っ込む。
急接近した私に、弾幕が迫る。
でも、大丈夫。
私の傍にはいつでも、“猟犬”が寄り添ってくれているから。
共に、並んでくれているから。
全て、視えている。
読めている。
弾道の予測が線となって、蜘蛛の巣のように張り巡らされている。
その中の、僅かな隙間を私は縫うように掻い潜る。
この程度であれば、“歯車”を回す必要もない。
これまでの幾度とない“歯車”の解放は、代償を齎しつつも確かに、私のこのキヴォトスの肉体に、強化人間時代の戦闘の勘を回帰させている。
そして、それはこのキヴォトスでの戦闘でも練り上げられつつある。
以前は、“猟犬”の導きが無ければ躱すことができなかった弾幕も、こうして潜り抜けることが出来る。
着地と同時に、左右と正面に右手のショットガンを放つ。
三方向への広範囲銃撃により、それなりの数の敵が吹き飛ぶ。
更に、その間に空いた左手に手榴弾を握り、進行方向へと転がす。
爆炎が正面方向の敵を吹き飛ばし、道が開けた。
そのタイミングで、ゲーム開発部と先生が追い付いて来る。
悪くない──いや、上出来の早さだ。
[“アリス!ユズ!左と右に全力攻撃!ミドリは正面上方向のドローンを撃墜!モモイは生き残りに追撃!!”]
先生の指示により、私が割った敵の海の切れ間が更に広がり、更に上部から援護射撃をしていたドローンが撃墜され、敵の数がみるみる減っていく。
正直言って、想像以上だ。
先生の指揮もあるが、それでも、四人の潜在能力は思っているよりも高いのかもしれない。
正面から銃撃と爆撃を耐えたと思われるシールド持ちオートマタが勢いに任せて突進して来る。
私はそれを身を翻して側面を取るように躱すと、スナイパーライフルに持ち替え、背後から至近距離で首元に銃撃する。
装甲の隙間を至近距離で電撃を伴う狙撃銃に穿たれたオートマタは、そのまま崩れ落ちる。
更に私にロケットランチャーの砲弾が二発、襲い掛かってきた。
それを私は前に滑り込むようにして躱し、背後で爆発が起きる。
当然、それには誰一人として味方は巻き込まれてはいない。
砲弾は左右に逸れ、味方の左右で爆発した。
私はロケットランチャーを撃ったオートマタに詰め寄り、一体を蹴り飛ばす。
もう一体が私に砲口を向けるが、相手が撃つよりも速く、切り替えた左手のハンドガンの銃撃を喉元に撃ち込む。
矢継ぎ早に再び二体のシールド持ちが突進して来る。
このくらいの敵にハンドガンの動きを止める衝撃を試してみたかったのだが、シールド突進では盾に弾かれるのがオチだ。
仕方なく、普通に倒すことにする。
正面方向から突っ込んで来た二体の真上を前方宙返りで飛び越える。
二体のシールド持ちが無人の空間を突っ切る──その瞬間、足下の爆発に巻き込まれて怯み、突進が中断される。
動きが止まった二体に、SGをリロードした後、背面から浴びせて撃破する。
そこへ、補充されたと思われるオートマタに銃撃されるが、弾道を見切って躱し、反撃のARの掃射を撃ち込む。
背後では、モモイの散弾とミドリの的確な狙撃が敵を蹴散らしていた。
敵は随時、補充されているが、それよりもこちらの瞬間的な殲滅力が上回っている。
相手が道を塞ぐよりも早く、私たちは駆け抜け、工場内への侵入を成功させた。
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入口から攻撃の届かない奥まで進み、敵が入って来ないことを確認したところで、四人はその場に座り込んだ。
「はぁ…はぁ…私たち、突破できたの…?アレを…?」
ミドリは未だ信じられないように、後ろの入口を見詰めていた。
「はい!潜入成功です!ミッションクリアです!」
アリスは元気が残っているようだが、その額には汗が浮かんでいる。
いや、アリスはロボットなので、汗のような機能の液体と言うべき──いや、今はそんな指摘は無粋だろう。
「みんなの役に立てて、良かったです…」
特に疲労の大きい様子のユズは、息を切らしながらも、だが、その表情は晴れやかだ。
ユズは恐らく、学園──というより、部室の外にそもそも慣れていない様子だった。
それでも、こうしてここまで着いて来れている。
それには、かなりの勇気が必要だったろう。
「ん〜〜〜!!ねぇねぇ!!私たちって実はすっごく強いんじゃない!?C&Cとか、他の学校の戦闘集団と戦っても勝てちゃうかも!?」
堪え切れない喜びを溢れ出させるように、モモイは目を輝かせ、仲間たちに詰め寄る。
だいぶ天狗になっている様子だが、それも無理はないだろう。
戦闘の経験が浅い者が、大きな成功体験を得ると言うのは、それと同じだけの成長と自信に繋がる。
「少なくとも、C&Cは無理だと思うけど…でも、確かに、自分でもちょっとびっくり」
そう言いながら、ミドリは私と先生に振り向く。
「きっと、イヴさんと先生のお蔭ですね」
「わたしも、そう思う…イヴさんが前に立って、先生が後ろにいてくれたから…安心感が全然違った…」
ひとまず、四人がある程度動けるようになるまで、その場で休憩することにした。
この場所ならば、襲撃の心配はいらないだろう。
広範囲の探索では、適宜、休憩を挟むことが肝要だ。
「それにしても、先生がへとへとになってないのが意外。真っ先にバテると思ったのに…」
普通に立ったまま端末を操作する先生を見ながら、休憩中のモモイがふと呟く。
[“ふふん!こう見えて、数々の修羅場を潜り抜けてるからね!体力には結構、自信あるよ!”]
ドン、と先生は誇らしげにスーツの胸を叩いた。
確かに、先生はアビドスでの事件の時も、一ヶ所に留まる事も無かった訳ではないが、色々な場所を動き回る割にはバテたことはなかった気がする。
「まあ、そんな足手纏いだったら、私が同行を許してないからな」
[“うぐっ…”]
まあ、それは冗談なのだが。
体力が無くとも、先生にはそれを補って余りある、采配・指揮能力が備わっている。
「先生はパーティーのマスコットキャラクターではなかったんですね!アリス、驚きました!」
[“ま、マスコット……”]
・・・多分、アリスには微塵も悪意は無いのだろうが、たまにとんでもないことを口にする時がある。
純粋さ故に、その言葉は時に、見えざる凶器となり得る。
アリスの凶刃に貫かれ、項垂れる先生を見ながら首を傾げるアリスを眺めていると、そんな感想が思い浮かんだ。
五分程度の休憩を挟み、四人とも動けるようになったところで、いよいよG.Bibleを求めて工場内の探索が始まる。
その前に。
「ところで、みんな、残弾数は大丈夫?残ってる?」
ミドリがメンバーの消耗具合を確かめる。
「バッテリーがチカチカしてます…『MPが足りません』、ということでしょうか?」
《廃墟》探索にあたって、十二分に準備はして来ていたようだが、それでも大勢の敵の前に、かなりの消耗を余儀なくされたようだ。
私に着いて来ながらでは、目の前の敵を倒すことに集中し、弾薬の残数を管理するような余裕は無かっただろうし、こればかりは仕方ない。
「そうかも…あと一回くらいしか持たなそう…」
幸い、私の方は残弾数には余裕がある。
万が一の時は私が先行して殲滅する必要があるだろう。
「ごめん、イヴさん。次またさっきみたいな敵の数が出て来たら…」
モモイが珍しく申し訳なさそうに声を掛けて来た。
「大丈夫。私にはまだ余裕がある。それにみんなは十分、頑張ったさ。後は目的のことだけ考えれば良い。露払いは私がするから」
ウォルターならきっと、こうやって励ましてくれただろう。
“追憶”を燃やしたことで若干、記憶が灼けているが、それでも覚えている。
あの人はどんな状況だろうと、決して私を責めることはなかった。
全てを自身の責任にして、背負ってくれた。
最後の別れの時まで。
そして、私の知らないところでも、きっと。
「ありがとうございます、イヴさん。それでも出来るだけ、戦闘は避けていこう。イヴさんに負担をかけない為にも」
私としては一向に構わないのだが、そういう方針で行くならそれに従うまでだ。
わざわざ無意味に危険を冒す必要はない。
虎子を得る為に虎穴に入る必要があれば別だが。
方針も決まり、探索を開始しようといったところで。
「…あ……」
アリスがひとりでにフラフラと歩き出す。
周囲を見渡しながら、それはまるで、何かに導かれているようだった。
「アリス?どうしたの?」
訝しんだモモイがアリスに声をかける。
「……」
アリスは虚空を見詰め、まるで何かと交信しているようだった。
「分かりません…ですが、どこか見慣れた景色です。こちらの方に行かないといけません」
そう言ってアリスは、道を突き進んでいく。
それは、前回とは異なる経路だった。
「えっ!?」
戸惑いながらも、私たちはアリスのあとを追う。
アリスは本当に何かと交信し、導かれているのか、ドンドンと奥に進んでいく。
「アリスの記憶にはありませんが…まるで『セーブデータ』を持っているみたいです」
困惑しているのはアリス自身もそうなのだろう。
「この身体が反応しています」
時折、通路の角で立ち止まりながら、呟きをこぼす。
そして再び、歩みを進める。
「例えるなら…そう、チュートリアルや説明がなくても進められるような…或いはまるで、何度もプレイしたことのあるゲームを遊んでいるような…」
アリスの歩みは少しずつ速くなり、その動きから迷いがなくなっていく。
「どうゆうこと…?確かに、元々アリスがいたところと似たような場所だけど…」
疑問と困惑を浮かべつつも、私たちはアリスのあとを追う。
幾つもの角を曲がり、坂道を下り、仄暗い廃墟の中を奥へ奥へと進んでいく。
やがて、開けた場所に出た先で、アリスは立ち止まっていた。
「ここは…?」
ユズが僅かに怯えながら辺りを見渡している。
「あっ!あそこにコンピューターが一台…あれ?」
アリスが真っ直ぐ見つめる先に、瓦礫の上に一台の古びたコンピューターが乗っていた。
「あのコンピューター…電源が点いてる…?」
画面には暗い背景が映っているが、間違いなく、駆動音を立てて動いていた。
やがてそれは、ピピッという電子音を響かせた。
アリスが一人でに進んで行くシーンは原作だともっとあっさりしていたんですが、折角なので雰囲気を出す為にちょっとだけ長引かせました
得体の知れない場所を探索している彼らの情景が少しでも垣間見えてくれていれば幸いです