「それで、あなたはコーヒー飲める?」
「えっ、あっ、はい!」
そんなやり取りをしながら奥様に連れられてリビングに向かう。
「わかったわ。 子どもたちがうるさいけど、我慢してちょうだいね」
「あっいえ、そんな! あっ、お邪魔、してます!」
緊張でしどろもどろに返答しながらも促されるままに席につく。
「はいコーヒー。お砂糖も置いておくわ」
奥様の親切心に胸を焼かれながらも、必死に頷きを繰り返し、御礼を伝える。
「……それで、何と呼べばいいかしら?」
「あっ、はい!
「ふふ、ひよりちゃんね。私は源田穂南よ、宜しくね」
「は、はい!」
緊張でガチガチである。歳上の方は機嫌を伺わないと……!
それを見兼ねたのか、奥様、改め穂南さんは一息ついて、『仕方ない』と言う様子で私の手の甲に手を添え、こう言った。
「そう固くならないで。大丈夫。大丈夫だから」
私の張り詰めていた糸が解けて、涙が止まらなくなった。
「うっ、うっ! えぐっ!!」
この人は、この大人は大丈夫なんだ。ありがとう、ありがとう。と、私はただその思いが胸の内で熱くなっていた。
一通り泣き終わり、落ち着いた後に、穂南さんが口を開いた。
「ひよりちゃんは、どの辺りから来たの?」
「…………」
言いたくないわけではないと思っていたが、存外言いたくなかったらしく、口が動かなかった。
「大丈夫よ。言いたくないならまだ大丈夫だから」
優しい。
「おう。 待たせたな。
優しさに浸っていると。先程のガタイの大きい男性が唐突に居間に入ってきて、こう言った。
少し間が悪いなと思っていると 「勝さん、少し間が悪いですよ。びっくりしちゃいます」と穂南さん。それに対して「おう、そうか、それは悪いな」と少ししょぼくれた顔になり、肩を落とした。お茶目な方である。
「あっ、私は! ……私は……っ」
言いたくても言えない。すごく苦しい。
「えぇ、えぇ、わかっとるで、取り敢えず言えることは、ようここまで頑張ったな。なんとかしたるわ」
根拠も説明されてないのに、その何故か頼りになるだろう、と確信が持てる言葉に私は力が抜けた。
それを見てすぐに「勝さん、自己紹介したんですか?」と穂南さん。 男性は「あ、忘れとった。ほんますまん」と言いながら。
「すまんすまん。俺は
びっくり箱を突然赤ちゃん破りしてきた。
齢13歳わたし、こんなにも衝撃的な人は初めてです。
──────
「つまり?」
「日和さんがおじさんっつってる光司は俺の下の従兄弟」
「そして?」
「日和のお母ちゃんは多分俺の実姉の
「はぇ」
……はぇ?