私のヒーロー、みんなのヒーロー   作:ND内

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第一話

 

「それで、あなたはコーヒー飲める?」

 

「えっ、あっ、はい!」

 

 そんなやり取りをしながら奥様に連れられてリビングに向かう。

 

「わかったわ。 子どもたちがうるさいけど、我慢してちょうだいね」

 

「あっいえ、そんな! あっ、お邪魔、してます!」

 

 緊張でしどろもどろに返答しながらも促されるままに席につく。

 

 

「はいコーヒー。お砂糖も置いておくわ」

 

 奥様の親切心に胸を焼かれながらも、必死に頷きを繰り返し、御礼を伝える。

 

「……それで、何と呼べばいいかしら?」

 

「あっ、はい! 源田日和(げんだひより)です!」

 

「ふふ、ひよりちゃんね。私は源田穂南よ、宜しくね」

 

「は、はい!」

 

 緊張でガチガチである。歳上の方は機嫌を伺わないと……! 

 

 それを見兼ねたのか、奥様、改め穂南さんは一息ついて、『仕方ない』と言う様子で私の手の甲に手を添え、こう言った。

 

「そう固くならないで。大丈夫。大丈夫だから」

 

 私の張り詰めていた糸が解けて、涙が止まらなくなった。

 

「うっ、うっ! えぐっ!!」

 

 この人は、この大人は大丈夫なんだ。ありがとう、ありがとう。と、私はただその思いが胸の内で熱くなっていた。

 

 一通り泣き終わり、落ち着いた後に、穂南さんが口を開いた。

 

 

「ひよりちゃんは、どの辺りから来たの?」

 

「…………」

 

 言いたくないわけではないと思っていたが、存外言いたくなかったらしく、口が動かなかった。

 

「大丈夫よ。言いたくないならまだ大丈夫だから」

 

 優しい。

 

 

「おう。 待たせたな。光司(こうじ)と連絡ついたから色々聞いてきたわ」

 

 優しさに浸っていると。先程のガタイの大きい男性が唐突に居間に入ってきて、こう言った。

 

 少し間が悪いなと思っていると 「勝さん、少し間が悪いですよ。びっくりしちゃいます」と穂南さん。それに対して「おう、そうか、それは悪いな」と少ししょぼくれた顔になり、肩を落とした。お茶目な方である。

 

「あっ、私は! ……私は……っ」

 

 言いたくても言えない。すごく苦しい。

 

「えぇ、えぇ、わかっとるで、取り敢えず言えることは、ようここまで頑張ったな。なんとかしたるわ」

 

 根拠も説明されてないのに、その何故か頼りになるだろう、と確信が持てる言葉に私は力が抜けた。

 

 それを見てすぐに「勝さん、自己紹介したんですか?」と穂南さん。 男性は「あ、忘れとった。ほんますまん」と言いながら。

 

「すまんすまん。俺は源田勝正(げんだかつまさ)、はじめましてやが多分君の叔父にあたる」

 

 びっくり箱を突然赤ちゃん破りしてきた。

 

 

 齢13歳わたし、こんなにも衝撃的な人は初めてです。

 

 ──────

 

 

「つまり?」

 

「日和さんがおじさんっつってる光司は俺の下の従兄弟」

 

「そして?」

 

「日和のお母ちゃんは多分俺の実姉の久美(くみ)で間違いないと思う」

 

「はぇ」

 

 ……はぇ?

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