筆者はエタりの達人なので続きの期待は台風で学級閉鎖程度にしておいてください。
あとLibrary Of Ruinaに関してはMODのキャラや要素も加えていくつもりなので、原作やってる人でも全く知らないものが飛び出す可能性が大。
これらのこと覚悟して読んでほしいな。
吹く風すべてに黄砂の混じる、荒涼とした大地にそびえ立つ一本の図書館。寂れた外殻の風景とは裏腹に、その内部では個性豊かな人々が、いつも仲良く賑やかに暮らしていた。
そんなある日、総記の階の指定司書である俺は、ドンドンと部屋のドアを叩く音で目を覚ます。
「ローラン、早く起きて。緊急事態よ」
「んあっ……?」
俺を起こしたのは、図書館長……アンジェラの声。それと、ずっと強めに叩かれ続けているドアの悲鳴だった。
どうにも剣呑な感じがする。鉄火場の臭いを嗅ぎ取って、スーっと頭が覚醒していく。
「分かった、もう起きてるから。とりあえず何をすればいいんだ」
「一階まで降りてきてちょうだい。その間、他の階に人がいれば連れてきて」
「了解。それ以外は?」
「何かあるならあなたの判断に任せるわ。私は事態の収拾にあたるから」
パチン、と指を鳴らす音が響いて、ドアの前から気配が消える。
いつもの転移か、それなら一緒に連れていってくれたら……そう思ったところで、脳裏に違和感がかすめる。
……気配だ。そう、今の図書館からは、アンジェラ以外の気配がまるで感じられない。
眠っていても、壁や床を隔てていても、人がいる気配というのは感じられるものだ。しかし今はどれだけ精神を研ぎ澄ましても、いつも仕事を手伝ってくれる総記の司書補の存在すら感じ取れない。
自分と同じく、アンジェラに起こされた……とは到底思えず、俺は身支度もそこそこに、図書館の廊下へ飛び出した。
「おーい、アンジェラが呼んでるぞー……やっぱり返事が無いな」
総記、宗教、哲学。
上層の三階には誰もいなかった。
「……ゲブラーもいないってのかよ。調律者と赤い霧をどうにかできる奴の仕業なら、もう笑うしかないな」
社会科学、言語、自然科学。
中層の三階にも誰もいなかった。
「本当に誰もいないのか!? タチの悪い冗談は今すぐやめてくれ!」
芸術、文学、技術科学、歴史。
下層の四階にさえ誰もいなかった……
結局、俺は誰も連れてくることもできず、独りで図書館の一階に到着した。
「これは何が起こってるんだ、アンジェラ」
開口一番、そう訊ねる。
「その様子だと誰も見つからなかったみたいね……もとより私が図書館内で彼らを見逃すわけないけど」
「お前からしても誰もいないのか?」
「正確にはごく一部を除いてね。それでも念の為にあなたに確認してもらったけど、残念な結果に終わったわ」
まさか、司書たちが軒並み行方不明だって……?
図書館の防備は完璧に近い。都市の真っ只中に建っていた時でさえ、不法侵入されたのは最初と最後の二度くらいのものだというのに。
「……なあ、なにがどうなってるんだよ」
「この間、外で拾ってきたこれが原因ね」
アンジェラはテーブルに置かれていたものを手に取る。よれよれの薄い布だ。
「その布切れってたしか、外殻の地を探索したときに拾ってきたやつだよな」
「そうね。なにか底知れない力を感じたから」
俺は思わずため息をついた。
「だから言ったんだ。外殻に落ちてる『底知れないもの』なんて厄ネタの塊だから、近づくことすら避けるべきで、拾うなんて論外だって」
「でも図書館の中に持ち込めば、絶対に制御できる自信があったの……」
「……まあ、そこに関しては俺も同意したから、なんとも言えないけどさ」
そう。周囲の警備もかねて時々図書館の外を歩き回るのだが、その際にアンジェラに言われて土の下から発掘したのが、この布切れだ。
正直、俺にはゴミにしか見えなかったんだが……
「で、どうやってこんな布切れがみんなを行方不明にさせたんだ? 実はどっかの翼の転送装置で、まるごと転送されたとかないよな?」
図書館だって招待状一枚で人を招いてきたわけだし。冗談めかして言ったが、案外的を射た意見だったりしないか?
そんな俺の予想を肯定するように、アンジェラは首を縦に降りこそしなかったが、横にも振らなかった。
「転送というのは当たらずとも遠からずってところね。とりあえず、今分かってることだけでも話していくわ……」
……図書館長、いわく。
いつも通りに過ごしていると、突如として白い布切れが活動をはじめ、周囲の空間に影響を及ぼし始めた。
それは特殊な空間であるはずの図書館さえも次々に浸食し、次第に図書館の機能がアンジェラの制御を外れてゆき……布切れの活動を制止するために四苦八苦している間に、多くのものを
「吸い込まれた?」
「誘拐されたとも言えるわね。この白い布切れ、どうやら『異世界』への出入り口があるみたいなの。そこへと色んなものが引っ張られていって……侵略を受けていることに気が付いた私は、なんとかこの布切れの解析を進めて出入り口を塞いだの」
「じゃあ後はそれを操ってみんなを吐き出させればいいんじゃないか?」
「それが出来ればやってるわ」
ローランの疑問に、アンジェラは溜息をついた。
「あのね、これは一時とはいえ私を出し抜き、図書館全体を掌握する寸前までいってみせた、とんでもない……『機械』なの」
「機械? それって機械なのか?」
「ええ、高度な知的活動を可能とする計算能力を持っているわ。そして悔しいけれどこんな布切れと私の情報処理能力は、拮抗していると認めざるを得ない。だから動きを止めるだけで精一杯なの」
「つまり……助け出すのは無理ってことか」
思わず俯く。
ほんと、嫌になるな。いつも失ってから気がつくことになるんだ。永遠に続くと思っていたものは、まったく永遠の存在なんかじゃないってことに。
落胆しながらも、頭の片隅はまだ何かやれることがないかを考えていた……そうしていると、アンジェラが口を開いた。
「一方的には助け出せないでしょうね。でも、相手と同じ立場で戦うなら話は別かもしれない」
「というと?」
「……詳しい話は
アンジェラは視線をよそに向ける。俺もその視線を追うと、誰かが歩いてくるところだった。
夜空のような青のマントに身を包み、長剣を腰に携えた剣士……『ブックハンター』。そう呼ばれている人だった。
ブックハンター……外殻に追放され、閉館されたはずの図書館に突然出現し、ゲストとして接待を求め、最期には本になる事まで望んだ謎の存在。
紆余曲折あって今は彼女の不思議な力……『図書館と同等の力』を持っている理由やその性質について明らかにするという名目で、アンジェラは彼女を本から出して図書館で働かせている。
ブックハンターはいつも通り、図書館の力を宿した一冊の本を片手に、悠々と歩いてくる。
「アンジェラ様、実験結果が出ました……おっと、こんばんはローランさん。あなたが残っていたのは想定の中でも最大の幸運ですね」
「最大の幸運はゲブラーじゃないのか?」
「ええ、様々な状況への対応力という点で、あなたは赤い霧を超えていますから」
そうか、事態がどうなってるか分からない以上、純粋な力だけで解決できるとはかぎらないもんな。
納得していると、ブックハンターはそのままアンジェラの隣まで歩いていき、二人で話し合いはじめる。
「ブックハンター、突入は出来そうかしら」
「問題ありません。私の『図書館』とアンジェラ様の『図書館』で特殊なリンクを形成すれば、大抵の場所からなら脱出可能かと」
確実とは言えませんが。という付け足しに、アンジェラは十分よ。と返し、その後もいくつか専門用語ましましな会話を続け……
……ふと、アンジョラは頭を痛めながら聞いていた俺に向き直った。
「彼女も誘拐を免れた例外よ。これからあなたは彼女と一緒に、件の異世界に突入してもらうわ」
「ふむ、なるほど……要は外が駄目なら内からってことだな」
つまるところ、シンプルな作戦だ。
帰還手段を持って、拐われたみんなを迎えにいく。それだけ。
「……ってことでいいんだよな?」
「そうね、今のところそういう計画でいくつもりよ。いえ、計画と呼ぶのもはばかられるお粗末な手段だけれど……」
「いいさ、具体的な方針があるだけでも十分だからな。俺は今からでもいけるけど、どうだ?」
ブックハンターに目配せすると、黙って頷いた。
「では扉を開きましょう。アンジェラ様」
「ええ……」
そしてアンジェラとブックハンターによって、光で構築された扉が現れる。異世界への扉だ。
はてさて一体どんな場所に出るか……黒い手袋をはめなおしながら、高ぶる心を作った笑みの裏に隠す。
あと数歩も踏み出せば異世界だ……というところで、背中越しにアンジェラの声がした。
「ありがとう、危ない役目を任されてくれて」
振り返ると随分と申し訳なさそうな、心配そうな顔があった。
俺の顔には自然な笑みが浮かんできた。
「そんなにかしこまるな。友達のためなら命くらい懸けて当然だ」
「……そうね、あなたはそういう人だったわね……でもどうか気をつけて」
「異世界がどんな様子か、土産話を楽しみにしててくれ」
軽く手を振りながら、俺は異世界へと足を踏み出したのだった──
MOD紹介『Bookhunter MOD』
後書きにはMOD紹介の欄を設ける予定。もし今後もこの小説が続いたらの話だけど。
とりあえず、今回は初っ端から作品に登場している、『ブックハンター』さんのMODを紹介していくよ。
MODといっても、バニラの時点でビジュアルは出てきている。
黒い沈黙の接待後、アンジェラが赦さなかった場合のストーリーのスチルに出てきて、都市を喰い散らかす蒼白の司書と化したアンジェラを、遂に討伐した人物として描かれている。シンプルに凄い、どうやったの……?
そんな彼女がアンジェラを殺した後の物語、彼女がトゥルーエンド世界線の図書館に来るまでの経緯、そして彼女の接待とページ群が『Bookhunter MOD』では追加される。
このMOD……ひいてはブックハンター最大の特徴といえばやはり、『図書館に存在し得るあらゆる(強い)バトルページを使用できる』ことだろう。
『ブックハンターのページ』では、バトルページやパッシブで<知識の断片>スタックを溜めることで、ランダムな[知識ページ]を手元に加えられる。
この際、赤い霧の[気合]やら紫の涙の広域ページやらの専用ページなんかを平然と引く。
ローランのバトルページもある……ストーリー的に考えるとローラン赦さなかった後で本にしちゃったってことだよね……悲しみ……
が、引くのはバニラのページだけに留まらない。
なんとこのMOD、他のMODに対応して、『そのLibrary of Ruinaに導入されているMODのバトルページ』まで引けるようになってる。
別MODの強力無比なページがポンッっと出てきて『これ対応してるんだ……!』となる驚きは、他のページでは中々味わえない楽しさがある。
とはいえ、無作為に引くわけではないし、全てのMODに対応しているわけでもない。
引かれるページはだいたい専用ページかつ、強力な個性があるもの。さらに引いたページは、ちょっと使いやすいように強化されてたり、本来なら充電などが必要なページは、必要ないように設定されていたりする。とても親切。
また対応しているMODバトルページはざっくり言うと、『本編バッドエンド世界線に矛盾なく存在できる』うえで、『そのMOD作者が対応を希望した』バトルページとなっている。要は世界観が大事にされてるってこと。
バニラはもちろん、数多くのMODの本まで手中に入れる、正真正銘の『ブックハンター』。
あなたのLibrary of Ruinaの集大成を『彼女』という形で目撃してみたいのであれば、導入を検討してみてはいかがだろうか。