ゼンノロブロイの英雄譚 〜Rob Roy of the Royal Road〜   作:C.S

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第15話 対峙

地下バス道を通り、地上のターフへと出る。

太陽が照り、眩しさで思わず目元を隠す。

今日はG2レース、それでも観客席は満員だった。

多くの歓声が聞こえる。

これから走る13人のウマ娘を応援するこえが、阪神レース場を大いに沸かせていた。

気持ちの高揚を感じるが、秋風がそれを冷ましてくれる。

コンディションは申し分ない。

十全の力を発揮して、勝負に挑める。

 

「GENY──とても『高揚する』を、しているよ」

「また会えて嬉しいです。ネオユニヴァースさん」

「やぁ、ゼンノロブロイ」

 

ゲートの前に、よく見知ったウマ娘の姿があった。

尾花栗毛のウェーブヘアに、澄んだ夜空のような青い瞳。

皐月賞、日本ダービーの覇者にして、世代の最強と謳われる存在、ネオユニヴァースさん。

今日はダボっとした勝負服ではなく、私と同じ、ゼッケンが付けられたシンプルな競争服だ。

だけど、彼女のセリフに見合うように、無表情ながらもユニヴァースさんは、この状況を楽しんでいるように見えた。

レース直前に訪れる、独特な緊張感に支配される、この瞬間を。

 

「私も楽しみにしてました。ユニヴァースさんと一緒に走れる日を」

「揃ってる、揃ってるなぁ。役者は全員揃ってる」

 

声のする方へ向くと、桜色のショートボブを揺らしたチェリーマイスターさんがいる。

その雰囲気は、よく知ったハツラツとしたものではなかった。

気持ちを落ち着かせているのだろうか、安定したペースの呼吸音が聞こえる。

 

「ダービーは慢心が過ぎた。世代のツートップと囃し立てられて、気分が上がり過ぎたんだ……」

 

穏やかな、しかし芯の通った声で、チェリーさんは語る。

先の日本ダービー、チェリーさんは7着だった。

パワフルな走りを得意とする彼女だが、最後の直線で伸び切らなかった結果だった。

 

「最も有利な枠順で、あの有様だ。不甲斐なさくて何日も寝れなかった。だけど……」

 

チェリーさんが顔を上げると、鋭い眼差しで射抜かれる。

メラメラと闘志を燃やした、戦士の眼差しだ。

私は思わず身震いしてしまったが、ユニヴァースさんは動じていない様子だった。

 

「驕りは捨てた。身体も仕上げた。お前たちを倒して、今日の勝利の勢いのまま、菊花賞まで駆け上がる」

「ネガティヴ──勝つのは……三冠ウマ娘になるのは、私だよ」

 

バチバチと、両者に火花が散る。

以前までの私だったら、萎縮してしまっただろう。

けれど、今の私は違う。

私も、2人と肩を並べる存在だと、胸を張って宣言する。

 

「私も負けません。春の悔しさは、秋のレースで覆します。今日のレースは、その第一歩です」

 

各々がゲートに向かい、体制が整う。

 

 

『G2レース、神戸新聞杯。いま、スタートです!!』

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