ゼンノロブロイの英雄譚 〜Rob Roy of the Royal Road〜   作:C.S

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第20話 祝勝会

「いやぁ〜! 本当にめでたい! 前代未聞の秋天連覇! お前さんなら成し遂げられると信じてたぞ!!」

 

トレセン学園に戻って来た私たちは、チーム『アルネブ』の部室で、クリスエスさんの祝勝会を開催していた。

壁には『シンボリクリスエス! 連覇おめでとう!!』と書かれた幕が貼られ、テーブルには彩り豊かな御馳走が並んでいる。

チームメンバーは皆、浮足立っており、キャロットジュースを飲みながらクリスエスさんの強さを語り合っていた。

最も喜んでいるのは柏トレーナーだった。

二人三脚でクリスエスさんの異形の達成を目撃して、どうして普段通りでいられるだろうか。

トレーナーもジュースを飲んでいるのに、まるで酔っ払っているかのような興奮具合だった。

 

「クリスエス! お前さんは間違いなく、このチームの誇りだ! 本当に、本当におめでとう!!」

「Thanks──皆の応援が、力をくれた。私からも、礼を、言わせてほしい」

 

そう言うとクリスエスさんは、私たちに頭を下げた。

レースの時の圧倒的な強者感は隠れ、凛々しくも穏やかな姿があった。

そんな純粋無垢な姿が、彼女との距離感を縮めてくれているのかもしれないと感じた。

 

「さぁ! 秋のシーズンはまだまだこれからだ! お前さんたちも自分のレースに向けて、練習を怠るな!」

 

柏トレーナーの檄が飛ぶ。

私たちは気持ちを引き締め、力強く返事をする。

しかし、すぐに雰囲気は緩み、また祝いのムードへと引き戻された。

私はケーキを持って、クリスエスさんに直接お祝いを伝えようとした。

 

「クリスエスさん。コレ、どうぞ」

「ロブロイ──コレは、cakeか?」

「美味しいんですよ? 中にニンジンがたくさん入ってて」

「そうか。ありがたく、いただこう」

 

そう言うとクリスエスさんはケーキを一口食べる。

表情こそ変わらなかったが、頬が紅潮するのがわかった。

きっと、気に入ってもらえたのだろう。

 

「クリスエスさん。本当におめでとうございました。私、クリスエスさんの強さを改めて実感しました」

「ロブロイはレースの間、ずっとクリスエスから目を離さなかったからな。一着でゴールした直後は、ボロボロ泣いていた」

「そう、なのか?」

「と、トレーナー! それは言わないでください!!」

 

軽くトレーナーを叩きながら抗議する。

しかし事実なので反論の余地もない。

羞恥心で顔が火照るのを感じながらも、私はクリスエスさんに伝えた。

 

「私、やっぱりクリスエスさんに、もっともっと近づきたいって思いました。強くてカッコいいクリスエスさんのような、『英雄』になるために」

「ロブロイも、強くなっている。私も──油断は、できないな」

 

そう言うとクリスエスさんは優しく微笑んだ。

リップサービスなのかもしれないけれど、私を認めてくれたようで、とても嬉しかった。

頬に手を当て、口元を緩めていると、頭に柏トレーナーの手が乗せられた。

 

「ロブロイや。そろそろお前さんの秋のローテを決めないとな。この先はシニア級のウマ娘たちとのレースになる。これまで以上に過酷になるぞ?」

「はい、心の準備は出来ています。そういえば、クリスエスさんの次のレースは……」

 

そう問いかけたタイミングで、部室の扉が勢いよく開かれた。

何事かとそちらを見やると、長身のウマ娘が佇んでいた。

天然パーマのウマ娘だ。

鹿毛のボブヘアーだが、一部に赤と青の編み込みが施されている。

右耳には金色の鯱鉾のような髪飾りをつけている、強気そうな様相のウマ娘だ。

その少女は、クリスエスさんを見るなり、快活な声を上げた。

 

「YO-HO! 見てたぜクリスエス! それでこそ、我が宿命のrivalだ!!」

「Long time. タップダンスシチーか」

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