ゼンノロブロイの英雄譚 〜Rob Roy of the Royal Road〜   作:C.S

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第46話 偉業

トレセン学園には、毎年数多くのウマ娘が入学してくる。

各々がトゥインクルシリーズへ、様々な思いを込めて挑戦するためにやってくるのだ。

だけど、レースの世界は非常に過酷だ。

それは身体的という意味よりも、より現実と直面するという意味で……。

トゥインクルシリーズで走るためには、まずトレーナーとの契約を結び、いずれかのチームに所属する必要がある。

非情なことに、全てのウマ娘がチームに所属出来るわけではない。

トレセン学園に入学したウマ娘の中で、チームに所属し、デビュー戦を走ることが出来る割合は、65%程度と言われている。

ここでようやく、スタートラインに立てる。

その中で、いずれかのレースで1勝出来るウマ娘の割合は、僅か30%程度しかいない。

順調に勝利を重ねていき、オープン特別へ出走出来るのは、その中でも更に3%程度だ。

重賞レース、ましてやG1レースに勝てるウマ娘の割合は、1%にも満たない。

G1勝利の難しさは、計り知れない……。

 

私は幸運にも、そんなG1レースを2勝もすることが出来た。

憧れのクリスエスさんと同じタイトル『天皇賞・秋』と、世界の強豪ひしめく『ジャパンカップ』──。

私が勝利した二つのG1レースを、同年に獲得したウマ娘は、史上見返しても、たった2人しかいない。

当時の凱旋門賞ウマ娘を下した、黄金世代の日本総大将『スペシャルウィーク』さん。

初の年間無敗、グランドスラムを達成した世紀末覇王『テイエムオペラオー』さん。

どちらもウマ娘史に名前を残す、私にとっても雲の上のような方たち。

けれど、私は達成してしまった──そんな偉大なるウマ娘たちに比肩する偉業を。

3人目の天皇賞・秋とジャパンカップ、同年優勝ウマ娘に。

 

私とトレーナーさんは、これまで以上にメディアへの出演を求められる機会が増えた。

たくさんの人から賞賛してもらえたのは、私にとっては恐れ多くも、とても心の励みになった。

けれど、一番注目されていたのは、『今の私』ではなく、『未来の私』だった。

『天皇賞・秋』と『ジャパンカップ』、そして年末に開催されるグランプリレース『有マ記念』、これらは総称して『秋シニア3冠』レースと位置付けられている。

この3タイトルの同年優勝は、先述のテイエムオペラオーさんしか達成者がいない。

私は、更なる偉業への挑戦権を手にしていた。

世間の目は、新たな伝説の誕生に注目していた。

クリスエスさんも成し遂げられなかった頂に、私は至ろうとしている。

 

「彼女なら、ゼンノロブロイなら、きっと皆様の期待に応えてくれるハズです。秋シニア3冠──獲りにいきます」

 

トレーナーさんは必ず、インタビューの最後にそう宣言する。

その言葉を聞くたびに、私の全身がグッと強張ってしまう。

まるで見えない大きな手で、ギュッと握りしめられているかのように……。

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