ゼンノロブロイの英雄譚 〜Rob Roy of the Royal Road〜 作:C.S
『タップダンスシチー、あまり大きな逃げではありませんが3馬身から4馬身、ゼンノロブロイが早くも2番手に上がり、ヒシミラクルと一緒に行っている!』
大逃げに打って出ると思われたタップダンスシチーさんでしたが、想定していたよりもペースは遅い。
今回は芝コース、2500メートルの長距離レース、後半に向けて体力を温存しようとしているのかもしれません。
私としては、大逃げに無理に付き合う必要がないため、スタミナを温存して走れるから都合がいい。
だけど、逆に怖くなってくるのがヒシミラクルさんの動向だ。
ステイヤーとして、数々の長距離レースで結果を残してきた彼女のスタミナは、底がしれない。
先頭をマークするような位置どりの先行策は、彼女にとっては珍しい。
けれど、このペースでの巡行は、きっと微塵も苦に感じていないのでしょう。
前にタップダンスシチーさん、後ろにヒシミラクルさん、一瞬でも気を抜いたら、簡単に取って喰われてしまう……。
『集団は向正面へと進みます、先頭から見ていきましょう。先頭はタップダンスシチー、4バ身から5バ身のリードをつけています。そしてゼンノロブロイが2番手、その外目、ヒシミラクルが3番手。その後ろ、ちょっと切れました、10番のトライスプラッシュ、さらに14番のホールデム、その後方にはニトロプロスペクタとミルキーウェイが行っている。また切れました、パワフルシューターと15番のミナミクルセイダー、そしてネヴァークルーザーはジックリ待機しています。さらに2番のシャトウ、外目を突きましてカントウサークル、そして7番のマイアミロイヤル、3番のミスクラーク。最後方から1人、5番のフルアウェイキングです。』
向正面の直線も、もうすぐ終わりを迎える。
チラリと後方を確認したけれど、集団は縦長に伸びている。
後ろで足を溜めている子たちがスパートをかけてくるとしたら、きっとこのタイミングだ。
中山レース場は最終直線が短く、しかもゴールの直前には坂が待ち受けている。
2500メートルの長丁場を走り切った先に待ち受ける坂は、心臓破り以外の何物でもない。
けれど、タップダンスシチーさんのペースが比較的落ち着いていた分、私の脚にも余裕がある。
まだ、最終直線でも戦える。
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『さぁ、3コーナーから4コーナー! そろそろ仕掛けどころに各ウマ娘が入るところだ! 軽快に逃げているタップダンスシチー! タップダンスシチーがまだ逃げている!』
ロブロイちゃんの凄いところは、レースの最中でも、冷静に状況を分析して、自分の最善手を導き出せるところだよね。
天皇賞・秋とジャパンカップ、2レース連続して一緒に走ってきたから、その凄さが痛いほど分かるよ。
その点、私は普通のウマ娘ですから、そんなに器用なことは出来ないんだけど……。
私に出来ることは単純で、皆よりも少しだけ優れてるスタミナとパワーで、がむしゃらに、泥臭く、真っ直ぐに、ゴールを目指すだけなんだ。
タップちゃんのペースで、もしもロブロイちゃんが余裕を感じてたとしたら……。
「私は、さらにその上を行く! ロブロイちゃんよりも、私の方が、スタミナには自信があるから!!」
私だけの武器を、最大限に解放する!!
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『3〜4コーナーの中間地点、ヒシミラクルがスピードを上げている! しかしゼンノロブロイはまだ仕掛けない! まもなく第4コーナーに差し掛かる!』
周りが誰も仕掛けてこないから、一瞬、これがレースだってことを忘れかけちまった。
今回の有マ記念は、かつて"Rival"に2度も敗れた雪辱のレースだ。
当然、対策を用意してきた。
それが今回の作戦だ。
私の得意な大逃げを封印して、かつペースは握りながら足をためる。
最後の直線で全て開放し、後ろのウマ娘たちを一気に突き放す。
今回は体力自慢のウマ娘たちが多いレースだ、正直、この作戦でも不安は残る。
けれど、ノーリスクでの勝利なんてあり得ない!
「コレは凱歌だ! アタシが日本一の称号をゲットする、祝福の号砲だ!!」
魅せ付けてやる、アタシの勝利を!!