回生の者とカルデア 作:……
「ようこそ冥界へ、特例で冥界での存在権と浮遊権を私が許可したわ。……それはそれとして、フジマル?少し背中を借りるわ」
言うが早いか、着地した藤丸の背中に隠れるエレシュキガル。
次の瞬間、轟音と土煙を立ててナニカが藤丸とマシュの目の前に着地する。
土煙の中から姿を表したのは、やはりというべきかウルクの骸王、レイだった。
「久しいな、冥界の女神よ」
「──ひっ」
エレシュキガルがさらに身を縮こませる。
かつてレイと呼ばれた少女が冥界にて呪われた一件に彼女は一切関わっていない。
しかし、冥界は確かにエレシュキガルの領土であるのだ。
そこに足を踏み入れ、呪われて不死となった女が今、神を殺すことすら叶うような力を持ってここにいる。
それはエレシュキガルにとって想像し得る中でも上位に食い込む恐怖であった。
「……あの、えっと──」
「気を遣うな、冥界の女神よ。私の中にお前への怒りはない」
「そ、そうなの?」
「あぁ、私は満足しているんだ、私の生きた数え切れぬほどの何月に、そしてこれからも積み上がっていくであろう永遠に。だからこそ、お前への感情は9割が感謝と言って過言ではない。……擬似サーヴァントと言ったか?そのような姿になったお前を見れば、残る1割の怒りも和らぐというものだ。それよりも……」
レイは冥界に堕ちたティアマトへと視線を送る。
「目下の問題はアレだろう、どうなっている?」
「冥界の防衛機構で押し留めているけれど、決定打にはなっていないわ」
「……そうか」
エレシュキガルは前に出ると、手に持つ剣をティアマトへと向けた。
「冥界のガルラ霊よ、立ち並ぶ腐敗の槍よ……!この者に、冥界の鉄槌を!」
赤い雷が迸り、ティアマトの体を焼いて行く。
「いくらティアマト神といえど、冥界ではただの神。私とガルラ霊の総攻撃の前ではひとたまり、も…?」
「──ッ!『
展開される第二宝具。
本来は彼女が自身の領土であるとした場所でのみ発動できる限定宝具であるが、この冥界は現在メソポタミアの地下に存在することを根拠に無理やりに展開した。
その巨大な魔力壁へとケイオスタイドが押し寄せ、それが防がれた次の瞬間には激しい魔力の投射が襲う。
鉄壁の守りの前に霧散した魔力の向こう側でティアマトは、自らの攻撃の術と防ぎ切った彼女を見据えていた。
「Aaaaaaa─────!!!」
ティアマトが咆哮する。
睨みつけるは自らを否定した女王。
骸王と呼ばれた統治者としての彼女はギルガメッシュと同じく、もしくはそれよりも強く神と人とが共に生き続ける世界を否定した女王であった。
ティアマトは、どのような原理かは不明だがそれを感じ取り、自らを捨て去った者たちの代表として彼女を狙った。
それと同時に、ティアマト自身もケイオスタイドを身に纏い、急速に姿を変える。
ティアマトの変化が終わり、その標的がレイ一人では無くなろうとしたその時
「マーリン!」
「っ言われずとも!」
アヴァロンから
しかし、花に変えた直後からさらにケイオスタイドが溢れ続ける。
明らかに異常な出力の前に、レイがマーリンへと目線を送る。
マーリンはそれを肯定するように頷いた
「……その通り、彼女は一人じゃない。おそらく君がカルデアに召喚された時点で、ゲーティアは君をここで退去させるべく計画を練った。あのティアマトは八つ目の聖杯と、
「……私の、遺骸?」
「あぁ、キミはわかっていないかもしれないが、君の死後アレは多くの信仰を集めた。神との関わりが弱まり始めていたこの時代で、ギルガメッシュを除いて最も神に近いのは君だった。あの遺骸を取り込んだティアマトは今、巨大な魂の残滓と呪いを燃料としてさらに力を増している」
「────……そうか、ならばその始末は私が直々に下さねばならんな」
槍を握り直し、ティアマトを強く見据えたレイ。
そんな彼女にマーリンは問いかける。
「君は何故、戦うんだい?」
「人類史を護るためだ。これは私の原初の役割の一つであり、願いでもある」
「違う、私が聞きたいのはそんなことじゃない。」
マーリンは一呼吸置き、彼女の目を見据えて言った。
「
その場にいる全員が彼女を見て、息を呑んだ。