回生の者とカルデア   作:……

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冥界にて

「……はぁ、全部終わったのね」

「そうだな。第七特異点は終いだ」

「冥界に一人だと、暇に感じるのだわ。これまでそんなことなかったのに」

「そうだな。暇だ」

「あれ?……っなんでここにあなたが!?」

 

エレシュキガルの真横、岩場に腰掛け、肘をついて退屈そうな表情を浮かべたレイの存在に、エレシュキガルは目を見開く。

すると、レイは面倒くさそうに

 

「……そうさな、簡単に言えば本気を出しすぎたのだ」

「……はぁ?」

「宝具を放つあの瞬間、私は魔力を捻出できる全ての手段を使った。そうして膨大な魔力を込められた霊基は先ほど現世(うえ)で消滅したが、なにしろ余った魔力がかなりあったのでな、その残穢と私に刻まれた不死の呪いが共に彷徨い……霊魂に近しい形であった故に、メソポタミアという世界の性質上この場所へ至った訳だ」

「……つまり、魔力が完全に尽きるまでここに居るのね?」

「そうだ」

 

エレシュキガルの言葉を首肯したレイを、エレシュキガルはじっくりと見つめる。

そして

 

「……あなた、若返ってる?」

「ふむ、よく気が付いたではないか。決まった作業ばかりこなす冥界の女神の瞳は、すでに曇り切っていると思っていたぞ」

(……呪いの件、完全に根に持ってるのだわ!)

 

レイの床につくほど長い髪は第七特異点に現れた時の白色から、ギルガメッシュより少し色素の薄い金髪へと代わり、その顔つきもより瞳がつり上がった獰猛なものに見える。

エレシュキガルの問いに、同意の言葉と共に揶揄いとも罵倒とも取れる言葉を返すレイ。

根に持たれているのではないかと少し青ざめたエレシュキガルを知ってか知らずか、立ち上がった彼女は

 

「どうだ?若かりし私は美しいだろう?」

 

と、自慢げに地面に届きそうなほどの長い金髪を見せつける。

 

「……そうね。美しいのだわ、それは認めるのだけれど……そんなに長い髪だと、自分で踏んでしまいそうね」

「……三回ほど経験がある」

 

無言で肩を震わせ始めるエレシュキガルに、レイはただ額を抑えてため息を吐く。

そして、目を少しだけ細めて冥界を見渡すと、もう一度ため息を吐いた

 

「私が、本当の意味でこの場所に辿り着くことはあるのだろうか」

「…終わりたいの?」

「あぁ、そうだな。私たちは疲弊してしまった。終わらぬ生に、繰り返す生に、疲弊し切っている。─────すまない、お前に話すような話では無かったな」

 

レイは立ち上がり、エレシュキガルに背を向けたまま彼女へと語りかける。

 

「最後に一つ。……お前は善い女神だ。私の仕打ちはお前の意図でない故に私は今後一切それを理由にお前を咎めない。お前はただ、お前の在りたいように在るがいい。近いうちにお前にプレゼントをしよう、楽しみにしておけよ?」

 

先ほどの憂鬱そうだった雰囲気とは一転、エレシュキガルへ柔らかな笑みを向けて彼女は消え去った。

勝手に話を切り上げて消え去った彼女へ、エレシュキガルはため息を吐きつつも

 

「でも、それが彼女らしいってことなのかしら」

 

と、あまり深く考えないことにした。

こうして、彼女は冥界の女神への怨嗟を捨て去った。

 

後日、エレシュキガルがカルデアに召喚される直前の藤丸立花の二度目の冥界下りにて、エレシュキガルの下へと向かう立花を常に見守り遠巻きにサポートし続けた女王に関しては、また別のお話。

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