回生の者とカルデア 作:……
この文章は少し体調悪めの時に書いておりまして、今も治りきっていないので、もしかしたらめちゃくちゃな文章を書いてるかも……
一応3回くらい読み直したのですが、変なところございましたら優しく指摘してくださるとありがたいです
私がアルトリアと初めて出会ったのは、彼女が聖剣を引き抜いた少し後のことだ。
その数日前に
「まもなく、ブリテンの新しい王が生まれる。君にはその最初の騎士として仕えてほしい」
などとマーリンから誘われていたから、彼からもう一度の呼び出しが来るのを待っていたんだ。
彼に呼ばれた私はアルトリアの元へと向かい、そして彼女と出会った。
はっきりと言えば、第一印象は
(……王?これが?)
の一言に尽きた。
女であったし、小柄だったものだから、少し心配だった。
するとマーリンは私になんと言ったと思う?
ヤツは
「……まだ未成熟だ、と感じたのだろう?彼女が王として成熟するまで、君に守ってもらうよ」
と言い放った。
マーリンは千里眼を通じて私たちの事情を知っているからこそ騎士としてスカウトしたのだろうと思っていたが、ヤツとしてはある程度実力が担保されている私を彼女を王として育て上げる為の一助にしたかったらしい。
それから私たちはある程度長い時間を過ごした。
仲間を集め、彼──マーリンの幻術により、この頃にはすでに男として過ごしていたアルトリア──自身も鍛錬を積んだ。
後に円卓の騎士となる者の数人もこの時期に出会った。
結論から言えば私は、主役ではないんだ。
ヴォーティガーンを倒したのはガウェイン卿とアルトリアで、私は最後まで露払いだったし、あとの伝説は知っての通りだと思う。
それでもブリテンは、最後こそ悲劇ではあったが、素晴らしい場所だった。
あの場所で、私は多くの友に恵まれた。
ガウェインやランスロット、モードレッドもキャラハッドも皆、私を友だと呼んでくれた。
……ただ友と人に恵まれた騎士だったのだ、私は。
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「ンなワケねぇだろ」
軽い笑いで話を畳もうとしたシルバリオの兜の後頭部に、板のように横向きになった剣がぶつけられる。
下手人はモードレッド、剣はやはりクラレントであった。
円卓の二人だ、と再会を見守るようににこやかな立花とは裏腹に、隣のマシュはカチリと固まっている。
立花が首を傾げつつ理由を聞くと
「……あの二人は、カムランで一騎打ちを行った逸話があります。アーサー王とモードレッド卿の一騎打ちより少し前に、殺された騎士の遺体の山の上で、モードレッド卿の叛逆以降出会っていなかった二人は出会い、そして一騎打ちをして、シルバリオ卿は……」
「……そうだな。私とモードレッドは互いの命をかけて戦った。それでも、彼女はまだ私の親友だよ」
いつのまにかマシュのほうに振り向いていた彼は、穏やかな声音でそう言った。
「……それで?そんなわけない、とはどういう事だ?モードレッド?」
「テメェはずっと主役だっただろ。オレなんかよりよっぽどな」
「……?」
「お前は多対一の殲滅戦が可能な騎士だった。お前の持つ大剣はそれができた。だからお前のたった一人で一軍隊を相手するなんてこともあった。……お前の他には数人しかいねぇぞ、味方にまで恐れられた騎士ってのは」
彼自身に言うというよりかは、聞いていた立花とマシュに教えるようにモードレッドは言った。
彼女の瞼の裏に映るのは、この男と自分の過ごした時間。
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「……なあモードレッド、農業なんかも楽しそうじゃないか?」
「……」
「今のこの生活も悪くないが、青空の下で汗水垂らすのも楽しいものだ。いっそ山の中で暮らすのもつまらなくはない」
「なんの話だよ」
「君は何をしたい?」
「……変わらねえよ、オレはやるべきことをするんだ」
「……それは君の意思か?」
シルバリオは兜越しにモードレッドを強く見つめた。
その問いに、モードレッドは答えが詰まる。
叛逆を計画した理由として、自身が次の王として認められなかった悲しみはもちろんある、しかしモルガンの命令という理由が全くないのかと問われれば、それを即答することはできない。
「……オレの意思でもあるし、母上の──」
「私は、君と話をしているんだよ。モードレッド」
モードレッドは、頭の中のモヤが少しだけ晴れるような、そんな感覚を覚えた。
しかし、それでも
「……それでも、オレは、」
「そうか、気が変わったら教えてくれ。その時は手助けするさ、それまでは手伝いも邪魔もしない。……だが、いずれ戦うことにはなるだろうな」
残念だ、と言って彼はその場を去った。
彼は円卓の中で、これといって象徴となるような冒険や武勲はない、それでも彼が円卓に選ばれたのはその背中に背負う大剣が由来だった。
長く重い、彼専用に作られたその大剣は5人の騎士を一度で両断すると言われ、彼は戦場にて何度もその大剣を振るい、兵の数の差を一瞬で覆した。恐れと敬いから、彼は『血染めの白銀』と呼ばれた。
彼は人の話を聞くような役割が多かった。
モードレッドや、──ギネヴィアのことは話さなかったが──ランスロットもガウェインも皆、彼に相談事を持ち込んだ。
その全てに彼はできる限りで寄り添い、まるで自分のことのように頭を悩ませた。
だからこそ、彼は近くにいる者には友として認められ、その戦果のみを見た者には恐れと共に敬われる、そんな騎士だった。
もちろん、彼はアルトリアとも仲が良かった、傍目から見てわかるほどに信頼を受け、円卓最古参だからと認められていた。
モードレッドにはそれが酷く妬ましかった。
そんな彼は、何故だかわからないがモードレッドの目的を知っており、その上でそれを咎めず、道を違えるその時まではモードレッドを阻むことすらしないと言った。
『血染めの白銀』と言われ恐れられると同時に敬われた騎士は、その名を背負うにはあまりに優しかった。
彼はモードレッドによく世話を焼いた。
本人が鬱陶しいと文句を言っても、〝君が心配だ〟と言ってモードレッドの近くにいた。
いつしかモードレッドは、彼を兄のように思うようになっていた。
燃えるような空の下、カムランの丘で、モードレッドは彼からの信頼も関係も、これまで築いてきた全てを捨て去った。
そのはずなのに、騎士たちの屍の山の上で、血に塗れた──その景色を作り上げた──白銀の騎士はただ穏やかにモードレッドへと告げた
「……この戦いで私が命を落とそうとも、私はお前を憎みはしないよモードレッド。たとえ道が違えども、我らは永遠に親友だ」
彼は、その重い大剣を投げ捨て、腰の剣を抜く。
その声に憎しみはなく、穏やかにモードレッドが構えるのを待っている。
合戦の地獄の中で、彼だけがまるで取り残されたようだった。
モードレッドがその剣を構え、最初の一撃を放つ。
それを受け止めた彼は、戦いながら語る
「……君にはきっと、多くの道があった。」
彼は再び肉薄するモードレッドの剣をいなし、剣を振りかぶる。
モードレッドとシルバリオの剣がぶつかり、鍔迫り合いとなって火花を散らす。
「生まれつきの役割すら放棄できる力があった、私と違ってね。だから、私は君にできるだけ多くの選択肢を差し出した、余計な世話だったなら謝るよ。」
彼はモードレッドのクラレントを弾き飛ばそうとするが、その動きを見切ったモードレッドによって躱され、逆に大きな隙を晒した、
「……そしてこれが君の選択なら、その選択に悔いがないのなら、私はそれでいいと思う。悔いのないように、生きたまえ」
白銀の甲冑を、クラレントが貫いた。
返り血に染まっていたその鎧の内側から、彼自身の血が滲み出る。
「……これで、私の役目は終わりだな」
「……役目?」
「そうだよ。私は、とても大きい機構の歯車の一つだった。生まれつきそう決められて、逃れることなどできなかった。……私は、君には同じ思いをさせたくなかったのだよ、モードレッド」
それを最期の言葉にして、白銀の騎士はその命を終えた。
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「……オレのために色々言ってくれてたのに、結局最後まで聞かなかったよな、オレ。…………ごめん」
「気にするな。元々まともに耳を貸してくれるとは思っていなかった。いわば自己満足だからな」
過去を思い返し、謝罪したモードレッドに彼は穏やかな声でそう言うと、兜を外していたモードレッドの頭に手を置いて優しく撫でた。
「……乗せんな!」
「はは、そちらの方が君らしいよ、モードレッド」
そう言ってシルバリオはくつくつと笑う。
「……おや、少し懐かしい顔ですね」
そこへやってきたのはガウェイン。
彼はシルバリオと顔を合わせると、握手を求めるように手を差し出した。
「今後ともよろしく」
「ええ、こちらこそ。……おや、この場所には円卓が集まりやすいようですね」
そう言って視線を移したガウェインの視線を追えば、その先にはランスロットとトリスタンの姿がある。
この日、食堂の一角では円卓の騎士同窓会が開かれたらしい。
次をどちらにしようか悩んだのでアンケート出しました。
第六特異点の話はここで選ばれなかった場合、終局まで書き終わってから番外編で書きます