未確認で親交系   作:優柔不断

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注意※オリキャラがおります。
注意※一人称が変わったりして読み辛いかもしれません。
注意※誤字脱字あるかも……


『未確認で進行形』

 深い深い森の中で、少年は少女と出会った。

 

 感動を呼ぶような涙を誘う場面でもなかったけれど、少年は心の高鳴り様は常軌を脱していたのだ。

 

 まるで『天使』のようなその少女に、少年は魂を見事に抜かれた。骨の髄まで抜かれた。

 

 話したい、喋りたい、近寄りたい。

 

 ──────ああ、本当に、骨の髄まで、抜かれちまった。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 今日は私、夜ノ森小紅(よのもり・こべに)の16歳の誕生日。

 

 16歳になったからといって王様にお城に呼ばれたり、生贄にされるなんて特別なことはないけれど、それでも16歳っていうのは特別な感じだ。

 

 女の子はお嫁にだって行けちゃうし、

 

「よしっ」

 

 髪もいつもより綺麗に結いだし、ちょっと大人になった気分。

 

 さてと、早く朝食の準備をしないと、

 

「おはようごさまいまーす」

 

「あっ、小紅(こべに)!」

 

 そんな朝に出迎えてくれたのは、私の姉である 夜ノ森紅緒(よのもり・べにお)姉様。妹の私から見てもとても美人だ。街に赴けば皆が姉様に 見蕩(みと)れているのを何度も見掛けている。

 才色兼備な姉様に、何かと比べられていた頃をふと脳裏に横切るが、満面な笑顔で向かい入れられる。

 

「おはよう! そして誕生日おめでとー! さっさっ、早く早く! ふーって消してはい一息で!」

 

 朝から元気な姉様にリビングに連れられて見てみれば、そこにはバースデーケーキが準備されていた。

 

「朝一番で!?」

 

 姉様、さすがに朝日が照り付けるこの時間帯に誕生日ケーキを送られたの初めてです。

 

「小紅、おいしい? おいしい?」

 

 声からして心底嬉しそうに言ってくれてることに私も嬉しくて、朝一番でもバースデーケーキを食べちゃいます。

 

 でも、やっぱり、

 

「朝じゃなかったらもっとおいしくいただけたんですけど…………」

 

「小紅も、もう16歳かぁ。早いわねぇ・・・私も歳を取るはずだわ」

 

「姉様と私、二つしか違いませんけど……」

 

「こうやって……いつの間にか大人になって……18……20……卒業式、成人式………………私、そのときまでにはお金貯めてプロが使うようなデジタル一眼買っておくわね……」

 

「そ……そのデジカメも買ったばかりですよね……」

 

 しかも結構の値打ち物……姉様の貯金は私のせいで露となって消えている。……はっ! まさかそれは私のせいなのか?

 

「でも嬉しいです。こうしてお祝いしてもらえて、ありがとうございます。私も将来、姉様のような素敵な女性になれるといいのですけれど」

 

「小紅……」

 

 姉様が涙目になって嬉しそうに微笑んでくれている。本当にケーキまで用意してくれてるなんて、有り難すぎる。これ絶対姉様の懐から出たお金ですし、少しは申し訳なさもあったりしているけど……。

 

 などと私が考えていると、姉様に変化が、

 

「げはぁーーーーーっ!!」

 

「えーーーーーーっ!?」

 

「よく……っ、よくもこう可愛く育ってくれた……っ。わっ私の育て方は間違ってなかった……っ!!」

 

「姉様!! 姉様!?」

 

 ごぶっ! と吐血し出した姉様に私は普通に戸惑う。実は今回が初めてじゃないけれど、やっぱり戸惑う私がいる。いや、戸惑わない人がいるだろうか?

 そんは朝一番に姉様が元気に嬉しさと妹の可愛さに吐血(ちょっと意味は分からないが)し始めた時、ガチャリとリビングのドアが開かれた。

 そこに現れたのは、

 

「朝から随分と快活とした声が聞こえるけど、あれ? また吐血したのかい紅緒は?」

 

「父様!」

 

 そこには私と同じ髪色をした青年のように若く見えるが我らの父である夜ノ森(よのもり)(あおい) がエプロン姿で、驚喜によって打ち(ひし)がれる夜ノ森家の長女を優しい眼差し(生暖かい眼差し)で見てから、姉様に『大丈夫かい?』と声を掛ける。実はこれも何十回とやったやり取りなのに、飽きもせず、嫌な顔せずに何回も聞いてくれる優しい父様。

 娘の私が言うのもあれだけど、本当に優しい。

 

「大丈夫よ、パパ。吐血(これ)は日常茶飯事よ!」

 

「そうかい? じゃあ体調が悪くなったら必ず言うんだよ」

 

 口から血が()れながらドヤ顔をしてくる姉様に対しても優しい・・・っ!

 

「朝からうるさいなぁ紅緒は、それに育てたのは私とパパでしょう?」

 

 優しい眼差しを向けている父様のあとからリビングに入ってきたのが、紫色のセーター着た母様の 夜ノ森(よのもり)(あかね)だった。父様もそうでしたが、母様は姉に間違えられてもおかしくないほど若々しい。眼鏡を掛けていて、とても“デキる女”に見える。

 

「おはようございます、母様」

 

「まったく今どき小紅がこんな喋り方になったのも紅緒のせいよ」

 

 おはよう、と母様が姉様にしてから、

 

「おはよう、ママ♡」

 

「おはよう、パパ♡」

 

 母様が父様に寄り添うように立ち並ぶと、私たちを前でも堂々とキスをする二人。日本の夫婦風景にしては珍しいアメリカンスタイルだ。未だに夫婦仲がよろしい。というか仲がよろしすぎてたまに困ってしまう。目のやり場とか…………。

 

「相変わらずの熱愛(ラブラブ)っぷりよねー」

 

「それより、喋り方よ喋り方」

 

「可愛いでしょう?」

 

「まぁ、汚い言葉遣うよりはいいけど、もう少しこう……」

 

「可愛いからいいのよ。ああ、でも『姉上』『姉者』『おねーたま』っていうのも捨てがたかったのよねェ~~~!!」

 

「誕生日おめでとう。小紅」

 

「おめでとう、小紅」

 

 元気に妄想を暴走させている姉様を横に、母様と父様が慈愛ある言葉を貰った。感謝するのはこちらだ。両親が居たから今の私が居るのだから。

 

「さて、話があるんだけど」

 

「……………………」

 

「はい? あ、母様と父様はケーキ食べますか?(あれ? 父様が急に元気がゲッソリ無くなった?)」

 

 母様の話というの聞きながら、テーブルに着いている二人の為に食器を準備する。

 

「じいちゃんの知り合いの子を預かることになったんだけどね」

 

「えっ、そっ、そうなんですか?」

 

 あ、あれ? 父様がピクピクし始めた。

 

「それで、いつから・・・」

 

「今日から」

 

「えっ!?」

 

 父様のピクつき様が気になり始めたのに、母様が物凄いことを言い出したことで意識が全部母様に向く。

 

「まぁ。さっきから、ずっとそこにいるんだけど………………」

 

「…………」

 

「ええっ!?」

 

「影薄っ!!」

 

「うわぁぁぁぁぁ…………」

 

 最後のは父様です。何やら頭を抱えてテーブルに伏している。一体なにがあったのですか?

 まぁ、父様には悪いですけど、今目の前の出来事で一杯一杯なのでそのままにする。

 

三峰白夜(みつみね・はくや)君よ」

 

 片面を隠すほど長く伸びた前髪と、父様くらいある長身が特徴のその三峰白夜君は、ペコリと頭を軽く下げるだけで、開口する気配が無かった。

 

「預かる……つまて小さい子とかじゃなくて!? おっ、男の人!? どーして!?」

 

「いろいろ事情があってね」

 

 チラチラと母様も冷や汗を垂らして、横でピクピクが止まらなくなっている父様をチラ見しながら言葉を紡ぐ。

 

「…………………………」

 

(あ……何か家庭の事情とか聞いてはいけなかったことだったか……?)

 

「ついでにじいちゃんが決めた小紅の許嫁」

 

「はぁあああああ!?」

 

 な、なんでなんで!?

 

「なっ、なんですかそれっ! 初耳ですよ!?」

 

「言わないでいたから」

 

 母様も予想通りの反応だったのか冷静に私の対応をするが、逆に刺激される。なんでどうして!?

 あと父様が尋常じゃないほどピクピク、を通り越してブルブルと体全体が震えている。

 

「小さいころ会ってるんだけど覚えてない?」

 

「ええっ!? 全然!! そ、それに今どき許嫁とかっ、どっどっどどどーしてっ!?」

 

 『許嫁』なんて、テレビとかでしか聞いたことがない。まさか私に許嫁なんてものがあったなんて、と驚いている私に、応えるように白夜君が、

 

「……田舎は……嫁不足……?」

 

「嫌に生々しい話!!」

 

 実に生々しい! 実際問題にしてニュースにも取り上げられている内容じゃないか!

 

「まっまっ、待ってくださいっ! 急に言われても、どうして私なんですかっ? ねっ? 姉様っ」

 

 こういう時に人一倍、いや、十倍くらい騒ぎそうな姉様なのに、父様違う雰囲気を纏う姉様に助けを求める。

 

「姉様は知って……」

 

「ふふ…………」

 

「……たんですかーーー!?」

 

 くるり、と振り返った姉様は、また口から血が零れるほどのショックを受けている!? 

 

「おじいちゃんが決めたことで……どうにもならなくて……本当なら……本当なら小紅のことを大事に大事に育てて高校……大学……成人……就職……厄年……還暦……古希……喜寿、傘寿、米寿、卒寿くらいまでこの家から出さずに……………………」

 

「それは嫌ですーー!!」

 

 古希、喜寿とか、よく聞かない単語まで活用してくる辺り、本当に姉様も混乱してるらしい。でも、朝の誕生日関連の時は普通だったけど? 我慢していた?

 

「驚くのも無理はないけど、まぁ……具体的どうこうという話でもないし、ゆっくり考えればいいわ」

 

「がぁああああぁぁぁぁ!」

 

 と、今まで黙ってチャージでもしてたのか、父様がかなり涙目になって抗議する。

 

「やっぱりダメだ! 可愛い小紅をお義父さんが決めた相手と結婚させるるるるるるなななななんんんんててて!!!」

 

「パパ、落ち着きなさい」

 

「僕は落ち着いている! 落ち着いているから今から徹底抗戦を訴える!」

 

「いや、ダメよ。ふぅ……まったく。前から決まっているっていったでょう?」

 

「(。´-д-)」

 

「そんな顔しちゃダ~メ」

 

「(´・ω・`)」

 

「もぉ~~っっ♡♡」

 

 と、顔芸が得意な父様の不服に、母様は優しくも有無を言わさないように父様の顔をいじりながら甘甘(あまあま)な対応してから小紅を見る。

 

「それに、小紅たけじゃないから安心なさい」

 

「えっ?」

 

「入ってらっしゃーい」

 

 そう言って、入ってきたのは、

 

「いっえぇぇぇぇぇすッッッ!!!」

 

 めちゃくちゃハイテンションな青年が入ってきた。

 

「彼は白夜君のお兄さんの、三峰白虎(みつみね・はくとら)君よ」

 

「どぅもォ! そしてそのまま紅緒ォ~!!」

 

 めちゃくちゃハイテンションながら、その三峰白虎さんは入ってきては否、姉様に臆することなく躊躇無く抱き付いた。…………ってぇえええええええええッッッ!?

 

「えっえっ、え?」

 

 流石の姉様も、この事態に脳が飲み込めてないのか。戸惑いを見せている。だが、相手側の白虎さんは、

 

「……あぁ、紅緒…………ぅっっっ紅緒ぉ……」

 

 更に驚くことに、白虎さんは姉様に抱き付いたあと、周囲を気にせずに泣き始めた。最初は『えぇぇ? あ、えっ? えっえっ?』と私も混乱状態になる中、姉様は機嫌を損ねることなく、何かハッ! と思い出したかのように目を見開いて、

 

「……もしかして、(びゃっ)くん? (びゃっ)くんなの!?」

 

「……そうだよ」

 

 その問いに応えると、姉様の目頭から雫がすぐに溜まったのが分かった。

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 そのあと、私、夜ノ森紅緒は逞しく成長したであろう、(びゃっ)くんこと三峰白虎を連れて廊下に出た。

 ちょっと今の状態を愛する小紅の前では恥ずかし過ぎる。

 

「紅緒ぉ~」

 

 そして、私から離れようとせず、長身な体躯で私を包み込むように優しく抱いてくれている幼馴染み(・ ・ ・ ・)を見る。先程の白夜君とは対照的に、明るく、真っ白な白髪をしている(びゃっ)くん に、私は過去を瞬時に思い出していた。

 

「もう、会えないって思ったのに……」

 

「……言ったろ。俺は諦めない。絶対に会いに行くって…………」

 

 顔も白夜君に似てるけど、それは似て非なりだ。私には分かった。(かこ)に会っているのだから。だから、私は、

 

「紅緒…………」

 

 押し黙った私に、(びゃっ)くんは抑えきれない何かがあったのか。私の顔を見詰めたまま、優しくも、強く体を抱き寄せる。まるで、二度と離さないと言わんばかりの意思が、伝わってくる。

 

 そして、私は、彼の瞳を見て、改めて思った。

 

「びゃ…………(びゃっ)くん? そ、その目……」

 

「……あっ 」

 

 彼の片方の眼が、瞳孔が白く濁っていた。

 

「や……やっぱり、その目…………幼い頃、私を庇って受けた……」

 

 今までどんな言葉も、吐き出される一言一句発する私の声を、まるで甘露を味わうかのように幸せそうに聞いていた(びゃっ)くんが、その言葉だけに反応する。

 

「……紅緒。その経緯(いきさつ)はどこまで知ってる? 」

 

「えっ?」

 

 そんな言葉を受けて、確かに私は幼馴染みの三峰白虎に助けられた、という事実は分かっているが、それまでの過程が全然と思い出せないでいた。

 最悪だ、と私は妹を事故に合わせた時と同じくらいに自己嫌悪が襲う。

 白夜君の件はおじいちゃんと、両親から聞いている。挺身して小紅を救ってくれたという救いを。

 

 だが、この目の前にいる幼馴染みは、覚えているだ。

 

 広大さと神秘的な森に住んでいたおじいちゃんのお知り合いで、子供の頃、沢山というほどに遊んだ記憶。

 

 でも、そんな私の大切な記憶の中に、凄く大事な記憶が欠落しているのを、“今”分かった。

 

 白夜君が小紅を救ったように、私も(びゃっ)くんに救われたという記憶が、

 そこまできて、やっぱり思い出せない。思いだそうとすると、

 

「うっ!」

 

 軽い頭痛が襲い掛かる。

 

「…………やっぱり、紅緒は聡明で、優しいんだな」

 

「……えっ」

 

 (びゃっ)くんが、まるでこちらの頭痛を静ませるような、落ち着かせるような静かな声で、

 

「ごめんよ。紅緒は紅緒だから、こっち(・・・)の事情で悩ませる必要なんて、無いんだよ」

 

 そう言って、(びゃっ)くんは私の額に優しくキスをしてくれた。

 余りにも当然かのように、自然体でキスしてきた為に私も抵抗も何もあったもんじゃなく。額から伝わった(びゃっ)くんの唇の熱を感じて、すぐに頭痛が静まった。

 

「ほら、早く中に入ろうか。まだ俺は皆に自己紹介してないし」

 

「え、あ、うん。そうね」

 

 頭痛が収まっただけで、記憶の欠落は治ってないてけど、何故か、(びゃっ)くんの言うことを今はしっかりと聞いておこうと思った。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

「君ィ! ちょっっっっきっっっっみっっっっ!!!」

 

「もう、パパ落ち着いて」

 

 突然、姉様に抱き付いたかと思ったら、姉様がその白虎さんを連れ、廊下に出ていった時はびっくりしたが、

 

「いやぁ! すみません。余りにも懐かしかったもので、涙腺と感情が崩壊しちゃって、あんな行動をしてしまいました。年頃の女性に抱き付いたり、両親の目の前で大変失礼なことをしてしまいました。すみません」

 

「ふぐぅ!」

 

「パパは誠意と誠実に弱いと言っておいて良かったわ。思いっきり説教しようとしていて出端を挫かれたパパは置いといて、大丈夫?」

 

 私は姉様と白虎さんは何処か無理して笑っていたのに気が付いた。あの二人は過去に会っている。それは確実に分かった。

 

「まぁ、話したい事が沢山あると思うけど、続きを話すわよ」

 

「どうぞ、……本当にすみません」

 

 白虎さんは申し訳なさそうに頭を下げる。

 

「大丈夫よ。礼儀正しい子ね。え~と? 確か何処まで話したかしら?」

 

「僕は認めない!」

 

「騒がしいお父さんは放っといて、そうね。月曜からお前たちと同じ学校に通うことになっているから、クラスも同じになるといいけど」

 

 またも衝撃な発言に私はまたも驚く!

 あと何回驚かせる気ですか!?

 

「え゛…………っ!? 同い年!?」

 

 ちょうと幾つくらいなのだろうか? と考えていた私に、白夜くんの年齢に驚く。もっと年上かと思うほど落ち着き様が凄かったので、同い年には驚かされた。

 

「それとも彼氏とかいた?」

 

「えっ! いっ、いいえ。そういうわけでは」

 

「「そうだよママ。そんな奴いない。もしいたら私(僕)がまず、つきあうもの。──────突くほうよ意味で」」

 

 父様と姉様が口を合わせて言ってきたのに本気で身を震わせた、恐怖の方で。

 だって父姉が普通に片手の手製の槍持って笑顔でそう呟かれたら誰でもビクッとするだろう。

 

 そんな風に私が後退りしていると、白虎さんが、

 

「是非紅緒と突き合わせをヴぅぅルゥブううううううううボオオオオオオッッッ!!??」

 

「おんどりゃア!! 父の前でよくぞそんなことを言えたなァァァァアアアアア!!」

 

 これが娘を守る父の姿!?

 普段から考えられない言葉を吐き付けながら手製の槍で紅緒姉様と私を守るように、とうとう父様が狂い躍り出た。

 というか、もう思いっきり槍で突かれていた。

 

「だっ、だけど、そういう問題じゃないというか…………な、なんで私なんですかっ!? 姉様だって、その、女性なのに!」

 

「紅緒か。そうなんだが、紅緒にはもう既に白虎くんが居るからなぁ。パッと見はいいんだけど、その……中身がアレだし、白虎くんしか相手出来ないとしか…………」

 

 そ、それは……。と思わず納得してしまい閉口する私。

 

「否定はないの? 小紅」

 

 そんは私の対応にもクネクネと揺らしながら嬉しそうにしている姉様。だが、それよりも爆弾発言があったのにどうしてそんな平静と?

 

(びゃっ)くんのこと?」

 

「その、(びゃっ)くんと言うのは? まさか、白虎さんのことですか!? いつの間にそんな仲に? いや、そもそも知り合いだったのですか?」

 

「知り合い、というか。なんというか」

 

 姉様がチラッと白虎さんを見る。すると白虎さんは何故かチューするかのように口をタコのように尖らせているが、目前に娘たちをガードするかのように父様が笑顔で(グー)でキスさせている。こう、グリグリと痛そうに押し付けながら、

 

「その辺の説明もしないとだけど、小紅じゃ(・ ・ ・ ・)なきゃな(・ ・ ・ ・)らない(・ ・ ・)理由(・ ・)もあるんだけどね……」

 

 え? と思わず聞き返してしまった私。なんでだろうか、その母様の言葉が妙にしっかりと脳に届いた。

 そんな私に父様が白夜くんの気持ちを聞こうとする。

 

「ちょっと君? オッゴホンゴホン! あぁ~さっきからボーっとしているけど大丈夫なのかな? この僕の最愛の娘の許嫁なんだよ? ん? 人の100倍はしっかりしてもらわないと困るんだよんん? 分かってるのかい? ん?」

 

 明らかに面倒な人になってます父様。私や紅緒姉様が関わると人が変わるのは、昔から慣れてきていますが、やはり結婚関連の話だからか妙に神経質に聞いてくる。

 そんな父様に対応するように、

 

「……小さいころから周りに言われて育ったので……」

 

 …………むっ。

 

「じょ、冗談じゃな………………」

 

「タイム!」

 

 ビクッ! とするほど大きな声で、タイムのジェスチャーをする白夜くんの兄、白虎さん。

 白虎さんは白夜くんの首をホールドさせると、小声で何かを注意していた。

 

「(ばっか! そんな言い方すると誤解するだろうが)」

 

「誤解?」

 

「小声で喋ってんだからお前も小声で喋れ」

 

 スパンと短く頭を叩くその姿は、私たち姉妹には無い、兄と弟の姿だった。

 そんな二人が喋って居る中で、急に家の呼び鈴が鳴る。

 

 ピンポーーン♪。

 

「はいはーい!」

 

 大事な話だけれど、それよりも家に尋ねてきた人を優先させる。

 父様と姉様は未だに手製の槍を持ってるし、母様は白夜くん達と話していたので、必然的に私が対応することに、

 

「どちら様………………」

 

「小紅?」

 

 玄関のドアを開けたら、そこには可愛らしい小さな少女が荷物を持って立っていた。そして何故か私の名前を知っていた。

 その小さくも瞳が少し大きくクリクリとしたその眼差しは、揺れることなく私を見る。

 そして再び『夜ノ森(よのもり)小紅?』と聞き返してきたので、私も『そうだけど…………』とそれ相応の反応をすると、

 

「思っていたより〝ちんちくりん〟ですね」

 

「はぁ!?」

 

 生まれて初めて初対面の人から失礼なことを言われた!

 

「なっ、なんなんだっ!? いきなり失礼な……っ」

 

「これからよろしくお願いします。私は真白、三峰真白(みつみね・ましろ)。白虎と白夜の妹……つまり……『小姑』です」

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