未確認で親交系 作:優柔不断
16歳の誕生日の今日。よくわからないけれど私、夜ノ森小紅には、『許嫁』と『小姑』ができたらしい。
「改めまして、
そう言って、小学生くらい小さい真白は興味ありげに私を観察している。自分から『小姑』と言っていた辺り、きっと私の行動を細かく見てやるつもりなのだろう。
な、なんなんだっ。すごくやり辛いっ。
「まぁ、一人も二人も同じだけど、部屋とか布団とかどうしようかしらー? お父さん、布団あったかしら?」
「あぁーどうだろうねぇ。去年使い古しの布団捨てたような記憶が……え~と……たしか二階の押入れの奥に……母さん手伝って」
「ちょっ、母様に父様! 待っ…………」
言い終える前に両親は布団やら部屋やらを話していたから聞こえていない。
す、少しは娘の心配をしてください! 父様は前回と変わって随分と落ち着きましたね!? 小さな子が居ると平常心でも保てるんですか?!
仕方ない。本当に致し方ないと自分に言い聞かせながら、一縷の希望を乗せて姉様に助けてのアイコンタクトを放つも、
「本当にどうしたらいいのかしら! 幼女よ幼女! どうしよう小紅……幼女よ!!」
「幼女幼女言わないでください」
醒めぬ興奮を覚えながら姉を止める。
そうしている間にその真白と名乗った少女は美味しそうに私に買ってきてくれたケーキを頬張っていた。
「お、おいしい! これが『ケーキ』というものですか!」
「麦粉に砂糖・卵・油脂類・牛乳・香料などを混ぜて焼いた洋菓子をケーキという! そしてそれをベースにしてクリームを混ぜ合わせてまた別格の洋菓子へと向上する! この芳醇として口の中に広がる甘い香りと共に噛めば、喉を通すまで余韻に浸りたい気持ちに駆られる!」
「……おいしい」
兄たちもケーキに満足してくれてそうで、私は少し一息吐く。というか白虎さんちょっと口数が増えている。
「超人気のパティシエに作ってくれた高級ケーキなの。あっ! そうだ、良かったら今度一緒に食べにいきましょう!」
ちゃっかり紅緒姉様は幼女に遊びを誘っているが、真白という少女は自分が子供扱いされたことに不満にしたのか。
「ありがたい申し出ですが、こちらが一方的にご馳走になっているのは気が引けます。今度はこちらからお返ししましょう。お名前を教えてください、パティシエ何さんというんですか?」
ガクンッと横からしたから私は思わずビクッとしたが、紅緒姉様が衝撃を受けたらしい。『せ……っ背伸び……!! 背伸び幼女よ小紅ーー!』と騒いで興奮している。
「だから幼女言わないでくださいー!」
いつも通り過ぎる姉様の平常運転に、私もいつも通りの対応をしていると、三峰兄妹の長男である三峰白虎さんが微笑ましそうに笑って見ているのに気付いた。
恥ずかしく思いながらも、少しだけ落ち着いた。状況整理しよう。
まず、もう両親はこの兄妹を同居させるのになんの問題にしていない筈。これは私たちもそうだけどお祖父ちゃんの言うことは基本逆らえない。別段恐怖とかでは逆らえないというわけでは無い、これは断言できる。大好きなお祖父ちゃんだったし。
ただなんと言うか、お祖父ちゃんの言うことには、何処か重苦しく荘厳で威厳あった言葉の中に芯が込められていたから、言い返そうにも全てこちら側の言葉が枯葉の如く跳ね返される感じなのだ。
そして、全て正論だった。おかしいものはおかしいと、それは良かったなら良かったと教えてくれる厳しくも優しかった祖父。
だが、芯ある言葉なら返せるのも事実だった。
もしまだお祖父ちゃんが存命だったら絶対に理由を聞いていたのに!
そんな私が一人思い悩んでいる時、またもや他のことが思い浮かんできた!
というか、これが一番大変だった!
(許嫁の件は後で両親に言葉攻めにするとして……食料品はどうする!?)
父様が居るから台所の負担はかなり軽減したけれど、それでも私は夜ノ森家の一週間分の献立が総崩れになってしまった。
普通は許嫁の方が大事だろ? と思うかもしれないが、父様と私ぐらいしか台所を任せられないのだ、料理の手順や食料品の数など全部把握して献立を作っているんだ。それをいきなり三人も増えられてと困る!
「うううううあーー!」
「小紅がキレたーーっ!」
私が食料品について考えていたからか、またも姉様と真白ちゃんが私について口論していたらしい。白虎さんが間に入っているけど揉みくちゃにされている。
「な、なんなんですかっ?」
「説明しよう!! 小紅は普段いい子な分だけ一度キレるとすごいんです」
「具体的に言わないところ変わってねぇなぁ、いやぁ~、なつかし~なつかし~」
「私ちょっと出てきます!」
なんか白虎さんは姉様と変わらなそうな態度で内心驚いたが、とにかく今はっ!
「あっ、ちょ、待ちなさい! に、逃げる気ですかっ? 話はまだ終わってませんよ」
「食料品が足りないので、買い物に行ってきますっ!」
「うぐっ」
「あら、そんなに怒ってるワケでもないかも?」
早く買いに行かないとスーパーの特売がっ!
私はさっき記憶していたスーパーのチラシを思いだして、急いで買い物に向かった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「あらら、小紅行っちゃったわねー」
「ふ、ふん! まぁいいです。とにかくよろしくお願いします。『三峰』の今後は二人にかかってますから」
「……ま、こちらとしても〝今〟があるのはそちらのおかげだし……仕方がないと思ってるわ」
私はつい小紅が関係してしまうと随分と上からの勝手な物言いになってしまい、自分でもこれは無いと思いつつ、チラリと白夜くんと同じくらいな長身の
やっぱり幾ら考えても思い出せない。けど、私は
「うん、上から目線の紅緒も……イイネ!!」
╭( ・ㅂ・)و まるでグッとした反応をみせているけど、やっぱりはぐらかす。
「くぅ! もう、いいですか。白夜も、もう少ししっかりしてください。三峰の者として………………ってあれいないっ!?」
「本当に居るんだか居ないんだか分からない人ねー」
「それよりも早く
ポンっと真白たんの超可愛いプリティな頭を一撫でして、二階に上がって行ったママとパパの手伝いに向かう
でも
「お、来たわねぇ。ってあら? 小紅はどうしたの?」
「食料品を買い出しに行っちゃいましたね、本当にご迷惑をお掛けして、すみません」
二階に上がっていったら、お祖父ちゃんが使っていた部屋をママが道具などを廊下に置いて、パパが押入れや部屋を整理整頓していた。
「白夜くんも居ない感じだけど?」
「白夜は荷物持ちで後から付いて行きましたよ」
「い、いつのまにっ!」
「フッ、あいつの影は誰にも捕らえることはできな──────」
「あっ、部屋はここ使ってね。じいちゃんの部屋だったんだけど」
「あっはーい。ありがとうございますぅ~」
いやん! ダメよ! 真白たんが可愛い過ぎるっ ♡
「和室ですか……やっぱり畳の部屋は落ち着きますね」
「ふふふ、それは良かったわ。それじゃ父さんと母さんは下で色々とやることがあるから何かあったら言ってねー」
「布団は新品のだから匂いを気にすると思うけど、ふわふわで気持ち良いと思うよ。それでも何かあったら言ってね?」
そう言ってママとパパは下に降りていった。やっぱりママもパパも性格がでてきてるのか、パパは最後まで綺麗にしていって、ママはきっぱりと下にへと降りていった。
そうして両親が居なくなってから、真白たんは窓際までゆっくり歩いて行くと、よくドラマなどで見る『ザ・小姑』と言える行動、
人差し指でススッー、となぞってる小さな小姑さん…………。
もう、それだけで最っっ高に可愛い!!
でもそれを思わず兄である
「ましろこらー、お前はまったく」
はっ! と真白たんも
よし。
「真白た~ん。私のかわいい小紅をあんまりいじめないでね~~?」
「いっ、いじめるなんて人聞きの悪いっ……」
「じゃないと~~」
私は頭の中だけであらゆる真白たんの可愛がる妄想を真顔で思考を巡らせる。
えっへっへっへっ。
「逆に私が真白たんをいぢめるわ」 (真顔)
「真顔!? そしてなんですかその指の動き!!」
「大丈夫、この世で一番可愛いのは小姑だけど、幼女も大好物だから」
「ぎゃーっ! さらりと何発言してるんですかーっ! 大丈夫の言葉がこれほど不安になることがあるんですか!?」
「うん、可愛いなぁ。やっぱり」
「おぃー我が兄っ! ピンチっ! 妹がピンチですよっ?!」
真白たんはそんなお兄ちゃんに『ガッカリだよ!』とわりと本気で言って下の階にへと逃走した。
「可愛い末の妹が出来たって感じか?」
「はっ! …………そういう考え方も (震え声)」
「よし、それを現実にするべく! 俺達は結婚をするべく──────」
「おっと手が滑ってお祖父ちゃんの飾り物である熊の木彫りを
「───あぶなっ?! えっ、うそ……っ? 割と本気で投げてきた!?」
そんな事を言う
「私を射止める男がいると思ってるのかしらぁ? 私は学校ではなんと生徒会長なのよー!」
生徒会長だから何なのだと言われたら黙る私だったのだが、
面白いから生徒会長っぽいポーズを決める私。
おおっ!! と後ずさる
……なにこれ面白い。
とさっさく同居生活で出来る
「はっ!? この私が幼女をほったらかしにするなんてっ!? ……ハっ! まさか、
「気付かれてしまってはしょうがない! 妹よ! この女神は俺が引き受けたー! 早くあのクールデレ弟にヘルプをー!」
完全に私を悪役を当てることができない
「ズブシッ!」
「ぐはぁ! 男子中学生が友達によくやるベスト上位の
中学校時代の知恵も武器になるわね!
脇腹を押さえて身悶えする
「白夜ーっ! 我らの長男があの長女にやられましたーっ」
「やぁねぇ、真白たーん。……峰打ちじゃ」
「後ろから脇腹押さえて
あの一撃を食らってもまだ
「それと避難です白夜! 今すぐあの人から引き離れなさいぃ!」
「あん、ひどいわ真白たーん」
ツンな真白たんに本気で萌え始める私を横目に、小紅は『またか~』と慣れたように溜め息を吐く。
「まったく、何やってるんです。お姉様」
「おかえり、小紅~♡」
「あわわわ…………ん、あれ? どうしたんですか、その顔?」
「……………………」(スッ)
「ハッ……もうDV!?」
あららー、真白たんやっぱりお利口さんなのねぇ。『DV』なんて今時の子供でもまだ分からないんじゃなかしら?
そんな事を考えながら、白夜くんの大きな背中によじ登ったままの真白たんにハァハァしていると、
「買い物に手伝いに行けなくてごめんねぇ。物運んどくから貸して貸して」
「あっ、その、ありがとうございます。
「任せろい」
そう言って小紅に笑みを向けながら、小紅と白夜くん二人の荷物を軽く受けとる
「台所に運んどるねぇ」
「あ、はーい。お願いします」
「そして今の内に私は神速の如き速さで白虎と台所に!」
「あぁ~ん♡ 本当に速かった!」
指先が
まぁ、そうしてる間に、小紅と
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「そ、その、いきなり殴ったのは悪かったと思ってます、が、きゅ……急に変なこと言うから………」
「ハハハハ! きっとラブコメみたいな展開になっちゃったんじゃない?」
「なぁっ!!」
「ぉわぉっとッ!? 待ってタンマ! うぉおー! 包丁持ったままこっち向かない! ひぃ!」
「すす、すみません!」
考えていたよりも健やかに成長したであろう夜ノ森小紅ちゃんに、オレ、三峰白虎は内心安堵の吐息を何度もこぼしている。
弟・白夜は心底この小紅ちゃんに惚れている。尋常じゃないほどに。だがそれはオレも知っているし、理解しまくっている。
弟が夜ノ森小紅しか惚れていないとすれば、オレも夜ノ森紅緒を本当に心底惚れているのだ。
よく惚れた彼女の前であんな互いにふざけ合えているのか不思議なくらいだ。
「白夜は言葉が足りないだけなんだよ。そのせいで誤解されることが多々あって、最近なんてオレがトイレの前で床の掃除をしていたらアイツ立ったまま背後に居たからてっきり手伝いのために待ってくれてんのかなぁ~って思ってたら、静かな声で『……ト、トイレ行かせてくれ』だってよ。なら最初から言えよって思うよねぇ」
「そ、それはただの言葉足らずでは?」
「でも、回りくどい言い方をしない、真っ直ぐな奴だからさ。悪気は一切無いんだよ」
(わ、悪気は……ない……って………////////)
横目に見てみれば僅かに頬を赤くして、きっとさきほど白夜に言われた言葉でも思い出しているのだろう。とっても可愛い顔だった。
「今時『許嫁』なんて理解できないよねぇ? どうして小紅ちゃんの……あっ、小紅ちゃんって呼んでいい?」
「あ、は、はい」
「うん、それでね小紅ちゃん。その小紅ちゃん本人の前で何故そんな話が上がらなかったのか? それは単純にして明快」
オレが白夜たちが買ってきたであろう食材を小紅ちゃんに確認してもらいながら、冷蔵庫に入れていく。
「大人の事情ってやつ」
「……は……?」
「まぁ、オレたちの住んでた所ではまだ珍しい話ではなかったからかなぁ。こんな約束事があるなんて知らなかったんだよ」
他にも沢山の理由があるけれど、今言えるのは限られている。
「大人の事情って………」
「田舎じゃ当たり前だけど……こっちじゃそりゃ勝手が違うよねぇ~」
「た、たとえ大人の事情でも、その、私なんかで……ガッカリしたんじゃないのか……」
ポツリポツリと食材を切りながら、小紅ちゃんはふとそう呟いた。
小さい頃には会ってたけど、やはり余り自分に自信が持てていない様子。
「そんなことは無いよ?」
「えっ?」
「
いや待て、小紅ちゃんは確か
小紅ちゃんには悪いけど、やはりそれは白夜本人か、それとも小紅ちゃん本人が知らなきゃ意味がない。
そんは風にオレが黙ってしまったせいか、小紅ちゃんが不審に見つめてきた。確かにまだ知り合ったばかりの男が神聖な台所に黙って立っていられたら不審に思うのが普通だろう。
「それにねぇ! まぁー小紅ちゃんの考えがどうであれ、もう決まってる話なんでねぇー! ワハハハハ!」
「うわー! 話をはぐらかした後にどうしようもない理不尽にビックリだー!」
トントントンっ! と馴染んだ手捌きで野菜を綺麗に刻んでく小紅ちゃん。
「そういえば、喋りながら食材入れやってたけど、もう夕食の下ごしらえ?」
「え~と、はい。もう今のうちに準備して、献立とか配分量とか知っておきたくて」
真面目だねぇ~、とオレが小紅ちゃんの切っている材料を見れば、ニンジンにジャガイモ、タマネギの野菜に連想される料理に思い浮かぶのは定番と言えば定番のカレーだが、他の料理も多々ある。
もうちょっと小紅ちゃんの周囲を見てみれば、近くにデミグラスソースにワインが置いてあった。
「赤ワイン!? うわー凝ってるね! 普通ないでしょ?」
「あっ、驚きました? ふふふっ、私もびっくりしました。父様が買ってきてくれて」
クスクスと笑う小紅ちゃんはもう料理の方に集中することに切り替えたらしい。淀みのない動きで調理していく。
カレーでは無く、ビーフシチューを作るらしい。
オレも久しぶりの洋風料理に心浮き立つが、何故かダッシュで台所に入ってきた真白に驚く。
「なんだ真白? ご飯作ってんだから待ってろって。オレはなにもしてないけど……」
「ならあの人なんとしてください! 頬っぺたやら頭やら触ってきますぅ!」
なに!? 言わずもがなその犯人は知っているオレだが、ハッキリ言わせてもらうが…………羨ましいぞコンチクショー!
「羨ましいぞ真白ー!」
「うぇぇぇっ!? 何言い出すんだこの兄はーっ?」
そんなことをしていると、真白はふと小紅が何か作っているのに気付いた。そしてオレと同じように材料などを見て判断する。
「ニンジンにタマネギ、じゃがいも……ということは、分かりました! カレーですね!? いいですね! 簡単でおいしくて私も大好物です!」
「えっ」
「私たちが住んでた所でもカレーは食べます! ええ、大好物です! うん、カレーいいですねぇ」
よぉし! と何故か気合いを入れる真白。
「分かりました! 大好きなカレーが食べられるとあれば、あの人の対応も頑張れます! よぉーし!」
そう言って再び紅緒の所に戻った真白。
あの屈託のない笑顔でまたも料理を変えねばならなくなった。
「子供って勝手に期待して、勝手に落ち込むよね」
「私なんて答えれば良いですかそれ!?」
「妹がワガママを言ってすみません」
「えぇ!? え、あの、いいえ。大丈夫ですよ? カレーなら大して手間取りませんし……」
「なら赤ワインは任せて! 片付けておくから!」
「……まさか飲む気じゃ」
そんなことないよー(笑) と浮き出した笑顔で晒しながら、オレも料理の手伝いを申し出たのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「あら、今日カレーなの? 小紅、誕生日なのにカレー?」
「うちの妹がすんまそん」
「え、なにそれ?」
紅緒に謝りながら、料理をテーブルに乗せていくオレは、小紅ちゃんの料理スキルに感激していた。 空腹と鼻腔に刺激するカレーのスパイシーな香りに皆が心の緩むのを感じた。
さすが小紅ちゃんである。真白に変な勘違いを受けつつも、ちょっとした工夫をそなえて作ったカレーがとても美味しそうだ。
「ごめんよ小紅。今日は小紅の誕生日だというのにご飯作るの任せてしまって……」
「大丈夫ですよ父様。材料とか買って来ちゃったの私なんですし」
「ごめんよ」
そう言って蒼さんは小紅ちゃんの頭を撫でた。『もう子供じゃないんですよ!』と小紅が小さく怒るが、蒼さんは『まだまだ子供だよ』と優しい微笑みで返した。これが父娘かと思わずオレが眺めていると、紅緒が小突いてきた。
「早く食べましょーよー」
「まてまて、まだ全部運んでないでしょまったくー」
そう言って、料理ではあまり活躍できなかったので、運ぶくらいはやらせてくれ。とオレは小紅ちゃんが作ってくれた料理などを運んだりした。
料理が全部行き届いたら、皆で席につき、初めての夜ノ森家での夕食に三峰三兄妹は嬉々として『いただきます』を号した。
「あぁ~~~」
「あら、真白たん辛かった?」
「あっ、あれっ? いつもよりかなり甘くしたつもりだったんだけど」
「お水飲みなさいお水」
紅緒が以外だわ、と少し大人びて見えていた真白が舌の成長加減が年相応だと知り。
小紅ちゃんは甘さ加減の失敗に悔やんでいたが大丈夫。あれ以上甘くしたらカレーがカレーじゃなくなる。
そして茜さん。お水ありがとうございます。
オレが水を真白に預ければ、辛さで舌を出していた真白が水を飲んでなんとかやわらげようとしてる。
まったく。我満するところを間違えるなと何回も言い聞かせてるのに、まったく聞いてないまったく。
そして、何気に小紅ちゃんは白夜の食べた反応を窺っていた。その肝心の白夜は面白いほど無表情だが、オレには分かった。とても嬉しそうに食べている。でも小紅ちゃんは分からないだろう。
その後は洗い物をオレが担当して、蒼さんと色んな話をしていた。
「そうか。白雪さんは元気か」
「母まで知ってたんですね」
「お義父さん達と着いていってね」
ほほう。
オレは皿を洗って蒼さんに渡す。あのお爺さんに着いて行って良いと許可されるほどの信用はあったのだろう。
大変失礼な考えをしているオレだが、それだけ慎重にしないといけない親族関係でもある。特に
「あらー? 皿洗いしてるの
「真白たーんはオレの妹よーん。いつでも会えるのよーん」
ハイ、と最後の皿洗いを終えて蒼さんに渡す。
「いいよ。行ってきな。親睦を深めないとね」
でも目が語ってる……『手ェは出すんじャねェぞ』と。
「oh……アウ、そだねー。真白たんに会いにいこうかぁ」
「そうよ真白たん! あんなに可愛い小さい娘が居たなんて……神は存在していたのよ素敵!」
「あなたの娘さんはスンゴイですね」
「紅緒はスンゴイよ」
蒼さんは笑って皿を棚に並べてそう言った。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「すごい……すごいです」
「近い近い!! テレビは明るい部屋で離れて見ようね!」
部屋でテレビに感動している真白に小紅ちゃんが必死に引き離していた。
オレと紅緒は戸から眺めて見てるが白夜だけ気づいてる。
「す、すいません。ちょっと取り乱しました」
(BSやCSはのことは黙っておこう……)
どうやら小紅ちゃんはさきほどの料理の件で話を聞きに来たらしい。
「苦手な物ですか? ふふふ。大丈夫です。私は好き嫌いなんて子供っぽいものはありません。ええ…………とろろもオクラも……納豆も平気です」
声のトーンでも分かるし、唇を掻きながら嫌そうな顔なのですぐ分かった。苦手なんだと。
よく母さんと対決していたなぁ。
その間オレと白夜は食べ終えてるのが常だったが、
「えっと……じゃあお前は……」
「お前とはなんですかっ? ちゃんとそれなりの呼び方をしなさい」
「そっ、それなりって?」
面白い方向にへと進んでいっている。
そんなことを思いながらふと、横に居るハズの紅緒を見てみると、『ぐぬぬぬっ!』と悔しそうな顔をしていた。大切な妹の小紅が男の為になにかしているのが嫌なのだろう。たが、それを促しているのが可愛い幼女である真白なのだから、紅緒の中で我慢パラメーターがプラスしてマイナスしている。
「そりゃあ夫婦的には〝あなた〟とか〝旦那様〟とか〝ダーリン〟とか〝ハニー〟とか?」
「はぁーーーーっ!?」
ガタンゴトンっ、と音が鳴った。
オレは目視するよりも瞬時に手を突き出した。
「(オイオイ、出るのが早いよ。お姉さん)」
「(ムキィ! 私の可愛い小紅が男にムキィ!!)」
もう見えてるんですけどね。このシスコンさんは大変ですねー! あ、やっぱ力強いよ!? あらら本当に強い。
「真白! 真白とあとでお風呂ですよー?!」
「…………えっ」
ものすごい勢いで脱力した紅緒に、押さえていた力が戻って、思わず引いてしまう。
ヤバい! と思っているよりも、現実は早くやってくる。すぐにオレは紅緒を庇うようにして倒れると、とても柔らかい感触と甘い香りが脳に電気を走らせた。
「真白たんと…………お風呂……」
二人共
だが、慌てても良いと思うのに、紅緒はもう幼女しか頭にない。世間残念と思うかもしれない。だが、オレはそんな紅緒も大好きだった。
だが今の状態は紅緒と共に二階の廊下で一緒に天井を見詰めてる。しかも重なって……。
殺されるッッ!!
オレは紅緒を抱いて移動する。奥の方まで。
するとそこは視界が見えない状態なので小紅ちゃん達にバレずに済んだろう。
紅緒は『ヌフフフ』と綺麗な顔で嬉しそうに笑っている。
正常に戻った紅緒と戻ると、そこでは小紅に『カ
、カレーは甘口がいいです』とモジモジしながらお願いしている真白の姿があった。
「それは、分かってるよ」
小紅ちゃんも何か白夜にストレートなことでも言われたのか、少し頬が赤かったが真白は気付いていなく、甘口カレーが次から出てくることに喜んでいた。
だがオレが目を離している隙に、紅緒が我が妹の背後に立っていた。
バカな!? 音がしなかった、だと?!
「フッフフ……真白たん」
「ひぅ……っ!」
「お風呂の場所を教えてなかったわね。…………じっくり教えてあげるから…………いっしょに…いらっしゃい」
「ハイハイハイっっ!! ごめんなさい蒼宗さん! 無理、そんな紅緒さん見せられたら……見せられたらオレの野獣の虎が暴走をがるるるー♡」
どんな魅惑だこんにゃろう!!
オレは紅緒の妖艶にさに蕩けてしまい、特攻を決めるも、グァンッ! と視界が反転する。
(なん、だと!?)
(甘いわよ
(どんな気配よん!?)
アイコンタクトだけで会話したオレと紅緒は、真白たんを拉致して忍者の如く無音で移動していた。
「ななな、なにごとー!?」
オレが倒れ伏していると、小紅ちゃんが現状の理解が突破していた。
その後、自力で脱出した真白に蹴りを食らってから目を覚ましたオレは、三兄妹と一緒の和室で一夜を過ごした。
まだまだ波乱は置きそうである。
2014/09/22 早くも改訂ィィィィイ!!