未確認で親交系   作:優柔不断

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まったく。本当に一人称型の文の書き方が分からないこの頃。
投稿してすみません。誤字脱字があるかもしれませんね(泣)

アニメを眺めながらこの小説を書いていますが、やっぱり紅緒や小紅たちが可愛い過ぎてヤバイですね(;´д`)




『未確認でも強く決めた意志』

 

 

 

 

 

 

「なんだ。やっぱり六条家と五十井田(いかいだ)家が接触してきたか~。予想通りだな」

 

「……小紅に危害がなければいいけど」

 

「その点は安心していいだろー。オレたち(・ ・ ・ ・)だって騒ぎは絶対に起こしたくないし、三峰の名は伊達じゃない!」

 

「……母さんが居るから大丈夫か」

 

「そこ兄貴だろ? 当主オレなんだからそこ兄貴でしょ手前」

 

 新しい家での生活。オレと白夜はあてがわれた夜ノ森家の部屋でのんびりとしていた。畳だから落ち着いて寝転がってしまう。

 東北の冬だけあり、寒風が窓の緻密なところからも吹いてくるが、まだ我慢できる。

 

「なに作ってんだ?」

 

「城」

 

「ふ~ん。やっぱおめーさんは細かい作業とか好きだぁ~ね」

 

 オレは寝転がったまま弟が作ってるモノに目を向けた。それはかなり細やかな掌サイズの木材のパーツが沢山あるもので、まるでプラモデルのように一ヵ所一ヵ所を高い集中力をもって挑んでいた。

 折角帰ってきたんだから、そんなことせずに他のことに目を向けろよ、とオレは思ったが、ふとさっきのことを思い出す。

 

「そういえば、何か小紅ちゃんと進展があったみたいだなー。真白から話を聞いたら断片的にしか分からなかったけど」

 

 ニヤニヤとするオレに、白夜は首を傾げて『何のこと?』とアピールしてくる。 これは恥ずかしがっているのか? それとも素で知らないのか?………あぁ………素だな。

 オレがいつもようにもっと分かりやすいよう再度質問しようとしたが、白夜が続きの言葉を紡いだ。

 

「……ただ、小紅に、紅緒さんとは違って小紅は小紅だぞ、って言っただけだ」

 

「……ふ~ん……(つか、紅緒には“さん”付けするんだな)」

 

 そこで紅緒が出てくるとは思わなかったが、あの姉のことだ。小紅の心境くらいはちょっとは理解しているかな、と思っていたけど、やっぱりそこまで完璧とまでいかないことにオレはある意味ホッとしてまったかもしれない。

 小紅での学校のスタイルに見て、オレが一番に思ったのが『あぁ、疲れるなぁ、それ』というものだった。

 まるで信仰でもされているような紅緒のファンたちの熱愛に見守られながらの生活はきっと疲れるものだと思ったし、紅緒の心の休む場所が無いんじゃないかとそういうことも当然思ったが、ちゃんと紅緒自身が心休まる場所を作っていたのだ。

 心許せる友に、他の生徒の目線が無い生徒会室(なんか私物化してる)などだ。

 だが、そんな姉である紅緒の有能性に、妹である小紅が他者から比べられるという必然性には気付いていたのだろうか?

 

(……そこは当人しか分からないが、幼少から鍛えてきたのか、小紅ちゃんの表情や仕草くらいじゃ見分けつかないだろうな……まったく。小紅ちゃんも悩み多き青春娘だったな)

 

 それは心傷(トラウマ)になるような事じゃないが、劣等感(コンプレックス)にはなる問題だった。

 

(……野郎より、女子(オナゴ)は繊細なものだろうから、こちらから深く関わらないようにしておこうか……)

 

 もし男だったら、スパスパと聞いて簡単に終わらせるものだったが、女の子の扱いは妹の真白で悪戦苦闘済みだ。

 それに、その役目はきっと白夜(おとうと)が果たしてくれるだろうとオレは確信していた。

 

 ゴロンゴロンと転がっていると、何やら下から騒ぎ声が聞こえてきた。女三人寄れば姦しい、とは本当だったらしい。

 だが予測するのは簡単だ。きっと紅緒にからかわれた真白がキーキー言ってんだろう。

 オレはそんはことを思いながら引き戸を眺めていると、ガランッ! と勢いよく開けて入ってきたのは我が弟妹の一人、末妹の真白だった。

 プリプリと怒った顔がなんとも可愛らしいが、実家じゃオレがその顔にさせていた。だから見慣れてしまっている。あしからず。

 

「真白キック!」

 

「顔面にっ!?」

 

 幼女(9歳)のキックを必死に避けたオレはガコッ! と机に当たってしまう。すると、『あっ』と久しぶりに白夜の焦った声が聞こえてしまった。すまない白夜!

 

「やべっ、済まんハクヤ! これマシロ! 暴力するなんてお兄様怒りますますわよ!」

 

「何キャラですかっ! でも……白夜、ごめんなさい……私が蹴らなければこんなことになりませんでしたね」

 

 シュン、とする真白に白夜は『気にするな』と言葉を掛ける。真白はもう一度律儀に謝り、そしてオレの方に振り向く。

 

「そうだ。三峰兄弟妹へ仲良しで有名なんだぜ。だから互いに悪いことをしたら素直にあやま………………」

 

「白虎がちゃんと当たってればこうならなかったのですー!」

 

 ゲシッと再び横蹴りしてきた妹をキャッチする。

 

「あれ~話聞いてなかった~?」

 

「くぅ! 離しなさい! 変態!」

 

「なぁんかコッチ来てからその単語使うようになったなぁ。危ないから本気でそう呼ぶのはヤメテっ」

 

「だったら離しなさいー!」

 

 小さな妹を高い高いするくらい造作ない!

 舐めるなよオレの膂力!

 

「そ、それよりも携帯を貸してください!」

 

「うん? 携帯?」

 

 ジタバタとする真白をいい加減降ろす。反省していないかもしれないが、悪いことはちゃんと知っている可愛い妹なのでしつこくやらないようにしている。

 そして携帯だが、オレ用と白夜・真白用の携帯二つある。高価な物なのだが、この二つ共オレが実費で出して買ったのだ。

 オレも三峰家の長男として、どれだけの金銭面が三峰家にあるのかぐらい把握している。だから、少しでも母の負担を減らすべく、携帯ぐらいはオレが払ったのだ。

 

「オレのは〝連絡〟用だからなぁ」

 

「やっぱり難しいですか……だったら白夜と私の共用の方を…………」

 

「別にかまぁねぇよ?」

 

 ポイッとポケットからスマートフォンを取り出して真白に預けた。名に反してオレは黒色が好きなのでブラックカラーのスマートフォンが真白の小さな両手に慌てながらも手に取れた。

 

「また(なま)りが出てますよ? 〝構わない〟です」

 

「とと、スゲー普通に出てちまう。マシロやハクヤはねぇのかよそういうの?」

 

「私はお母さんと話していたので、普通……だと思います」

 

「……オレも普通だと思う」

 

「……えぇ~?……オレだけ?」

 

 だが二人共が『思う』と発言している辺り自信が無いと見えるが、オレも気を付けよう。訛っていたら紅緒に嫌われてしまうかもしれない。

 いや、あの紅緒がそんは狭量な心根のハズがない。オレは信じる! あの天使・紅緒のことを!

 

「……あれ? マシロや~い?」

 

「出てった」

 

「つめてぇ~」

 

 白夜はまたも黙々と積木プラモを始める。コイツも根気強い男になったよ。

 オレはスマホを持って、何処かに行った真白を追いかけていくと、すぐ階段下でちょこんと小さく丸まって携帯を見ていた真白を発見した。『う~んう~ん』と唸って何かを検索している様子だった。

 かなり集中しているのか、階段を降りたオレにも気付かずにずっと検索している。

 とうとう真白が座っている段の二つくらい上の段に座って、いつ気付くかと暇なことを始めたオレ。

 そんなところに、リビングから小紅ちゃんが出てきた。

 

「あれ、真白に白虎さん? 階段でどうしたんだ?」

 

「調べものです……そして後ろのは気付いてました」

 

「えっ、気付いてたのに無視(スルー)してたの!? 敢えての無視(そっち)!?」

 

「な、仲が良いんですね」

 

「でしょ~?」

 

 そんなトゲトゲな妹の反応もオレには通用しない。

 

「携帯なんて持ってたんだな」

 

「これは白虎のです」

 

「白虎さんの?」

 

「あと一個あるよ。二個あるから大丈夫なのさ」

 

 そ、それは凄いな、と小紅ちゃんが(おのの)いていると、

 

「……うんっ? スコーンっ? クロテッドクリーム!?」

 

 なにやら洋菓子の画像を見て、プルプルとし始めた真白は、大変悔しそうに手を振って、

 

「く、くやしくなんかないです! 食べたくなんかないですっっ! 一服はやはりおせんべいかお漬け物に限りますっ!」

 

「あぁ~……実家だと、近所のばあちゃん達がくれる沢庵(たくあん)しかおやつ食ってたなぁ~……手で食べると指とか黄色くなってなぁ~」

 

「あぁ~こっちも一応、漬物とかあるけど……あはは、食べてみたかったのか?」

 

 そこで小紅ちゃんは悔しがる真白と目線を同じくしてしゃがむと、

 

「スコーンか……食べたいなら今度作ろうか?」

 

「「えっ」」

 

 なんとも優しい笑顔で凄いこと言ってくれるんだ小紅ちゃん。

 スコーン作れるなんて、もう田舎人からしたら立派なパティシエだ。

 

「ちょうどいただきもののジャムもあるし……」

 

「作れるんですかっ!?」

 

「別にそんなに難しくないしな~。父様も作れるし、大丈夫だぞ?」

 

 一瞬で材料や調理法などを頭で考えているのか目線を上にあげて、可愛いらしく人差し指を小さな顎に当てながら、やはり大丈夫だと真白に視線を戻す。

 なんじゃそりゃあ……、小紅ちゃん、きみは……、

 

「な……なかなかできた嫁ですね……。英国の菓子が作れるなんて」(もじもじ)

 

「最高だよ小紅ちゃん……こんな出来た義妹(いもうと)ができるの思うとお兄ちゃん嬉しいよ!」

 

「うぇっ? えぇーと?」

 

 小紅ちゃんはオレの対応に困っているが、残念ながら小紅ちゃん……。困惑する小紅ちゃんも可愛いよ! ここは兄として優しくフォローしてあげないと、そう思っていると真白が自由に移動を始めると、

 

「で、ではさっそく……!」

 

「うん? すぐには無理だぞ?」

 

「ガ、ガーンっ。まさかの不意打ちです」

 

「あぁー、その材料とかあればな。大丈夫なんだけど、それは今度のお楽しみということだな」

 

「むむ。なるほど……後の楽しみは極上だと白虎から聞いたことがあります。なるほど……これが大人の駆け引き、というものですねっ?」

 

「うん? まぁ……うん。そうだ! そうなんだろう?」

 

 楽しみですよー! と盛り上がる真白にオレは思わず笑ってしまう。それに反応する真白に、オレが笑ったことで、変に緊張しなくなった小紅ちゃんとリビングにへと戻っていった。

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

「この家の家事は小紅がやっているのですか?」

 

「あぁ。母様な仕事で忙しくて、父様も基本やってくれるけど、こうやってリビングとか居ない時は奥で集中してホームワークしてるんだと思う」

 

「ほーむわーく?」

 

「homework♪ 自宅で出来る仕事のことだぜ、真白ちゃん」

 

「い、家でですと?! しかも地味に発音良くてすごいっ!?」

 

「そう、だから余り騒ぐでないぞ我が妹よ」

 

「うぅ~……紅緒がヘンタイ行動を取らなければ大丈夫なのです……」

 

(じゃ、無理だな)

 

 オレと真白はリビングに戻った小紅ちゃんの様子を見ながらテーブルに座る。オレもついでに隣に座り、既に夕飯の仕度をしている小紅ちゃんを眺めた。

 そして、何度でも言おう……なんて出来た嫁なんだッ!!

 

「でも小紅ちゃん、ちょっと楽しそうに作るねぇ」

 

「嫌いじゃありませんからね。自分が作った料理を美味しく食べてもらえるのって、嬉しくありません?」

 

「あぁ~。確かにねぇ」

 

 母が用事で居なかった時、オレが弟妹たちにご飯を作ってたから、四苦八苦した料理を『美味しい』と言ってくれた時凄く嬉しかった。

 男のオレが作った料理を、真白なんて驚きながらもおかわりまでして食べてくれたのは嬉しかった。男同士で味付けも濃い方だったから、白夜も微妙に喜んでいたのも忘れていない。

 

「た、確かに白虎が作った丼シリーズは……お、おいしかったです」

 

「牛丼の汁ちょっと濃かったよなぁ、真白には! アハハハ!」

 

 笑って真白を撫でてると、小紅ちゃんもクスクスと微笑んでいながらも、仕上げまで進んで夕飯の仕度が完全に完成していた。

 

「そういえば、今晩のおかずは何ですか?」

 

「ふふ、ハンバーグだよ」

 

「ハンバーグっ♡ ……ハッ! そ、そうですか……うん。カレーに勝ると劣らない結構な献立だと思いますコホン! マルをあげましょう」

 

「(カレーだけじゃなく、ハンバーグも好きなんだなぁ……)……納豆やとろろはメニューに無いから安心していいぞ」

 

「べ、別に私は納豆やとろろが嫌いだなんて一言も言ってませんが! 気を回し過ぎる嫁は嫌われちゃうんですからね」

 

 プク~、と頬を膨らます真白に小紅ちゃんは今日何度目であろう優しい慈愛の微笑みを浮かばせていた。

 嗚呼、流石は紅緒が愛する妹様である。天使のような微笑みだ。弟がノックアウトするのも頷ける。

 そして今日何度目か見たが、まるで姉妹のようなやり取りをしている真白と小紅ちゃんにお兄ちゃんはニヤニヤしっぱなしです!

 もう紅緒に折檻されても文句無しです!

 

 そんなこんなで、料理は小紅ちゃん。皿と料理運びはオレと真白で分担してやった。

 綺麗に並び終えると、丁度夕飯時なので、白夜と紅緒を呼んで、蒼宗さんは茜さんと一緒に食べるとのことなので五人での夕飯となった。

 並べられた夜ノ森家の食卓に、いただきます、をしてからと言うもの、真白の目の輝きは一向に消えることなく。綺麗に焼かれた肉汁たっぷりのハンバーグの上チーズまで乗せ、大変美味しそうである。

 

「うひょ~! ハンバーグ用の鉄板皿っ? それまであるんだなぁ! チョー本格的!」

 

「これ父様が好んで買ってきたんです。ちょっと大変ですけど、温かいまま食べれるのでハンバーグの時に使ってますね」

 

「最高! 最高です! ハグハグッ! ぅぁあ~~……美味しいですぅ~♡」

 

「うふふふっ♡ カレーとハンバーグが好物。如何にもお子ちゃまで良~い感じだわぁ♡」

 

「……美味しい…」

 

「真白が喜んでくれて嬉しいけど、そんなに喜ぶものなのか?」

 

「私たちの家は和食系の献立が多かったんですよ~……ハグハグ、うまうまぁ~♡」

 

 本当に美味しくて、笑いそうになる。人は美味しい物食べるとの笑うのは自然の摂理でしょ?

 口の中に広がる肉の感触と、チーズが絡み合って更に味を惹き付ける。実家では味わえなかったその料理に感嘆の声がもれる。

 

「そうだっけ? 小さい頃遊びに行ったらしいんだけど……よく覚えて無いんだ」

 

「そうなんですか? それじゃあ……あの時(・ ・ ・)ことも(・ ・ ・)……」

 

「えっ! あの時って?」

 

 だが、真白のいきなりのカミングアウトに思わずヒヤッとするオレだったが、

 

「真白」

 

「はぃ?」

 

「ニンジンも残さず食べるんだぞ?」

 

「うっ、わ……分かっています」

 

 そこは透かさず白夜が割って入り、見事に真白に残り物しないように、という兄が促すという自然な流れでスルーしようとするも、小紅ちゃんはやっと曖昧になっていたハズの『昔の記憶』の情報だったからか、再度真白に質問したが、

 

「それは……」

 

「なんでもない」

 

 白夜がここまで主張する、ということに静かに驚いている小紅ちゃんを横に、紅緒の顔を確認してみる。  愛しい妹が作ってくれたチーズハンバーグを上品に食べる紅緒だったが、白夜と真白とのやり取りで逸早くなにかに気付いて、せめて関わらないように食事に集中していた。

 その後は当たり障りのない話をして、みんなでごちそうさまをするが、真白の話を聞いてからの小紅ちゃんはずっと思案顔のままだった。

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 後片付けだけでもオレがやると言って、いえいえ大丈夫ですよ、と小紅ちゃんが中々折れない姿勢を貫いてきたので、『後ろから喋らず無言で眺める微妙に嫌な空気』攻撃にて辛くも勝利を収めたオレは、一人ひとりの茶碗など丁寧に皿洗いしてる。

 今の小紅ちゃんは、部屋でじっくりと考え事をしている方が良いだろう、そうオレが思って変わったのだが……実は初対面にも近しいオレが夜ノ森家の台所を不躾に侵入することに抵抗があったからあんは貫いた姿勢でいたのではないか?

 うわやべぇよショックだけど確かにって納得もしちゃうよやべぇよ、と(はくや)に負けないくらい無表情(ポーカーフェイス)を気取りながら熱心に皿を洗うオレ。

 勝手に想像して勝手に落ち込んでいると、もうそろそろ皿洗いも終わりそうになってきた。

 

「うぉ~し、これでお仕舞いと……」

 

「あら、(びゃっ)くんが洗ってくれてたんだ」

 

「うん?」

 

 オレが声がした方向に顔を向ければ、そこにはリビングにお風呂上がりで入ってきた紅緒の姿があった。

 ……やましいことに……一回か二回くらいこういうチャンスが来るんじゃないかと煩悩を働いたことがあったのは偽ることなんてしない。オレは隠さん! ムッツリじゃないんだ! オープンなんだ!

 入ってきた紅緒は今時の女子高生(JK)らしいTシャッツスタイルのパジャマで、ピンク系のちょっと落ち着いた色味なのがとても特徴的だ。

 妹や幼女が居ないと、落ち着いた雰囲気が出てくる感じで、やっぱりお姉さんなんだなと思ってしまう。そしてこれまたモデルなのかと思うほど似合っていて、それだけでオレの心臓が跳ね上がっているというのに、追い打ちに未だ濡れている髪にタオルを巻きながら現れるという大胆且つ、無防備っ! とツッコミを入れたくなるほどのものだった。

 こ、こんな無防備な意中の同年代女子を何の予告無しで現れてしまわれては、そりゃあ足が砕けそうになってもおかしくないよね♪

 ガクブルのプル足は現在進行形でヤヴァイ。

 

(ハグァっアア!? さっそくこんな幸運が!? いいのか神様!? オレ良いのか!? いやダメだしょぉーー!!)

 

 ガクガクガク、と小鹿に負けぬぐらい震える足を押さえつつ、男前に応えてみせる。

 

「おふりょ入ってたんにゃにぇ」

 

 しまった!

 アゴがハズレるほど見惚(みぼ)けてたっ!

 

「アハハハハっっ! (びゃっ)くん口大きく開けて面白い状態になってるわよ。語尾の『にゃにぇ』って、ちょっと可愛かったけどね」

 

(神様……オレに幸運あげすぎです。幸運死しちまう……)

 

 紅緒は冷蔵庫に用があったらしく、オレの横まで来ると冷蔵庫から烏龍茶を取り出し、コップに移し返して気持ち良く飲んでいる。

 そんなに近くじゃないのに、鼻孔をくすぐるそのお風呂上がりの女子の匂いに、一気に脳が麻痺がしていく。

 

(ぬぐぅ! き、切り替えろ、切り替えりゃあナントカ……!!)

 

「あ、ハンバーグと一緒に出てたサラダの残り物見っけ♪ んー……あっ♪ ねぇねぇ(びゃっ)くん! こっち向いて」

 

「なんとかとんな…………逆さに読んでもなんとかとんな……って、うん?…………んむぐッ……!?」

 

 呼ばれて顔を向ければ、紅緒が冷蔵庫の中に仕舞ってあった残りのプチトマトを、器用に(へた)(つま)んでオレに口に瞬時に(くわ)えさせられる。

 

「このプチトマト甘いよねぇ。甘露~甘露~♪」

 

「……………………………………(これは、神様がくれた試練なのか……?)」

 

 紅緒が(しき)りに笑っていると、オレは少し気になったことがあった。

 

(なんか、変だな?)

 

 そして気付く。

 紅緒が少し『疲れている』ことに、

 

「風呂入ったってーのに、顔がなんか疲労してんね。紅緒ちゃん」

 

「えっ?」

 

「家だから完璧には〝隠せてない〟よ。……さっきの夕飯からか、はてさてオレたちが来てからか。紅緒の表情にはちょっとだけ陰りが見える。それがなんなのか、見当もついてるけど、それが合ってるかまでは分からない。だとしても、悩んでんなら少し話すだけでも全然違うんよ?」

 

 紅緒の陰り。そんなもの知ってたハズだろう三峰白虎。

 愛しい妹の記憶が〝欠落〟している理由を知ってる紅緒なら、こんなに明るくいられるハズがないだろ。

 先ほどから受かれて喜んでいた自分が恥ずかしい。

 

「いやねぇ、オレも悩んだ時話すだけでもスゲー気が楽になったからさぁ? だから紅緒も、もし良ければ話を…………」

 

「……………っ!……………」

 

「う~ん……」

 

 オレの言葉を受けて、一気に今にも泣き出しそうな顔となった紅緒に、オレも胸が締め付けられそうになった。

 息をするのが辛くて、もう聞かないで別の話題を出そうと脳裏を過るというのに、オレは曲げずに聞く。

 

「……そうだねぇ。オレも紅緒の心境が丸っきり分かるって事じゃないし、厚顔で諭させるとか考えてないけど、言えることはあるよ? 紅緒……『大丈夫』だよ」

 

「……『大丈夫』ッ……じゃないわ……(びゃっ)くん、だって…………………………(びゃっ)くんだって知ってるじゃない!! 私のせいで小紅がっ……」

 

「紅緒、あれはオレたちのせいだ。本当に取り返しのつかないことになってたハズなんだ。……だから紅緒は悪くないんだ。あれ(・ ・)ぐらい(・ ・ ・)で済んで良かった」

 

「……あれ(・ ・)ぐらい(・ ・ ・)…………ですって!?」

 

「あぁ」

 

 助かることに、皆二階やら奥やらに居ることで紅緒の声も余り届かない。

 いちいち紅緒の気に障ることに触れないといけないが、これは必然的に通らないと行けない道だ。

 オレの言葉を混ざる『真実』に、紅緒は頭を振って遮ろうとしている。

 

「…………片目に(・ ・ ・)大怪我(・ ・ ・)を負ってまで小紅を助けてくれた白夜くんに、あれぐらいだなんてっ!」

 

「だが二人とも(・ ・ ・ ・)助かった(・ ・ ・ ・)

 

「……っ……」

 

「そして…………小紅ちゃんも今、自らの足でちゃんと歩いて生きている……」

 

 あまり突き詰めるのも悪い、いや、今のこの応答でも過度なストレスを与えてると思った。

 ただ分かって欲しい、あれは、

 

「あれは、事故だった。そして悪いというのなら、それは全面的に三峰(オレ)のせいだ」

 

「ちがっ……! ちがうの……ちがうのよぉ……」

 

「……………………」

 

 紅緒は優しい。

 きっと、自分を責めるだろう。

 そしてオレにそんな事を言わせてしまった、ということま責任を感じで自責に囚われる。

 きっとその自責の念を押し付けた最大の〝切欠〟はオレの怪我(・ ・)のせいでもある。

 いつも小紅ちゃんや真白が居る時、笑ってくれている紅緒も、自責の念で苦しんでいる。

 

「ん~なぁ、紅緒」

 

「うん……?」

 

「多分ね、これ延々と続くよ、このやり取り」

 

「…………そう、ねぇ」

 

「だからさぁ、これはね紅緒。結局、オレたちがダメな兄と姉のせいだった、ってことだよね!」

 

「え?」

 

「ダメダメなオレたちがさ、守る筈の弟と妹を大怪我させちゃった。だからそれは忘れたくても忘れられない。紅緒もそうでしょ?」

 

「そ、そんなの当たり前よ!」

 

「うん。オレも忘れられない、忘れられる筈が無いんだよ。だから、これからオレたちが守っていくんだよ。白夜や真白や、小紅ちゃんを」

 

「守って、いく」

 

 『守っていく』

 この言葉を紅緒は深く反芻していく。

 紅緒だったら、『そんなの当たり前よ!』とか普通に考えてたと思うけど、やはり意志ある言葉を口にすることで覚悟が違ってくるものだ。

 紅緒は紅緒で、その言葉をどう捉えていくのか分からないが、オレはオレで守っていく。

 白夜や真白も、紅緒や小紅も意地でも守る。

 

(びゃっ)くん……」

 

「どう……? アハハ」

 

 渇いた声なのに自分でも驚いた。

 だが覚悟は決まっている。

 あの日から、(かぞく)が死にかけたあの日から決まっていた。

 そしていつの間にかオレの片方だけの瞳をジッと見つめていた紅緒と目が合う。やがて、紅緒は深い息を吐いて、

 

「……ふぅ~……(びゃっ)くんは、強いね。そんな風に思えるようになるなんて、ちゃんと前を向いてる」

 

「全っ然だよ。実は明確に決めたのは今だし」

 

「ふふふ! なんかそんな気がした」

 

「あー……でも、紅緒も無意識に思ってたと思うよ? オレたちは、失う前に気付けた」

 

 うん、と少し涙目で紅緒が頷く。

 

「守っていこうね!」

「うん、守る!」

 

 

 

 

 その後、凄い結論になっちゃったな、と。

 二人で小さく笑い合った。

 

 

 




ハイ、すみません。誤字脱字っつーか、話ちゃんと合ってたかなぁ(焦)
今回は紅緒と白虎の会話で締めてしまいましたが、もっと進められるかと思ったのですが、思いの他進むペースが上がらんなぁ。
こう、ズバッと書いて行きたいんですがねぇ(しみじみ)



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