刹那は、量子化した機体の中でそっと目を閉じた。
………対話は成功した。ELSたちに会いに行こう…。
どれだけ月日が経っても構わない。わかりあう。俺はそのためだけに生きてきたのだから………。
彼らと共に話し合い、助け合い、抱える問題を解決するまでは俺はーーーーーーーーーー
その瞬間、機体内のセンサーが鳴り響いた。
「っ⁉︎なんだ!何が起こった!」
閉じていた瞼を開き、コクピットを見渡す。
そこには、視界いっぱいに広がる「danger」の赤い警告欄。
『刹那!!』
コクピット前面に、人型のホログラムが浮かび声を張り上げる。
ティエリア・アーデ
紛争根絶を掲げていたあの頃から共に戦う、刹那の戦友だ。
今は一時的に体を無くし、ダブルオークアンタのコクピット内にデータの一部として本人の自我をプログラミングされてある。
「ティエリア!一体何があった!」
量子化しているダブルオークアンタは捕捉不可能。故に危険など考えてはいなかった。
刹那の額に汗が伝う。一体何がーーーーーーーー
『………ブラックホールだ』
「何⁉︎」
ブラックホール、それは極めて高密度かつ大質量で、物体のみならず光さえも捕らえ、吸い込んでしまう異質な重力を持った天体である。
まさかーーーーーーーーー
「ダブルオークアンタの量子が………ブラックホールの重力に引き込まれた?」
『………恐らくは』
「なんだと……………⁉︎」
その言葉に驚く暇もなく、コクピット内部が大きく振動する。
「くっ……!どうするティエリア」
『………一つだけ手がある。だが賭けに近いぞ。成功したとしても無事では済まないだろう』
「構わない、やってくれ」
手段は選んでいられない。俺にはやることがまだ残されているんだ……!
『刹那、ソードビットで量子化フィールドをもう一度開け。量子化が一時的に解けている今なら可能だ』
「到着座標は⁉︎」
『限りなく遠くへだ。このブラックホールは巨大だ。どこまでが重力の届く範囲かはわからない。設定できる最大飛距離でやってくれ』
「………わかった。細かい設定はそちらに任せるぞ、いいな?」
『了解。フル稼動で演算を開始する。シフトは十秒後だ』
「カウント、開始!」
その声と同時に、機体の前面にソードビットを展開。量子化フィールドを張る。
重力場の影響でギシギシと唸りを上げる機体に鞭打ち、GNドライブをフルパワーに。出力を最大にまで上げる。
『5!』
操縦桿を目いっぱい握り、全力で押し倒す。
「う………ごけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
その瞬間、クアンタの双眸に光が灯り、フィールドの方向に推進を開始する。
『1!』
クアンタの手がフィールドに触れたその時
圧倒的なまでの量子の光がコクピット内を満たし、蹂躙する。
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俺の意識はそこで途切れた。
さてかなり短いと想いますが、これでプロローグ終了ですね。
是非、読んでくれると嬉しいです!