もうじき朝日が昇り始める時間帯、昨日、『インファント・ドラゴン』や『ミノタウロス』の群れとの激闘を経てLV.2へと【ランクアップ】したベルは廃教会から外、敷地内に立っていた。
「はあッ、しっ!!」
そうして敷地内を駆け跳ねながら両手に持つ短剣とバトルナイフを振るい、蹴りを繰り出すなど仮想戦闘を始めた。
「(これが【ランクアップ】……)」
自己鍛錬というのもあるが、なにより【ランクアップ】すればなにもかもが飛躍的に上がるという自分の能力を実感したかったからである。
そして……。
「すう……」
ベルは短剣とバトルナイフを鞘に納めた上で右拳を握り、そこに『
新しく発現した【英雄求道】の能力の一つ、『能動的行動に対するチャージ実行権』を試すためだ。そして、ベルがチャージを意識した瞬間、雪の結晶よりさらに小さい光の粒が一定間隔で右拳の中に吸い寄せられ、新しい光粒が生まれ、時間を巻き戻すように吸い込まれる。
光の収束に収斂を繰り返しベルの右拳に対し渦を巻く、小さい鐘のような音をも奏でていた。
「はっ!!」
解放を意識しながら拳撃を繰り出せば鋭い音と共に衝撃波まで放たれ、空を軽く揺らす。そして、少しの脱力感……。
「結構、癖が強いかな」
何回か数秒に限定したチャージの検証をした事でチャージ実行中、それに集中しないとチャージは終了してしまう事やチャージに集中さえできていれば他の行動も出来る事、そして、チャージ攻撃はチャージの時間に見合うだけの威力は出るが、反動もあるので武器や格闘技での使用には気をつけなければならない事、チャージにおいては体力と精神力のどっちをも消費するし、その疲労感は中々、回復しないだろう事を実感する。
「でも僕の力である以上は使いこなさないとね」
そうして検証を含めた鍛錬を終えて廃教会へ……しばらくすれば……。
「おはよう、ベルたん。本当、昨日はうちの子らがすまんかったな」
何回か【ヘスティア・ファミリア】の本拠へと遊びに来た事もあるロキが昨日、ベルがミノタウロスの群れと遭遇する事になった要因がダンジョンの帰還中であった【ロキ・ファミリア】の団員たちにあったため、謝りに来た。
「ごめんね、ベル」
ロキ以外に昨日、ダンジョン内で話をしたアイズが居て……。
「僕が【ロキ・ファミリア】の団長、フィン・ディムナだ。僕たちの尻拭いをさせたようで本当に申し訳ない。そして、ありがとう」
アイズ以外に柔い金の短髪に碧眼の小人族の男にして結構な年齢の【ロキ・ファミリア】の団長であるフィン・ディムナと……。
「私は副団長のリヴェリア・リヨス・アールヴだ。フィンに重ねて謝罪と礼を言わせてもらう」
副団長にして翡翠の長髪を後ろに束ねた美麗な容姿であり、気風漂うエルフの王族であるハイエルフの女性、リヴェリア・リヨス・アールヴがそれぞれ、団長と副団長としての責任を果たす。
「私はレフィーヤ・ウィリディスです。その、ミノタウロスを倒してくれてありがとうございました」
そう、オラリオの中でも最強の魔導士と名高いリヴェリアの弟子であり、山吹色の長髪を後ろに束ね、愛嬌も感じさせるエルフの少女、レフィーヤが名乗り、頭を下げた。
「いやー、君のお陰で助かったよ。私はティオナ・ヒリュテだよ、よろしくね」
【ロキ・ファミリア】の幹部で褐色肌で短い黒髪、天真爛漫な雰囲気を有していて容姿も整っているが、スレンダーな体のアマゾネスの女性、ティオナも明るく名乗る。
「私はこの馬鹿の姉のティオネ・ヒリュテよ。よろしくね」
ティオナの姉で黒い長髪にお淑やかな雰囲気を纏っているグラマラスな体のティオネ・ヒリュテもベルへと名乗る。
そして、ロキから今回の件について何かしてほしい事があるかとベルは言われたので……。
「それじゃあ、これから派閥は違っていても仲良く交流してほしいです」
「こっちとしては願ったりやけど、それでええんかベルたん」
「はい、是非」
「分かった……それじゃあこれからうちとドチビは同盟関係や」
「ベル君ならそう言うと思っていたよ。まあ、そういう事ならよろしく」
ベルの願いにより、【ヘスティア・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】の同盟が決まる。
「何か要望があれば是非とも言ってくれ、出来る限り叶えてみせるよ」
フィンはそう、言い……。
「ロキが言う通り、本当に良い子だな……ベル」
「はふ、ん、ふぅ……」
「お……撫でられるのが好きなのか」
「はい」
リヴェリアはベルの頭を撫で始めると心地良さそうにし、身を任せ始めたので微笑みながら、更に撫でてやった。
「……わぁ、もふもふ」
「兎みたいと思いましたが、これ程とは……癖になりますね」
「本当だ、良い感触だね」
「中々だわ……」
「ベルたんは本当、愛で甲斐があるわぁ」
アイズにレフィーヤ、ティオナにティオネ、ロキもベルを愛で始め……。
「あふ、ん、くふ……は、あぁ……」
ベルはリヴェリアたちからの甘やかしであり、可愛がりに身を委ねながら蕩けていった。
『(可愛いい……)』
そんなベルに母性を燻ぶられ、リヴェリア達はフィンが声をかけるまでしばらくベルを愛でるのであった……。
二
ベルはLV.2に【ランクアップ】した事を『青の薬舗』に報告へ行けば……。
「もう【ランクアップ】するなんて凄いね、流石だね……本当、頑張り屋さんだよ」
「貴方こそ、英雄ですよベル。5階層から上の階層の冒険者たちを守ったんですから」
「あ、うああ……も、もう……あああああっ!!」
ベルはナァーザにより、彼女の部屋へと連れて行かれるだけでなく、昨日のベルの様子などから此処に来る事を呼んでいたリリもそれに乗じ、ベルはナァーザとリリルカにたっぷりと愛されながら、絶頂へと導かれ続けた。
次に『豊穣の女主人』へ行くと……。
「ベルさん、本当におめでとうございます」
「流石は私が惚れた男ニャ」
「半月で【ランクアップ】するなんて、やるじゃん」
「クラネルさん、お見事です」
「よくやったニャ」
「見た目に反して中々やるねぇ」
シルにクロエ、ルノアにリュー、アーニャはベルを甘やかし、可愛がる中でミアは賞賛を送った。
「えへへ、ありがとうございます」
ベルは蕩けながら、礼を言い……今回は『豊穣の女主人』で宴を予定している【ロキ・ファミリア】のそれに招待された旨も伝えたのだった。
そして、次にギルド本部に【ランクアップ】した事をエイナへ報告に行けば……。
「今までの事を思えば、当然の事だよね……半月なんて【ランクアップ】の最速記録だよ。おめでとう、ベル君。ご褒美だよ」
「ふむ、くふ、ん……んちゅ、くちゅ、ふちゅ……」
個人面談室にて報告を受けたエイナはベルを抱き締めながら深い口づけをし、胸の中へとベルの顔を誘って温もりや感触を堪能させたりなどとことん、ベルを可愛がって蕩かせたのである。
そうして次に昨日、ミノタウロスとの戦いで壊れたライトアーマーの新調と新しい武装として短剣とバトルナイフより長い刃渡りの片手剣を二振り買おうとバベルへと向かい……。
「その兎のような外見……お前だよな、俺の作品を集中して買ってくれている冒険者ってのは」
「え、じゃあ……」
「ああ、俺がヴェルフ・クロッゾだ。サインいるか?」
炎を連想させる赤い短髪で顔立ちも整った中肉中背のヒューマンの男でベルが個人的にファンになっているヴェルフ・クロッゾと出会った。
そうして、バベルの武具店に出そうとしていたライトアーマーを受け取り、更に店の中にあるヴェルフが鍛造した片手剣の二振りをも購入。
その後、今後ベルの武具や防具を優先的に鍛造する契約鍛冶師となる契約を交わし、更に彼は LV.1だが鍛冶師の道を進む中ではLV.2に【ランクアップ】し、発展アビリティの『鍛冶』を獲得する事が必要不可欠であるからと彼もダンジョン探索のパーティに加え、【
三
夕刻、『豊穣の女主人』では……。
「そういう訳でうちらにとっては大恩人で同盟関係になったベルたんとその主神であるヘスティアや。皆仲良くしたってや」
「よろしくお願いします」
「よろしく頼むよ」
「それとベルたん、LV.2に【ランクアップ】したそうやから祝ったってな」
ベルとヘスティアについて宴前にロキは説明し、ベルが【ランクアップ】した事をも報告。そして、宴が始まると……。
「半月で【ランクアップ】するとは……本当に頑張っているんだな」
「英雄になる事が夢でしたから、冒険者になる前から鍛錬はしていましたし、モンスターから村を守る形で実戦を積んでいました」
「そうだったか」
「はふぅ」
リヴェリアがまずはベルに優しい態度で声をかけながら、頭を撫で始める。
「LV.1でミノタウロスに勝ったんだね。あんなに強かったから、驚いたよ」
「いえ、僕はヘスティア様や鍛錬に付き合ってくれている人たちのお陰で強くなれているだけですよ。強くなろうと必死なだけですし」
「ううん、強いよベルは」
「ありがとうございます……」
アイズもベルに優しく微笑みながら、頭を撫でて蕩かせていった。
「英雄になりたいって言ってたけど、英雄譚に興味あったりする?」
「はい、とっても大好きです」
「わぁ、一緒だ。だったらこれから色々と英雄譚の話しようね」
「はい、ティオナさん」
ティオナとは英雄譚好きという共通の趣味がある事を喜びながら、彼女に頭を撫で回され、やはり蕩けていく。
「同盟関係になりましたし、これからよろしくお願いしますね。ベル」
「こちらこそです、レフィーヤさん」
レフィーヤからも撫で回されつつ、蕩けていきながらこれからの関係について意志を統一する。
「ま、よろしくね」
「はい、ティオネさん」
『可愛いっ!!』
ティオネからも可愛がられるが、可愛がられて喜ぶ飼い兎のようなベルに心疼かされた【ロキ・ファミリア】の女性眷属は次々とベルを可愛がるのであった。
そうして……。
「本当、色んな女性に好かれて可愛がられるわね」
「ベルさん、魅力的ですからね……」
「んく、ふぁ、うく、は……うあぁぁぁっ!!」
営業を終えた『豊穣の女主人』での片付けを手伝ったベルはクロエとシルに空き室へと連れられ、クロエには責められ、シルには甘やかされながら繋がり、そうして絶頂へと導かれ続けるのであった……。