兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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九十九話

 

 ベル・クラネルは『中層域』を超えて『下層域』の始点であり、『新世界』とも呼ばれている層域、『水の迷都』の25階層に到達した。

 

 何度見てもこの25階層から27階層まで続いている凄まじく、雄大な滝である『巨蒼の滝』に心打たれ、感動していた。

 

 しかし、そこでベルにとんでもない事態が迫る。

 

 理由は知らないが、オッタルにアレンとアルフリッグにドヴァリン、ベーリング、グレールからなるガリバー四兄弟、そしてヘディンが皆をおいてさっさと滝を駆け下りる事で27階層を降りてしまったのだ。

 

 そう、この『水の迷都』では第一級冒険者のような超人的な実力さえあれば、滝を駆け下りる事で27階層まで一気に進む事が出来るのだ。

 

 

 

 逆は当然、無理ではあるが……。

 

 そして先遣隊で残っていたのはヘグニとLV.4からなる団員達だけであった。

 

 しかもヘディンから残っている者たち含めて指揮を任されてしまったのである。

 

 常々、ヘディンは突撃する事しか知らん脳筋共の指揮など手がかかる事が多すぎるので御免被るとぼやいている。

 

 そんなヘディンがまさか、自分に丸投げするとは思っていなかったベルは面食らい、しかし、言う通りにしなければ理不尽なお仕置きが待っているのでそれはもう、頑張った。

 

 積極的にヘグニと協力して進みに進んだのだ。当然、最初は文句を言おうとした団員達だが、まるでキレたヘディンの如き威風もだが、命の危機が迫っているかのような必死さに何も言えなくなり、そうしてベルの指示に従った。

 

 

 

 こうして尋常ならざる速度であっというまにオッタル達が待っている27階層まで到着した。

 

 妥協点だとベルの頑張りを評して、しれっと次からも指揮を丸投げするような事を言って、というか絶対にするだろう事を言ったのでベルは精神的に参ったのであった。

 

 ともかく、ベル達はダンジョン探索をする上で足を踏み入れる二つ目の『安全階層』である『迷宮の花園(アンダーガーデン)』にて野営をする事とした。

 

 そして、『水の迷都』でいっぱいになった魔石やドロップアイテムを18階層にある『リヴィラの街』で証文に代える役割を与えられた者達は18階層へと向かった。

 

 

『迷宮の花園』は周囲に蒼水晶の柱がそびえており、色とりどりの美しい花畑が広がっている。

 

 天井には青白い藤の花が垂れ下がり、不可思議な光を灯していた。

 

 また飲む事が可能な泉もそこかしこにあった。

 

 

 そうして休息に入ったベル達だが……。

 

 

 

「ヘディン様の無茶ぶりへの対応、お疲れ様でした」

 

「なんだかんだやり遂げるなんて流石ですね」

 

 リリルカとヘイズがベルを可愛がり始め……。

 

「成程、これがフレイヤ様を惑わしている……」

 

「確かにこれは……」

 

「中々に脅威ですね」

 

「く……」

 

「流石というべきでしょうか」

 

「癒される……」

 

 長い金髪の女性団員であるレミリアにヘディンが認めるくらい、頭脳明晰な魔法剣士の女性エルフであるメルーナ・スレア、同じく女性エルフのレスタンとターナ、ヘイズの副官である小柄のヒューマンの女性であるロナ、長身のエルフの女性であるイルデ等、女性陣が甘やかし、可愛がることでベルは身も心も蕩かされながら、女性陣に癒しを与えたのであった……。

 

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