兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

104 / 111
百三話

 

 ベル・クラネルはダンジョンの『遠征』において下層域の29階層から32階層までの4つの階層までを層域としている大叢林においてオッタルにアレンとガリバー四兄弟と共に樹上を渡って一気に進むという方法で移動し続ける階層を最速で進む方法を取っているヘディンにより、残りのヘグニと全団員の指揮というか面倒を強制的に押し付けられてしまった。

 

 

 

 しかもなるべく待たせるなという言葉つきである。なのでベルはとにかく最速で進む事にし……。

 

『グオアァァァァァッ!!』

 

「邪魔だ、どけぇぇぇっ。【聖火降臨(フローガ)】――【ファイアボルト】!!」

 

 襲い掛かって来る恐竜型のモンスターの群れに対し、ベルは超弾幕とした聖なる炎雷を放って、蹂躙した。

 

 

 

 

『(とうとう、魔法まで使い出した)』

 

 ベルは少し前からとにかくヘグニと共に縦横無尽に駆け跳ねながら、モンスターを翻弄して機先を制して剣舞を行い、モンスターを斬滅していたがとにかく、進行を速める事を優先する。

 

 そのため、もっともっとという意識が高まり、容赦なく魔法を行使するようになったのである。

 

 

 

 こうして、ベル達もどんどん進んでいき……。

 

「ふぅ……師匠。望み通り、速く来ましたよ」

 

「ふっ、お前にしては上出来だ愚兎よ」

 

『(もっと褒めてあげて……いや、ヘディン様からすれば十分褒めてるのか?)』

 

 32階層と33階層の連絡路付近で待機していたヘディンの元へベル達は辿り着き、ベルが軽く息を整えながら告げればヘディンは特に表情を崩さずに声をかけた。

 

 とにかく、言葉が乱暴になるくらいに必死で急いだベルの様子を知るからこそ、ヘグニにそのほかの団員達は内心でもうちょっとでもベルを褒めてほしいと思ったが、ふと自他に厳しいヘディンからすれば十分褒めているのかもしれないと思った。

 

 

 少しの休憩をとるとベルとリリルカ、【フレイヤ・ファミリア】は33階層から36階層までを層域とする『砂漠の迷園(サンドランド)』の始点である33階層へと向かった。

 

『砂漠の迷園』は一面に広がる茫漠たる砂漠であり、迷宮構造は一切無い。あるのは砂と砂丘、時折、姿を見せるサボテン、遥か上の天井には極暑領域を生み出す源にして太陽の如く照り付ける巨大な赤水晶(レッドクリスタル)があった。

 

 階層全体が広く開けて南端の入り口から北端の連絡路、あるいは北端から南端までひたすら北上及び南下する進路となっているが砂地は足が埋もれる程の深さでモンスターは地雷の如く突如、砂の大地から姿を現す。魔力を伴った蜃気楼で冒険者を惑わしてくる。

 

 だが、【フレイヤ・ファミリア】の場合……。

 

「もう、アレンさーん。流石にここでは合わせてくださいよぉぉぉっ!!」

 

  その超俊足を持ってアレンがこの砂地を駆けると巻き起こす風により、砂嵐が巻き起こる。

 

 なので後に続く際に視界が塞がれるどころか通行の邪魔になってしまうのである。

 

 ベルは思わず、アレンに対し咎めるのであった……。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。