兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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百十話

 

 ダンジョンで遠征をしている【フレイヤ・ファミリア】はこの派閥にとって曰く付きの階層である『大荒野』こと『深層域』の49階層を突破した。

 

 何故曰く付きかというと、今回は産出されなかったがだいぶ前に行った【フレイヤ・ファミリア】の遠征においてこの階層の『迷宮の孤王』であり、『階層主』であるバロールを己が高み、つまりは『器』を昇格するための糧としてオッタルが単身で倒そうとしていた。

 

 しかし、ただでさえLV.7というオラリオにおいて最強であるオッタルがさらに強くなるなど【フレイヤ・ファミリア】の勇士達は邪魔する形でバロールを積極的に攻撃したのだ。

 

 これによって、オッタルは単身でバロールを倒す事は出来なかった。折角の機会を邪魔されたのもあって、オッタルの忍耐も限界を迎え、結果としていつも本拠である『戦いの野』で行っている『洗礼』をダンジョンで行ってしまったのだ。

 

 結果、当然の事として『遠征』は失敗となり、これを知ったフレイヤも思わずため息を吐いてしまったのであった。

 

 そんな曰く付きの49階層だがバロールが出なかったので何も問題は起こらなかった。もし、バロールが出ていればオッタルがリベンジをしようとして、結果、『洗礼』を行う事になった可能性があるにはある。

 

 バロールを抜きにしても『フォモール』の大群が襲い来るのだが、それらはヘディンと今回、【フレイヤ・ファミリア】の遠征にリリルカと共に同行している【ヘスティア・ファミリア】の団長であるベルの魔法による大砲撃で大半を消し飛ばし、それによって、フォモールの機先を制してオッタル達が突撃し、全滅させたのだ。

 

 後は次の階層で『安全階層』の50階層へと皆が進む。

 

 【ロキ・ファミリア】と遠征をしたときもそうだがここでしっかりとした休息をとる事となる。

 

 50階層は噴火した火山灰に覆われたかのように階層中に広がる森林が灰色に染まっているのだ。

 

 背の高い樹木の間には葉脈状に青い清流が走っていて、地面から何十Ⅿもかけ離れた遥か頭上の天井には鍾乳石にも似た幾本もの岩柱が燐光を灯して僅かながらだが、光源となっている。

 

 灰の大樹林を見晴らせる巨大な一枚岩の上で【フレイヤ・ファミリア】と【ヘスティア・ファミリア】は根拠地(ベースキャンプ)を敷いた。

 

「此処では今までの野営で出されたものより豪華な料理にしないといけないから、頑張って手伝いますね」

 

「ふふ、よろしくお願いしますねベル」

 

 【ロキ・ファミリア】との遠征ではこの50階層で肉果実を始めとした迷宮産の果実と干し肉、大鍋で作られたスープという手の込んだ料理が出されたのを覚えていたベルは同様にそれなりに豪華な料理を出す事を事前に提案しており、その責任もあって、いつもより積極的に料理を作っている『満たす煤者達』の手伝いをベルは始めたのであった……。

 

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