兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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百二十七話

 

 ベルは自分の本拠を訪れたヘルメスに誘われて『歓楽街』に遊びに行く事となった。その許可を出したフレイヤにヘスティア、アルテミス達から怖い雰囲気を感じており、帰ったらとんでもない事になるだろうがもう、それは受けるしかないだろうと覚悟しつつ、ヘルメスと一緒に歩き始めたのだ。

 

「ヘスティア、アルテミスにフレイヤ……普段の君を知っていれば想像はつくけど本当に愛されてるね、ベル君」

 

「おかげさまで」

 

 そんな事を言いつつ、ベルとヘルメスは都市の第四区画、南東のメインストリート寄りに到着した。地理的に隣接する繁華街とは打って変わってその場には隠微な雰囲気が漂っている。

 

 建物の壁や柱には桃色の魔石灯が設置されており、数少なに街灯に照らされているのは艶びた赤い唇や瑞々しい果実を象った看板、背中や腰を丸出しにしたドレスで着飾る蠱惑的な女性たちである。

 

 アマゾネスを中心にヒューマン、獣人、小人族まで揃っている彼女達――娼婦は客と定めた男性に男神を誘っていく。

 

 

「流石はオラリオ……歓楽街も凄いんですね」

 

「それもあるけど、歓楽街は最大派閥の【イシュタル・ファミリア】が取り仕切っているからね……ん、あれは?」

 

 歓楽街の中を歩きながら様子を見ていくベル。それにヘルメスは解説しながら、歩いていくと気になるものを見つけた。

 

「あれは(みこと)さんと千草(ちぐさ)さん?」

 

 一人は黒髪を後ろで結った端麗な容姿を有し、極東の着物を着た女性でもう一人は内気そうで黒の短髪だが目を前髪で隠している女性。

 

【タケミカヅチ・ファミリア】の団員であり、端麗な容姿であるのがヤマト・命で内気そうなのがヒタチ・千草である。

 

【タケミカヅチ・ファミリア】の主神、タケミカヅチはヘスティアの神友だ。それにベルはダンジョンの探索中に顔を合わせた事もあるし、危ないところを助けた事もあるのでそれなりに顔見知りである。

 

 

 

「歓楽街で男漁りでは当然、無いね」

 

「誰かを探してるのかも」

 

 命と千草は歓楽街を歩く者達に話を聞いているようだが、逆に絡まれたりもしていた。

 

「やあ、はぐれるなんてびっくりしたよ」

 

「良かった、出会えて」

 

「あ、ベル殿。ヘルメス様」

 

「よ、良かったです」

 

 ヘルメスとベルは二人を助けるために近づき、そうして上手く建物の影に誘導し話を聞く。

 

 なんでも極東の知り合いで高貴な身分の獣人、狐人(ルナール)の女性がこの歓楽街にいると聞いたのだという。

 

 

 

「此処は【イシュタル・ファミリア】の支配圏だからあまり下手な事をしない方が良い」

 

「代わりと言っちゃあ何ですが、探ってみます。【イシュタル・ファミリア】に知り合いがいますので」

 

「俺は一応、イシュタルからそれなりに話を聞けるからもっと詳しく探れるよ」

 

 そうして命と千草にベル達は協力する事を告げる。

 

 

 

「よ、よろしくお願いします」

 

「この恩は必ず」

 

 命と千草はベル達に任せた。

 

 そうして、歩いていると……。

 

 

 

「おや、ようやく来てくれたのかい。本当に待ったよ」

 

「あぅ、アイシャさん……」

 

「ふふ、神ヘルメス。悪いけどベル・クラネルを借りていくよ」

 

「どうぞ、ごゆっくり」

 

 

 アイシャが後ろからベルを抱き締めながらヘルメスに言うとそのまま、ベルを抱き上げて何処かへと移動を開始したのであった……。

 

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