迷宮都市オラリオにおいて憲兵の役割を担い、都市を管轄している中枢組織であるギルドと密接的な関係にもある最大派閥こと【ガネーシャ・ファミリア】のLV.4にして第二級冒険者のハシャーナがダンジョンの安全階層と呼ばれる18階層にある冒険者達が経営している宿場街である『リヴィラの街』の宿で娼婦に扮した女に殺されるという事件が起こった。
それを起点とし、『怪物祭』においてオラリオの地下から出現した食人花の群れが数十よりも多い規模でリヴィラがある島が浮いている紺碧の湖畔の底から出現し、リヴィラを襲撃し挙句にはスキュラの如き、大怪物となった。
その大怪物の撃破とハシャーナを殺し、食人花を操りアイズにも襲い掛かった女を撃退したベルはと言えば……。
「ん、ふぁ、く、あ、あの……ふああっ」
「遠慮しないで……ベルは私を助けてくれたんだから」
「そうだよ、本当……ベルには私達、助けられてばかりだね」
「本当に感謝している。ベル・クラネル」
「重ね重ねありがとうございます」
「遠慮しないで、気持ち良くなっていなさい」
「本当に良い奴だよ、ベル。この前もそうだが、借りが出来ちまったな」
「ほら、身を委ねな。あんたはそれくらいの活躍をしたんだからさ」
「ひゃ、ぅ、ああ……はぁぁ……」
最大出力での【クリロノミア・チャイム】の使用は勿論、最大時間の蓄力による『聖火の英斬』と更に最大時間では無いが、2分近くの蓄力での【ファイアボルト】と回復薬での補給はしながらもそれでは回復しきれない負担によって、ベルは精神疲弊と体力の消耗も重なって倒れた。
その後、アイズにティオナにリヴェリア、レフィーヤにティオネ、ルルネとアイシャらにより宿屋の寝台に寝かされながら、意識が目覚めるまで、目覚めてからも事情説明を受けながら頭も顔も体も全てマッサージされながら、ベルは蕩かされ尽くしていた。
その後はベルが着ている戦闘衣が【フレイヤ・ファミリア】の制服と同一のものである事を【ロキ・ファミリア】の者達は当然、見抜き……。
「もうー、あそこに行くくらいなら私達の所に来てよね。せっかく同盟関係なんだし、もっと交流しようよ」
ベルが【フレイヤ・ファミリア】のフレイヤを始め、何人かに世話になっていたり、昨日は本拠で洗礼というのを受けさせてもらった事などを言うと『あの『洗礼』を……』、『凄い交流関係だな』と排他的な気質のある【ファミリア】がベルを受け入れている事にフィンとリヴェリアが驚きつつ、ティオナはベルに軽く、顔を両手で挟んでもみくちゃに弄りつつ、怒るように言った。
「ひゃぶ、ティ、ティオナさん、分かりましたからぁ……」
そうして明日、ダンジョン探索を今この場にいるティオナ達6人の【ロキ・ファミリア】によるパーティとする事が決まる。
そうしてバベルの地下1階まで一同、リヴィラの街の冒険者達も含めて帰還し……。
「それじゃあ、恩返しは近いうちにさせてもらうからな」
「今度は一緒にダンジョン探索しようね、ベル」
ルルネとアイシャはベルに口づけしながら、別れ……。
「それじゃ、明日はよろしく頼むよ。ベル・クラネル」
「出来る限りの恩返しをさせてもらうとしよう」
「いっぱい、可愛がってあげるからね」
「楽しみにしててね、ベル」
「ふふ、満足できるようにしてあげますよ。ベル」
「普段から私達と交流したいと思えるようにしてあげるんだから」
【ロキ・ファミリア】の者達とも明日のダンジョン探索を再度、誓って別れる。
そうして、翌日でのダンジョン探索を考えて『大樹の迷宮』の始点である19階層で入手した『ヴィーヴルの涙』と『魔石』は本拠にて厳重に保管しつつ、ドロップアイテムで出た爪はヴェルフに渡すためにこれも保管をした。
因みに他のモンスターの魔石やドロップアイテム(【ランクアップ】した事で熟練度が上がった『幸運』の影響か、出現する頻度が増えた)をバベルの換金所で換金はしたが……。
「ベル、俺は今日で【ランクアップ】するつもりだ。よろしく頼む」
「うん、分かったよ」
「まあ、元々そういう条件でしたからね」
一夜明けて西のメインストリートで集合したヴェルフはベルに新しいライトアーマーなどの防具とライトブーツ、片手剣一振りを渡しつつ今回のダンジョン探索についての頼みをした。
ベルは元々、そういう条件でのパーティ結成だったのもあって装備を新調しながら承諾し、リリルカも溜息を吐きながら呟く。
ともかく、そうしてベル達は【ロキ・ファミリア】の者達が待っている中央広場へと向かうのだった……。