兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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二十五話

 

 今日、ダンジョン探索や他の施設を利用するために『迷宮都市』の象徴であるバベルに向かっている冒険者達は全員がある集団に目を向け、驚愕せざるを得なかった。

 

『(【女神の黄金(ヴァナ・マルデル)】だけじゃなく【黒妖の魔剣(ダインスレイヴ)】と【白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)】まで……あの兎は本当、何者なんだぁっ!?)』

 

 前にパーティを組んでいたのを目撃した【フレイヤ・ファミリア】の随一の治療師であるヘイズだけじゃなく、【フレイヤ・ファミリア】の幹部にして主力陣である二人のエルフとベルが行動している事に冒険者達は驚いたのだ。

 

 少し前には【ロキ・ファミリア】の団長であるフィン達とダンジョンに向かっていたり、【イシュタル・ファミリア】の中でも有名な戦闘娼婦のアイシャと行動していたりなどベルが他派閥との交流力に優れている事に改めて驚愕せざるを得なかったのだ。

 

 そして……。

 

「ほら、大丈夫大丈夫。怖くないですよヘグニさん」

 

「う、うん」

 

 普段、人に視線を向けられるのが大の苦手なヘグニは注目を受けているので体を震わせており、ベルは彼の手を握り撫で摩りながら、声をかけてなだめていた。

 

 

 

「本当にヘグニ様は人の視線が苦手なんですね」

 

「はい、コミュ力が特に壊滅的ですよ。この人は」

 

「エルフの恥だ」

 

 リリルカがヘグニへの意見を言えばヘイズははっきりと言ってのけ、ヘディンは侮蔑した。

 

 ともかく、一同はダンジョン探索を始め……。

 

 

 

「う、うおおおおおおっ!!」

 

 ベルはヘディンからダンジョン探索中において【クリロノミア・チャイム】の使用を禁じられた。その状態で階層を進む度にヘディンとヘグニが他のエリアから『怪物進呈』よろしく、連れてきたモンスターの大群を相手に何度も片手剣と短剣による二刀の剣舞を繰り出し、炎雷の魔法を放って戦う。

 

「ふっ!!」

 

「はあっ!!」

 

「ちょ!?」

 

 しかも隙を見せればすかさず、ヘディンは雷による砲撃を見舞ってくるしヘグニは黒き剣閃を繰り出してくるのでベルは常に超集中して窮地を切り抜けるために駆け跳ね、舞い踊り、抵抗する。

 

 そんな滅茶苦茶な事をやりながら進んでいき……。

 

 

 

『グオァァァッ!!』

 

 中層域の最後の階層、24階層にて赤や青の実を宿す宝石樹の守護竜にして体長一〇Ⅿ、体高五Ⅿを優に超える巨躯にして深緑の鱗を有し、双翼を生やし人など丸呑みできる顎からは歪な牙を覗かせ、凶悪に緑眼をぎらつかせた『木竜(グリーン・ドラゴン)』と対峙する。

 

 竜種が故に木竜は中層域の『迷宮の孤王』であるゴライアスにも負けず劣らずの戦闘能力を有している。

 

『ガアアアッ!!』

 

「やあああッ!!」

 

 ベルは縦横無尽に駆け跳ねながら、剣舞と炎雷の魔法による連携攻撃にて木竜の暴威に対抗し……。

 

 

 

 

「聖火の英斬ぁぁぁっ!!」

 

 そうして最後は≪ヘスティア・サーベル≫に炎雷を打ち込み、伝導させた瞬間にチャージを開始し、数十秒の魔法と斬撃の二重蓄力をすると強烈な炎雷を纏った緋色の斬閃を炸裂させて屠ったのであった。

 

 

 

 

「いくぞっ、愚兎」

 

「その感じを忘れるなっ!!」

 

 木竜との激戦により、精神がハイとなっているそれを長引かせるが如く、ヘディンとヘグニは襲い掛かる。

 

「くっ、やぁぁぁっ!!」

 

 ベルは全力以上の全力を振り絞りながら二人との死闘に挑んでいく。

 

 

 

 

 

 

「はぅぅ、本当に何度か死ぬと思ったよぉ……」

 

「よ、良く生き延びました。本当に良く頑張りました」

 

「あの二人がすみません。でも、ベルはとっても格好良かったですよぉ……」

 

 24階層で野営をする事にし、色々と限界状態だったベルはリリルカと何度か治療をしたヘイズに甘え、二人は受け入れベルを甘やかす事で身も心も癒していくのだった。

 

「ふむ、あの愚兎といると『ドロップアイテム』が明らかに沢山、出るな」

 

「稼ぐ時には同行してもらおう」

 

 ヘディンとヘグニはベルの『幸運』に目をつけたりしたのだった……。

 

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