ダンジョンの中層域において最後の階層である24階層でモンスターの異常な数の群れが発生しているため、その討伐へと向かったベル達。
そして、その群れ自体はベルとアイズにティオネとティオナが片付けた。後は原因の調査だ。
ある程度の手掛かりはモンスターの群れの発生原因の調査を依頼された【ヘルメス・ファミリア】が持っていた。なんでも
「で、どれから探す?」
とはいえ、24階層に食糧庫は南西に南東、北と三つある。どれから探すかと迷うものだが……。
「モンスターが押し寄せてくる方面から辿れば良いと思いますけど、どうでしょう?」
「ええ、私もそう思います。ベル・クラネル……賢いですね」
「ひゃ、うむ、ふぅ」
ベルが提案をすればアスフィは頷き、微笑むとベルの頭や顔を撫で回していき、ベルが心地良さそうにしているのに満足気な表情を浮かべた。
『(すっかり、ハマったな……)』
アスフィの様子にベルを除いた皆がそう思った。
ともかく、そうしてモンスタ―が押し寄せてくる方面から探せばそれは北の食糧庫であるが……。
『っ……』
普段、目にする食糧庫とは全く違った異様な食糧庫をベル達は目にしていた。不気味な光沢に肉感を有した表面、通路を塞ぐ緑色の肉壁が構成されていたのだ。
この周囲はどうなのかとアスフィは団員たちに調査へと向かわせながら……。
「あぁ……ベル・クラネル。貴方は本当に良いですね」
「だろう、団長……ベル君は本当に良いんだ」
「アスフィを癒してくれてありがとうな」
待機するアスフィにローリエ、ルルネを中心にベルは抱き締められたり、頭を撫でられたり、顔を弄られたりして可愛がられていく。
「ふふ、嬉しそうでなによりです」
「もっともっと、嬉しくしてあげる」
「ほらほら、今のうちに堪能しておきなさい」
「私達も堪能させてもらいますから」
「私も負けてられないね」
「ベル・クラネル……会えて良かった」
リリルカにアイズ、ティオナにティオネ、レフィーヤにアイシャとフィルヴィスも対抗するかのようにベルを可愛がりつつ、蕩けさせていく。
そんなこんなで調査隊が帰ってくると別の経路も同様の肉壁で塞がれているとの事。
「成程、この食糧庫に入れないモンスターが別の食糧庫を探して移動していたのが重なってあの異常な群れが出来上がっていたんですね」
「間違いなく、そうでしょう。では此処を探すしかありません」
壁には花の花弁が折り重なったような『門』、『口』のような器官がある。そこを破壊して中に入る事を決め……。
「【ファイア・ボルト】」
ベルが無詠唱での炎雷魔法を放って門を破壊した。
「やっぱり、反則だよ」
「ですよね、色んなルールを無視しています」
ベルが無詠唱で魔法を発動できることに【ヘルメス・ファミリア】のパルゥムの魔導士であるメリルと【ロキ・ファミリア】のレフィーヤが意見を一致させる。
ともかく、中に入れば全面が緑壁で出来ていて生物の体内に入り込んだような錯覚を思わせた。
『グオオオッ!!』
少し進めば天井から食人花の群れが姿を表し、ベル達へと襲い掛かる。
それらを撃退している内……。
「っ!?」
『アイズ!?』
まるで狙い澄ましたかのようにアイズに対して天井から柱が落下し、彼女を包囲していく。
「おおおおっ!!」
ベルはすかさず、囲もうとするアイズと柱に対して介入すると……。
「行ってくださいっ!!」
「ベルっ!!」
アイズを蹴飛ばすようにして包囲から逃がし、代わりにベルが包囲網に捕らわれ仲間たちから分断されてしまった。
「まったく……忌々しい兎だな。また邪魔をするとは……」
「貴女はあの時の……」
周囲を探るベルに18階層でアイズを襲っていた赤髪の女が姿を表しつつ、忌々しそうに呟く。
「だが、丁度良い……まとめて報いを受けさせてやる」
「それはこっちの台詞です。ハシャーナ・ドルリアを殺したその罪、僕が裁きます」
そう、18階層にて実は一人の冒険者が殺されていた。それは【ガネーシャ・ファミリア】の幹部であるハシャーナという者でなにやら、異形の雌の胎児が内包された宝玉を彼がダンジョンから取って、それをルルネに渡した後で赤髪の女に殺されたのだという。
故にベルは赤髪の女にあった時はハシャーナの無念を晴らす事を密かに誓っていた。
「ほざけぇっ!!」
「【福音よ、鳴り響け】――【クリロノミア・チャイム】」
赤髪の女はベルへと襲い掛かり、ベルも女へと向かっていきながら母親から譲られた魔法を発動するのだった……。