兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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三話

 

 朝日が昇り、今日も下界で新しい一日が始まろうとしていく中……。

 

「ふむ、んちゅ、ふちゅ……ふふ、昨日もあれだけしたのにまだ、僕からのキスに喜んでくれるんだね」

 

「はふ、ん……だって僕はヘスティア様の事が大好きですから。そんなヘスティア様のキスが僕にとっては幸せなんです」

 

 昨夜もベットの上で密着し合いながらキスをしていたヘスティアとベル。主神に対する眷属への愛、眷属から主神の愛は何処までも高まり続けていてだからこそ、何度も何度も抱き合いながらキスを繰り返していた。

 

「ああ、ボクも幸せだぜ。大好きだ、愛しているよベル君」

 

「はい、僕もです。ヘスティア様」

 

 そうして何度も愛を囁き合っていたが、ヘスティアはバイトをする時間でありベルも又、冒険者としてダンジョンで稼ぎを得なければならない時間帯。

 

「それじゃ、今日も頑張ってねベル君」

 

「ヘスティア様も頑張ってください」

 

 最後にキスを交わすとお互い、それぞれしなければならない仕事を果たすために本拠である廃教会で別れたのであった……。

 

 ベルのダンジョン探索において、昨日より所属こそ【ソーマ・ファミリア】だが、サポーターとしてリリルカ・アーデがパーティとして加わっている。

 

 集合場所はバベルのある中央広場であるが、集合時間にはまだ余裕はあった。

 

 当然、ダンジョン探索する前に【ミアハ・ファミリア】の本拠である『青の薬舗』で回復薬の調達や回復薬の原料として使える『ブルー・パピリオ』のドロップアイテム、『ブルー・パピリオの翅』を六個、昨日のダンジョン探索で獲得したのでそれを渡すために余裕を作ったのだが……。

 

「ベル、やっぱり良い子だね。それに数日でもう7階層まで探索出来るなんて……英雄の素質があるよ」

 

「あう、ふ、ん、ほ、褒めすぎですよぉ。ナァーザさん……」

 

「そんな事無いよ。ほら、私からのご褒美、受け取って」

 

 ナァーザに『ブルー・パピリオの翅』を渡し、幾つかの回復薬と数万なので1個だけだが、重傷ですら回復する高等回復薬(ハイ・ポーション)を買うと彼女はベルを招き、頭を屈めさせながら胸の中に抱いて柔らかさと感触を与えながら、頭を撫でて顔を弄って、甘く優しい言葉を与える事でベルを蕩かせていく。

 

 

「ふぁう、うぅ……」

 

「今日も可愛いね、ベルは」

 

 自らの行為に喜んでいるベルの反応に満足しながらナァーザはベルを蕩かし続けるのだった。

 

 少しして『青の薬舗』での用を済ませたベルは中央広場に向かおうと西のメインストリートを歩いていると……。

 

 

 

「っ!?(ま、またこの視線……)」

 

 昨日、バベルから出て中央広場を移動して本拠へと帰ろうとしていた時に感じた体の内外を舐め回す()()()()()()が浴びせられるのを感じた。

 

 その視線の力は昨日より数倍も強く、それだけで身も心も怪しく痺れさせられてしまう。

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

「っ、あ、は、はい大丈夫です。心配してくれてありがとうございます。えっと、僕は数日前に出来たばかりの【ヘスティア・ファミリア】のベル・クラネルです。初めまして」

 

 声をかけられたので気を取り戻し、ベルは改めて声をかけてきた女性――薄鈍色の髪を後頭部で団子状にし、そこから一本の尻尾を垂らしているというポニーテールの亜種のような髪型で愛嬌と美しさを兼ね備えた顔つき、スタイルは抜群でどこかの店員だろう白いブラウスに膝下まで丈のある若葉色のジャンパースカートにその上からサロンエプロンという服装の女性に礼を言いながら、自己紹介した。

 

「はい、初めまして。丁寧な自己紹介、ありがとうございます……私はそこの店で働いているシル・フローヴァです。せっかく、こうして出会えた訳ですし、今晩、店に来て頂けませんか。多くの冒険者の皆さんに好評ですし、自信もあります」

 

 シルは後ろの大きな宿屋のような外見で看板に『豊穣の女主人』と書かれた建物を差しつつ、店を利用するように誘う。

 

「では、ヘスティア様と「絶対、来てほしいニャ少年。こんなに素晴らしい私好みの尻を持っているんだから」んぁうっ!?」

 

 ベルはシルに応えようとした瞬間、今まで微塵も存在感、動く気配すら感知させなかった者により後ろから尻を性的に撫で回し、揉み回された。

 

「ちょお、や、止めて下さ「じゃあ、絶対来てくれるわよね?」わ、分かりましたからぁぁっ!!」

 

 ベルは未知の快楽に溶かされるのに恐怖し、自力では対応できなかったので要求に屈してしまった。

 

「約束よ」

 

 ベルからの返答に満足しながら彼の尻を堪能し尽くした女性――異性に対する嗜好として少年であり、尻が好みという短い黒髪だが頭部に猫耳、臀部には猫の尻尾を有しスレンダーなスタイルの容姿整った猫人(キャットピープル)でシルの同僚であるクロエ・ロロはベルを解放した。

 

 

「は、はいぃ……」

 

「もう、クロエ。いきなりベルさんに酷いことしちゃ駄目じゃない。良し良し……もう、大丈夫ですからね。わぁ、もふもふ」

 

「あぅ」

 

 シルはベルを抱き寄せながら優しく髪を撫で回し、もふもふ具合に満足げな感想を漏らした。対してベルはシルから撫で回される心地良さに浸っていく。

 

「しっかり、どさくさに紛れて少年を堪能してるんだから文句言われる筋合いは無いわよ。それに少年が私好みだからしょうがないじゃない。私はクロエ・ロロよ、よろしく」

 

「ぼ、僕はベル・クラネルです……」

 

 そうしてクロエも自己紹介しつつ、ベルの顎を撫で回し始める。ベルは少しの間、シルとクロエに可愛がられ、店から女将だと思われる者の怒号が響くまで、その心地良さに浸らされるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 ベルとリリルカの二人によるパーティはダンジョンの8階層まで進んでいた。

 

「やあっ!!」

 

 ベルは昨日、買った【ヘファイストス・ファミリア】の鍛冶師、ヴェルフ・クロッゾという者の作品であるバトルナイフを右手にダガーナイフを左手に持ち、モンスターと戦っていた。

 

 順手から逆手、逆手から順手と奇術師の如く持ち替えながら斬撃と刺突を多彩に繰り出し、あるいは逆手に持ったナイフで斬撃を繰り出すと見せかけながらの拳撃、足による蹴撃と連撃で構成された闘舞にて次々とモンスターを屠っていく。

 

 「ふう、じゃあそろそろバックパックも魔石袋もいっぱいだし一度、戻ろうか。リリ」

 

「はい、ベル様」

 

 倒したモンスターの魔石とドロップアイテムを回収した事で二人のバックパックと魔石袋はいっぱいになった。なので一度戻る事を提案し、リリルカは受け入れたので戻る事とする。

 

 その最中の休憩中……。

 

「それにしても、ふふ……まさか兎人(ヒューム・バニー)から同胞扱いされるなんて流石ですね」

 

「お願いだから言わないでよぉ」

 

 ダンジョン探索中、モンスターの群れによって危機に陥っていた冒険者のパーティを助けたベルはそのパーティの中に居た兎の耳と尻尾を有する獣人、つまりは兎人の男に『危ない所を助けてもらい感謝する、同胞の方』と感謝された。

 

『種族が違いますよおっ。僕はヒュームです、ほらよく見てください』

 

『なんと……しかし、私達より兎らしいとは』

 

 突っ込んでみると更に深い一撃をくらわされることになった。

 

 

「うう、ちょっと前にもラ、『切り裂き兎(ラビット・ザ・リッパー)』なんて呟く人もいたし、あまり兎って言われたくないんだけど……」

 

「まぁまぁ……良いじゃないですか、皆さん可愛らしくて強いベル様を評価しているのですから。それにそんな風に拗ねていると子供っぽいですよ」

 

「どうせ、まだ僕は14才だよ」

 

 ふとリリルカの言葉にいじけて見せたベルであるが……。

 

 

「……そうでしたか。ねぇ、ベル様……リリはパルゥムなので誤解しているでしょうから言っておきます」

 

「な、何を?」

 

()は貴方より年上ですよ、()()?」

 

「っ!?」

 

 リリルカは休憩のために座っているベルに近づくとそう、彼の耳へと蠱惑的に囁く事でベルを身震いさせる。

 

「素直で可愛らしい反応ですね、それにどうやら、年上の方がお好きなようで……」

 

「うあ、く、ふ、ああ……」

 

 リリルカは反応を見せたベルを逃さず、抱き締めながら頭を撫で始めそれを受け入れていくベルの様子から彼は年上の女性からの甘やかしや可愛がりに弱い事を把握。

 

 自分がベルを満たせる条件を持っている事に満足しながら、彼を甘やかし心地良さげな声を上げさせる。

 

「ベル、これからは貴方を支えるだけでなく、身も心も満たしてあげますね」

 

「う、うん。ありがとう」

 

 リリルカはベルに誓うように言い、ベルはそれに礼を言う。ともかく、二人はその後もバベルの換金所との往復をしながらダンジョン探索をし……。

 

「武器の性能も良かったし、こっちも買おう」

 

 ダンジョン探索が終わったベルはバベルの八階、昨日と同じ店に行き、引きと同じくヴェルフ・クロッゾのサインが刻まれていて、膝当てや体にフィットするような小柄のブレストプレート、肘、籠手、腰部など最低限のみ保護する防具、純粋な白い金属光沢という実用性重視なライトアーマーを購入したのであった……。

 

 

 

 

 

 

 西のメインストリート沿いに建設された石造りの三階建てという宿屋を彷彿とさせる外観の店、『豊穣の女主人』をベルはヘスティアと共にシルとクロエの二人の店員の約束通り、訪れた。

 

「ベルさん、来てくれたんですね。ありがとうございます」

 

「約束しましたからね……今日はよろしくお願いしますシルさん。そして、此方が僕の主神の……ヘスティア様?」

 

「……っ、ん、あ、ああ……何でもないよ。ボクがベル君の主神のヘスティアだ。よろしく、シル君」

 

 ヘスティアはシルにどこか、恐れるように驚いたように見ていたがベルの声に気を取り直し、自己紹介する。

 

「はい、よろしくお願いしますヘスティア様」

 

 そうしてベルとヘスティアは『豊穣の女主人』を訪れ、女将でドワーフのミアという女性はともかくとしてヒュームに獣人、エルフと種族は多彩、容姿はどれも十分に美女や美少女で華やかで賑わっている店にヘスティアはベルに対し、怪訝な視線と厳しめな言葉は送りながらも……。

 

「ボクたちの派閥がいずれオラリオ一になるくらい大きくなる事を願って、乾杯」

 

「乾杯」

 

 お勧めだという果実酒と鶏の香草焼きを頼み、それをシルにクロエが運んできた事で乾杯を始め、ベルとヘスティアは料理と酒の味に舌鼓を打ち、楽しんだ。

 

 少ししてベルはトイレに行くため、移動すると……。

 

 

 

「ベル」

 

「何ですか、クロ……んむうっ!!」

 

「ふむ、くちゅ、んちゅ……これで今朝、意地悪しちゃった件は許してね。そして、本当に私好みよ、ベルは」

 

「あうぅ」

 

 ベルは後ろからクロエに声をかけられたので振り返れば、口づけされつつ、ざらついた舌の感触を自分の舌で堪能させられ、痺れさせられるように意識を溶かされた。

 

 クロエは妖艶に微笑みながら、気持ちを伝えてベルの元から去って行く。

 

 そんな事がありながらもベルとヘスティアは食事を済ませ……代金を払って店を出ると……。

 

 

「ベルさん、これ。約束通り店に来てくれた私からのお礼です。冒険者であるベルさんにはきっと役立つものなので受け取ってください」

 

「え、で、でもそんな……」

 

「お礼なら、これからも店を利用してくれればそれで良いですから……だから、お願いします」

 

「わ、分かりました。ありがとうございます、シルさん」

 

「はい、ベルさん」

 

 シルが持ってきた包みをベルは受け取り、礼を言うと笑顔を交わして『豊穣の女主人』よりヘスティアと一緒に去って行くのだった

 

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