兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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四十七話

 

 

 今日も今日とて、下界の皆を照らす太陽の光は下界一の大都市であるオラリオにも降り注いだ。

 

 まさに晴天である今日は【ロキ・ファミリア】にとって、或いはオラリオ全体においても重大な日である。

 

 何故なら、ダンジョンの深層域への探索を行い、到達階層を増やす事を狙う『遠征』を行うからだ。それは冒険者やギルドにおいては未だ全容が把握できてないダンジョンのそれを開拓する事にも繋がるので注目せざるを得ない。

 

 最大派閥の『遠征』は本当に重要な事なのである。

 

 

 

「皆さん、今日から『遠征』頑張りましょうね。えいえいおー」

 

『おおおおっ』

 

【ロキ・ファミリア】の遠征に同行するベルは皆の気合を入れるため、腕によりをかけた豪華で美味しい朝食を作ったのだ。

 

 ベルの可愛らしくもある仕草に掛け声、美味しい朝食の味に【ロキ・ファミリア】の団員達は癒しと活力を得た。

 

 そうして……。

 

 

 

「それじゃあ、頑張ってきます。ヘスティア様」

 

「行ってきます」

 

 【ロキ・ファミリア】の者たちが準備を済ませて本拠の外へと向かう中、ベルとリリルカは主神であるヘスティアへ言葉をかける。

 

「うん、いってらっしゃい。気をつけるんだよ、ベル君、リリ」

 

 ヘスティアは笑顔を浮かべつつ、ベルとリリルカを見送った。

 

 その後、ベルとリリルカは【ロキ・ファミリア】の皆と共にバベルのある中央広場へと向かう。

 

 すると八本のメインストリートが集結する都市中央の広大な空間には多くの冒険者が朝早くから人波を作っていた。

 

 装備品と物資を積んだ大型カーゴを何台も伴い、『バベル』の北門正面から距離を置いた位置で待機している【ロキ・ファミリア】が『遠征』へと向かうのを見物しているのだ。

 

 

 

「ベル、頑張ろうな」

 

「うん」

 

「ふふふ、ベル坊がいるのは本当に良いなぁ……こうして、癒しを得られるしのぅ」

 

「ひゃ、うう……椿さん」

 

 【ロキ・ファミリア】の遠征に同行する事になっている【ヘファイストス・ファミリア】の鍛冶師たち、ベルの契約鍛冶師であるヴェルフに団長である椿もいてヴェルフとベルは声を掛け合ったが、椿はベルを抱き締め撫で回して蕩けさせる。

 

 

 

「ベル」

 

「ベル君」

 

「ルルネさん、ローリエさん」

 

 少しして以前、24階層でのモンスターの大量発生を解決しに行った際に行動を共にした【ヘルメス・ファミリア】のルルネとローリエが現れる。

 

「これ、差し入れだ。一つ食べるだけで1日は持つ携行食だ」

 

「これは栄養価の高い飲み物だ。それにしてもあの【ロキ・ファミリア】の遠征に同行できるなんてベル君は本当に凄いな、応援しているよ」

 

「ありがとうございます、ルルネさん、ローリエさん」

 

 ルルネから小袋に入ったブロック状の携行食を渡され、ローリエからは中身の入った水筒を渡された。

 

「ベルさん、無理はしないようにしてくださいね」

 

「ひゃうう……はい、気を付けます」

 

 商売上でもかなりの繋がりのある【ロキ・ファミリア】の見送りに来ていた【ディアンケヒト・ファミリア】の団長であるアミッドは幾つかの種類の回復薬を複数、別々の小鞄に入れて代表者たちに渡しつつ、ベルの元を訪れると頭を撫で回したのであった。

 

「総員、これより『遠征』を開始する!!」

 

『おおおおっ!!』

 

 その後、フィンが声をかけてそのまま宣誓を述べていくと鬨の声をベルも上げて、『遠征』へと向かうのであった……。

 

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