兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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四十八話

 

 ベル・クラネルは【ロキ・ファミリア】の本拠に宿泊しながら、ティオナの目的通りに交流を深め、そうして【ロキ・ファミリア】の『遠征』にも同行した。

 

 この『遠征』については【ロキ・ファミリア】と契約をしている鍛冶最大派閥の【ヘファイストス・ファミリア】も同行していた。

 

 【ヘファイストス・ファミリア】においては鍛冶を重視しているのもそうだが、武具を作るがゆえに試し切りなど武具を自分が使えねば意味が無いと戦士としての力と技も鍛えるのである。

 

 その筆頭のような存在が団長の椿であり、彼女は腕を鍛えるとかそういうの無しにダンジョンで自分が作った武具の試し切りをする事でLV.5に至った鬼人だ。

 

 彼女には及ばないにしろ、自衛できるだけの能力を有する鍛冶師たちが【ロキ・ファミリア】の『遠征』には同行している。

 

 ヴェルフはまだ実力は劣っているが、この『遠征』に同行している。それはベルが責任を持つという事で同行を願ったからだ。いつもパーティを組んでいる者がいる方がベルにとっては相当に落ち着くのもあった。

 

 『遠征』の方針としては人数の多さや荷台で運ぶ物資の多さもあって二部隊に分けられる。

 

 派閥の主戦力を集中させるのは当然、先行する第一部隊にして先鋒隊。

 

 何が起きるか分からないダンジョンにおいては進路上で発生しうるもしもの異常事態に対処するためと物資や予備の武装を回した後続部隊、『遠征』を行う上での心臓部が安全に進行できるようにするのである。

 

 ベルはリリルカとヴェルフと共に後続部隊、第二部隊の方に回された。

 

 彼の速度はベートがそうしているように遊撃として頼りになる上、炎雷の速攻魔法もあるので遠近どちらにも対応できるからだ。

 

 第二部隊には纏め役であり、LV.6のガレスにレフィーヤを始めとした魔導士たちもいる。更に【ヘファイストス・ファミリア】の何人かは第一部隊に、残りの者と団長である椿は第二部隊にそれぞれ回されてもいた。

 

 

 

 

 ベルが第二部隊に回された事にアイズにティオナが抗議したが、どうせ18階層で合流し一緒に進むようになるのだからとフィンが言い、ベルも『後で会いましょう』と説得するようにした事で渋々納得した。

 

 そうして、ベルは第二部隊が運ぶ荷台を守るために周囲に気を配りつつ……。

 

「やっぱり、こう大人数で探索するってのは頼もしさとか安心感とかが違いますね」

 

 ベルはそんな事を言った。

 

「俺達は少人数で冒険してるから、余計になぁ」

 

「本来は人数多くしてダンジョン探索するものですからね」

 

「もっと僕たちの派閥も大きくしたいんだけど……有名になってる割に団員になってくれる人はいないんだよねぇ」

 

 

 ヴェルフやリリルカと雑談しつつ、自分の派閥について言及するベル。

 

「うーん、それはたぶん私達や【フレイヤ・ファミリア】と独特な繋がりがあるから、そこが怖がられているんじゃないですか? 勿論、人格が善良である事を踏まえて」

 

「……ぇぇ」

 

 レフィーヤがふと自分の考えを言い、ベルは気分が下がった。

 

 

 

「まあ良いではないか、私達にとっては逆にダンジョン探索に誘いやすいというのもある」

 

「実際、外部に頼れる存在がいるというのは心強いしな。それはお前たちの強みじゃベル・クラネル」

 

「どうも」

 

 

 釈然としない気分ながらも椿とガレスの言葉に頭を下げる。

 

 

 

 

 そうして、何事も無く第一部隊と18階層で合流し、本格的にダンジョン探索するベル・クラネル。

 

「む、あれは『希少種』。逃す手は無い」

 

「ちょ、椿さんッ!? 離れちゃ駄目ですって……ああ、もう、僕が行きますからぁぁぁッ!!」

 

 椿は希少種を発見しては一人、部隊から離れていくのでベルは椿を引き止めつつ、代わりに自分の方が速度に優れているので椿に代わってレアモンスターを倒し、そのドロップアイテムと魔石を素早く回収して戻った。

 

 

 

『(あれ、ドロップアイテムいつもより多くない?)』

 

 遠征隊の皆がいつものダンジョン探索よりも『ドロップアイテム』が多いと気づいた。

 

 無論、それはベルの発展アビリティである『幸運』による恩恵だったが……

 

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