兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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四十九話

 

 

 現在、ダンジョンの『深層域』において探索階層の更新を目指す『遠征』をしている【ロキ・ファミリア】。

 

 もっとも商売的に契約関係にある鍛冶派閥の【ヘファイストス・ファミリア】の団長である椿にヴェルフ他、団員達も同行しているし少数勢力とはいえ、【ヘスティア・ファミリア】の団長であるベルと団員のリリルカもいるので連合のような側面もあるが……。

 

 まだ中層を超えようというところであるが進行自体は順調である。

 

「こう、大勢だと順調さが違いますねぇ、本当に」

 

 大人数でダンジョン探索をしているので少数でいつも行動しているベルは全然、順調さが違う事を実感していた。

 

 因みにだが中層に下層の幾つかまでは【ロキ・ファミリア】の方針として実力が劣る団員達の【経験値】稼ぎのため、率先してモンスター達と交戦していた。

 

【ヘファイストス・ファミリア】の団員達もそれに加勢はしている。

 

 もし、『異常事態』が起こり、実力の劣る者達が窮地に陥れば、主力となる者たちが救助するので問題は無い。

 

 要は『レベリング』であり、人数が多い派閥にとっては常識な手法である。

 

「モンスターが出てくるのはあれですけど、階層を下るごとに凄くて不思議な景色になっていきますよね」

 

「なんか新鮮みたいな反応してるけど、ベルって36階層までは行ってるんだよね?」

 

 ベルの言葉にアイズが疑問に思った事を言った。

 

「ええ、そうですよ……でも、マスターとヘグニさんに常に大量のモンスターを差し向けられたり、隙見せれば即座に奇襲するなんていう滅茶苦茶な鍛錬させられたのでダンジョンの景色を楽しむ余裕なんて無かったんですよ……あ、あははは」

 

「い、嫌な事思い出させてごめん」

 

『可哀想に……』

 

「ひゃう」

 

 ベルが遠い目をしつつ、体すら震わせるというしっかりトラウマになっている事を表現しているそれにアイズは謝って近寄り、リリルカにティオナにレフィーヤなど女性陣が頭を撫でたり、抱き締めたりしてベルを癒した。

 

 

 

「ベル坊、ベル坊……あのモンスター達の素材が欲しいから頼む」

 

「はい」

 

 武具や防具の素材の収穫を目標としている椿は放っておけば単独行動して列から外れるのでベルが代わりに倒して素材を獲得していた。

 

「はい、椿さん」

 

「ははは、本当にベルがいると『ドロップアイテム』の稼ぎが違うなぁ」

 

「あうぅ」

 

 素材を獲得して戻って来たベルに対し、椿は頭を撫で回して可愛がる。

 

 そうして、【ロキ・ファミリア】による遠征軍は順調に階層を踏破していき、29階層へ……。

 

 ダンジョンの29階層からは『密林の峡谷』と呼ばれている。

 

 大叢林型のダンジョンであり、仰ぐほどの巨大な樹木が密に生い茂り、壁の如く隙間なく伸びる中、両脇の樹木がⅤ字状に深く切り立って正規ルートを形成している。

 

 29から32の各階層が三段ないし、四段の巨大な階段状で階層入口の最上段から次層の連絡路がある最下段まで見渡せる地形であった。

 

『オオオオッ!!』

 

 この階層域では三頭の首を持つ『アルマロサウルス』や俊敏な『シャドーラプトル』、飛行能力を有する『ゲイルプテラ』、30階層からは大型級の『ブラッドサウルス』など戦闘能力に優れる『恐竜種』のモンスターが産出されるのでLV.3以上の冒険者の1党でないと探索はままならない。

 

 それを踏まえてモンスターが大量発生して襲ってきたりなどしたときはベルが即座に駆け跳ね、斬舞と炎雷の速射と連射によって殲滅していったのであった……。

 

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