兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

51 / 111
五十話

 

 ダンジョンが人や亜人にとって、如何に危険な場所であるか発揮されることになる階層域は『深層域』である。

 

 その始点となるのは37階層であり、ギルドからは『真の死線(トゥルー・デッドライン)』にも定められ、『白宮殿(ホワイトパレス)』と冒険者達からは呼ばれている。

 

 白濁色に染まった壁面と巨大な迷宮構造からそう呼ばれているのだ。通路や広間の殆どが大きく、地帯の幅も十Ⅿを優に超えている。上級冒険者の視力でも天井の全てを見通せない程である。

 

 階層中心に存在する次層への階段を玉座に『城壁』というべき巨大な円壁、通称、『大円壁』が都合五つ囲んでいる。この階層を進むならば大円壁の壁に錯綜する迷路を進み、無数にある段差を昇り降りして、階層の中心部を目指さなければならないのである。

 

 そして、この巨大な迷宮構造である階層全体の範囲領域は迷宮都市がすっぽり収まると言っても誇張ではない。

 

 ただでさえ、進むのには過酷な場所であるが、ダンジョンであるため、当然……。

 

『ガアアアッ!!』

 

 外套纏い、この階層の薄闇に紛れながら敵対者を狩ろうとする骸骨羊の『スカル・シープ』、骸骨の戦士である『スパルトイ』、リザードマンの上位種である『リザードマン・エリート』、狂暴なモンスターで狼頭人体の『ルー・ガルー』、鬼のモンスターである『バーバリアン』、猛毒の針を纏いし細長い体躯の竜が『ペルーダ』、魔法を減衰させる黒曜医師の身体を持つ『オブシディアン・ソルジャー』、階層間を穿孔して移動し、遥かに上の階層に現れる事もある『ラムトン』の異名を有する『ワーム・ウェール』など厄介で強力なモンスターとやり合う事になる。

 

 モンスターの数は40階層以上の領域では群を抜いており、次産間隔も非常に短いので交戦回数すらどうしても多くなるのだ。

 

「はああっ!!」

 

 そんな階層のモンスターをベルは片手剣と短剣による壮絶な斬閃乱舞とそれに交えて放つ炎雷の魔法を駆使して【ロキ・ファミリア】の団員達と共に蹴散らしていく。深層域になると【ロキ・ファミリア】の第一級冒険者達も戦闘を行うようになってきたのだ。

 

 因みにこの階層の到達基準はLV.4だが少なくともソロで挑めるかというと相当な装備をしなければ絶対に無理だとベルは判断する。

 

「(これは確かにあの時の状況じゃ無理だ……)」

 

 以前、ヘディンとヘグニによる鍛錬をされながらの探索では37階層の探索をヘディンは渋々といた感じで止めていた。その理由を否応も無く、ベルは理解したのだ。

 

 少なくともこの階層で『怪物進呈』をされ、更にヘディンとヘグニとの交戦をしていては確実に死んでいただろうと……。

 

 

 

「(うぅ……)」

 

 そんなもしもを想像した事でベルは身を震わせた。

 

『大丈夫?』

 

「はうぅ……」

 

 身を震わせるベルをリリルカに椿にアイズにティオナにティオネ、リヴェリアにレフィーヤ達、女性陣が甘やかし可愛がる事で癒す。

 

 深層域の始点の危険さを理解しつつ、ベルは【ロキ・ファミリア】と【ヘファイストス・ファミリア】らと共に踏破する事が出来たのであった……。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。