『深層域』の49階層をダンジョンにて【ロキ・ファミリア】主導で遠征をしている派閥連合の冒険者達は越えた。
『大荒野』での凄まじい数のフォモールの群れとの激戦を越えた冒険者達には恵みが与えられる。
その恵みが何かと言うと……ダンジョンの50階層はモンスターが産出されない『安全階層』なのである。つまり、次の階層に向かう前に十分な休息を取る事が出来るのだ。
50階層がどういう風景になっているかと言えば、噴火した火山灰に覆われたかのように階層中に広がる森林は灰色に染まっている。背の高い樹木の間には葉脈中に走る青い清流。
地面から何十Mもかけ離れた遥か頭上の天井には巨大な鍾乳石にも似た幾本もの岩柱が燐光を灯している。
そして、灰の大樹林を見張らせる巨大な一枚岩の上に派閥連合は『
「ダンジョンってやっぱり、不思議で凄いなぁ」
ベルは初めて見る雄大な大樹林が広がる50階層の光景を見て驚嘆し、感動もしていた。
ともかく、ベルは野営の準備や50階層まで踏破した事による労いや士気の意地を兼ねたちょっとした宴のために肉果実を始めとした迷宮産の果実と干し肉、大鍋で作られたスープの調理を手伝った。
そうして……。
『乾杯っ!!』
宴により、食事や団欒を楽しみ……。
「最後の打ち合わせを始めよう」
食事を終えるとフィンが呼びかけ、彼を中心に今後の最終確認が始まった。
「事前に伝えてある通り、51階層からは選抜した
51階層からはサポーターと言えど最低限の能力を持った者でなければ連れて行けないし、それだけ指揮の手間や時間が増える事になる。深層域で未到達領域を目指すなら、冒険者の精鋭による身軽なパーティでなければならないのだ。
「パーティには僕、リヴェリア、ガレスにアイズ、ティオネ、ティオナ、ベート……」
まずは当たり前だが、【ロキ・ファミリア】の第一級冒険者である首脳陣と幹部の名が告げられ……。
「ベル・クラネル、君もだ」
「ふぇっ!?」
自分は他派閥のために重要な未到達領域の探索をさせてはもらえないだろう、あるいはこのキャンプの防衛を任されるだろうと思っていただけにベル・クラネルは素っ頓狂な悲鳴を上げた。
『(はぁぁ~、可愛い……)』
びっくりする兎のごときそれは女性陣を癒した。
「い、良いんですかフィンさん? 重要な事に他派閥の僕を関わらせるなんて……」
「むしろ重要な事だからだよ。この階層に来るまでの様子を見ても君の力はとても頼もしかったからね、だから頼りにさせてもらえるかい?」
「僕でよろしければ、精一杯、やらせてもらいますっ!!」
「うん、ありがとう」
フィンはベルの気合入れた声と仕草に笑みを浮かべながら、頷いた。
「良かったですね、ベル様。リリは帰りをお待ちしています」
「頑張れよ、ベル」
「うん」
隣にいるリリルカとヴェルフの声にベルは頷いた。
「さて、サポーターにはラウル、ナルヴィ、アリシア、クルス、レフィーヤ……」
LV.4の冒険者達の一部がサポーターとして呼ばれ、唯一この中ではLV.3のレフィーヤもサポーター陣の中に加えられた。
そして、LV.4のアナキティ・オータムを指揮官としてキャンプ防衛の手筈もフィンは指示し……。
「椿も武器の整備士として僕たちに同行してもらう」
椿も攻略組に加えられた。
更に……。
「では、注文されていた『
実は以前の階層にて【ロキ・ファミリア】は食人花の新種と同系統だと思われる溶解液を吐き出し、有している事で武器を溶かすモンスターに襲われた。
これによる被害で武器の多くを失ったのだ。故にアイズが使う≪デスペレート≫と同じ全く壊れない性質を有する『不壊属性』の武器を注文していたのだ。
【ヘファイストス・ファミリア】の上級鍛冶師達が荷物の中から白布に包まれた武具を運び出す。
「
そうしてフィンには長槍、ガレスは大戦斧、ベートは双剣、ティオナは大剣、ティオネは斧槍を渡され……。
「ベル、実はお前がこの先の探索に向かわされるのは椿から聞いていた。だから、これを用意していたんだ」
「料金はロキから貰っているし、なによりベル坊には世話にもなっているからな、手前たちの気持ちだ」
「っ、あ、ありがとうヴェルフ、椿さん」
ベルにも『不壊属性』の片手剣が渡された。
「では、明日に備え解散だ」
『はいっ!!』
こうして、明日の未到達領域の探索に備えた準備や休息をする事となったのであった……。