兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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五十六話

 

 ベル・クラネル達一行は深層域の52階層まで進んだのが、その階層においてはなんと遥か下の58階層にて産出されるモンスターにして二本の脚で立ち全長一〇Ⅿの巨躯を誇る大紅竜である『ヴァルガング・ドラゴン』が紅蓮の炎を砲撃として吐き出し、52階層までの床をぶち抜きながら炸裂範囲にいる者を焼き払うのだ。

 

 階層無視の狙撃ともいえるので中々脅威であり、それゆえにベルは砲撃を止めるためにヘスティア由来の【スキル】で炎に耐性があるのに加え、自身の炎雷による守護を纏いながら砲竜がぶち空けた穴より、落下を開始した。

 

 もっと言えば二つ目の魔法にして鐘の音により、感覚を研ぎ澄ませながらトランス状態にもなっていた。

 

「邪魔だぁぁぁっ!!」

 

 ベルが58階層にして『竜の壷』の最奥へと落下している中、56階層に57階層の横穴からヴァルガング・ドラゴンと同じく『竜の壷』の由来となっている飛竜にして尾を入れれば三Mの体長を誇る『イル・ワイヴァーン』の群れが飛び出してきた。

 

 それに対しベルはワイヴァーンを切り裂きながらその死体を蹴る事で跳躍して別のワイヴァーンを切り裂きつつ、死体を蹴って別のワイヴァーンへ或いは岩盤を蹴って足場としてやはり、ワイヴァーンを切り裂く。

 

 兎による跳躍の舞でありながら、幽鬼的であり変幻自在な斬舞である。更にヘスティア由来の【スキル】と炎雷の守護を得ているのでワイヴァーンの火炎弾も炸裂した直後に消滅、度々、襲い掛かる『ヴァルガング・ドラゴン』の炎砲も又、消滅するので無効である。

 

 こうして、ベルは『イル・ワイヴァーン』の群れを次々と圧倒しつつ、蹂躙していく。

 

 

 

「あはは、まるで炎そのものだね」

 

「遠征に連れて来て本当に正解だったわね」

 

「……あいつらと相性が良いってだけだろ」

 

 ベルが砲竜の炎を無力化できるのを察したフィンはすかさず、ティオネにティオナ、ベートにリヴェリアの防護魔法をかけさせるとベルの援護へと送った。

 

 とはいえ、岩盤やイル・ワイヴァーンの身体を足場に駆け跳ねながら、屠っていくベルの暴れぶりにティオナは嬉しそうに言い、ティオネも又、頼もしいと評価し、ベートはベルの活躍に舌打ちをしつつ、呟いた。

 

 ともかく、落下するベルを追い……そうして……。

 

「やああああっ!!」

 

「ベル、加勢に来たよ」

 

「倒すのはヴァルガング・ドラゴンだけで良いわ。その後は57階層の連絡路に避難する事」

 

「飛ばし過ぎてへばる様な間抜けをするんじゃねえぞっ!!」

 

 58階層のヴァルガング・ドラゴンの一体を斬滅するベルに対し、続けて落下するティオナにティオネはフィンからの伝言を言い、ベートは素早くベルとヴァルガング・ドラゴンとの戦いへ加勢に入ったのであった……。

 

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