兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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五十七話

 

 深層域の58階層が『竜の壷』は49階層の『大荒野』と同じく広大かつ単一の空間となっており、迷路も無ければ視界を遮る仕切りも無い。黒鉛の壁と天井が長方形を描く巨大『ルーム』だ。

 

 動きやすい空間ではあるが産出される『ヴァルガング・ドラゴン』は52階層までの音を聞き取り、52階層の床までをぶち抜く強烈な炎砲による狙撃を行う強大なモンスターであり、そのぶち抜いた穴より落下した場合、イル・ワイヴァーンが襲ってくる。

 

 無論、58階層に着地できたとして天井の穴が修復されるまでにイル・ワイヴァーンが襲ってくるのだ。

 

「やあああっ!!」

 

 『ヴァルガング・ドラゴン』の炎砲を防ぐために自分の【スキル】と魔法の合わせ技を使いながら、58階層に着地したベルはそのまま、『ヴァルガング・ドラゴン』を討伐にかかる。

 

 

 

「うぜぇんだよぉっ!!」

 

「とっとと死になさい」

 

「いっくよー」

 

 加勢のためにベルを追って着地したベートにティオネにティオナも『ヴァルガング・ドラゴン』の討伐にかかりつつ、皆でヴァルガング・ドラゴンと修復されようとするまでに天井の穴を抜けてきたイル・ワイヴァーンの群れをも滅ぼしていく。

 

 

 

「やっとるのぉ、お主らっ!!」

 

 そして、更に頼りになる助っ人が落下してきた。

 

 LV.6であり歴戦の老兵であるガレス・ランドロックだ。

 

 彼の助けもあって無事、避難場所と定めた57階層の連絡路へと向かえる状況になりつつあったが……。

 

 

 

『っ!?』

 

 その57階層の連絡路から厄介な溶解液を有する芋虫型の新種の群れが現れたのだ。

 

「邪魔だぁぁぁぁっ、【聖炎降臨(フローガ)】――【ファイアボルト】」

 

 鐘音の加護も切れ、炎砲から守る炎雷の守りも消耗を抑えるために解除していたベルは【スキル】の効果により、モンスターに対する特効性能を有する事を強く意識して精神力も強く込めて放つ。

 

 

 

 するとかなりの数が居た芋虫型の群れは全焼し、滅んだ。

 

「良し、これで」

 

「でたらめだな」

 

「流石、ベル。頼りになるー」

 

「まったくね」

 

「ふふ、滾らせるわい」

 

 こうして、皆は57階層の連絡路へと避難し、休みを取り出す。

 

「良し、皆無事だったか」

 

 そうして、待機しているとフィン達と合流を果たす事に成功した。彼らによれば途中、レヴィスと同じ『怪人』だろう紫紺の外套に仮面で姿と顔を隠した者が芋虫型を率いて襲っていたが撃退したとの事だ。

 

 

 

 ともかく、合流を果たした事で改めて58階層の攻略にかかり、無事にやり遂げる。

 

「ベル、やはり君を連れてきたのは正解だったね。まさか、ヴァルガング・ドラゴンの炎を何とかできる能力があったなんて……良くやってくれた」

 

「は、はい。役に立てて良かったです」

 

 ベルはフィンに嬉しそうに言ったが……。

 

『それはそれとして後でお仕置きだから』

 

「えええええっ!?」

 

 突然、飛び込んだベルに心配をかけられたというのを建前にベルは女性陣から好き放題される事が決まっていたのであった……。

 

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