朝焼けが始まっていない早朝、オラリオの西のメインストリート沿いに建てられた建物の中でも三階建てのために比較的大きな店である『豊穣の女主人』。
「それじゃあ、よろしくお願いしますクロエさん」
「こちらこそ……とりあえず先手は譲るわ」
約束通りに鍛錬を始めるため、昨日購入した刃を潰した訓練用のナイフを自分用に二振り、クロエ用に一振り購入して『豊穣の女主人』をベルは訪れた。
そして、元々別の棟が建つ予定であったがそれが無くなったために空き地のような形相でしかし、広い『豊穣の女主人』の内庭へとクロエと共に移動し対峙しながら挨拶を交わす。
「はい……(隙が無い)」
クロエに先手を譲られながらも自然体な彼女からは隙は伺えず、気配すらも感じ取れなかった。
「すうっ……やああっ!!」
ベルは深呼吸すると瞬時にクロエへと駆け跳ね、二振りのナイフによる白閃を縦横無尽に暴れ狂わせながら、それに拳と足による戦舞を織り交ぜる。
その見た目からは想像できない程に苛烈であり、獰猛なベルの戦技は並の相手ならば即座に防御も抵抗も回避も反撃も蹂躙され尽くすものであるが……。
「LV.1にしてはなかなかやるわね。それに随分、勇ましい」
鋭く速く、苛烈なベルの攻撃と技量を絶賛しながらも『器』を昇華させ、神に近づく行為とも呼ばれる【ランクアップ】を四度果たしたクロエは軽々とベルの攻撃を避け、あるいは捌いてしまう。
【ランクアップ】する条件として『器の昇華』に値する偉業を果たさなければならない。必然的に死闘やら激戦を潜り抜ける必要があり、実際、クロエは店員になるまで暗殺者として修羅場を潜り抜けてきたのである。
最も本来は毒を縫った刃や幻影魔法など様々な搦め手を尽くすのが彼女のスタイルである。だが、【ランクアップ】するだけでも全体的にアビリティや体力、感覚などは高まるのでLV.1のベルとは三段階は上の次元にクロエは到達しているから相手にならない。
「ほらほら、もっと頑張って」
「あう、くふ……うぅっ!!」
クロエは暗殺者として培った己の気配を殺し、動きを悟らせないままにベルの間合いを盗んで尻を叩いたり、訓練用のナイフで軽く切りつけ、突く。
ベルは避けきれず、防ぎきれない。
「(これが【ランクアップ】した眷属の実力……でも、負けないっ!!)」
ベルは自分では敵わない相手だと理解しつつもだからこそ、男としてあるいは英雄になる者として勝利に向けての意思を激しく燃やし、根性と気合を爆発させた。
「っ、あはははっ!! 本当、男の子してるわね貴方。ちゃんと付き合ってあげるから、かかってきなさい」
「はいっ!!」
クロエはベルの意志に好まし気な表情を浮かべる。ベルは激しく戦舞をクロエに披露しながら……。
「ああああっ!!」
「っ!?」
クロエとの手合わせの中で彼女を観察して覚えた気配を消し、動きを悟らせないままに間合いを盗む技を使い、クロエに接近すると驚きながらも反応して今までとは違い、大きく回避したクロエの身体に訓練用のナイフを掠らせた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「やるじゃない、ベル」
大きく息を切らせたベルにクロエは微笑む。
「二人ともそこまでだよ」
朝日が昇り切り、光が降り注いでいる中庭に立つ二人へ髪を後ろで結ったドワーフのため、体格の良い『豊穣の女主人』の女将であるミア・グランドが鍛錬終了を告げた。
「あ、ありがとうございました」
「ええ、こちらこそ。そして、これは頑張ったご褒美よ」
「ふむっ!? ん、んん……」
クロエはベルに微笑むと彼の身体を抱き締めながら、深い口づけをし舌を入れて口内を味わい、ベルは彼女のざらついた舌の感触もあって痺れるような快楽に蕩かされた。
「本当、普段は可愛らしいわね。それじゃ朝の準備、手伝って」
「はい」
ベルはこの後、開店の準備を手伝う事になっている。とりあえず持ってきていた布で汗をぬぐい、同じく用意していた水を飲むなど軽い休憩をし……。
「ベルさん、とっても格好良かったですよ」
「最後まで諦めずに戦い、最後に掠ったとはいえ、クロエに一撃当てたのはお見事でしたクラネルさん」
クロエとベルの鍛錬を見ていたシルは休憩中のベルに直ぐに駆け寄って賞賛。
薄緑色の短髪に美麗な容姿、尖った耳というエルフのなによりの特徴をもったスレンダーなスタイルの女性にしてシルの親友兼同僚であるリュー・リオンもベルを讃えた。
「そうだね、絶対に勝ってやるっていうあの気迫……中々良かったよ、冒険者君」
羊毛色の短髪で凛々しい容姿、グラマラスなスタイルのヒューマンの店員、ルノア・ファウストも快活に笑いながらベルを評する。
「中々、良かったニャ白毛頭」
茶色い毛並みの猫人であり、容姿は可愛らしく、天真爛漫な雰囲気を有したグラマラスなスタイルの女性店員、アーニャ・フローメルもベルを褒めた。
因みにリューもルノアもアーニャも店員をやる前はそれぞれ、別の事をやっていたし、派閥も違っているがクロエと同じLV.4の眷属である。
それぞれ、クロエと手合わせするベルの戦い振りに心打たれていたのだ。
「あう、そ、そのあまり褒めないでください。調子に乗っちゃいますから……」
『(可愛い)』
「ちょ、な、なんで撫でるんですか……ふああっ!!」
気恥ずかしさに顔を赤らめ、むず痒そうにするベルの愛らしさにときめいたシルにリュー、ルノアにアーニャにクロエもベルの頭や顔などを撫で回す事で可愛がり、蕩かせていった。
ともかく、ベルは開店の準備を手伝い……。
「それじゃあ、夕方手伝いに来ますので」
「はい、楽しみに待っています」
「よろしくニャ、ベル」
夕方の手伝いを約束すると一旦、『豊穣の女主人』から去って行ったのだった……。
二
主に冒険者達が集まる施設、ギルド本部にて……。
ベル・クラネル
LV.1
力:C634
耐久:D500
器用:C667
敏捷:A862
魔力:F322
「(何なの、本当に……上がり幅がおかし過ぎるよ)」
今回もダンジョンの勉強を希望したベルに応じて彼と共に資料室に移動したエイナはベルが見せてきた自分の【ステイタス】を記した羊皮紙に呻いた。
とはいえ、勉強はしつつ……。
「まったく……ベル君って絶対無茶とかの基準がおかしいよね。あるいは人の何倍も頑張り過ぎる子か努力をいくらでもできちゃう子なんだって事なんだろうけど」
「んふ、く、あ、あぁ……」
休憩時間と称してベルを自分の胸の中で抱き締めながら頭や顔や首元など優しく触り、撫で、掻いたり擽ったり……甘く優しく蕩かせていった。
「ほらほら、もっと甘えて。私に委ねて……いっぱい、ベル君を可愛がってあげるから」
「あ、ありがとうございますぅ……」
エイナの甘く優しい囁きにベルは酩酊するように口を開き、受け入れる。
更には……。
「少し寝て良いよ、お昼の休憩だから……」
「ぼ、僕は……う、く……」
自分の膝を枕としてベルを寝かせ、髪や顔を優しく触り尽くすだけでなく腹部や胸を優しく叩いて安眠出来るようにしていく。更に甘く優しい囁きを送ればベルは眠りに落ち始める。
「ゆっくり休んで、ベル君」
そんなベルの様子に笑顔を浮かべながら、ベルを可愛がり続けるのであった……。
二
『豊穣の女主人』の営業形態は特殊である。日中は一般市民、特に女性向けの喫茶店として営業するが、夕方は冒険者向けの酒場になるのである。
そして、必然的に夕方の営業が忙しくなる。そうして夕刻、今日も酒場としての営業が始まり……。
「あ、あの……いらっしゃいませお客様……どうぞゆっくりくつろいでいって……ください……」
ベル・クラネルは店の手伝いに来ていた。ただし、その服装はシル達のように女性店員としてのものとなっており、恥ずかしさに身悶えし震えていた。
『うおおお、男の娘キタァァァァァっ!!』
『なにこれ!? なにこれ!? なにこれぇぇぇぇっ!?』
どこから聞きつけたか男神と女神達が店に集まり、女装しているベルの姿に狂喜乱舞した。
「男の娘だぁ? メイドの恰好なんかしやがって……似合ってるじゃねえか」
「とっても可愛らしくて良いわ」
男性に女性の冒険者達もベルの女装を愛でた。
「良く似合ってるよ、ベル君」
「女の子みたいだなと思ってたけど、実際目にしてみると凄いね」
「まぁ、その、なんだ……似合っておるぞ」
ベルが働くと聞いて店の売り上げに貢献しようとバイト仲間を引き連れてやってきたヘスティアや兎のような男の娘がいると聞いてやってきたナァーザにミアハにもベルは女装姿を見られ、声もかけられた。
「(うああああああ~~~~っ!!)」
鋼の意志で極大の羞恥心を耐えたが、本当に発狂さえしそうなベルであった。
ともかく、今日の営業は今までよりも繁盛して過去最高の売り上げを叩き出しさえしたのである。
「ベルさん、お疲れ様でした。凄く助かりましたよ。店も繁盛しましたし」
「流石の可愛らしさね、ベル」
終わった後、ベルはシルとクロエに抱き締められながら優しく撫で回され、掻くように刺激され、揉み解され……甘く優しい快楽に温もりで蕩かせる。
「本当に助かりました、クラネルさん。それと大変、素晴らしい可愛さですね」
「ここまでいくと才能だよ。どこかの町の看板娘かとさえ、思ったりしちゃったしね」
「これからもしっかり手伝うのニャ」
リューにルノア、アーニャもベルを優しく可愛がる事で更にベルを甘く優しい快楽で蕩かせたのである。
その後……。
「ベル君、ごめんね。ボクはもう我慢できないんだ」
「え、ちょ、ヘスティア様……ま、待って……あうあああああっ!!」
ベルの女装姿に気持ちが高ぶったヘスティアはシャワー室にて自分主導で強制的な口づけに愛撫など全力以上の奉仕をしてベルに絶頂を何度も体感させてベルを腑抜けにし続けたのであった……。