兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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六十話

 

 【ロキ・ファミリア】にとっては未到達階層であった59階層まで探索できたという事、ベルが即刻排除したが『タイタン・アルム』に寄生していた女体型がもしかすれば、とんでもない存在になろうとしていた事もあって、それ以上の探索を止めたフィン達、精鋭の一党。

 

 その後は深層域の『安全階層』である50階層まで戻り、待機組と合流するとそのまま、オラリオへの帰還を始めた。

 

 そうして、下層域まで向かっていた【ロキ・ファミリア】と【ヘファイストス・ファミリア】に【ヘスティア・ファミリア】による『派閥連合』。

 

 しかし、そんな彼等彼女等にダンジョンによる魔の手が襲い掛かった。

 

 強力なる猛毒を有した蛆のモンスターである『ポイズン・ウェルミス』が異常な数の群れとして迫り来た。

 

 ダンジョンを探索する上での常に警戒すべき厄介な『異常事態』が発生したのだ。

 

 そう、ダンジョンにおいては常に冒険者達にとっての『未知』であり、『想定外』は起こり得る。

 

 とはいえ、だからこそベルは即座に対処にかかり、それにベートとアイズも加勢して3人を筆頭に『ポイズン・ウェルミス』の大群を全滅させたのだ。

 

「えへへ、ありがとうございますベートさん。頼ってくれて……仲間として認めてもらえたみたいで嬉しいです」

 

 ベルは『ポイズン・ウェルミス』との戦いの際、ベートに頼ってもらえたことを喜んだ。

 

 基本的にベートは自分に対し、交流をしてこないのである程度、距離を置かれていると思っていたのだ。

 

「なんでそんな事で喜びやがるんだよ。ただ、戦力として役に立つ事は認めているだけだぞ、俺は……借りもあるしな」

 

 ベートはベルに対し、ティオネと共にLV.6に【ランクアップ】するための手助けをしてもらった事がある。

 

 普段はどう接すれば良いか自分でも持て余しているので交流はしないが、戦闘などにおいては頼りになる相手だと認めざるをえないので頼ったりもするだけではある。

 

『ツンデレだなぁ』

 

 ベルとベートのやり取りに一同はそんな想いを一つにした。

 

 ともかく、そうして帰還していく派閥連合は下層域の『安全階層』での小休止などを得て、中層域の『安全階層』である18階層へと辿り着く。

 

「さて、ここでゆっくり休んで万全の状態でオラリオに帰還しよう」

 

『はい!!』

 

 フィンの指示もあってこの18階層で1日、野営する事となり……。

 

「え、手伝いは良いんですか?」

 

「良いよ良いよ、『ポイズン・ウェルミス』の時はいっぱい働いてもらったからさ。ゆっくり休んで」

 

 オラリオに帰還する前にこの『遠征』の目的を果たせた事に対する『宴』をするのでベルは手伝おうとしたのだが、むしろゆっくり休んでくれとベルは遠慮された。

 

「じゃあ、ちょっと時間もあるし一人で森を回ってみますね。この雰囲気、大好きですし」

 

『兎だなぁ』

 

 まさに今にも森を駆け回りたくてうずうずしている兎のような様子のベルに皆が癒される。

 

 こうして、なんとなく気に入っている18階層の森林地帯の探索へと向かい……。

 

「あ、おーい。リューさん」

 

「ベル……ここにいるという事は【ロキ・ファミリア】との遠征は上手くいったようですね」

 

 森林地帯を探索していると手に白い花束を持った腰まで届くフードの付いたケープ、下はショートパンツと腿を半ばまで隠すロングブーツで組み合わせている格好で腰に長い木刀と二刀の小太刀を差したリュー・リオンの姿を見たのでベルは声をかけた。

 

 リューは微笑みながら、ベルに応じる。

 

「はい、とってもいい経験になりました。リューさんはお参りに来たんですか?」

 

「ええ、そうです。私の大事な同胞たちへの……」

 

「折角ですから、僕も行って良いですか? リューさんにはとてもお世話になっていますから」

 

「……やはり、貴方はとても優しいですね。では、よろしくお願いします」

 

「はいっ!!」

 

「っう、やはり貴方の可愛さは反則だ」

 

 花も恥じらうような愛嬌たっぷりのベルの笑みはリューの心を疼かせ、思わずに焼けてしまう程の威力を誇っていたので目をそむけ、頬を赤らめながらリューは呟くのであった……。

 

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