兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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六十二話

 

 ベルは【ロキ・ファミリア】と【ヘファイストス・ファミリア】との『遠征』は【ロキ・ファミリア】の未到達階層である59階層に到達したという事でその目的は終わった。

 

 後はオラリオへと帰還する事になり、皆で『深層域』から上がり続けていた中、『下層域』にて『ポイズン・ウェルミス』の異常な群れに襲われてしまう。

 

 だが、ベルとベート、アイズらの活躍もあって無事に殲滅するとその後は特に異常事態も無く、『中層域』へと……そうして、『安全階層』である18階層に辿り着くとそこで1日休憩する事になった。

 

 

 

 ベルは食事を用意する手伝いをしようとしたが、しなくて良いと言われやる事も無いのでこの階層の森林が綺麗で雰囲気も好きであり、元から探索しようと思っていたのもあって一人で探索する事にしたのだ。

 

 すると、日々、世話になっていて交流も深い『豊穣の女主人』の店員の一人、リュー・リオンと偶々、遭遇した。

 

 この階層にてリュー・リオンが所属していた【アストレア・ファミリア】の団員達の墓があると彼女の過去を聞きつつ、ベルは彼女の墓参りに付き合う事にした。

 

 そうして、リューと共にベルは出会ってすらもいない【アストレア・ファミリア】の者たちの冥福を祈った。

 

 

 

 

「じゃあ、そろそろアイズさん達の元へ戻りますね」

 

「ええ、私も店の方に戻ります……ベル、墓参りしていただきありがとうございました」

 

「いえいえ、僕もリューさんの過去が聞けて良かったです。信頼してもらっているんだって分かりますから」

 

「ええ、ベル。貴方は尊敬に値するヒューマンですし、何より愛していますから」

 

「ふむ……んく」

 

 ベルはリューと別れる事になったが、微笑まれると共に抱き締められて口づけした。

 

「では……」

 

「はい、また後で」

 

 ベルはそう言い合うとリューと別れて森林を進んでいったが……。

 

「む?」

 

 遠目に動く者たちの姿を見る。ローブに身を包んだ者たちであり、少し前に24階層の食糧庫内で食人花を生み出していた者と同じ姿だった。

 

 

 

『闇派閥』の残党たちである。

 

「ふっ!!」

 

「なっ!?」

 

 ベルは放っておくことを良しとせず、地面を駆け跳ねると超速で間合いを詰め……。

 

「しっ!!」

 

 撫でるような手刀の一閃にて闇派閥の残党を昏倒させていく。

 

 

 

「死ネ!!」

 

「うっ!?」

 

 

 

 どこにいたのか、紫紺の外套に不気味な紋様の仮面を被った者が突如、現れて即座にメタルグローブに握った短剣型の魔剣を振るう。

 

 炎塊が闇派閥の残党へと放たれ……炸裂した瞬間、闇派閥の残党が身に着けていた自決用の『火炎石』に引火し、爆発。それが複数起こりとんでもない爆発が起こったものの……。

 

 

 

 

「ヘスティア様に感謝しないとな」

 

 ベルは【スキル】で炎には耐性がある。爆発の規模からしてあり得ないが、全然無傷であった。衣服はぼろぼろだが……。

 

「ん、これは……」

 

 紫紺の外套の者は姿を消しており、闇派閥の残党は死体も無い。なんとなく周囲を探すと光る物を見つけたので拾う。

 

 手の平に収まる大きさで材質は人の手で作られた精製金属(インゴット)、内部には赤い球体――眼球のような物体が埋め込まれた物で表面には共通語とも【神聖文字】とも異なる『Ⅾ』という形の記号が刻まれたものである。

 

 

 

「フィンさんに渡そう」

 

 ベルはそう、呟きながらフィン達の元へと戻るのであった……。

 

 

 

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