兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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六十四話

 

 ダンジョンに僅かなれど、存在するモンスターが産出されない階層が『安全階層』の一つであり、一番冒険者が訪れやすい18階層。

 

 『遠征』も終わり、オラリオへと帰還を始めている【ロキ・ファミリア】と【ヘファイストス・ファミリア】と【ヘスティア・ファミリア】はこの階層にて1日、野営をした。

 

 そうしてこの階層の天井の白水晶の群れと周囲にある青水晶の群れによって作られた『空』であり、『太陽』がその光量により、朝の時間帯を示す。

 

「さあ、それじゃあオラリオに帰ろうか」

 

 朝食を済ませた後、天幕をたたみ、まとめた物資を運搬用のカーゴに詰め込んでいく。そうして準備を終えるとこの『遠征』における総指揮官を務める【ロキ・ファミリア】の団長であるフィンがそう言った。

 

 

 

『はい』

 

 フィンの言葉に皆が笑みを浮かべながら返事をする。

 

「今回は私達と一緒だよー」

 

 そして、行きの時と同じように18階層から部隊を二部隊に分ける事になった。

 

 先鋒隊と物資を運ぶ後続隊である。

 

 ベル・クラネルは今回においては先鋒隊であり、同じくそれを務めるのはフィンとリヴェリア、アイズにティオナにティオネ、ベート達であった。

 

「はい、ティオナさん。帰りも油断せず、頑張ります。モンスターの群れを逃がしたりしないように」

 

『うぐっ!?』

 

 ベルはティオナに抱き締められながら先鋒隊として連れていかれていたのだが、前に【ロキ・ファミリア】が『遠征』からの帰りに遭遇したミノタウロスの群れの集団逃走を許してしまった事を思い返し、幾らダンジョンに慣れていても油断は駄目だと自分を戒める意味で言及した。

 

 悪意も何も無い。本当に気を引き締めるために言ったのだ。

 

 だが、実際にミノタウロスの群れの集団逃走を許し、その件について言及したベル本人に尻拭いをしてもらったリヴェリア、アイズ、ティオナにティオネ、ベート達は精神にダメージを受けてしまう。

 

 

 

「……う、うん。そうだね……油断は駄目だね」

 

「ありがとう、ベル。思い出させてくれて」

 

「他の冒険者に迷惑をかける訳にはいかないよね」

 

「同じミスはしないわよ」

 

「ふやああっ!!

 

 アイズにリヴェリア、ティオナにティオネらはベルを抱き締めたり、頭を撫でたりして軽く蕩かせた。

 

 

 

 ともかく、その後は何の問題も無くバベルの地下入り口まで辿り着いたのであった。

 

「じゃあな、ベル。楽しい遠征だったぜ」

 

「うん、僕もだよ」

 

 そうして、中央広場にてベルは契約鍛冶師であるヴェルフと笑い合い……。

 

「椿さん、≪サーベル・ローラン≫はこれからも大事に使わせてもらいますね」

 

「ああ、お前のために作ったのだ。大事に使ってくれ」

 

「はい……ひゃうう」

 

 椿に対しては彼女が鍛造した不壊属性の片手剣について言えば、抱き締められながら言われたのだった。

 

 

 

 

 その後、ベルは【ロキ・ファミリア】と共に『黄昏の館』へと帰還し……。

 

「お帰り、ベル君」

 

「はい、ただいまですヘスティア様」

 

 自分の眷属の帰りを待っていたヘスティアに抱き締められながら、互いに微笑んだのであった……。

 

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