兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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七十話

 

 今夜、オラリオから見上げても雲一つ無い満点の星空であり、当然、満月も綺麗だ。

 

 そんな夜空の下、オラリオはいつも以上に騒がしく、賑やかである。

 

 元々、オラリオには娯楽を求める神の求めにより、夜でも楽しめる店や施設が多い。そのため、『眠らない都市』と呼ばれていた。

 

 だが、今夜のオラリオは多くの人に亜人、神々が集まり、とある事を楽しんでいた。

 

 それは『月神祭』という突きを神様に見立てて、モンスターの魔の手から無事を祈るという祭りだ。

 

 

 

「『月神祭』にはうってつけな綺麗な夜空と満月ですね……」

 

「うん、本当祭りをするには良い夜だよ」

 

「今年は特に良い夜だと思うのはベルさんがいるからですかね」

 

「シル様、相変わらずあざとい」

 

 『神月祭』にベルとヘスティア、リリルカとシルは参加しており、歩きながら夜空に周囲を見渡しながら感想を言い合った。

 

 

 

 

「ほら、ベル君……あーん」

 

「あーん」

 

「ベル様、これもどうぞ」

 

「うん、もぐもぐ」

 

「ベルさーん、これも食べてください」

 

「ありがとうございます」

 

 時折、屋台料理を買うヘスティアにリリルカ、シルからそれぞれ料理を差し出され、食べさせられる。

 

「もぐもぐ……美味しいです」

 

 ベルは祭りの雰囲気もあって、気分的にも美味しく感じる屋台料理の味を楽しんだ。

 

『はぁ~~、可愛い』

 

 兎のように愛らしく食べるベルの様子にヘスティアとリリルカ、シルは癒された。

 

 そうして、色々と祭りを楽しんでいたベル達であるが……。

 

 

 

「さぁさぁ、お立ち合い。遠き者は音に聞け、近き者は目にも見よ。腕に覚えがある冒険者ならば名乗りを上げろ」

 

 設置された舞台の上で祭りに相応しい衣装に身を包んだヘルメスが芝居がかった仕草と声で注目を集めていた。

 

 

 

「あ、ヘルメス様と……槍?」

 

 舞台の中心には『槍』が水晶の上に突き立っているのをベルは発見する。

 

「ああいうの好きだね、ヘルメス」

 

「色んな国や都市を行き来しているからでしょうか……」

 

「あの槍は何か、特殊みたいですね」

 

 ヘスティアは相変わらずだなぁと言った感じで呟き、リリルカはヘルメスと彼の派閥の行動を振り返りながら言い、シルは槍を抜こうと挑戦し、抜けない者たちを見ながら言った。

 

 

 

「槍を抜いた者は豪華世界観光ツアーにご招待。ギルドの許可済みだぁっ!!」

 

 「ふむ、せっかくだからやってみたら、ベル君」

 

「特典に貴女がつられてどうするんですか」

 

「まあ、やってみてください」

 

「分かりました」

 

 そうして、ベルは舞台へと上がっていく。

 

 

 

「おおっとここで最近、オラリオで活躍しまくりの【限界跳躍(オーバー・ジャンパー)】の登場だぁぁ」

 

 【限界跳躍】とはベルが遠征に向かっている間に神々によって与えられた冒険者としての二つ名である。

 

 

 

「じゃあ、抜きます」

 

 そうして、槍に触れ……。

 

 

 

『(見つけた)』

 

 脳内に声が響いたかと思えば、水晶は砕けて槍を引き抜く事が出来た。

 

 

 

「……やっぱり、君なら引き抜けると思ったよ。それじゃあ、今回の旅のスポンサーのお出ましだ」

 

「見つけた、私のオリオン……」

 

 ヘルメスが言うと舞台に集まっていた人の群れの中から青い髪を後ろに結った凛々しい雰囲気の容姿端麗な女神が現れ、そうして飛びついて来た。

 

 

 

「わわっ、危ないですよ」

 

 ベルはその女神を抱き締める事で受け止め……。

 

「どういう事だい、アルテミスー!!」

 

 ヘスティアは天界の頃からの神友に対し、驚きながらも怒ったのであった……。

 

 

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