兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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七十八話

 

 野営地にて朝を迎えたベル達は『アンタレス』を待ち受ける遺跡へと侵攻を開始した。

 

 アルテミスの神威で閉じられている遺跡の門は開くとの事で実際、それは正しかった。

 

 【ヘルメス・ファミリア】の団員達の殆どが大量のモンスターを惹きつける陽動役となり、そうしてベルにヘグニ(魔法で自己変革済み)、リューにアスフィにアルテミス等が神殿に侵攻していった。

 

 遺跡の中にも蠍型の小さな奴とそれより強い大型の蠍がいて中々に強かったがそれでも問題無く、倒して突破すると……。

 

 

 

 

 

『なっ!?』

 

 遺跡の奥には巨大な蠍にして単眼であり、漆黒のモンスターであるアンタレスが遺跡のいたるところに管を伸ばしていたが体の中央の殻が開くと水晶が見えた。

 

 そして、水晶の中には……。

 

 

 

「そ、そんな……」

 

「なんと……」

 

「あり得ない」

 

「馬鹿な……」

 

 どういう訳かベル達の傍にいるアルテミスがもう一柱、捕らわれていた。ベルにヘグニ、リューにアスフィ達が驚愕する。

 

 

 

「……」

 

「……く」

 

「ぅぅ……」

 

 アルテミスは俯き、ヘルメスやヘスティアはそれぞれ、耐えられないとばかりに目を逸らす。

 

 

 

「……でも、やるしかない。【福音よ、鳴り響け】――【クリロノミア・チャイム】」

 

 ベルは意を決したようにトランス状態となり、感知能力や『器用』が強化される魔法を発動し……。

 

 

 

「皆さん、時間稼ぎをお願いします。一か八かだ。【聖火降臨(フローガ)】――【ファイアボルト】!!」

 

 オリオンの矢を抜くとそれに性質を変えた聖火を付与させながら二重収束を開始する。

 

 そうしてリューにアスフィ、ヘグニがアンタレスの意識を惹きつける中、ベルも縦横無尽に駆け跳ねながらアンタレスの攻撃を回避し……。

 

 

 

 鐘音が大鐘楼へ収束される聖火は聖なる輝きを増しながら大炎へと変化していき……。

 

 

 

『はあああっ!!』

 

 大鐘楼の音に鼓舞され、激しくアンタレスと戦っていくリューにアスフィ、ヘグニの三人。

 

 

 

 「奇跡を起こしてやる……いくぞぉぉぉぉっ!!」

 

 そうして、ベルはオリオンの矢を投擲するための構えを取り、叫ぶとリューたちはアンタレスから離れ……。

 

 

 

「やあああああああっ!!」

 

 聖火の大炎を纏った矢が投擲される。

 

 

 

 そうして……。

 

『ギャオオオオオアアアアアッ!!』

 

 オリオンの矢が突き刺さったアンタレスは断末魔の叫びを上げながら、炎に包まれ焼き尽くされていき……そうして……。

 

「……オリオン……君は一体……」

 

「【ファイアボルト】にモンスターだけを抹殺し、神様を癒す事を無我夢中で念じ続けましたよ」

 

 アンタレスを燃やしていた炎が消えるとそこには聖火の輝きを纏ったアルテミスがいた。そして、驚きながらもアルテミスはベルに問いかけるとベルは安堵した笑みを浮かべて質問に答える。

 

 

 

「……っ、ベル君っ、ありがとう……本当にありがとう!!」

 

「ベル君……俺からも礼を言わせてくれ。そして、君は正に本物の英雄だよ」

 

 実はアルテミスの本体はアンタレスに食べられ、力を吸われるがままだったがベルの聖火はアンタレスだけを焼き尽くし、そして更にアルテミスの神力で召喚されたオリオンの矢ごとアルテミスを活かすための燃料となって彼女を生還させたのだ。

 

 

 

 無論、その過程が過程なので不変にして永遠では無く、有限の命にはなってしまっているが……。

 

 しかし、神を復活させたベルに対しヘスティアもヘルメスも感謝をしたのであった……。

 

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